今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

バレエ「ジゼル」

2013年10月19日 15時22分21秒 | バレエ/ダンス

2013/10/
チャイコフスキー記念 東京バレエ団 「ジゼル」(全2幕)@東京文化会館
【振付・演出】J.コラーリ J.ペロー M.プティパ L.ラブロフスキー
【改訂振付(パ・ド・ユイット)】V.ワシーリエフ / 
【音楽】アドルフ・アダン
【指揮】ワレリー・オブジャニコフ
【演奏】東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
【出演】 ジゼル:吉岡美佳/ アルブレヒト:デヴィッド・ホールバーグ/  ヒラリオン:柄本弾
バチルド姫:高木綾/ 公爵:高岸直樹/ウィルフリード:森川茉央/ジゼルの母:橘静子
ミルタ:奈良春夏/ドゥ・ウィリ:矢島まい、川島麻実子/他

バレエはだいたい一年に二度くらいのペースでゆるゆると観てるけど、今年はちょっと多目になって五本目。
なのに感想を書いてないのは、相変わらずの初心者で、バレエの振付や踊りのことをあまりに知らなさすぎて、書けることが限られているから。

というのは今更だけど、私のように、バレエのことを何も知らなくてもバレエは楽しめます。
でも、物語を楽しむために、やっぱり観る前にストーリーくらいは知っておいたほうが良いと思う。
その上で、「バレエは同じ物語でも、振付や踊る人達によって解釈も違うし、観るほうの受け取り方も自由なので、舞台や観る人によってもそれぞれに物語の印象が違って見える」というのが更に面白いんです。
私にとってはそこがバレエの楽しいところ。
初心者には、初心者らしい楽しみ方があるのよね。

その上記を踏まえて、ですが。
私は「ジゼル」を初めて観ましたが、この日の「ジゼル」は予想外で、とても面白かったです!
ダンスを見ているだけで、耳に聞こえぬ台詞が聞こえてくるようでした。
私の観た、この「ジゼル」の感想が一般的かどうかは別として、登場人物の様子が意外だったり納得だったりで魅力的。
それに、バレエにはよくあるシーンですが、物語りには直接関係なさそうな、村の若者達の群舞も素敵でした。
相変わらずの五階席で、天井近くの遠い場所からゆるゆると眺めていると、そこから見る舞台が小さくて綺麗な箱のように見えて、その可愛らしさについ頬がゆるみます。

あ~、可愛いなぁ~! こんな綺麗で可愛い箱が、おうちにもあったらいいのに~!

と、幼児化する私(笑)
だってねぇ~、お仕事から帰ったら、こ~んな箱があって、そこに棲む小人のような妖精さんたちが、「おかえり~!」のダンスをキラキラと踊ってくれたら、きっと癒されるよぉ~?
落ち込んでいる日なんか、「大丈夫だよぉ~」「元気出してね~」のダンスとかさ、もちろん群舞で見たいよね~。
そしたら絶対にニコニコしちゃうよ?

え?、それならDVDでも見てろって?
だめだめ! 小人さんたちは、やっぱり生きてなきゃ~!
なになに? 生きてる妖精さんは「綺麗な心」を食べて生きてるんだから、あたしの処じゃ駄目だって?
ちぇ~っ!! これでもちょっとはあると思ってるんだけど。綺麗な心だってさ~。

なぁ~んて、会話をしていた幕間の休憩時間(笑)

だけど、「綺麗な心? うそうそ!」と突っ込まれたのは、なんといっても、第一幕を観た私の感想のせいだったり。

だってね~、この日のアルブレヒトったら、「本気で恋に落ちて心底ジゼルを愛しく思っている」というわけでもなく、かと言って、「浮気心のほんのお遊びで、純情な乙女をたらし込んでしまいました」というプレイボーイふうでもない。
ただ、「王宮や貴族の間にはない、名もなき珍しい花を見つけたので、つい手折ってしまいました」という、そんな感じ。
彼は公爵の娘でバチルド姫という、りっぱな婚約者がいますが、この日のバチルド姫がなかなか素敵で、良い姫なんだわ!
って、いちいち登場する名に、「この日の」って付けるのもなんだけど(笑)
「アルブレヒトが本当にジゼルを愛していたのか、貴族の戯れだったのか」は、作品によって違うし、バチルド姫も嫉妬深くて性格のきつい女性か、それともこの日のバチルドのように、やきもちは焼くものの、どっちかというと、「自分という婚約者がありながら、純情で可憐なジゼルをだまして二股かけたアルブレヒトにショックを受けている」といった感じに見えたりと、いろいろあるわけで。
だから、あくまでも「この日に、私が思ったそれぞれのキャラ」の話になるわけね。

で、その「この日の」バチルダ姫が良い人そうなので、私は幕間に、
「アルブレヒトはさ~、ただ珍しいお花を触ってみただけで、摘んでもいない。ジゼルにはまだキスもしてないし、ましてやベッドに誘ってもないじゃない。だから、ただ体の弱いジゼルにやさしくしてあげただけで、浮気心なんてこれっぽっちもなかったって、そう言い張って、バチルダを騙し通して許してもらえばいいんだよ~! 」な~んて、言ってたわけよ。
そういうことを言う人の処には、どうやら妖精さんは来ないらしい(笑)

それにしてもよ!
ジゼルは実に純情可憐で、いたいけで、おまけに心臓も弱くて、いかにも儚げな少女。
これは、ジゼルの基本よね?
恋をして、「死ぬほど好き!」と思いつめても、なかなか本当には死なないものだけど、この少女に限っては恋した男性に婚約者がいたと知り、ショックのあまり死んでしまいます。
これがたったの一日の出来事なんだから、展開が早い、早い。
たとえアルブレヒト君が心底ジゼルに惚れていたとしても、ほんの何時間かの短い恋に、「ええ~っ!なんでいきなり死ぬの??」と、悲しみよりも、驚きや戸惑いのほうが大きかったんじゃないかと思う。
それよりも、気の毒なのは、ジゼルの幼馴染のヒラリオンで、お忍びで遊びに来たアルブレヒトが貴族だと暴いてみせたのは、そもそもジゼルを思い、恋心ゆえだったので、この人の嘆き悲しみはアルブレヒトよりもずっと深い。
ジゼルの墓に泣き崩れるヒラリオン。
その後に来たアルブレヒトの、花をたむけて死を悼むその姿とは温度差あり。

可哀想にね~。ジゼルがアルブレヒトに出会わなければ、そのうちジゼルはこのヒラリオンと結婚したかもしれないし、心臓が弱くてもヒラリオンにいたわってもらいながら、平凡にでも、もう少し長く幸せに暮らせたかもしれないのにね。
などと思ったり。
たとえ刹那であろうとも、真実の恋にであい、その情熱に命焦がしたいか。
それとも、大した恋心もない相手と平凡て安穏な日々を求めるか。
まあ、たいがいね、情熱的な恋の日々が「安穏に」何年も何十年も続くわけないんだから、どっちかしかないわけよ。だいいち、安穏な日々じゃ物語にならないし。

ところで、妖精ならぬ、この物語の森の精霊さん、ウィリ達が無理邪気で怖いです。
ってか、まず美しい!
純白のロマンティック・チュチュの裾がふわりと広がる姿も幻想的に美しく、ドゥ・ウィリも加えて総勢26名の群舞は夢のように素敵でした。

で、彼女たちは「結婚を前に処女のままに死んでしまった乙女の精霊」だから、男が珍しくて嬉しいのね(笑)
それで「人間を裏切った男を死ぬまで踊らせる」というのは予習済みだけど、あの哀れなヒラリオンまで死んじゃったのは可哀想。(もしかして、この男はうっかり足をすべらせて沼に落ちただけなのか??)

そこへいくと、アルブレヒト君なんかはウィリの美しい女王・ミルタを見る目がなんか嬉しそうだし、「この男、性懲りもなくまた新しい花に手を伸ばそうとしてるんじゃ?」と思えなくもないし、いっそのこと、そのまま踊り続けてあの世に行ってみたらいかがでしょうか?という気がしないでもない(笑)

そんなこんなで、アルブレヒトの命を助け、朝を迎えて消えていくジゼルは、別れの悲しみよりも「愛する人を守り通した」という満足感を感じたかな、私は。
ジゼルは病弱な少女なので、たぶんこの一件がなくても儚い命だったろうと思うけど、恋した相手に騙されたショックで死んでしまったままでは残念すぎる。
この恋は、たとえ短い時間ではあっても、「愛する人を守り通した」という結末がついて、それは他の誰でもなく、精霊の仲間に入れたジゼルにしかできないことだったのだから、恋の起承転結が美しく迎えられて良かったね! と、思う私であった。

それにしてもアルブレヒト君、これに懲りて、あと一年か二年くらいは浮気せずに大人しくしていられるかなぁ・・・。
無理、無理!
という気もするけれど、あのバチルダ姫には幸せになって欲しいな~。

というわけで、
やっぱりバレエを観ると、最後には、「まったく!男ってやつは~っ!」という感想にたどり着いちゃうのはいつものことよね(笑)


モーリス・ベジャール・バレエ団<Aプロ>

2013年03月03日 16時01分59秒 | バレエ/ダンス

モーリス・ベジャール・バレエ団<Aプロ>
2013/03/02 @東京文化会館
【出演】ジュリアン・ファヴロー 他
【芸術監督】ジル・ロマン
「ディオニソス」(組曲)
【振付】モーリス・ベジャール 【音楽】マノス・ハジダキス 【伝統音楽 美術】横尾忠則
「シンコペ」 
【振付】ジル・ロマン 【音楽】チェリ・オシュタテール&ジャン=ブリュノ・メイエ(シティ・パーカッション)
「ボレロ」 
【振付】モーリス・ベジャール 【音楽】モーリス・ラヴェル
※演奏は特別録音


バレエならば、つねづねぜひ一度は観てみたいと思っていたのが、「ボレロ」。
もともとラヴェルのボレロが大好きで、pp(ピアニシモ)の始まりから最後のff(フォルテシモ)までの高まり・・・あの高揚感には思わずぐっと前のめりになってしまいます。
(いや、もしかしたら楽譜にはffffくらいfが並んでいるのかも。)

…って、はいはい、劇場で「前のめり姿勢」はダメですね~。
でも、今回のお席は大丈夫!
友達が取ってくれたお席は五階の最前列。天井桟敷の一番前ではあるけれと、椅子の配置で後ろには誰もいません。
この場所は落ち着いて観られてすごくよかったな~!
それに、ほらね! ここみたいに、四階だろうが五階だろうが、劇場の作りによっては高さがあってもちっとも恐くないのよ。
ようするに傾斜の問題なのね。高所恐怖症じゃなくて、傾斜恐怖症かも。
子供の頃、家の階段の傾斜がきつくて、あの時に転げ落ちてお尻を打った記憶がトラウマになっていたりして

なんて話はともかくとして。
この舞台、三つの演目で終演まで二時間半とは、思ったよりも長くかかりました。
だって、ボレロが15分くらいでしょ? 二回の休憩が合計30分だとして、あとの二つ、「ディオニソス」と「シンコペ」はそんなに長いのか?? と、開演前には思ったものですが・・・・
体感時間としては、すごく短く感じられました。
どちらの演目がそれぞれ何分だったか計り忘れましたが、どちらも時間が短く感じられて、劇場内に二時間半もいた気がしません。
バレエに限って言えば、ということですが、私にとって体感時間が短く感じられる舞台はそれだけ面白かったということ。
このようなコンテンポラリー・ダンスは、物語を楽しむというより、ダンスそのもので表現されるものが感覚的に楽しめるかどうかなんですね。
それだけに好き好きが分かれてしまうのですが、感想を聞かれても、「なんかよく解んないけど、面白かった」に尽きてしまいます



「ディオニソス組曲」はまず、影の使い方が面白く、ライトの角度がそれぞれの役や場面に工夫されていました。
一人で踊っているその背にぴったりと張り付くような影を上のほうから見ていると、まるで二人が踊っているようにも見えます。
影ダンサーとのシンクロを見ているようです。
それにある場面では、舞台全体が淡く青いライトに照らされ、浮かび上がる影も濃い青となり、やはりそれがダンサーにぴったりと寄り添う姿に見えました。
この演出は私には珍しいものでした。

そして、何よりも男性の群舞がエネルギッシュで面白い!
ドレープのきいた独特の赤いパンツはヴェルサーチのデザインだとか。
女性ばかりも良いけれど、男性アンサンブルってパワーがあって好きなんですよね。
時々はこういうのが観たいです。

それというののも・・・・
なんていうか、演劇ばかりの物語を見ていると(って、だから実生活の話じゃなくて、舞台を見続けると)、時々男性全体が「集団として」嫌いになっちゃうのね(笑)
もちろん男性も女性と同じで、好きも嫌いも個々によりけりで、すごく好きな人もいるんだけど、物語ばかりを見ていると、世の中の大抵の諸悪の根源が男性特有の攻撃性や破壊性ありきで、他人を妬めば奪うし犯すし、殺害するし略奪するし、すぐに世を拗ねるし、・・・かと思えば、美女にはすぐに一目ぼれして舞い上がって甘やかして我を無くすし(笑)・・・という、そういうマイナスの面がこれでもかと続くので、時々うんざりしちゃうのね。
そりゃ~、女性の特質性にも悪いところはあるんだけど、世の中全体にしても個々にしても、もの凄く他者を不幸に陥れてしまうほどの力のある女性というのは珍しいから、そういう女性は特別であり、あくまでも個のレベルに見える。

と、話は脱線したけど(笑)
でも、たまにこういう男性ばかりの群舞だとか、男声ばかりの合唱などを聞いたりすると、「ああ、やっぱ男って好きだなぁ~」などと思う(爆)
男性の力強さ、そのエネルギーが集団で良い方向に向かっているときの、あの何ともいえない魅力は、やっぱり女性にはないものよね~!

そんなわけでして、最近そこはかとなく男嫌いになりそうだったのが、「やっぱり私は男が好きだ(女も好きだけど)」と確認できて良かったです。

って、なんだ、この感想は!
いや、それくらい魅力的な群舞だった、ってことで。



二幕目の「シンコペ」は、後で気がつきましたが、これはジャベさんじゃないのね。ジル・ロマン氏の振付でした。
ジル・ロマンさん、カテコで登場してくれましたが、むちゃくちゃ素敵なんですけど~
小柄ですけど、立っているだけでシルエットがよくて、繊細そうで、ほんと素敵!

なんて、我ながらこの女、いい加減にバレエに関してもっとましな事が言えないんですかね~?
え~、だって、バレエのいろはも知らずに、かと言ってお勉強もせずに、毎回ただ「ぼぉ~っと」観ているのが好きなんだもの。
まあ、でもいいのよ。難しいこと考えたり言ったり書いたりできなくても、ちゃんと右脳で感じているから。
(↑以上、いかにも多重な一人会話

で、「シンコペ」ですが。
フライヤーによると、
「シンコペーションという音楽用語でおなじみのこの言葉。医学用語では"卒倒、気絶"、あるいは"心臓停止"を意味します」
ということで、人間が意識喪失になったとき、(あるいは、死の間際?)に何を想像し、思い出すか、その瞬間に思いをめぐらせたという作品です。
それだけに、「よく解らないけど面白い」度が増していて、感動というのとはちょっと違うけれど、ユーモラスでもあり楽しかったです。



そして最後は「ボレロ」。

これが観られて本当に良かった!

観終わったあと、「もう一回やって! もう一回!」と、何度でも観たかったです。

これを踊ってくれた、ジュリアン・ファブローさんは「(ボレロの踊りは、毎回違って)同じであることは絶対にありません。」とインタビューで答えてましたが、これにはいくつもの解釈があり、ダンサーもそれぞれが自分の解釈や独自のヴァージョンを発展させながら踊るのだそうです。
モーリス・ベジャール氏は「死に向かうこと」と解釈していたようですが、これは観る者によってもそれぞれの解釈がありそうです。
私はむしろ「誕生」を感じ、胎内や出産を連想しました。
でも、命の高まりとして見るならば、やはりその終焉は死であり、「死に向かうこと」と言えるのでしょうね。

とにかく、息を飲み、思わず前かがみで、食い入るように観てしまいました。

ただ、ひとつ残念なのは演奏が生のオーケストラではなかったこと。
まあね~、何よりもバレエを観に行ったのだし、生オケで残念な目に合うよりは、ずっとこのほうが良いと言えなくもないですが。
でも、あのピアニシモのスネアドラムが、最後には空気を震わせて肌を震わせてくれるような、あの鳥肌の立つような生の演奏で聴けたなら、もっと凄かったかもしれません。
なんて、D席しか買えないくせに、贅沢言い過ぎかしら??

よし! 次にそういう機会があったら、今度は思い切ってC席を奮発しよう!(笑)





バレエ「オネーギン」

2012年10月06日 04時05分50秒 | バレエ/ダンス

【振付】ジョン・クランコ
【音楽】ピョートル・I・チャイコフスキー
【指揮】ワレリー・オブジャニコフ
【演奏】東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
【出演】オネーギン:エヴァン・マッキー / タチヤーナ:吉岡美佳
レンスキー:アレクサンドル・ザイツェフ / オリガ:小出領子 / グレーミン公爵:高岸直樹
ラーリナ夫人:矢島まい / 乳母:坂井直子

オネーギンは、おねーさんじゃありません。

という、おバカなことを、どーしても書きたいあたし(笑)
台風一過はわかっていても、なぜか毎年「台風一家」とわざと間違えたくてうずうずしちゃう。

バレエは半年に一回くらい、ゆるゆると観ればいいかな~? なんて思っていましたけど、数えてみたら、かれこれもう11本も観ているのね。
それで予習嫌いの私でも、流石にバレエは前もってストーリーを調べてから観なくちゃ駄目ってことがわかったので、この「オネーギン」も前日にネットであらすじを調べてみました。
そのあらすじの感想は、ひと言で言うと・・・

「この、オネーギンというお兄さんは・・・バカなの??

そして、実際にバレエを観終わった感想は、これもひと言で言えば・・・

「オネーギンは、ほんとうにバカすぎて気の毒

もう、これに尽きるわよ!

でもねぇ・・・人って、たいがい愚かなのよ。
「ああ、あの時、あんなことをしていなければ、人生は今と違うものであったのに」とか、「あの人の手を振り払っていなければ」とか、「もう少し思慮深かったら」・・・とかね、人生で一度もそんなふうに後悔したことのない人なんて、いるのかしら?
いるとしたら、そういう人はきっと強いのでしょうけど・・・


本ばかり読んでいて大人しい少女、タチアーナは、ある日突然あらわれた男性、オネーギンに恋をします。
夜になり、ラブレターを書きながら眠ってしまったタチアーナは、鏡の中から出てきたオネーギンと恋を語り合う夢を見ます。

この二人のバ・ド・ドゥが素敵! そして凄い!
オネーギンのエヴァン・マッキーさんは、ものすごく手足が長い!そして、いかにも力がありそう! 
な、だけじゃなく、高い技術があるのでしょうね。タチアーナをリフティングするのに、まるで羽をあしらってでもいるように軽々となさる。
この際、その場面を「持ち上げる」などという、どっこいしょ的な表現はあたりません。
そして、リフティングされるほうのタチアーナ役の吉岡美佳さんもまたお上手だってことですよね。
もちろん、リフティングばかりでなく、この振り付けはロマンチックで素敵でした~!

で、だからそのラブラブな場面はタチアーナの夢だったわけですが、現実はそうはいきません。
タチアーナはせっかく書いたラブレターをオネーギンからつき返されてしまいます。
それだけだったらまだしもよ! 冷たいオネーギンはそのラブレターをビリビリに破いちゃうんですよ、タチアーナの目の前で!
やな男でしょ~?  何もそこまでしなくたって良いのに。 

けれども、それから月日が経って、その鼻持ちならない男のオネーギンは、再会したタチアーナに恋してしまうんです。
その時、すでに遅し。タチアーナはもう人妻で、素敵な貴婦人となり幸せに暮しています。
いや、逆かな。
タチアーナが人妻だから、オネーギンは恋をしたのかも。
かつてタチアーナの妹オリガにちょっかいを出して、その婚約者を決闘で殺してしまったオネーギンは、もしかして、他人の女が良く見えてつい欲しくなる男なのかもね?
人から奪い取るものでないと、自ら掴む意欲かわかない・・・とか??

その決闘といい、横恋慕といい、オネーギンはほんとうに愚かな男だったけど・・・

なんだかねぇ…
こういう、駄目すぎる男を見ると、馬鹿だなぁと思ったり腹が立ったりしつつ、そのうち何だか気の毒になって、可愛そうになっちゃうのね。
私って案外とダメンズには弱いタイプだったりして

で、オネーギンはタチアーナに手紙を書きます。
その手紙のバ・ド・ドゥも見ものでしたね~!
懇願に哀願のオネーギン。
拒みながらも、つい揺れ動く女心のタチアーナ。

「どうか、私を哀れな男と思って・・・」
「いけませんわ、おやめになって・・・」

なんて台詞が聞こえてきそう(笑)(←昼メロなみの想像力)

でも、タチアーナは、揺れる心を断ち切って、最後にはオネーギンをきっぱりと振ります。
そりゃそうだ!
なにせ、このタチアーナの旦那様がとても素敵だもの!
互いに愛情深いこの夫婦のパ・ド・ドゥがまた素晴らしかったです!
たった数分間のダンスを見ただけで、この旦那様グレーミンが、どんなにか妻のタチアーナを愛しく可愛く思い、どんなにか深い愛情で彼女を温かく慈しみ包み込んでいるか、それがよ~くわかります。
こんな風に愛されている女が、他の男になびくわけがない。

そしてラストシーン。
タチアーナは、オネーギンの手紙を彼の目の前でビリビリに破き、「出て行って!」とドアを指差して終わります。
つまり、かつて自分のやったことを、そっくりと仕返しされてしまったオネーギン。

ああ、時間を何時に戻したら、人生を取り戻せるのか・・・
けれども、後悔してもどうにもならない。
思えば、オネーギンは、そもそも登場シーンからして、すかした男で気難しそうな奴だったわよ。
まあ、たぶん、彼の性格からして、ややこしい人生をこれからもずっと送り続けていくのだろうけれど、生きていればきっと良いこともあるわよ。たぶんね。

なんて、あまりに愚か過ぎる男がかわいそうで、つい同情したくなったのは、やっぱり私もまた愚かな女であるということか…?

それにしても、この振り付けは、どこもかしこも各シーンにぴったり。
群舞の、飛びながら走って回るシーンの、なんて可愛らしくて楽しかったこと!

ようやくバレエの振り付けの面白さも少しずつ解りかけてきて、この舞台、いつもより時間が経つのが早くてあっという間に感じられました。
期待以上に面白かったです!!


モンテカルロ・バレエ団 Aプロ 

2012年03月10日 17時36分49秒 | バレエ/ダンス

2012/03/06
モンテカルロ・バレエ団 Aプロ @東京文化会館
「シェエラザード」 振付:ジャン=クリストフ・マイヨー/音楽:ニコライ・A.リムスキー=コルサコフ
「ダフニスとクロエ」 振付:ジャン=クリストフ・マイヨー/音楽:モーリス・ラヴェル
「アルトロ・カント1」 振付:ジャン=クリストフ・マイヨー/音楽:クラウディオ・モンテヴェルディ

バレエに見る「めくるめく愛の饗宴」(シェラザード)だとか、「洗練された筆致で描く、愛と官能の神話的物語」(ダフニスとクロエ)だとか、「鋭い美意識に貫かれた緻密なダンス」(アルトロ・カント)とやらを観てまいりました。

って、そうかぁ~??
上記はいずれもチラシに書かれた煽り文句ですけど、これが本当にそうならば、私はバレエがつくづく解らない女なのね。
ってか、私の思う「官能」っていうのが、どうもちょっと違う気がする(笑)

これは大人が楽しむバレエだと思うので、小学生以下の子供にはとても見せられないようなセクシャルなシーンが満載でした。
が、「セクシャル」であることと「エロティック」であることは、同じようで微妙に違うよね?
官能的ならばエロティックのほうでなきゃ! とか私は思うんだけど。
だからやっぱ、私にとっては、そこにはロマンチシズムがあるかどうか?ってことで、まあだけど、「シェラザード」にしても「ダフニスとクロエ」にしても、舞台のあらすじからして官能的だかどうかは大いに疑わしい。
つまり、男女が絡むそのシーンが多いよね、ということなので、その部分をどう演出するかで随分と様子が変わる作品なんだろうな、と思いました。

それにしてもねぇ…、まあ良いんですけどね、そもそも私はバレエがよく解らないままに「ぼお~っと観ていたい」人なんで、踊りだとか演出に関してはどうこう言うつもりはありませんけど(言いたくても言えないし)、ましてや個々のダンサーさんたちへの評なども勿論書けませんけど、
あ、だからこんな感想記なんかを書くなよ! ってな話になるのかもしれないけど(笑)
ここまで、ただ「ぼぉ~っと観ていた」だけ、っていうのも珍しいかも。
もともとそういう姿勢で観たかったのだから、これはこれで良いんだけど、官能の舞台だなんて言うから少しは心揺れるものがあるかと期待していたら(笑)、そうでもなかったという、ただそれだけの話だったりしてね。
強いて言うならば、「ダフニスとクロエ」の舞台美術で、「あの巨大な男女の裸体画はそんなに見たくもなかったな~」とか、「オーケストラはやっぱり生で聞きたかった」とか、そんな感じかしら。

それで、この三つの作品の中でどれが一番良かったといえば、私は最後の「アルトロ・カント1」かな。
この作品は「両性具有がテーマに据えられている」とかで、パンツ姿の男女にスカートを穿いた男性が混じっていたりして、なかなかに珍しいものでした。
例によって四階席から観ていた私には、遠目だったので時々オペラグラスで「この人って、男なの?」と確認したほどに、スカート姿の男性は女性の動きで踊ります。
同じ振付でも、やっぱり男性の踊りと女性の踊りとは全然違うものなんですね。

だから、体つきは凄い筋肉質で、よく見れば男性そのものというダンサーでも、女性の踊りをすれば遠目ではどちらか判別しにくいほどに女性的です。
その男女が判別しがたく入り混じった群舞は、暗闇にロウソクの灯るような薄暗い舞台の上で効果的に浮かび上がり、どこか厳かな中にも倒錯的な美が感じられました。
これもね~、古典バレエを観たい人には向かないとは思うけど、まあ好き好きなんでしょうね~。
美意識は人それぞれに違いますから。
ましてや、それに性的なものが介在するならば、当然好みは分かれるだろうし。特に女性と男性では見方が全然違うのでしょうね。
だからこういうエンターテイメントでこういった題材を扱うのは難しいかもしれないな。とか、思ったり。

そういや、ミュージカルの世界ではゲイは度々登場するけど、両性具有で男女の性が交じり合ったような倒錯的な舞台があるのかどうかは知らないけれど、私は観たことがない。
それどころか、「官能的なミュージカル」っていうのもないよね?
って、べつに見たかないから、まあいいか(笑)


バレエ「こうもり」

2012年02月10日 00時42分02秒 | バレエ/ダンス

2012/02/07 新国立劇場
【振付】ローラン・プティ 【音楽】ヨハン・シュトラウスII世
【指揮】デヴィッド・ガルフォース 【管弦楽】東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
【出演】ベラ:ベゴーニャ・カオ / ヨハン:ロバート・テューズリー / ウルリック:八幡顕光
ギャルソン:マイレン・トレウバエフ 江本拓 福田圭吾 / フレンチカンカン:厚木三杏 西川貴子 堀口純 / チャルダッシュ:マイレン・トレウバエフ 川村真樹 長田佳世 寺田亜沙子 丸尾孝子 米沢唯 細田千晶
メイド:楠元郁子 / テノール:日浦眞矩 

たまにはバレエ。

バレエは三年くらい前からかな? 年に3本くらいのペースで観ていますが、相変わらずとバレエの何も解らぬままに、ただゆるゆると眺めているばかりの私です。
この、ゆるゆるさ加減が案外と楽しいのよね。
新国立劇場オペラハウスの四階最後列は、センターだったので見切りもなかったしチケットはお得だしで、そんな私には充分でした。

この舞台、あっちこっちと面白かったです~! 実にゆるゆる~っと楽しんで参りました。

倦怠期で妻に冷たい夫・ヨハン役のチューズリーさんは、去年の夏頃には「マノン」では最後にボロボロになってしまうほどに一途な恋に生きた青年役でしたけど、まあ~、今回は別人かと思ったわよ!(笑)
妻のベラが夫に愛されたくてあれこれとまとわりついたり、挑発したりするのには、すっかりとうんざりしていて冷たいのなんの。
すっかり秋風が吹いちゃっていたけれど、なんだか気難しそうな男よねぇ~?
…などと、思っていたら!!
この夫、夜な夜なこうもりの黒い羽根を広げ、カフェの女達と浮気遊びをするために飛んでいきます。
まじで飛んでます。ワイヤーで吊るされて(笑)
そのルンルンな様子があまりにゲンキンで面白い~!
「心が躍る」というけれど、ほんとうに踊っちゃっているわけだものね。
あんまり嬉し気なので、思わず「男って、馬鹿よね~!」って、なんだか憎めなくて笑えます。

そこで、その浮気亭主を取り戻したい良妻賢母の妻・ベラは、ヨハンの友人・ウルリックの助言である計画を実行します。
それは、「髪型や衣装を変えて別人に成りすまして夫の遊び場に乗り込み、夫ヨハンを誘惑する」というものでした。
冷たい夫から浮気男に一変したヨハン役のチューズリーも見ものだったけど、良妻賢母から艶やかな美女に変身するベラ役カオさんの鮮やかな変わりようも、本当に別人のようで流石でした。

え~っ、でもさ~、だからって! 五人も子どもを産ませた自分の女房の顔がわからないって、そんなの有りなの~?
あ~あ~、鼻の下すっかりのばしちゃって、あれだけ冷たくしていた妻を嬉々として追いかけ回しちゃって!、ヨハンよ、な~んて阿呆でオモロい奴なんだ?? 
な~んて、私は天井桟敷でゆるゆると笑って観てましたけど(笑)

そういや、たしか日本でも今昔物語に似たような話がありましたっけね?
お伊勢参りかなんかで、女房が道行く男に見初められ、言い寄ってきたその男の顔を見てみたら自分の夫だったという話。
その話はたしか、「自分の妻の顔もわからぬとはなんて馬鹿な男だ」と激怒した女房は男と別れたんじゃなかったっけ? 
古今東西、男ってやつは~(笑)

そんな脱線話はともかくとして…、私はヨハンの夜の遊び場であるカフェにいた女性陣の反応がすごく面白かったな。
突然現れた謎の美女(実はベラ)が、ヨハンたち男どもの注目を浴びるやいなや、他の女達はこぞって不機嫌で敵意むき出し。
「なぁ~に、あの女! あんな目立つ衣装着ちゃってさ。ちょっとばかり美人だからって、あの態度は何?? 今までみんなで楽しくやっていたのに、空気読みなさいよね~っ!」なんて言わんばかりの反応には、さらにゆるゆると笑えます。
なにせ徹底的に人ごとなので(笑)
こういうの見ていると、モテモテで一人勝ちして浮きまくる美女なんて、周囲の女性からは絶対に好かれないのがよく解ったりしてね。

そんなこんなで、最後まで自分の妻とは知らず妖艶な美女を追いかけて、すったもんだのあげくにヨハンは美女を逃すし、夜遊びもできなくなってしまいます。
ヨハンはこうもりの翼を鋏で切り落とされてしまったけれど、その代わりに家に戻ると元の貞淑な妻から家庭の象徴であるスリッパを履かせてもらって幕が降ります。
つまり、妻の作戦大勝利!というハッピーエンドです。

んん?
だけど…これって、本当に、本当の意味でハッピーエンドになるのかしら?
あのヨハンくんは、これで一時は妻のもとで落ち着くかもしれないけれど、ほとぼりが醒めたらきっとまたむくむくと浮気心が動いたりするんでないのかしら?

これってね、私が思うに、ベラはそのままで、昼間は倦怠期の夫に冷たくされながら、夜はずっと妖艶な美女のままに夫を騙し続けて、翻弄しているふりをして時々相手したりしてあげれば、なかなかそれはそれで楽しい情熱的な夜が過ごせて二人はお互いに楽しいと思うんだけど(笑)
「翼かスリッパか?」は「浮気か家庭か?」であり、良く言えば「自由か誠実か?」とか、まあそんなところなんだろうけれど、この夫婦に限っては、妻さえうまくやれば男は「翼とスリッパ」のどちらも持てると思う。
ベラ側も、別の視点で見るならば、「何度出会っても彼は同じ女性に恋するのよね」と思えなくもないし。
妻と愛人の一人二役って美味しいかも~?
…っていう結末のほうが私はよりハッピーエンドで楽しいと思うけど、世の淑女たち、特に奥様族には支持されないのかな?(笑)
やっぱり、浮気男にはぎゃふんと言わせたいですかね~?

まあ、それにしても、ヨハンの友人のウルリックってば、なぜベラに鋏をプレゼントしたのかが疑問だったけど……もしかしたらウルリックは妻がありながら夜は夜で他の女たちからモテモテのヨハンが実は同性として面白くなくて、彼こそがヨハンにぎゃふんと言わせたかったのかしら?

つまり、男も女もどっちにしても、一人だけでモテまくっていたら周囲からの好意は得られない。

…って、あれれ?  こんな感想でいいのか? 
と、誰に聞くわけでもないけれど(笑)

いや~、だけど、そういった喜劇の場面、ことごとくがバレエという台詞なしの、肉体だけの表現で全部わかるというのは凄いです。
カオさんとチューズリーさんのお二人も各シーンに見応えがあって良かったけれど、ウルリックの八幡さんのコミカルな動き、グランカフェの三人のギャルソンの踊りもカッコよくて楽しくて、私はバレエが解らないまでも、ここにきて益々とバレエを観るのが楽しくなってきました。
これからも、このままずっと初心者でいて、ゆるゆると「たまにはバレエ」を楽しみたいと思います。


バレエ「パゴダの王子」

2011年11月05日 01時03分30秒 | バレエ/ダンス

2011/10/30 新国立劇場
【振付】デヴィッド・ビントレー 【音楽】ベンジャミン・ブリテン 
【指揮】ポール・マーフィー 【管弦楽】 東京フィルハーモニー交響楽団
【装置・衣装デザイン】レイ・スミス
【出演】(さくら姫)小野絢子/(王子)福岡雄大/(皇后エピーヌ)湯川麻美子
(北の王)八幡顕光/(東の王)古川和則/(西の王)マイレン・トレウバエフ/(南の王)菅野英男/(皇帝)堀登/(宮廷官吏)厚地康雄/(道化)吉本泰久/ほか

「待ちに待ったビントレー芸術監督振付全幕新作!
世界初演、日英をつなぐ舞台が誕生」

ということで、この日が世界で初の出発。
どんな舞台だかわけもわからず行ってみたら……

どこもかしこも面白すぎ~! 
三階席から眺めていると、まるで絵本を見ているみたい。
魔法にかけられた飛び出す絵本が動き出し、ページをめくるごとに「ええ~っ!?」とわけのわからん世界に展開して(笑)、目を見張って見ているうちに、あれよあれよと終わって最後の一ページまで「そんなんありか~っ!」と面白く見られた作品でした。!

「何でもあり」なファンタジーですから、ここはどこ? いずれのおんとき?
っつーか、まったく!どーいうことよ? これはどこの星の何者なんだ!? 
でもって、この人はどーなのよ? これでいいのか? と、突っ込みし始めたら、それもまた楽しくって、半分以上がニヤニヤしながら観たバレエって、私は初めてかも(笑)

舞台上の奥はまるで浮世絵のような富士山っぽい山に、日の丸、いや、あれは満月か?
物語の設定は、どうやら、平安時代の日本っぽい。
直衣姿っぽい帝(みかど)に、その奥さんは十二単っぽい姿の継母・皇后エピーヌ。
あくまでも、「っぽい」。 
宮廷官吏や奥女中(?)たちが扇をひらひらさせてはバレエらしからぬ群舞を披露したかと思うと、出てきたのは継母エピーヌが姫のために招いたという、四人の求婚者たち。
その四人が、それぞれにどこぞの国の王子様…ならまだしも、王様だっていうから驚きよ!

それがまたとんでもないんだわ(笑)
たとえば東の王は赤い竜が全体にペイントされたような、全身タイツ姿で辮髪(べんぱつ)で土産に阿片を持ってくる。
西の王は星条旗のようなデザインの衣装で、プレゼントは銃。
南の王はこれもまたゼブラ模様の全身タイツに、象牙を携え、北の王は石油なのね。
こ、この、どこぞの国をイメージした彼らはまあ良いとして(??)、その東西南北の位置関係ってどうなの~?
そして、肝心のパゴダの王子はトカゲみたいなサラマンダーで、人でさえないのよね。

そんなわけだから、継母の招いた四人の求婚者たちに、きっぱりはっきり「NO!」と拒否った気の強いさくら姫は皇后に平手をぶちかまされ、やけになって(?)サラマンダーと手に手を取って(??)家出をしてしまいます。

っていうのが一幕。

二幕目から三幕はさらに面白い!
休憩時間で、私は友達に、「結局、あの四人の王たちは魔女の継母に食われちゃってんのよね?」なんて、なかば冗談で言っていたら、ほんとにそうなんだもの(笑)
四人の王たちは、さくら姫がサラマンダーと家出しちゃって振られてさぞ怒っているかと思いきや、それぞれに屋敷かなんかもらって、皇后とよろしくやっていて、あやしいのなんの。
でもって、娘に家出された帝はすっかりと落ち込みしょぼくれた爺さんになり、富士の山頂でたそがれる日々。

いっぽう、さくら姫はパゴダの国で冒険に継ぐ冒険。
そこでなぜかいちいちとお出ましになる継母の魔女と被り物の面白キャラたち!
皇后よ、あなたはタコだったのか! いやイカか? ん~、足の数を数えたらやっぱタコじゃん!
その大ダコに扮した皇后と、ユーモラスなタツノオトシゴのシーンは面白すぎ!
何に扮して登場しても、皇后エピーヌの存在感は凄かったです。
他にも二頭身の妖怪キャラ(?)だの何だのって、思わず何度もクスクスと笑いましたよ。

そして、サラマンダーの正体はいかに?? という、エピソードでは昔の幼き王子と姫の兄妹シーンが可愛かったわ~!
幼き日に失踪した王子が戻ってからの帝の快復振りも、あまりに、あまりに、すごすぎます(笑)
帝と王子と姫の三人が、孫悟空ばりの棒さばきで、皇后と四人の王をあれよあれよとやっつけてしまいます。
そ~れ~は~、どーなのぉ~~っっ??
王子じゃなくて、王なのよ? それも大国の。
も、もしかして、これが原因で彼の国は鎖国に入るんではなかろうか? などと、最後まで突っ込みするのも楽しい。

……って、

……え、え~と、これ、バレエなんですけど~(笑)

すみません、私、バレエについては、とんと初心者。
踊りの感想がくわしく書けないのは残念ですが、面白キャラの振付も、帝たちの立ち回りダンスも、最後のほうの王子や姫の踊りも、すべて目が離せなかったです。

古典バレエの通の方達からしたら賛否両論かもしれないけれど、要するに私はと~っても面白かったです!


ケネス・マクミラン振付「マノン」

2011年09月15日 00時42分45秒 | バレエ/ダンス

後が押しているので30分の制限時間つき感想記。

2011/08/27
小林紀子バレエシアター
ケネス・マクミラン振付「マノン」
新国立劇場オペラ劇場

マノンは享楽的で贅沢好きで、その時々の欲望にふらふらとするような、およそ誠実さの見えない女性。
どうしてこんな女が良いのか??? と、ハテナマークを三つ。
バレエとしては楽しめたけど、物語としては健気さもいじらしさも感じられないヒロインに感動のしどころがわからず。

そのわりに、フライヤーのあおり文句が凄い!

「君に出逢ったときから、このパリを、この絶望と現実を
飛び越えられると、僕は君以上に信じこんでいたのかもしれない」

それは思い込みだと思う。

「腕の中の君は、ふと僕を不安にさせる。
でも君の穏やかな表情の奥底には、
うわべではない真実の愛があるように思えるんだ」

宝石や毛皮に目がくらんで恋人を捨てるような女に、どうしてそこまで思えるのか??

よくわかんないっ!
確かにマノンは美しいけど…
百歩譲って、自分の欲望に正直で無邪気なところが愛おしい……とか??

気がついてみると、ラストでマノンに恋したデ・グリューは何もかも失ってポロポロ。
流刑の地で瀕死のマノンを抱きしめ、最後の最後までマノンを愛しぬいた男に明日はない。
そこまで思い込みの深かったデ・グリューに感動した。

あ、制限時間30分にしたのに、10分以内で終わっちゃった(笑)


マクミラン版「ロメオとジュリエット」新国立劇場

2011年06月27日 02時12分59秒 | バレエ/ダンス

6月26日(日)新国立劇場バレエ公演 《オペラパレス》
ジュリエット/リアン・ベンジャミン
ロメオ/セザール・モラレス
指揮/大井剛史  管弦楽/東京フィルハーモニー管弦楽団

やだぁ、もう~!
こんなものを私に薦めないでよ! って、言ったじゃないの。
いったい、どーしてくれるのよ?
だって、この舞台ね…、

かなり面白い!!

「もう私は手一杯なんだから、もうチケット増やせないんだから、バレエの道にまで引っ張り込むのはやめてよね~っ!」と言ったのに、でもこれは絶対に面白いから「ぜひ、ぜひ、ぜひ! 観て欲しい!」と友達に言われたのは、なんと半年前の去年の暮れの話よ。
バレエにはいろいろあれど、このマクミラン版のロミジュリは物語を楽しむ舞台でもあるから、きっと私に向いているだろう、って。
そこまで言われちゃ、しょうがない、「でも、その面白さが私にはわからないかもよ?」なんて、話していたら……はい、はい、はい! 面白いものは面白いのよね。わかった、わかりましたよ!
でもね、こんな面白いものを薦めるのはもうやめてよね! ほんとに手一杯なんだからさ~!
って、嬉しがりつつ、ぶつぶつ文句を言う私(笑)

二回の休憩時間の間は、友達にずっと
「あれは何のつもり?」「どうして…は…なの?」「あの人って何者?」……などと質問しまくりで、私は五歳児か?! ってなくらいバレエには疎い人だし、バレエのお約束ごとは知らないけれど、知らないなりに、ちゃんと伝わってくるものがあるのよね~。
バレエって、今まで「綺麗、美しい、優雅~!」とうっとり観ていたつもりだけど、だんだん薄っすらと面白さがわかってきたみたいで、ほんとに困っちゃう(笑)
このロミジュリは、「どこが?」と聞かれると初心者の私には説明しづらいけど、とにかく面白かったです。

そして、ここにもいました! サンバカトリオが(笑)
大事な友達を後ろから刺されちゃって、剣を取るロメオ。
うん、そうだね、あの三人一緒の楽しい日々を壊されたら逆上もするよね? なんて、いつもは「ロミオなんて、ただ短絡的なだけの男じゃないの?」なんて悪態ついている私もつい同情しちゃったのは、「風を結んで」の友情トリオに散々感動した後だからかも。
面白かったシーンはいろいろあったけど、突然やってきて号泣したジュリエットのママとか、モップみたいなムック隊長たちとか、はすっぱでアダっぽい街のお姉さんとか……このストーリーは知っていたはずだけど、「へぇ~、こんなんなってるんだ? と、いちいち目が離せなかったです。

それにしても、思えばジュリエットって、まだ十四歳だったのよね。
この悲劇の主人公たちの短絡さも、それを思えば痛々しいものがあるわよね。
十四歳だものなぁ…
この年頃の時の恋って、自分はどんなだったかしら? なんて、遠い目の私(笑)

でもって、あれやこれやと楽しんだあげく、最後には二人の恋人たちの死よりもなお、「パリスが可哀想。振られたあげくに殺されちゃうなんて、あんまりだわ~!」と、ジュリエットの婚約者のほうに同情しちゃうのって、どうなのよ?(笑)
だってね~、 舞台によっては嫌な男でもあるらしいパリスは、この舞台ではなかなかに爽やかで素敵な人だったんだもの。
ジュリエットはパリスに恋していたら、何も問題がなかったのにね。

世の中には異性が数え切れぬほどにたくさんいるっていうのに、「何が何でもこの人ではなければ駄目」というのは何故そうなってしまうのかしら?
人を好きになるのには大概理由があると思うけど、こんなふうに仮面をつけて顔がほとんど解らない相手にまで一目惚れをしてしまったのは、その仮面の奥の瞳のせいだったのか…はたまた運命だったのか……?

この話は、九月の東宝ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」の感想へと続く!
…のかどうかわからないけれど(笑)
肝心のダンスでは、ジュリエットが背面から飛び込むのを、まるで羽を胸に抱きとめるかようにふわりと支えるロメオくんに思わずうっとりしました。
フルオーケストラの音楽も心地よく、三階席から観ても充分に楽しめた舞台でした。


「SWAN LAKE」マシュー・ボーンの白鳥の湖

2010年06月27日 00時53分47秒 | バレエ/ダンス
「SWAN LAKE」マシュー・ボーンの白鳥の湖

チラシに「世界中が震撼した脅威のバレエ」と書いてあるこのマシュー・ボーンの「白鳥の湖」は普通のバレエのそれとは大きく違います。

なんたって、白鳥が男です。もちろん王子様も男性。
あ、王子の母親、王妃さまや王子のガールフレンドは女性ですよ。
だから全員が男というオールメールの舞台ではなくて、つまりその気(どの気?)
のテイストがあるわけ。
もっとも、今回の「SWAN LAKE」は想像していたほどにはその気(だから、どの気?)は私にはあまり感じられなかったし、白鳥は性別も生き物の種別としてもどこか超越した存在に見えました。
そのわけは、前に来日した時から随分と演出が変わったからだそうな。

ま、それはともかくとして。
古今東西、王子さまだの王族っていうのはほとんど幸せそうじゃないのよね。
この王子は、つまりエリザベートのルドルフ皇太子みたいな人です。
母親の愛情に飢えている孤独な王子さまなんですけどね、もういい加減に大人です。
それで、母親恋し…っていうのも、まだ幼いうちならともかく、あまり大きくなってから母親の愛に飢えすぎて必死に求めると…なんていうか、体が大きいだけにしがみついたりしているうちになんか妙な方向にいきそうで、ちょっと危険な愛の香りがプンプンと匂っている…という、そんな感じね。
それでまた、この王妃さまも王妃さまで、たぶん独身なんだろうけど、まだ充分に若く美しくて次々と若い男とよろしくやっているしで、母親ってよりは女だしで、そんなこんなの設定は元ネタの「白鳥の湖」とはもう全然別物です。
あ、もちろん音楽は例のチャイコフスキーの音楽ですけど。

つまりこの物語はまあ面白かったし、ダンスも素晴らしく(バレエを褒めるにはあまりに疎くてボキャ貧な私)、予備知識があったからチラシのうたい文句ほどには「震撼」はしなかったけど、とても貴重な舞台が観られて良かったと思います。

…なんて、あまりに突然すっ飛ばした感想にするのもなんだけどね(笑)

正直言って、この舞台の本当の感想といえば、この前書いた「私の頭の中の消しゴム」じゃないけれど、ラストで死んでしまったのはやっぱりある意味ハッピーエンドな気がしました。
白鳥も王子も、あんまり唐突に死んでしまったので驚いたけど。

なんかね、今までいろいろと舞台を観てきたけれど、つまり「永遠の愛」というのは、愛し合う二人共々か、またはどちらかが亡くなってしまうか、それとも「二人の愛はこれからが最高潮」みたいなその時点で、蛇の生殺しのように引き裂かれて離ればなれになってしまうかの、そのパターンでしか成立しないんじゃないかと思う今日この頃だわ。
なぜなら、愛そのものを壊してしまうのは結局当人たちだもの。
恋愛とは決して普遍ではないらしく、共に生きていれば何がしかの変化がある。
ところが、生き別れにしろ、死に別れにせよ、二人が離ればなれになるとしたら恋愛の想いだけは心に残り続けて、愛を壊すものが何もなくなるからいつまでも愛は続く…という、そういうことかもしれないな……。
もしくは、シラノみたいにずっと片思いとかね。
…というのはもちろん、私の勝手な感想で、この舞台とは直接関係ないです(笑)
だって、恋愛…つまり恋心の入った愛がいつまでも続く物語って、今まで見たことないし……って、あ、そうだ!「春琴」の二人と、「ヘアスプレー」のお父さんお母さんがいたか!
そうだった! いや~、よかった、よかった!、とりあえず(笑)

あとはね、王子の心の空洞を埋めた白鳥が、その逸脱ゆえに仲間の白鳥たちから攻撃されて殺されてしまったのは、衝撃といえば衝撃でした。
王宮で居場所がなくなった王子と、逸脱したがゆえに仲間から排除された白鳥。
死んでしまった白鳥が、やはり突然亡くなってしまった王子を抱いて、二人の世界に逝ってしまったラストは、悲しいというよりはやっぱり私には「ある意味で幸せ」に見えて、でもだから「これはもしかしたら淋しい王子の妄想かもしれないな」とも思いました。
「僕と同じように一人ぼっちで淋しい白鳥が迎えに来てくれて、僕だけのものになりました」…というような、ね。

なんていうか、素敵なバレエを観に行って、そのダンスの見事さや美しさにはもちろん魅せられたにせよ、結局物語を見て余計なことを考えちゃう私って、つくづくと、少なくともバレエに関しては「猫に小判」なのかも。

あ~あ、なんか、脈絡もなくだらだらと書いちゃった

「ドン・キホーテ」

2009年10月12日 21時13分07秒 | バレエ/ダンス
キトリ/スヴェトラーナ・ザハロワ、バジル/アンドレイ・ウヴァーロフ

最近私がバレエを観始めたのは単にマイミクさんの影響。
相変わらずその道には疎いので、「美しい~!」の一言に尽きます。

開演二時間前にうろうろしていたら、偶然に入り前のバジルに遭遇。
ちょっと離れて見ていたら、こっちに向かってニッコリしてくださったので
よく知りもしないのに「良い人だわ~、素敵かも~!」と思った私です。
それにしても、デカっ

このカップルは以前に「白鳥の湖」で見たマイミクさんお薦めのダイナミックコンビ。
とにかく大きいです!
大きいということは手足が長い!迫力あります。
三階席から見ていても主役がご登場となるとパァ~っ!と華があって目立つし、際立つ美しさです

で、踊りのほうは……だから、美しい~!の一言に尽きますが(笑)
こんなふうに、あちこちでバレエとかフィギュア・スケートなんかを広く薄く見ていると、薄いなりにもそれなりに目が肥えるらしいのよね~。
なので、この前見た「レ・ミゼ」の結婚式のシーンね、
あのワルツってなんじゃ~
あんなモタモタ踊られたらズッコけるんですけど
あれって、平民のワルツよね。
紳士淑女のたしなみとして優雅に踊る上流階級の方々のワルツでもなく、中流でさえもなくて、平民がその真似して晴れの日のために練習してみました…っていうような、
たどたどしいダンスに見えちゃうのって、ついこの前にもニューヨーク・シティ・バレエを観てしまったせいかしら?
特に男性のリードがぁっっっ!リードになってないしぃ~

でもでも、そんな余計な感想なんていらないのよ、レミは作品が良いんだからね。
だけど、だけど………
バレエよりもミュージカル・ファンの私としては大いに悩ましいところだわ。

「ニューヨーク・シティ・バレエ 2009 A Program」

2009年10月08日 21時16分32秒 | バレエ/ダンス
Program:セレナーデ/アゴン/チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ/
ウエストサイド・ストーリー組曲

チャイコフスキーのセレナーデを聴くと、ほぼ条件反射で某人材派遣会社のCMを思い出してしまうのは、テレビの罪よね?
この曲ですが↓
http://www.youtube.com/watch?v=nthiNI6wlX0

けれどもそのCMさえ思い出さなければ、この曲はひたすら美しく情感のある曲です。
バレエのことはよくわからないので、踊りのどこがどうとか言えないのは残念ですが、蜉蝣(カゲロウ)のように薄く軽やかな羽衣をまとったダンサー達は、さながら青白く輝く月の精霊のようでした。
これって、やっぱりストーリーを置いて振付けられているのよね?
そういうのも、私はわからないから。
どんな手振りが何を表現しているかとか、バレエにはそういったお約束とかあるでしょ?
でも、何もわからなくても、とにかく美しいです。自分の脳内で勝手にストーリーが沸き起こって、心に沁みて、涙ぐんでしまうくらい。
とにかくいいもの見させてもらったな~、という感想です。

で、この贅沢な舞台は私には「猫に小判」という気もするけれど、なぜ観に行ったかというと、「ウエスト・サイド・ストーリー組曲」がお目当てだったのよ

「ウエストサイド」といえば、四季のダンスでも私は「よく足が上がるわ~!」と感心したものだし、今年の夏に観たブロードウェイ版もさすが本場の迫力と思ったけど、バレエダンサーが踊ると跳躍は高いし、よく回るし(笑)迫力に美しさが増して、しかも面白い!
「あ、やっぱここで台詞を言うんだ~」とか、「うっしっし!歌ってるよ~」とかね(笑)
いや、決してヘンじゃないです
歌っていってもソロの大事な部分には歌手の方達がオケピにいらしたし、トニーのソロ「Something’s Coming」はさすがにあんなに激しく踊りながらじゃ口パクもしないで歌手に任せていましたけど、バレエ版オリジナルなダンスは見応えありました。
やっぱりウエストサイドは、バーンスタインの楽曲とダンスの二本柱があってこそ!
どんだけこの二つが作品の魅力を担っているかがつくづくわかったわ。
…にしても、この舞台はダンスを見せるための組曲だから、ストーリーの知らない人はあれだけじゃ話がわけワカメでしょうね。
トニーが人を刺してお先真っ暗…かと思ったら、死んだ二人がいつの間にか生き返ってみんなで踊ってメデタシみたいな(笑)
まあ、ニューヨーカーには基本中の基本みたいな物語なんだろうけど、分からない日本人には「カッコよかった、美しかった」で終わっちゃうのかしら?
もったいないな~。

とにかく!カッコ良くて美しくて見応えのある、面白いものを見せてもらいました
惜しむらくは、トニーとマリアの「Tonight」バ・ド・ドゥとかも見てみたかったわ(笑)

バレエ「白鳥の湖」

2009年05月23日 21時46分52秒 | バレエ/ダンス
新国立劇場へ、バレエ「白鳥の湖」を観に行ってきました。

バレエは去年の暮れに「シンデレラ」を見て以来二回目。
やっぱり基本は押さえとかなきゃね~!
それに、そもそもこの物語を詳しく知らなかったので、友達の「高橋大輔くんのはジークフリートじゃなくて、悪魔ロットバルトでしょう?」と言った意味も知りたかったし。
そして、よぉ~くわかりましたとも!

この日の王子様は大変美しく、手足が長く、とても大きな王子様でした。
オデットも手足の長いすらりとしたお姫さまなので、この二人が舞台に立つとそれだけで目立つ、目立つ!
実に見栄えのよいお二人でした。

例によってバレエのことはわかりませんけど、真っ直ぐに跳ぶ姫、それを支える王子。
このどちらも技量が高いからなんでしょうけど、まるで姫が自分で高く飛び上がって王子は手を添えているだけのように軽やかです。
着地も、床に着いたか着かないか?みたいにフワッと優雅で美しいの。
男は力よね~! 信頼よね~!

でね、「白鳥の湖」は結末が大きく分けて、オデットとジークフリートの二人が死んでしまう悲劇と、二人の愛が勝ち悪魔が滅びて幸せになるのと二通りあるそうですが、その二つのパターンも演出によって結末のシーンが微妙に違ったりするそうなんです。
昨日の悪魔ロットバルトは、ろくに王子と戦いもせずにあっけなく「あーれぇ~!」って感じでヨロヨロと倒れ、湖に落ちてしまいます。
これは、友達に言わせると、今日のキャストの場合、姫がロットバルトを「アンタなんか嫌い!!」と鋭い視線ビームを発して(笑)そのビームの強さにヤラレちゃったんだろうってわけだけど、まあその話は奥行きもあってなかなか面白かったんだけどね、
そこはほら、私は乙女な初心者なので(って、バレエに関してね)
「悪魔ロットバルトは王子と姫のラブラブな姿を見せつれられて、傷心で身も心も崩壊しちゃったのね~」って見ました

それにしてもね、「どっちみちほとんど例外なくバレエの王子様っておバカよね~っ!」
という話で盛り上がる私たちですが(笑)
私はさ~、この話って「ウィキッド」みたいに、悪魔ロットバルトの視点で「もうひとつの白鳥の湖」なんていう物語を作り直したら結構面白いんじゃないかと思ったりするわ。
ストーカーみたいな主人公かもしれないけど(笑) 話のひねり方や肉付け方で、ロットバルトの切ない悲劇が出来そうよ。
だって、ロットバルトは本当にオデットが好きなのよ。
なんかね、今日見たロットバルトの消滅の仕方って、あんまりだわ~!
…なぁ~んてつい、思ったのはね、
実は、大輔くんのってやっぱロットバルトじゃん!って思ったからなのよね(笑)
再起にかけて辛いリハビリや調整に耐えている彼の、あの素晴らしい「白鳥」を再び見たいと心から思いました。

バレエを観に行って、そういうオチになるとは思わなんだ(笑)

バレエ「シンデレラ」&バックステージ・ツアー

2008年12月21日 22時08分58秒 | バレエ/ダンス
新国立劇場バレエ公演「シンデレラ」を観にいってきました。

上品で上質キラキラの世界です。
バレエは初体験。友人が一押しの王子様を拝見してきました。

そういえば、今年はテレビでも舞台でも王子様をよく見かけたなぁ…
去年は何故だか一年中、背中に翼を背負った人をよく見かけたし(笑)
来年は二月におサルをたくさん見るのは決まっているから、きっとアニマル続きに違いないわね

で、バレエを観るのは初体験だったので、誰の踊りがどうだったかなんてわかるわけがない(笑)
美しい世界をただうっとりと見て、カテコではやっぱり「あの綺麗な舞台をガラスのケースに納めて飾っておきたい」と思ったのは、宝塚やスーパー歌舞伎を観に行ったときと同じで、毎度そんなことを思う私って、お幼稚なのかもね。

シンデレラが煌びやかなドレスを着て、王子様と華やかに踊るシーンは本当に素敵だったけど、灰かぶりの少女が舞踏会に行きたくて空想したり、また舞踏会から帰って醒めてしまった夢を思い出しながら、ほうきを王子様に見立ててひとりで踊るシーンが好きだわ。
とても可愛かったです。
あと、意地悪なお姉さん二人はいいキャラでした!
あのお姉さん達って、たぶん母親とアタマと顔が悪かったのが彼女達の不幸だったわけで、そんなに悪い人には見えないんだけど(笑)
その二人は男性が演じていて、わざと下手にコミカルな踊りをするのが楽しかったです。

まあ、それはそれとして。

今年、何度思ったことか…
「こんなところで運を使ってしまっていいのだろうか」
そう!当たりました! バックステージ・ツアーが。
6倍だか7倍だかで、いつもより倍率は低めだったそうですが、ラッキーでした。
これがねぇ~、なかなか面白かったのよ~!!
バレエを三階席のお安い席で観ときながら、一粒で二度美味しかった一日

上手下手の脇の小道具、間近に見るカボチャの馬車や大きなセット、表舞台と同じ広さの裏舞台だの、オケピの隠し技のアレコレ……どれも珍しくて面白いの。
アチコチに、指揮者や舞台を映すモニターや、客席をしっかり映すモニターまであって、そこで出演者が暇なときは客席を見ていることも…なんて、へぇ~っ!って感じ。
舞台から客席を見ると、新国立はオケピの幅があって距離があるにもかかわらず、お客さんの顔が案外よく見えるのも意外でした。

そして、そこで遠慮なくアレコレ質問しまくる私たち(笑)
だってね~、いろいろと聞いてみるものよね。
背景の幕は海外から買ったもので、使わない時はどこにどんなふうに仕舞っているとか、衣装は基本的に洗わないけれどインナーは裏にある洗濯機で洗っているとか、舞台の袖には冷却スプレーなどの他に頭痛薬もあったりとか…そんなちょっとしたことまで面白かったです。
劇場の人たちは、とっても親切に感じよく答えてくださいました。
バレエの舞台裏も面白いけれど、今度は好きなミュージカルのバックステージも見てみたくなりました。

さて、この「シンデレラ」をもちまして、今年の私の手持ちチケットは一枚もなくなりました。
思えば、今年は狂ったようにアチコチの舞台やライブに通った私。
本当ならその全部の感想を日記に書くつもりだったのに、忙しすぎてかなり取りこぼしたのは残念だわ

でも、そのうちの「人形の家」、つい最近観たソウル・オペラ「魔笛」、「ラカージュ・オ・フォール」、ダダ泣きした「AKURO」…ああ、それからフィギュアNHK杯夢の最前列!……そのあたりは、遅くなってもやっぱり感想をぜひ書いておきたいな。
あっきーの今年の集大成ライブ「SKIN」の感想はどうするつもりなんだろう……私。
一年前の「M!」みたいに、お正月に回想録で書いたりしてね。

う~ん、でもとりあえず、今年の舞台通いは全て終ったことだし、
十二時の鐘もとっくに鳴り終わり……年末だから大掃除でもするかな。
シンデレラもせっせとお掃除したから、良いことがあったのよね? 
え? そういうこと??(笑)