今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

回想録「モーツァルト!」2007/12/24中川晃教さん千秋楽

2010年03月23日 22時49分24秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
とうとう千秋楽です。

もうこれが最後と思うとどのシーンも愛おしくてなりません。
いちいち書くとキリがないので、こう言わせてください。
「M!ファンのあなた、あなたの好きなあのシーン、私も大好きですよ!!」

あっきーヴォルフは前日「哀しみのヴォルフガング」だったのに、この日はまたキレてます!キレまくってます!
お金の布袋を奪われて怒りまくり、シカネーダーがアドリブで「そんなに怒らなくてもぉ…」と言ったくらい。これにはウケました。

舞台も客席も熱気に溢れ、千秋楽にふさわしい雰囲気の中、
でも私はもうほとんどあっきーしか観ていません。
あっきーはどの場面も感情の赴くままに精一杯演じています、というか憑いてます!
「並の男じゃない」ではなかなか鳴り止まぬ拍手にショートストップ。
中川晃教さん、あなたは本当に並の男じゃない!
その長い拍手のため、直後に「ヴォルフガング…」と言わなきゃならない吉野さんのセリフがおかしなタイミングになり、そこでまた笑いが起きるほどでした。

でもねぇ、毎度思うのだけど……
きっと、というか絶対に、本当のヴォルフガングってこういう人じゃないですよね?
これはヴォルフガングとあっきーが合体した別の何者かなんだと思います。そして見事にそれが成功し、新たな天才を作り上げたとしか思えません。
その天才・中川ヴォルフは、この日も演技が変っていました。
それを相手にするhiroはちょっと可哀想だったかもしれません。

hiroはあっきーが作った(?)妙な間を埋めるためにセリフを二回言ってしまったり、ベッドの上で抱き合い慰めるはずがあっきーが向こう側の縁にいつまでもいるから、にじり寄って苦しい体勢になったりと、ベテラン女優さんなら対応できる変化に着いていくのも大変そうでした。そういえば、昨日抱きしめたシーンも、千秋楽ではあっきーがためらい…おい、どうすんだ?と思ったら…抱きしめないで出て行ってしまうという高度なすれ違い??ぶり
その戸惑いがコンスの戸惑いと重なって見えた私は、最後までhiro贔屓だったかも。 

最後のお席は一階O列センターブロックでした。
その辺りは名づけて“「もうあなたしか見えない」席”となっていました。
あっきーが出てくると、私を含めて周囲のほとんどがオペラグラスを覗いています。
もちろん、私は10倍レンズの双眼鏡。視界にはあっきーしか入りません。
でもいいんです。こう何度も何度も同じ舞台を観ていれば、誰がどんな演技をしているかだいたい分かります。いえ、たとえ分からなくてもあっきーしか目に入りません。
ピアノに向かう姿、真剣な表情が好きです。

お茶目な顔も、得意そうな顔も、苦悩の表情すら素敵に見えます。
もちろん、その歌声は伸びやかで、なんて気持ち良いのでしょう!
どの歌もそれぞれの趣。最終に向けて、息を呑むばかりです。


…………。
……ってなことで(笑)

いや~、終わっちゃったんですよ。
終わりのない舞台なんてありません。
それが心の中で生き続けるにせよ、幕は下ります。
あっきーなんて、次の山に昇る準備をしているって言うじゃありませんか。
私ももうここまで書いたし、次に行きますよ、次に!


* * * 

後記2010/3/23

そうです、次に行きましょう! 次に!
中川晃教さんの今後に期待します!!

回想録 「モーツァルト!」2007/12/23 中川晃教さん前楽」

2010年03月23日 22時47分18秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
「モーツァルト! 2007/12/23 中川晃教さん前楽」

前楽というからにはそれなりの盛り上がりを期待していたものの、20日に観てからたった三日しか経っていません。さほどの変化はないはず。
そう思っていたのに、この日のヴォルフガングは「怒りのヴォルフ」から「哀しみのヴォルフ」に変化していました。

お金の入った布袋を取られるシーン、ウェーバー夫妻に証文を書かされるところ、コンスタンツェに「帰ってくれ!」と怒鳴るところ……前回は切れて怒っていたのに、この日はどうしたことか口調も表情も哀しそうで苦しそうです。
ロウソクを吹き消すシーンは、ちょっとタイミングがズレたせいか、最後の一本までも自分で吹き消し、コンスを部屋に残して出てしまう前には前回は抱きしめなかったのに、今回はためらいがちに短く抱きしめます。それは言葉にすると「そんなに心配そうな顔をしないで」という感じ。
愛され必要とされたい、一緒にいたいと思うコンスを却って寂しくさせるような、その抱擁すらも哀しいです。

「並の男じゃない」はいつもよりもずっと力が入って元気で、得意そうで本当に「カッコ良かったよ!!」だったです!

回想録「モーツァルト!」2007/12/20夜

2010年03月23日 22時46分27秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
2007/12/20日夜。中川晃教ヴォルフ

この日は平日で、連日の残業を蹴り倒して帝劇に走りました。
チケットは前日にナビザで購入したもので、お席はA席。二階のF席一桁台です。
この席は名づけるならば“「私、来ちゃった」席”。
席の場所なんて、この際どこでもいいんです。この舞台が観られるならば…いえ、あっきーのヴォルフガングに会えるならば。

劇場に着いたときには既にオケのチューニングが始まっていました。間に合ってよかった!
私の隣も斜め前も空席。でも、やっぱりというか、その席の主たちは幕が開いてから到着しました。
この辺りの席は互いに急遽購入組とわかってますから、「すみません、すみません」と前を横切られても、ご同病の私達。
心の中で「やっぱりあなたも走ったのね。この舞台一回でも多く観たいその気持ちは一緒だわ」となぜか暖かい気持ちになるのでした。

この日、あっきーヴォルフはなんだか随分と怒りっぽいヴォルフガングです。
しかし、あっきーのヴォルフガングが怒っていると哀しくも見えます。
「なぜわかってくれないのか」「どうして思い通りにならないのか」その怒りの源はやはり哀しみから繋がっているのではないかとも思え、いっそう切なく見えるのです。
そして、驚いたことに市村パパが全くおふざけしません。
こんなM!を観たのは初めてかも。
ヴォルフのおでこを叩いても手を振るしぐさもしなければ、ひしっ!と抱き合った後にあっきーを抱えることもしなく、手帳の借金額を見て「わぁぉ~」も言いません。
そして、ヴォルフガングを愛し心配している様子は、当の息子が目の前にいるときは苛立ちに変り、見えないときは悲痛です。これは前からそうでしたが、まるで演技に益々深刻さを増すあっきーに合わせるかのように、とても重いです。
この日、ついに私はパパに感情移入しました。
愛したいのに伝わらない、傷つけてしまう。
それがわかっていても、なお愛の伝え方も導き方も息子の望むそれにならない苦しさ。
市村パパの力を込めた演技には胸がしめつけられるようでした。

そして、やたら怒りんぼうのあっきーヴォルフを見ていると、どうもこの人は常に発信型のせいか、愛を受け取るのに不器用な気がしてなりません。
「このままの僕を愛して欲しい」と飢餓に近いほどに愛を望みながらも、父の愛も妻の愛もしっかりと手にとれずに互いを寂しくしてしまう。
私がhiroの「ダンスはやめられない」であっきーの時だけ泣いてしまうのはそのせいかもしれません。

この日、あっきーはhiroを抱きしめもせずに一人残して街へ行ってしまう。
いつもは抱きしめるのに、その意外な行動に素のhiroがとまどったのか、それともあくまで演技なのか、一人取り残されてその心のすれ違いにべそをかいたようなhiroコンスがとても哀れに見えました。

自分と自分の音楽を見つめることに精一杯で、人生最後までもがき苦しんだヴォルフガング……。
自由を愛しながらも、常に自分自身の影に縛られて、それが何よりも己自身に不自由さと孤独をもたらしているかのようなヴォルフガングの姿に私は胸が打たれ、どうしようもなく切なくて……でも、夜の街を走って帝劇まで行ったのは心から正解だったと思いました。


東宝 モーツァルト! キャスト公式発表

2010年03月23日 22時22分06秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
東宝から今年の「モーツァルト!」の配役が公式発表されました。

私は井上芳雄さんと中川晃教さん二人のダブルキャストで観るこの舞台を楽しみにしていただけに、大変大変残念です。
新たにヴォルフガングを演じる役者さんには頑張って欲しいとは思いますが、再演、再々演のたびに役を練り上げた中川晃教さんのヴォルフ以上のものが、果たして見られるのでしょうか?


なんて、グダグダ言っても決まったものは仕方ない。

中川晃教さんの演じた「モーツァルト!」には、以前に感想を載せましたが、実はもっと書いていました。
なので、今年はもう中川さんのヴォルフについて書けないのは残念ですが、その残念さを込めてここに載せます。

次の記事から

「変身」

2010年03月14日 22時36分37秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
森山未來くんの身体能力、表現力は本当に素晴らしい!と改めて感嘆しました。
ここ数年見るたびに総合力が増して、役者さんとしてますます魅力的です。
コメディもシリアスも、リアルな演技もこなせば、非現実的な役もこなし、二の線も三の線もイケて、歌も年々上達しているし、しかも頭の回転が速いのでアドリブも気が利いて面白いです。
そして、何よりもダンサーだけあって、体の隅々まで神経が行き届いた、素晴らしい身のこなし!!。
特に今回の舞台は驚きました。

カフカの「変身」って有名な小説ですよね。
私はたしか、中学か高校の頃に読みました。
ある朝突然、巨大で醜悪な虫の姿になってしまう青年のお話です。
この虫の姿を、未來くんは被りものなしに、体ひとつの動きで見事に表現していました。
柔軟性もあれば、たぶんかなり筋力もあるのでしょうね。
不思議な体制でぶらぶらとパイプにぶら下がったりするので驚きます。

ほんとうに不気味な虫のようでした。
そして、その虫のような動きに加え、抑揚を下げた声音や表情に、むしろ一層と彼が被った不条理さを感じます。

そう、その原作を読んだ学生の時には、たしか私は「自分がある日突然こんな体になってしまったらどうしよう」とか考えたと思うんですよね。
でも、これを見ながら、この状況は案外と虫になった本人よりは家族のほうがいたたまれないんじゃないかと思いました。
学生の頃はともかくとして、もし今の私があんな姿になってしまったら……あのどうしようもない「見捨てられた思い」や孤独、今まで支えてきた家族に対する報われぬ想いとか、不条理な想いとか、……私だったら、すべて、いっそ「どうでもいいこと」にして正気を手放してしまいそう。
この際だから、心ゆくまで発狂すれば良いだけのことじゃん? なんて思わなくもないです。
破滅願望あったりして(笑)
いや、だって虫になっちゃったんだから。人間の心を持ちながら生きるほうが地獄よね? だから、いっそさっさと人の心を手放す…言い換えるなら…狂ってしまったほうが楽かと思う。
で、狂ってしまえばもう苦しみはないからいいわけよ。
あ、これはあくまでも「私なら」って話ね。
この未來くんの演じるグレゴールは人の心を持ちながら、徐々に虫の自分を受け入れている様なのが見ていて苦しいです。

でも、やっぱり何よりも、この家族の気持ちって複雑なのね。
母親は自分の産んだ可愛い息子…なのに…でも、気持ち悪い……でも、見捨てられない…でも、やっぱり見たくない……と、葛藤するし、
お兄ちゃんが大好きだった妹も、最初は虫の世話係みたいになりながら頑張っていたのに、働き疲れていくうちにだんだんとイライラして、とうとう「あれを始末してよ」と言いたくなるような状況に追い込まれます。

虫だから、あんなに気持ち悪い虫なんだから、あれは人じゃないんだから……
始末しよう。そしたら無かったことになる……
人ならともかく、今は虫だし、善悪など考えなくてもいいや……

……というふうに、思ったとして…
それは完全にそう思い込めるのか……?
無理やり思い込んでも、何かを背負うことはないのか……?

たとえば、もし「変身」してしまったのが自分の家族であったら??
自分がそうであったら??

そして、人は決してこのように虫にはなりません。
虫になってしまったら、人としての心を手放してしまえばいいかもしれないけど、人は虫になれないんです。


この舞台は、見終わってすぐに「感想は?」と聞かれても、何とも言えないし、何も考えられないようなところがあって、頭の中でまとまりがつかないのだけど、
たぶん、日を経るがごとに、何かの拍子にふと思い出して何かを感じてしまうような、そんな、じわじわとした作品だと思いました。


それにしても、去年に引き続き、今年もホワイトデーは劇場でしたね。
去年の「春琴」はかなり見応えありましたが、今年の「変身」もマイムを使っての動きの面白い演出で、じわじわと見応えある舞台でした。

「それぞれのコンサート 市村正親」

2010年03月11日 22時10分13秒 | ライブ/コンサート
出演:市村正親/指揮:塩田明弘/ゲスト:武田真治

【曲目】
・こいつはサーカス~空を行く(エビータ)
・金持ちの歌(屋根の上のヴァイオリン弾き)
・アメリカン・ドリーム(ミス・サイゴン)
・ありのままのわたし(ラ・カージュ・オー・フォール)
・ヘロデ王の歌(イエス・キリスト=スーパースター)
・オペラ座の怪人メドレー


ホリプロさんありがとう! ホリプロさん最高!! ホリプロさん万歳!!

…って、私はホリプロの回し者じゃありませんけど、ちょっと今日は言いたくなりました(笑)

選曲に、市村さんのこれまでの舞台人生にかける想いが感じられました。
私は四季時代の市村さんは知らないので、今日歌ってくださった中で実際に舞台で観たのは「屋根の上の」「ラ・カージュ」、「ミス・サイゴン」くらいかな。
今年は石井一孝さんの「蜘蛛女のキス」を観て感動しましたが、市村さんのモリーナもさぞかし良かったでしょうね。

市村さんはなんと!還暦だそうですが、さすがに毎日レッスンなさっているだけに若々しく、
コーラスラインのダンスも周りの若い人たちにピッタリと合っていて素敵です。
聞くところによると、鹿賀さんも今年60歳だとか。
役者さんに年齢は関係ありません!!
…とか言っても、指揮の塩ちゃんも「初めて会った頃は髪が黒かったよね」なんて、微妙に年齢ネタで笑わせてくれたりもしましたが、役者さんの良い意味での年輪を感じたステージでした。
「みにくいアヒルの子」や「スヌーピー」までも演じながら歌える幅の広さは流石です。
アヒルの子の声はほんとうに年齢なんか関係なく可愛かったもの。

特に素晴らしかったのは、「オペラ座の怪人」メドレーです。
幕が一旦降りて「え?もう終わり??」なんて、アンコールのつもりで拍手していたら再び幕が開き、その時はもう「オペラ座」の世界です。
舞台全体の照明を暗くして、蝋燭で縁取られた階段の中央に市村さんが立っていました。
顔にはライトを照らさずに、闇に浮かび上がるようなファントムは、シルエットだけでもその演技で怪人の心が見えるようでした。
市村ファントムの歌にはもうそれだけで涙が出てしまうのに、もし通しでこの舞台を観たらさぞかし感動ものだろうと、それを今では観られないことがとても残念です。

トークショーでも「ウエストサイド物語」や「コーラスライン」など、良い作品を四季が手放してくれれば他の役者さんたちでたくさん観られるのに…という話が出ましたが、それには客席も賛成の拍手です。
武田真治さんは「市村さんはオンとオフの切り替えが上手で、楽屋では優しくて楽しい。出会った頃からこんなオトナになりたいと思っていた」などと上手に先輩を立てていらっしゃいました。

ところで、この感想を書くのは二度目。
実は最初に書いたのがミスタッチでヘンなところを押したらしく、あっけなく消滅。
二度目に書くのって、どうしてもテンションが下がり気味で、ボリューム少な目になってしまうわね
ああ~、なんか脱力!
ステージはもちろん、大いに楽しみました。

鹿賀さんのも行きたかったのに、それを逃してしまったのが唯一残念です!!

自転車キンクリート「富士見町アパートメント」【Bプログラム】

2010年03月07日 00時43分19秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
友達に誘われて、木曜日に高円寺へ二本立ての舞台を観に行ってきました。
「自転車キンクリート」は初めてです。

「富士見町アパートメント」【Bプログラム】
『リバウンド』 作: 鄭義信 / 出演:平田敦子 池谷のぶえ 星野園美
『ポン助先生』 作: マキノノゾミ / 出演:黄川田将也 西尾まり 山路和弘

面白かったです。
『リバウンド』は、コーラスガール三人娘が、芸能生活20年を経て解散する話です。
そのメンバーの一人が、富士見アパートの一室で引越しのための片付けをしています。
ダンボールが積み上がりガランとした部屋で、寒々しいクリスマス・イブの三人だけのパーティー。
この三人にはいろいろと抱えるものがあります。
解散の元となった彼女は、老いてボケてしまった父親の介護のために、田舎へ帰らなければなりません。
その引越しの手伝いをする彼女は、20年前は「彼氏いない暦23年」と言っていたのに、今では次々とロクでもない男をとっかえひっかえし、現在は妻子持ちの男と不倫をしています。
途中で逃げるように部屋に入り込んだ彼女は、売れないミュージシャンの夫から暴力を振るわれ、心も体も触れ合わない空虚な夫婦生活の中で、それでも一人になれなくて、夫のところへ戻ろうとしています。

これはね、面白い劇だとは思うけど、「もうちょっと、かんべんしてください」と思わなくもありません。
だって、コーラスガールという珍しい職業でさえなければ、あっちこっちに転がっている話だもの。 「小さくなった父親を見捨てられない」とか、「恋もなく、ずっとひとりぼっちであるのと不倫とどっちがましか」とか、「愛情のないダメ男と別れて、一人になる勇気がない」とか……そんな話、どこにだってあって、私の周りにもこういう女たちがいそうです。
知り合いとか、知り合いの知り合いとか……。
だから今さら劇にして見せられなくても~、という感がなくもないです。
彼女たちがリアルだっただけにね。

いつまでも夢は見ていたいけれど、目の前に大きな現実というものがある。
その現実から逃れられなくて、「今」の最も譲れないものを優先させてどう生きていくかを考えながら、私たちはやはり夢ではなく現実を生きているわけです。
でも、やっぱり考えたくなぁ~~い、私としては!
せめて、舞台を観ている時間くらいはね。 舞台で夢を見ていたいタイプの私には、こういった「どこにもありそうな」現代劇はやるせないです。
面白かったけど、面白かっただけに。

あ~、そうそう、彼女たちは三人ともダイナミック・ボディーで、和製シュープリームスを目指していたみたいだったけど、それならもっと歌が上手だったら良かったな。
決して下手ではなかったけど。 なんか、「歌をやめてしまうなんて、すごーく惜しい!」というほどじゃなかったから、それだけに「現実を見て生きていこうね」な感じになってしまうのが、いっそうに寂しかったかも。


『ポン助先生』には、また別の面白さがありました。
セットは同じ富士見アパートメントですが、部屋の中は違います。
上京したての心新進マンガ家の仕事場です。
「その部屋は、この十年ヒット作に恵まれないマンガ家、“落ち目の巨匠山崎ポン助”の自宅と目と鼻の先だった――――」という設定ですが……

その落ち目のマンガ家役の山路和弘さんが、すごぉ~く!良い味を出してました!
山路さんって、どこかで何度か見ている役者さんだと思ったら、「MA」とか「宝塚ボーイズ」でしっかり見ていたじゃないの、私ったら! でも、あんまりその落ち目巨匠がハマっていて、まるで素のように自然すぎて、「こういうマンガ家さんって、いかにもいそうよね~?」というふうなので、すぐに思い出せなかったくらいです。
なんか、とんでもなく目茶苦茶な性格で、破天荒で、はた迷惑で、でも魅力的なお兄様です。
こういうヘンな男に惚れちゃいそう(笑) ってか、山路さん、好きかもぉ~?!
新進マンガ家の僕も、いかにもそこらにいそうな青年で、リアルに可愛い年下男でした。
ありそうで、なさそうで、ありそうな三人の、やっぱりありそうでなさそうなお話。
これはハッピーエンドでした。ほっとしたわ(笑)

やっぱり夢を見るべきところでは、それが良い夢であろうが悪夢であろうが、現実離れした夢を見なくちゃね! なんて思う私であった。

いや、だけど面白かったんだって!

いつか、どこかで

2010年03月03日 23時05分57秒 | いつかどこかで(雑記)
こんばんは、おおるりです。


あなたは何に興味があってここへ来てくださったのかな?

前から書き溜めたものを載せるだけ載せて、そのまま放置しているブログですが、
いつもの方も、初めましての方も、私の観劇記をご覧いただきまして
ありがとうございます。

改めて自分の書いたものをまとめて読んでみると、他の人はどう思うかわかりませんが
私は結構面白いです(笑)
なにせ、こうやって書いておくと、まるでアルバムをめくるようにその時々の舞台を思い出して楽しいです。

なので、
観劇記だけじゃなくて、コンサートやライブ、バレエ、映画、美術館の感想などもちらほらと載せてみました。

これをざっと見てみると、この数年はほとんどヤケのように遊びまくっていましたが(笑)
今年は観るものを絞っていきたいと思います。
…って言いながら、どんどん手持ちのチケットは増えていく。
決してお金持ちではないので(というか、典型的観劇貧乏)、老後は干からびる覚悟でございます(汗)

さて、今後の予定としましては…、

3月「変身」
3月「ヘンリー六世」
4月「サ・ビタ」
4月「薔薇とサムライ」
4月「ラスト・ファイブ・イヤーズ」
5月「2人の夫とわたしの事情」
5月中川晃教CONCERT2010「音楽が消えることのないDANCE FLOOR」
5月京劇「孫悟空vs孫悟空」
6月「キャンディード」
6月バレエ「白鳥の湖」
8月「キャンディード」(指揮・佐渡裕)

他には、夏の「タンビエット」は決まりです。
これはお薦め!
それから、地球ゴージャスは通います!

いつかどこかで、あなたと隣り合わせになるかもしれませんね。

観劇記はどれだけ書けるかどうか……、その時の次第ってことで。


もしよかったら、また遊びに来てくださいね。

あ、そうそう、
去年の終わりあたりから創作もやってます。
今は助走の段階で、上手く書くよりは心を脱ぐお稽古中です。
ご興味のある方は↓こちらにも遊びにいらしてくださいまし。
http://ameblo.jp/e20081/

では、どこかでお会いしましょう。


おおるり

「Garantido-生きた証-」

2010年03月02日 22時32分22秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
先週の土曜日に東京芸術劇場で「ガランチード」を観てきました。

久しぶりの超良席です!
私を見て演じて、私のために歌ってくれてる~♪
みたいな(笑)ど真ん中。
もうそれだけで良かったな~!な気分だけど、

だ~け~どっ!!

これね、まあこれからちょっとカマしますんで、
ネタバレ&辛口が苦手な方は読まないでね。
それじゃ酔狂なあなたは、十行後にお会いしましょう(笑)










この舞台、ミュージカルなんですけど…
始まってすぐに、「なんだろ、これ?」って。
例えばレ・ミゼみたいに台詞が全部歌ならともかく、
台詞と歌の混合の舞台な時は、感情が高まって言葉だけじゃ表せないから歌になる…とかね、歌とダンスがあって一層盛り上がる…とか、そーいうのならわかるんだけど。
「そこで歌いますか??」ってな場面で、台詞だけでいいのに歌になる。
ま、それは何もこれだけじゃない。ありがち…かな。
それにしても、そんな台詞まで歌にするのはどうよ?
しかも、ブラジルだからってなんでそこでサンバ調?
っつーか、むしろこのホンだったらストレートでいいんじゃない?
いや、だけどボサノバじゃなくて良かった!この時代はまだボサノバってないもんね~、とか、とか(笑)
まあなにせ歌える役者さん揃いだったからねぇ…歌わにゃ損!な感じはあるにはあるけど。

あ、そうそう。
肝心の物語ですけど、ブラジル移民一世や二世たちの敗戦直後のお話で、彼らのブラジルでの苦しい立場、過酷な生活、祖国への想いや敗戦の複雑な気持ちなど…そういうのを背景にして、なかなか深い…っていうか、重いテーマの物語です。
そして、実はそれは劇中劇で、現代のある劇団がその「ガランチード」という舞台を作るために合宿稽古をしています。
その中で、「仲間とは何か」と徐々に疑問を持ち始め、やがて役者たちは……と、まあ、そんなお話。

そんなこんなで、私のツボからは外れているわけです。
なんたって、民族アイデンティティの薄い時代に生まれたし、ずっと都会育ちなもんで故郷に対するイメージも自分になく、ゆえに郷愁というものがない私。
その上、育った家庭は良くも悪くも個人主義な家で、子どもといえども個人の意思は尊重される…が、責任は本人が取るのがお約束。
学校の校風までが自由闊達で、あれしろこれしろとは言われないけど、やることやらないと自分が困るからねーっ!みたいな。
だからって、集団意識がないわけじゃない。
いつもはバラバラでも、いざという時は団結して頑張る。
逆をいえば、いざという時以外はバラバラ(笑)
むしろそんなところを誇りに思うかも。

だから、「仲間とは何か、同胞とは、祖国とは」と問いかけられても、それは個人の集まりで、個人あっての集団だと私は思う。
なので、後半で聞いた「本当に自立した人間とは、自分の意思で集団の歯車のひとつとなるのだ」という台詞に一番共感したし、だからこそ、それぞれの意思が尊重されない集団というのは、決して良き集団に成り得ないのではないかと思います。
そう思える時代に暮らしていられるのはありがたいことよね。

あ、なんか話が斜めに逸れたかも。

で、この深いテーマに今ひとつグッとこないのは、
開拓移民のみんなが「辛かった、苦しかった」と言葉にして言ってるだけで、開拓の過酷な現実や、虐げられたその現場のシーンがほとんど省略されていたこと、
それから、現代の劇団員の不満にしても、一日中拘束される合宿の何が不自由でそれほど苦痛なのか具体的に共感できなかったことなのね。
なんで、その部分をもっと切実に見せなかったのかしら?

いやいや、それより何より!!

物語の終りのほうでですね、
いきなり、唐突に音がするんですよ。
「ガァーーーン!!」って。
ほんとに、効果音として「ガァーーーンっ!」って、今どき何?
…と、思ったら……、
坂ケンさんが「ええっ?! ボク死んでたの?」って。

これね~、もう私、ものぉ~すごく笑いのツボに入っちゃって(笑)
きゃ~っ!どうしよぉ~、笑うところじゃないのに吹き出しそう。
しかも、役者さんのまん前の席なのよ!
こみ上げる笑いを堪えるの悶絶状態。
しかも、坂元さんって、時々少年みたいなすごく可愛い声を出すでしょ?
その声で、お星様の真ん中で、ボク死んじゃってたの状態で歌われちゃったら、や~っぱ、もう可笑しくって~!
ホンが可笑しいのか…いや、やっぱり演出が可笑しすぎ。
がぁ~~んっ!!って、ギャグじゃないんだから。
後で友達に聞いたら、ちゃんと最初に伏線はあったらしいけど、私は気が着かなかったし…。

ごめん! ほんとうにごめんなさい! ここまで書いちゃって。
きっと他のお客さんは皆感動して泣いてたと思うわよ。
でも、頭オカシくて逸脱した私には、この舞台は最後の最後で面白すぎました。
そして、やっぱ吉野さんはステキでした。

いや、ほんとうに呆れたオンナでごめんなさいです。