あの浦井くんヘンリー六世のユルユルさを見習って(笑)
第一部 百年戦争
第二部 敗北と混乱
第三部 薔薇戦争
…と、まあ長い長い!
昼の11時から始まって夜の10時くらいまでだったかな。
ありがたいことに、話がだんだん面白くなって、第三部が一番面白いから観ていられたけど、時間的には限界よね~。
岡本健一さんのリチャード三世は好き嫌いがあるのかもしれないけれど
私はわりと好きだから、このまま「リチャード三世」三時間(?)に続いてくれても、それを観てみたいと思ったけど、さすがに日が変わってくれなきゃエコノミー症候群で倒れるかも。
お話は、有名なシェークスピアの物語。
ヘナ~っとした王さま、ヘンリー六世に気の強い嫁マーがレットが嫁いで、白薔薇だの赤薔薇だのと王位を巡って、ぐっちゃぐちゃに裏切りに寝返りがてんこ盛り。
古今東西、王家なんてあんまり幸せそうには見えないのに、なんであんなに王冠がほしいのかねぇ…。
そりゃまあ、貧困に喘いでいる下級層が富と栄光に憧れたり、少しでも明るい世の中にするために戦いたいっていうのはわかるけどさ、そうでない者たちがこぞって権力を得るために多くの血を流し、その結果不幸になるのが愚かしく悲しい。
そんな中で、浦井くんのヘンリー六世はなんとな~く浮世離れしているくらいにニヘラ~っとしていて、その寂しげな子どもが時折見せるような無邪気そうな微笑に、なんか癒される私(笑)
役者さんたちは、かなり凄いメンバーで、これぞ役者!みたいな、声が腹から出ていて見応えのある演技を繰り広げてくれたんだけど、その中では浦井くんひとり、そのニヘラ~っ!という浮遊感のある存在を貫き、その結果、最終的にはあのヘンリー六世がとても魅力的に見えたんだから、これはもうなかなかナイス!でした。
特に村井国夫さんと中嶋しゅうさんの二人の森番(木こり)とヘンリーの3人のシーンは好きだわ~。
だって、あんなに豪華な木こりってふつうないわよ!(笑)
その二人が、平民で訛ってたりしてね。
森をふらふらしているヘンリーに出くわしてのトークが笑えるんだわ。
私が王だというヘンリーに向かって、王冠がないではないかと言う。
ヘンリー六世は、その時は王位を簒奪されていたから実際には王じゃなかったかもしれないけれど「王冠は心の中にある」と言った台詞、あの浦井くんが言うから妙な力が入ってなくて、なんか、誰の心にもそうなんじゃないかって思いました。
で、その後で、浦井くんの癒しの微笑みがね~、ニヘラ~っと、ふわ~っとして、思わずこっちも微笑みたくなりました。
実際にはクスクス笑っちゃったけどね。
それに浦井ヘンリーはよく泣くんだわ。
きっと役に入ると悲しくなっちゃうのよね、あの状況じゃ。
わかるよ、わかる。だからね、涙…っていうよりお鼻ふいてチーンさせてあげるからこっちおいで~ とか言いたくなっちゃうの
私が大好きなソニンちゃんは、ことごとく憑きまくっていて、一部のジャンヌ・ダルクも良かったけど、二部のインチキっぽい占い師(巫女?イタコ?)の役が面白かったな~!
そのあと三部の皇太子エドワードなんかも、ソニンちゃんは台詞がない時でも繊細な少年の心が乗り移っているかのように、心が揺れていたりするのがよくわかる。
ソニンちゃん、好きだぁ~っ
マーガレットの中嶋朋子さんも気の強い乙女から気の強い王妃、気の強い母親へとの変貌(笑)がなかなか良かったです。
あの役を、来年は大竹しのぶさんが演じると思うと、どんだけ~!って感じで楽しみです。
長い劇の終りには、この前の「コースト・オブ・ユートピア」のように役者さん側から客席への拍手もあり、一日がかりの長い劇だからこその充実感込みで面白かったです。