今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

「紳士の恋」

2013年08月30日 02時28分50秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)

2013/08/28 @シアター2+1アトリエ・西荻窪
【原作】「ドン・ジュアン」モリエール作
【作・演出】伊藤イサム
【出演】俵 一/伊藤イサム/三浦和枝/宮ちあき/加藤友海/なるせこお/本島孝美/いさらい香奈子

「いつも
このニシオギの小さな空間で
劇場とも呼べない小さな空間で
お客様と夢を見たいのだ」
(伊藤イサム)


そう。
この小さな空間は、小劇場と呼ぶにももっとずっと小さくて、満席でも50人ほどしか入らなそうな、「芝居小屋」と呼びたくなるような空間です。
劇を観るからには劇場ですけど、「お芝居を観てきた」と、いつもしみじみ思うから。

その小さな空間、シアター2+1アトリエを訪れたのはちょうど二年ぶりです。一昨年はチェーホフ作の「かもめ」を原作にした「向日葵」という劇でした。
二年前は渡辺えりさんの「ゲゲゲのげ」を観た直後で、今年は「あかい壁の家」の直後。
なので、また同じ様に思ったのは、「私にとって難解な作品とは、ストーリー解釈とか、言葉の難しさではないのだな」という事でした。

登場人物が作者を代弁してことさらに何かを訴えたり、主張したり、気持ちを伝えることもなく、ただ誰かの人生を手渡すように見せてそのまま終わるという、こういった作品は、感想を書くのも難しいです。
難しい物語ではないのに、難しい。

これね、一人で見に行きましたが、こういう作品こそ、いつも(というか、時々?)一緒に舞台を観てくれる友達の感想を聞いてみたいわ。
「かもめ」と同様に、観終わったあとで、「で?」とか言いたくなる話だもの。
何も感じず想いもせず、というわけじゃないけれど、もやもやして形にならないこの気持ちを共有してもらいたかったりしてね(笑)

この物語の主人公、いさらい香奈子さんが演じたドノウエ ジュウアン(なんと、男役!)は、女ったらしで、恋愛を一時のゲームのようにしか思わない、実に不誠実な男です。
結婚なんて言葉も、そのゲームの道具にしかすぎません。
一人の女性を真剣に一生愛するなんて、そんな人生なんて詰まらなくて馬鹿げていると思っているような男。
確かに、こういったハンターにとっては、恋なんて成就するまでが面白くて、その先は詰まらないのでしょうね。
だけど、この男は、女性に対してだけじゃなくて、誰に対しても口先うまく人を丸め込むのがお得意で、言葉と本当に思っていることが裏腹の不誠実な男です。
そして神をも恐れぬ男は、最後には天罰が降りたかのように雷(いかずち)に打たれて死んでしまいます。
だからといってこの結末は、人に改心を説くような、そういったラストじゃないんですよねぇ・・・

やっぱ、改心できたら良かったよね? でもそうそうできないし、いつかそのうち出来ればいいけどね。
なんて思っているうちに、人生なんて意外な時点であっという間に終わっちゃうんだよね。

そんな結末。

この男は、幸せそうじゃなかった。
人とのかかわり方は、全て退屈しのぎに見えた。
不誠実で、ろくでなしで、生きる喜びとか充実感なんて、まるで無かったに違いない。

でも・・・

でも、まんざら詰まらない人生でもなかったのだろうな。
これが悪い人生だなんて、私に言う資格があるのかな?

なんて、いまだ消化できず、それだけに後をひく面白さがありました。

それにしても、いさらい香奈子さんが男役!
しかも、女ったらしの男!
女が演じる女の敵というのは面白かったです。
それから、脚本を書いて演出した伊藤イサムさん・・・この方は前に「オセロ」の役を演じた方ですよね?(と、誰に聞く)
この役者さん、好きだな~。
オセロもそうだけど、今回のチンピラといい、主人公の父親役といい、どの役柄を演じても上手いし、なんとも言えない魅力がありました。

こういう役者さんたちが、毎日どこかで幕を開けている。 
名も知れぬ小さな空間で、名も知れぬ観客らと共に夢を見ている。

このささやかなひと時は、本当に、ささやかで、ささやかすぎて、なんだか素敵だ。

このニシオギの、劇場とも言えない小さな空間で、共に夢が見られて良かったです。

またいつか。

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第45回サマージャズ(続き)

2013年08月26日 01時43分36秒 | ライブ/コンサート

げげ~っ!!
前の記事、いつもより気をつけてたはずなのに、何時にも増して誤字・脱字、文法上のちくはぐが多いのって、どーいうこと??
アップしてから、何度も直すなよ! 前にやれ!前に! ってな反省はすぐに忘れる

で、前の記事の続きね。

この日のあっきーの衣装は、珍しく一般受けしそうな、爽やか~で、華やか~で、いかにも「ミュージカル界の貴公子」のいでたち。
あっきーを初めて目にする年配の方々を驚かせるような、そんな斬新的すぎる衣装でなくて、なぜか胸をなでおろす私です(笑) 
スーツは後ろのほうに座っていた私にはライトの影響かオレンジ色に見えましたが、友達によると山吹色のような黄色だったそうで、袖の折り返しがやや薄い黄色になっているのもお洒落です。すそはロングでバランスも良く、全体的にとても素敵でした
髪は「あかい壁の家」の凡平と同じ様に見えましたが、この髪はソフトにパーマがかかっているのかな? ナチュラルな感じで、なかなかの好青年ぶりでした。

一曲目は「Lady Is A Tramp」を。
この曲は「劇場にいる素敵な女性を思い出して」歌ったそうですが、後で歌詞をネットで調べてみたら、なるほど、「She loves the theater(彼女は劇場を愛している)」という歌詞がありますね。
この「Tramp」という意味は、訳する人によって「あばずれ」とか、「放浪者」「一匹狼」とかいろいろですが、「自由に生きる人」という解釈もありそうです。
軽快な曲ですが、あっきーが歌うとやっぱりミュージカルのような華やかさがありました。
歌い終わって、あっきーは「とても緊張した」と言ってましたが、その緊張感も感じつつ、私はとても楽しかったです。

二曲目が「I Will Get Your Kiss」。
ファンには言わずと知れたデビュー曲。
それが「森 寿男とブルーコーツ」の皆さんによってのジャズ・バージョンです。
これは今まで様々なアレンジで聴いてきた歌ですが、ジャズのリズムが染込んでないあっきーにはハードル高し。あっきー、がんばれ~!と心の中で応援です(笑)
これもまた軽快なジャズのテイストが加わって、「想いを込めて最後には絶唱!」みたいな、いつもの歌い上げる感じではなかったですが、このコンサートならではの珍しいアレンジを楽しみました。

三曲目の「Mr.Bojangles」は、これは前に聴いたことがありましたっけ? ・・・のはずなんですが、覚えていません(エイジング?
なので、初めてのように聴きましたが、英語の歌詞がわからないまでも、「ミュージカル界の貴公子」らしくドラマチックに華やかな雰囲気で、ステップする姿もカッコよく、素敵なステージでした。

全体的な感想としては、やっぱり、あっきーは何を歌ってもあっきーで、それで正解!
舞台の合間をぬっての忙しい中、疲れているのではないかと心配もしましたが、大ベテランに混じり、若さいっぱいの元気で初々しいジャズを聴かせてもらって良かったです。

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第45回サマージャズ

2013年08月25日 23時32分40秒 | ライブ/コンサート

2013/08/24 @日比谷公会堂

【出演者】ザ・ビッグバンド・オブ・ローグス | ルイス・バジェ(tp)|チャリート(vo)|菊池太光(p)|杉本智和(b)|大槻KALTA英宣(ds)|中島あきは(as)|加納奈実(as)|纐纈雅代(as)|meg(vo)|今田勝(p)|スペシャル・ゲスト 北村英治(cl)|花岡詠二(cl)|谷口英治(cl)|白石幸司(cl)|鈴木孝二(cl)|鈴木直樹(cl)|高野猶幸(cl)|高浜和英(p)|山口雄三(b)|八城邦義(ds)|スペシャル・ゲスト マーサ三宅(vo)| 川嶋哲郎(ts)| 田窪寛之(p)|安田幸司(b)|長谷川ガク(ds)|スペシャル・ゲスト 寺井尚子(vl)| 森 寿男とブルーコーツ | スペシャル・ゲスト 中川晃教(vo)|司会 牧岩雅夫

前にどこかで、「あっきーが歌うと、演歌は演歌らしくなく、シャンソンはシャンソンらしくない」と書いたことがありましたが、「あっきーはジャズを歌ってもジャズらしくならないんだろ~な」と予測したのは当然のこと。
だって、そられの道(←って、どんな道?)・・・もとい!(笑)、それらの道を一筋に極めている方たちとは違うもの。
どのジャンルでも短期間で彼らと同じ様に歌えるような、そんな小器用さがもしあったならば、それは中川晃教の歌にはならないんじゃないかしら?

この日、ジャズのスピリットが魂に、ジャズのリズムは骨の髄にまでしみこんでいるような、そんなジャズのスペシャリストたちが集う祭典で、我らがあっきーが大先輩達の胸を借りてどのようなジャズを聴かせてくれるのか・・・興味津々!、とても楽しみにして行ってきました。



日比谷公会堂はなんと!1929年(昭和4年)に完成した建物だとか。
昭和の、それもごく初期の昭和の風情が残るレトロな建物で開催されたこのコンサートは、おそらく開館当時ではあり得ないような猛暑の中を、今年で45回目を迎えた今もなお変わらずにジャズを愛する聴衆が集まって、ホール内はいっぱいでした。

まずは「日本音楽ポピュラー音楽協会さん、ありがとう!」と言いたいです。
チラシの写真の位置といい、大きさといい、ブログの「アッキーファンの皆様へ」という記事のきめ細やかさ、気遣いといい、何よりも、ジャズには門外漢のあっきーを招いてくださったことに感謝したいです。
それから、あっきー本人のみならず、ファンの私達もまた暖かく迎えてくださったことにも。
本当に、破格の扱いをして頂いたと思います。

司会者の方が、「今日は中川晃教さん目当てで若い女性がたくさん来ていらっしゃいます」と言ってくださった時には、思わず「ごめんない」と言いたくなった私ですが(笑)、なるほど、私の席の右隣も前の席の男性もですが、会場内は私の親の世代の方々が多かったので、45年前に青春時代を過ごした往年のジャズ・ファンの方々から見れば、もしかして私などもまるで娘のように若く見えたかもしれません。

…って、
え~っと、、、何時になく大真面目に書こうとしておりましたが(笑)

それというのも、この後の飲み会で、友達から私の感想記に「推敲とかしているの?(してないでしょ?)」「何でいつも、意外な方向に脱線するの?」「実力で書きなよ~」などと言われまして(笑)

え~っ、やだもぉ~! 仕事じゃあるまいし、ほら、もう肩こっちゃう~っ!(笑)
実力なんか、ない、ない! 
あたしはね、酔っ払いながら、ぐだくだ~っと脱線話を書くのが好きなのよ~!! 

なので、いつもの調子に戻るけど(笑)

私はジャズについて、なんか上手いことが書けるほどにはジャズを知りません。
ジャズというと、ナベサダとか山下洋輔さんとか、テレビやラジオで耳にしたな~、というくらい。
それから、中島梓さん(栗本薫さん)がお好きだったので、梓さん絡みのコンサートでほんの少しだけ触れることができたかも? とか、その程度なのね。

それでも、マーサ三宅さんは流石だな~と思いました。
何というか、人生そのものがジャズなんじゃないかというような、その体全体から滲み出るようなジャズ。
私でも知っている「Summertime」には酔わせてもらいました。

7本のクラリネット軍団は、次々とリレー式に披露されたソロが楽しかったです!
それぞれの奏者の個性もあるし、音色も違いますが、「これは前の人のソロと変化をつける狙いかしら?」とか、飽きの来ない展開。
「私は特にこの人のソロが好き!」とか思うのは、何だろな~、なんて思いながら、もちろん、ソロだけでなく全員で合わせた音も堪能。

「川嶋哲郎カルテット」は、なんたって、スペシャルゲストのジャズヴァイオリニスト・寺井尚子さんとの演奏が圧巻!
世界のトップと言われる寺井さんのヴァイオリンには、ジャズファンならずとも、ぐっと身を乗り出したくなるほどにエキサイティングでした。

などと、あ~、プログラムの途中から書いているのは、途中から参加したからなのね。
ここの建物はレトロだけど、座席もレトロなので心しろ!と人に言われたので。
でも、考えてみれば、この前の代々木体育館のアリーナ席だってパイプ椅子で五時間だったものね。
そりゃ~、他の劇場に比べて幅も狭いし、座り心地も良いとはお世辞にも言えないけれど、私は案外と平気でした。
それに、休憩時間になる度に、司会者の方が「何も御用がなくとも、どうぞ立って体を伸ばしてきてください」などと、お気遣いくださるので、遠慮なく休憩時間ごとに席を立たせてもらいました。

と、長くなったので、あっきーの話は次回へ続きます。

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J-WAVE LIVE 2000+13 8/17

2013年08月18日 16時26分32秒 | ライブ/コンサート

2013年8月17日(土) 国立代々木競技場第一体育館
【出演者】※出演順
絢香 / 山崎まさよし / アンジェラ・アキ / KREVA / スガシカオ(スペシャルゲスト:井上陽水)/ JUJU

行って来ました、「J-WAVE LIVE 2000+13」!!
出演者たちがむちゃくちゃ豪華!!
どのステージもすごい盛り上がりでした!

まず、会場に着いたらパンフやチラシの入ったビニールの袋を渡されて、その中には団扇が入ってます。
それが↓この団扇。 あっ、手にしているのは私じゃなくて、仲良しのオネーサンですが 

この団扇が、ペンライト代わりに曲に合わせて会場全体で振られて、いつものライブとは様子が違い、いかにも夏のお祭り感ある賑やかさと楽しさがありました。

出演者のそれぞれのステージに心残るシーンはあり…たとえば、アンジェラ・アキさんと絢香さんお二人の迫力のデュエットとか、JUJUさんの素敵なジャズとか…書き出したらきりがありませんが、それぞれ7曲くらい歌ってくれて、楽しいMCを挟みながら、コール&レスポンスでオーディエンスと一体になったり、感動の熱唱で聴かせてくれたりと、とても聴き応えがありました。

で、私のお目当てはスガシカオとスペシャルゲストの井上陽水さん!
井上陽水さんといえば、ここ二年ほどかしら? 一度その歌声を生で聞いてみたくて、コンサートに行く計画を何度かを目論んでいたんですよ。それが、日程が合わなかったり、お出かけの予算もあるしで、なかなか実現できなくて、「もうこれ以上、出かけるライブを増やしても大変だし」と、最近はあきらめかけていたところ。
それが、思いもかけず、大好きなスガシカオとデュエットで陽水さんが聴けるだなんて!
シカオちゃん、ありがと~!
シカオちゃんは、高校時代の通学時に毎日聴いていたという陽水さんと共演ができて、「まじ、幸せっす!」と、夢が叶って本当に嬉しそうでしたが、私も、まじ嬉しかったです!

【セットリスト】

アイタイ
始まりの日
コノユビトマレ
Re:you
氷の世界
少年時代
Progress

「アイタイ」は、代々木体育館の大きなステージにふさわしく、スケールが大きくなっていて、この曲独特の妖しさの中に極彩色の色気と華やかさがありました。カッコいい!
続く三曲は、夏フェスらしく賑やかに盛り上がります。他のオーディエンス達と一緒に私も団扇を振って踊り、思わずいつものライブのようにコーラス部分を歌っちゃいました。

そして、「氷の世界」でいよいよ井上陽水さんがご登場となり、ハーモニカを吹き出したところで客席全体からの一層に大きな拍手と歓声が上がります。
どんな曲を選ぶかと興味津々でしたが、そうか!「氷の世界」でしたか!
シカオちゃんは、陽水さんに曲も歌詞も影響を受けているそうで、「でも、サングラスは別」と言ってましたけど(笑)、なるほど~、この曲を久しぶりに聴きましたが、確かに共通するものがありますよね。
情景に繊細な情感が練りこまれていて、どこか純文学の心理描写を思わせるような奥行きある歌詞はリアルでもあり、この二人に共通する魅力だと思います。
最初に陽水さんが歌い、「おお~!」となったところで、スガシカオが続く。
想像以上に「スガシカオらしい曲」に聴こえて、ぴったりでした!
「おお~っ!」に続く、「うわ~っ!」って感じ(笑)
陽水さんをリスペクトしている様子と、夢が叶った嬉しさも伝わってきて微笑ましいです。

「少年時代」では、「どんなテンポが良いですか?」と、質問したシカオちゃんに、陽水さんが「思い出になるテンポで」と言ったとか(笑)
この後で休憩時間に流された、スタジオからのアフター・インタビューも楽しくて、そこでシカオちゃんが、「ちょっと(テンポが)遅かったか?」というような事をちらっと言ってましたが、私は丁度良かったです。
陽水さんの夏の歌って、すごく良いですよね~。

最後の曲は、「この夏に届けたい」と言って「Progress 」を。
震災の直後にも全国に届けられたこの曲は、広い会場の隅々までに、そしてそこからも飛び出して、そこに来ることのできなかった人達にも届きそうな、何時にも増しての入魂の「Progress 」となり感動でした。

私は今年の8月は周囲との調整で夏休みを取りそこねてしまい、カレンダー通りの毎日を過ごしていますが、土曜日だったこのコンサートは、つかの間の、素敵な「夏休みの思い出」になりました。

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【講談】神田 紅「ねじれた記憶」

2013年08月14日 23時58分08秒 | 芸能/エンターテイメント

2013/08/13 @池袋演芸場
【原作】高橋克彦 「ねじれた記憶」(短編集「緋(あか)い記憶」より)
【出演】女流講談師 神田 紅

夏といえば怪談。
紅師匠の怪談話も、私の中ではすっかり夏の定番の楽しみとなりました。

怪談というと、「牡丹燈籠」や「四谷怪談」「皿屋敷」などの古典が特に有名ですが、これは珍しい現代物。
高橋克彦さんの短編集「緋い記憶」に収められた一編で、「ねじれた記憶」という作品です。

怖い…というよりは、不思議でなんとも言えない面白さ! そして、余韻がありました。

物語を始める前に、「この話は難解で、8割の人が理解できないらしい」という説明あり。
とは言え、SF小説やファンタジー好きの友人と私の二人には案外と分かりやすかったです。

でも、その後の打ち上げ会でお会いした女性は、この物語のメビウスの輪のような構造が最後まで分からなかった模様です。
それでも「とても面白かった」と、楽しんでらしたので、必ずしもわかる必要はないのかも?
なにせ、8割ですものね。

この物語のどこが難解で、どこが面白いかというと、最後に崖から突き落とされる運命の主人公の「私」と、突き落とす少年「僕」が実は同一人物で(つまり、自分に殺されてしまう話)、未来と過去が重なり、事象が事象を呼んでぐるぐると繋がっているところです。

処は岩手県の鄙びた温泉宿。
その宿に不思議な因縁を感じて泊まりに来た「私」と、そこで身を売る貧しい女性が出会います。
そして、「私」はお客としてではなく、男として女性を愛し、一夜を共に過ごします。
この女性には子供がいて、それが「僕」…つまり、過去の「私」なので、これは時空を超えた、思いもかけない近親相姦の話となるわけです。
その真実を知った女性は首をつって死んでしまい、少年の「僕」は母の顔も、その当時の記憶も忘れてしまいます。

小さな宿屋の、ひんやりとした暗い夜の廊下。
ぶらぶらと、ぶらさがった母の足。
海の断崖で、背中で少年の気配を感じながら、「その時」を待つ「私」。

…紅師匠の話には、語りの部分はもちろん、語られていない細かい情景も見えるようで、まるで映画を観るようでした。
講談って、すごい。
ここ数年は舞台のほうでも朗読劇が流行ですが、落語や講談に感じる魅力は、たった一人だけで、しかも座ったままなのに、人物や情景のすべてが、その文の行間すらも、「見えてしまう」こと。
そして、日本語の美しいリズムと抑揚の心地よさです。

それにしてもね~、
その怪談を聞くのはもちろんですが、その後の神田一門主催の打ち上げ会が楽しい!!
毎年お決まりの中華料理屋さんで、紅塾の生徒さんである友達の千紅さんと語り合い、しこたま紹興酒で酔っ払うのが楽しみで~!(笑)
今年は特に、紅師匠と作品の話やその周辺のお話ができたので、より一層に味わい深く余韻ある一夜となりました。
この物語の冒頭で印象あるシーン、福助のことや、少年の年齢、思い出を残す家族の写真のこと、「男性は母親が理想の女性かもしれないけれど、母親にとっても息子は理想の恋人かもしれない」……などなど。
どれも興味深く楽しい話で、紅さんの気さくで豊かなお人柄に触れることができて嬉しかったです。
来年もどんな怪談を聞かせてもらえるのか、一年先が楽しみになりました。

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いつかどこかで(47)「偶然?」「そう、たまたまや」

2013年08月12日 22時35分12秒 | いつかどこかで(雑記)

こんばんは、おおるりです。
いつもの方も、初めましての方も、私の感想記をご覧いただきましてありがとうございます。

タイトルの「偶然」と「たまたま」は、「あかい壁の家」でひっかかった言葉ですが。
誰の人生にも、本人にとっては驚くべき「偶然」だの「たまたま」に出くわすことって、きっと沢山あるんでしょうね。

そういえば、「ゲゲゲのげ」の時には、舞台が始まる前から、やたらカレーが食べたくなったり、期間中に白いベッドの上で点滴するはめになったりしましたが、そんなのは些細な偶然。

今回の「あかい壁の家」で言えば、私はこの舞台の数ヶ月前から耳鳴りが酷くって…
って、はいはい、それは偶然じゃなくて、きっとエイジングですけど(笑)
それと、ひと月ほど前からは、やけに「イライラするご婦人」が気になって、気になって、思わずツイッターでそんなエピソードを書いたりしましたけど、あんまり気になるので、いっそシリーズにしようかと思ったくらい。
というのも、やっぱり「たまたま」ですね。

本当はそれ以外に、ちょっと今は書けませんが、この舞台には私にとってはあまりに重要な「偶然」があったりして、いつか書ける時が来るのかどうかわかりませんが、それに関しては、本当に偶然でも、偶然でないとしても、何の意味があるのだろうかと、つい考えてしまいそうです。

でも、人の営みはきっと様々な偶然の重なりでできていて、その偶然が何らかの意味を持つとすれば、沢山の偶然の中から「何を自分が選択するか」、または、「偶然のその先の展開があるかどうか」なんだろうと思います。
どのような驚くべき偶然があったとしても、それっきりでは結局「たまたま」に起きたこと。
人生は奇跡に満ちているけれど、それも、「どう思うか、思わないか」「続きがあるかどうか」で、物語は面白くもあり、つまらなくもあり。

なんて、わけのわからない話ですみませんが、あっきーのファンをやっていると、時々今までにないような不思議なことが起きたりするんですよね。

その中でひとつ、これは二年前に日記にも「本当にあった嘘くさい話」というタイトルで書いたエピソードですが、ここにも書いておこうかしら。

二年前の2月、ということは、あの東北大震災の一ヶ月前に、コットンクラブであっきーのコンサートがあった時の話です。
私はそのころ携帯のバッテリーが著しく劣化していたのを、例によって「面倒くさいから」と放ったらかしにしていました。
そういう性格だもんね~(笑)
「そろそろバッテリーを換えなきゃ駄目かな?」と思ったのがその前の暮あたりですから、かるく三ヶ月間くらいはぐずぐずしていたことになるのかな。

で、そのコンサートの始まる寸前で、前日に充電していたにもかかわらず早くも携帯がバッテリー切れ寸前になりました。 これは電車の中で携帯でブログを読んだり、そのあとコットンクラブの入り口の写真を撮ったりしたためですが、たったそれだけで充電が切れるくらいにバッテリーが劣化していたんです。
でもまあ、コンサートが始まれば携帯は切るし、その後は家に帰るばかりなんで、携帯が使えなくなってすごく困るというわけでもないです。

でも……

その時、後から来たファン友達のNさんの顔を見たら、なんだか急に彼女に言わなきゃと思い、ダメモトで「携帯用の充電器なんか持ってない?」と聞きました。
そしたら大阪から遠征してきたNさんはこう言ったんですよね。

「私、いつもは充電器を持ち歩いてないんだけど、今日家を出る前になぜかあなたが充電器を貸してほしがるような気がして持ってきたの」

ちなみに、私は今まで誰かに充電器を貸してくれと言ったことはありません。
それに最近バッテリーがすぐ切れるなんて、Nさんに言った覚えもないんだけど…。

それで、その時は充電器を貸してもらい、でもすぐにコンサートは始まったし、実はその後に充電した携帯はあまり使用することもなかったので充電器を貸してもらった意味があまりなく、なんだかNさんには「荷物を増やしてもらって悪かったな」と思ったのでした。

そして、この話の嘘くさいことはまだ続く。

Nさんに何か妙なテレパシーを飛ばしちゃった感のある私は、今後は人様にご迷惑をかけてはいけないと、携帯のバッテリーを新しくすることにしました。
ソフトバンクに申し込むと、数日して新品のバッテリーが無料で郵送してくれるとのことで、それを申し込んだのが三月に入ってから。
そのバッテリーが送られてきたのが3月の10日。

そして、次の11日の朝、送られてきた携帯のバッテリーをまだ交換してなかったので、郵送された箱をそのままバッグに入れて私は通勤しました。
そして大震災。
運良く動いていたモノレールを使って家路に向かう途中で古いほうのバッテリーが切れたので新しいのに代えてみたら、新品の初期状態のバッテリーはフル充電されてなかったけれど、家に着くまでの間はなんとか保ち、おかげでバスの状況もわかり、友人たちがそれぞれに安否をつぶやいたりしているのも確認できました。
何より、携帯が使えるということに安心しました。


全ては「偶然」と「たまたま」の出来事。

次に何が起きるのか。

貴方にも、私にも、いつかどこかで、幸せな偶然が転がり込んで来たら良いですね。

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「あかい壁の家」(その五)東京前楽&千秋楽

2013年08月12日 00時25分20秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)

「後になって話してみると、何も考えてなくてさ、まるでバカなの」 
(「ゲゲゲのげ」より)


「あかい壁の家」東京千秋楽は、大盛況の中、大きな怪我もなく無事に幕が閉じられました。
おめでとうございます。
このあとの地方公演も、多くの人々を楽しませ、愛されながら、つつがなく大千秋楽を迎えられますようお祈りしています。

ということは、アンケートに書けば?ってな話よね(笑)

冒頭の「まるでバカなの」という台詞は、「ゲゲゲのげ」の千秋楽の感想でも使わせてもらったのですが、あの時私は、「抽象画を見る時のように」観れば良いと思いましたけど、今回は「コンテンポラリー・ダンスを見るように」観劇していたような気がします。
辻褄が合うか合わないかとか、何が何にどう繋がっているのだろうとか、ほとんど考えずに、その時々のシーンをただ「見たまま」に受け取り、どれが現実で何を意味しているのかとか、そういうことすら考えずに、見たままに笑いながら、見たままに感動し、楽しんでいました。
見たままに、聞いたままに。

特に初日は何も考えず、バカになって観ました。
それで良い舞台なんだと思います。
それでも、この舞台を観て、何も感じない人はいないと思うから。
細かいところや話の繋がりが分からない人も、この舞台の主軸になる想いは必ず届くだろうし。

それで、この前も書きましたが、初日には思わなかった(気づかなかった)ことですが、前楽を見て、やはりこれは全てが凡平の白昼夢、または妖精さんの見せた幻であり、言い変えるならば、いわば「心の旅」だったのだな、と思いました。
つまり、凡平以外の全ての登場人物は、この世の人じゃなかったんですよね。
なんで最初からそう思わなかったんだろう、私……って、だって、あっきーがあんまり素敵だったから(笑) この日はお席が持っていたチケットの中でも一番舞台に近かったし、すっかり呆けながら堪能しちゃって
でもまあ、そういう楽しみ方も有りってことで。

ところで、えりさんの想いが沢山のシーンでてんこ盛りだったこの舞台ですが、それだけに、観る側の私としても色々なことを思ったり、気になった言葉がたくさんありました。
それらの多くはごく個人的なことだったりするので、ちょっと舞台感想からはズレてしまうかも。
そんなこんなの話は、できればまた、細切れにでも番外編として「interval」に書きたいと思います。
役者さん達のことも書けたら良いんだけど…。

とにかく、東京千秋楽を終わってみれば、この舞台はいろんな意味で贅沢でした。
私はこの後は神戸の一回のみですが、最初から珍しく地方遠征を予定していたのは正解でした。
どんな風にまた進化しているのか、楽しみにその日を待ちたいと思います。

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「あかい壁の家」(その四)interval

2013年08月10日 02時37分04秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)

※「interval」=幕間、休憩時間

♪こ~れ~も有り あれも有り?
たぶん有り きっと有り!

古い! 
この替え歌の元歌がわかってしまった貴方は、まもなく耳鳴りがするかもよ? 

本多劇場の「あかい壁の家」はあと残りわずか。

劇場に行きた~い! 走りた~い!
と、むずむず、ジリジリとしていたこの三日間。

そろそろ行きます! ネタバレの嵐!
インターバル・・・幕間のおしゃべり的な、こぼれ感想。

ぶつ切りに行くよっ!

あ、そだ!

こえにこえする(声に恋する)のは、声フェチの私には基本なんだけど?
声は脊髄に響くもの~。
サロメだって最初はヨカナーンの声に恋したんだよ~?
でも、もしかして、面食いの人には理解不能なのかしら???

それぱともかく、人生最後の日に、恋人と抱き合って死ねるなんて悪くないと思う。
という私は、震災のあの時、「こんな会社の机の下なんかで、うっかり死んじゃったらごめんね」と、年老いた両親たちに胸の中で謝っていたことを思い出した。
いつもそうだ。
死を覚悟する時は、いつも誰かのために「あと少しだけ」生きていたいと思う。
それはわるくないと思う。最期にそう思える人がいることは、幸せなことかもしれないな。

誰かに想いを残すこと……

この「あかい壁の家」は、そもそも凡平が「出されなかった手紙を届けたい」と思い、歌い始めたところから始まった。
想いを届ける歌……その歌に多くの人の想い、思念が集まってきたとしたら……

どうだろう。

初日の夜、友達のひとりが、「凡平の姉ちゃんって、死んでいたのよね?」と言ったとき、
私は「え~っ? それはないでしょう?」なんて、言ったけど、
その友達は、「だって、姉ちゃんは青鬼なのよ。去っていって、二度と会えない人なのよ?」と言う。
その時は、「でも、お姉ちゃんは生きてる側でしょ」と言ったけど…
でも……

うん。
今は、それも有りだと思う。

そればかりか、全てのシーンは凡平の白昼夢で、「彼は現実にポンペイに行ったわけじゃない」というのも有りだと思う。
そういえば、「ゲゲゲのげ」の時も、全てはマキオの夢かもしれないと思ったことを思い出した。

その白昼夢を呼び寄せたのは、彼の歌。
心を届けたいと想う、その歌の力が、この世に残り漂うたくさんの人の気持ちを呼びよせて、……その気持ちの塊が「気」、エアリーの妖精さんになった。
この話は、妖精さんが、この世に残された、「誰かを想う」あらゆる気持ちをつないで見せた、全てが夢だったんだ。

…とかね。

あっきーだからこそ。

これも有り、あれも有り、たぶん有り、きっと有り。
正解なんて、ひとつじゃなくてもいい。

今、どう感じたか、よね?


前楽はどんなふうに見えるかな?

それにしても、面白いな~、えりさんは。

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「あかい壁の家」(その三)8/6ソワレ

2013年08月07日 03時30分47秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)

凄い!
この舞台、休演明けの一日目にして、ぐっと大きな変化を遂げていました!

正直言って、初日にラストで「え?ここで終わりなの?」と思ったあの戸惑いは、たぶん「まだ全てを伝えられた気がしない」といった、観る側としての不完全燃焼があったからなのだと思います。
ところが、今回は演出も…たぶん台詞も手直しされていて、(でなければ、前には私がちゃんと聞いてなかったのか?)、とても真っ直ぐに、作品に込められた想いを届けてもらったようで、最後には感動させてもらいました!

特に歌が全体的に進化していて、「なんちゃって」のところは、「なんちゃって」に面白く、そして途中からは全員から歌への本気を感じました!
初日の感想で辛口を書かせてもらった彼女…あの説明の歌詞が全てちゃんと聞きとれて、ぐらぐらしていたマイクも、あるべき距離でしっかりと握られていたし、アンサンブルはアンサンブルで、もともと声量のある役者さん達の声が全体的にしっかりと前に出て、「歌で想いを届けたい」という意思がこちらに感じられ、特に劇中劇のラストでの、その深い想いの大合唱には胸が熱くなりました。

こうこなくっちゃ!!

それを思うに、今更だけど、「初日で、ここまで到達していてくれたなら…」という気持ちは否めません。
もう十日間、いや、一週間ほども早く脚本が出来上がって、充分に稽古が練り上げられていたならば……

私は今はこうしてリピートできるから、こんな進化を贅沢に楽しめますが、そうじゃない人もたくさんいるし…というか、舞台って、一回しか観ない人のほうが多いと思うんですよね……
それなのに、この違いはいかがなものか。

…いや、これについては、もうこれ以上書くのは止めましょう。
舞台のクォリティの違いは、伝えるべきものがしっかりと届くかどうかの違いでもあるのだというのは、舞台の上に立つ人、創る人たちこそが、一番実感していることだろうと思うから。

本当はね、私はこういうことを書きたくないんですよ。
私は物語からごく個人的に、何を感じたか、想ったかを書きたい人なんで。
なので、批評や批判めいたことを書くのって、面白くもないし、嫌われるし(たぶん)で、我ながら「何様?」って、自分自身も嫌いになるので(すでに今、鬱々としてきたし)、できればもう二度と書きたくないんですけど……

って、愚痴を言っても仕方ない!


話を変えようっと!

え~とね、今日の舞台は、大センセイ(若松さん)のメークが凄すぎ!
元々頭に血糊があって怖いのに、今日のお顔のメークは、こわ~いっ! でもって、きも~い! …という迫力でした


あっきーは、ますます熱が増して、それぞれの歌にふさわしい歌い方で魅せてくれました。流石!
あのキラキラした面白メガネは劇中劇の冒頭でかけられず、「もう、うんざりだ!」と爆発して、ロック調に豹変する場面からに。
あのシーン、まじカッコいい!

姉ちゃんに突き飛ばされるシーンは、ハラハラの階段上ではなくて、平らな舞台の上に演出が変わってひと安心です。

台詞の変化は、たぶん、ラスト近くの、あっきーと緑魔子さんとのシーン。
これって、私が前に二度見た時に覚えてなかっただけなのかしら?
二人の会話がますます良いです!

それから、姉ちゃんの「泣いた赤鬼」の台詞も少し変わったようなんですけど……もしかして、これこそが私の覚え違いだったかも??

そして、これは最初からですが、馬渕英俚可さん、「ゲゲゲ」の時も良かったけど、今回も本当に良い!! 熱演です!
あの緑魔子さんとのやり取りや、劇中劇のシーン、思い出のシーン…どれも一層と胸に迫るシーンになってます。

あ、そうそう。
あの素敵な妖精さん(田根楽子さん)ね!(笑)
あの存在は、すごく重要な役どころだなぁ、と、改めて思ったり。
エアリー……つまり、「気」なのね? と、私なりにも解釈してみたり…

本当に色々なことが伝わってきた、このマイ三日目。
物語の感想は、こんなふうに大急ぎではとても書けないので、次回に続きます。

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「あかい壁の家」(その二)8/3ソワレ

2013年08月04日 17時03分06秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)

2013/08/03ソワレ 

このお芝居、好きだな~! 私は好きよ。
毎日観ても良いくらい!

とは言っても、そーもいかんとですよ。(←いったい何語?)
なので、今日は大人しく家にいますが、このあとまだ数回分のチケットが手元にあるのが嬉しくてしょうがないわ!
できることなら、もっと増やしたい~! 

この舞台の一番の魅力としては、あっきーファンとしては何といっても、やはり渡辺えりさんが「あて書き」してくれただけあって、あっきーの良いところや面白いところ、歌の魅力が堪能できる…、しかも、それが「笑いながら」…というのがミソ、ミソ、ミソ! で、そこが味噌!(笑)

けれども、それだけじゃない。
元々こういった多重構造であったり、時空が行き来する話って、私はすごく好きなのね。

その多重になったアチコチの時空の入り乱れ方が混沌としているので、「わかりやすい舞台」とは程遠いのは、まあこれは「良くも悪くも」であり、人によって好き嫌いが分かれるのかもしれないな。
…というのは、初日の感想ですけど、この土曜日のソワレでは、それなりにまとまっていて、というか、収まりが生じてきて、かなり全体のメッセージが受け取りやすくなっていたと私は思いました。

この「あかい壁の家」で行き来した時空の、あちらこちらで起きた出来事。
ポンペイの大噴火にしても、東北の大震災、津波にしても、そしてゲルニカであったり、戦時中の仙台の大空襲であったりと、その原因は違うのだから、全てを一緒くたにはできないにしても、少なくとも、それらによって「昨日まで続き、今日も、明日も続くと思っていた日常の日々が一瞬にして奪われ、命を奪われた民衆がいた」という点においては、同じだろうと思うんですよ。
まさかこんな日が来るとは思いもしなかったであろう、その恐怖と驚愕、無念さ口惜しさ、その瞬間の苦しみ……その民衆の残滓(ざんし)の想いと、それを想う遺された人の想いが重なって、あのように時空がつながったのかもしれません。

遠く、近く、全ては歴史となってしまう、その数知れぬ御霊(みたま)を想う、哀れみと慈しみに、惜別の痛み。
何よりも、愛する者を亡くした悲しみ。
そして、今日を生き、明日を生きる私達が、今まさに、ここにいるということ。
「この歌の続きがない」と言った凡平(あっきー)に言った、緑魔子さんの台詞には、今と明日を生きる凡平、そして私達への、その想いが込められているようでした。
亡くなった者と生きている者、すべての魂を抱いて、慈しみ、愛おしむそのメッセージは…たしか、劇中劇のミュージカル・シーン、…あっきーを真ん中に置き、アンサンブルが大劇場の舞台さながらに大合唱した場面で、殊更にはっきり伝えられたと思いました。

…って、一応まだ極力ネタバレしないように書いているんですけど(笑)
なので、個々の役者さん、というか、役どころや、心に引っかかる各シーンの感想については、いずれまた。

そうそう、前回の初日の感想で、「なんちゃって感」と書きましたけど、その「なんちゃって」なミュージカル・シーンね!
初日よりも上手になってました(笑)
なんて、「(笑)」は余計だと叱られそうですが。
これね、帝劇やシアター・オーブのような、大劇場でやるようなお芝居とは違うのね。
作品にはふさわしい箱があって、箱にはふさわしい作品があるよね? と、時々思うのだけど、それは、「どちらが優れているか」という問題ではなくて、作風と空間の問題じゃないかしら?
私は大劇場の舞台も好きだけど、小劇場のもわりと好きで、小劇場は基本的にどこかチープな香りが漂っていてほしい。
それは、言い換えると、小劇場には、大きな劇場のような、上流階級の…とまではいかなくても、高価なチケット代が出せるほどにはお金に余裕のある紳士や奥様やお嬢様方をターゲットにした娯楽や芸術作品、お祭り騒ぎの「晴れの日に老若男女が楽しむエンターテイメンとは別物の魅力があると思うから。
古本屋で買った小さな文庫本を開き、そのつかの間のひと時にこっそりと夢想して現実逃避を楽しんだり、人知れず涙を流したりナンセンスな笑いをもらすような、そういった狭くて濃ゆい楽しみ、中央や王道から外れた世界に、「好きな人は好きよね?」というような、マニュアックに入り込める魅力を、私はそこに求めているのだろうと思う。

だからね~、
特にあの劇中劇などは、あっきーはあくまでも大劇場の中央に主役として立つ人の、そのままのクォリティーで、そして周りのアンサンブルは、あくまでも「それらしく」頑張ってほしいです。
あの「なんちゃって感」を、ぜひとも大切にしてほしいわ。面白いから。
スタイリッシュで豪華な衣装を着ても、ペラペラにデコった衣装を身に着けていても、同じように大真面目にカッコよく、想いを込めて歌いあげるあっきーにクスクスと笑いながら、でも、いつしかその歌に(アンサンブルの歌も込みで) 感動している自分に驚いたり。
そんなところも、この舞台の楽しさだと思う。

ああ、次の予定は平日の夜。 始まったばかりというのに、すでに残りの日々が名残惜しくて愛おしい。
楽しみ、楽しみ!

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「あかい壁の家」(その一)初日

2013年08月02日 02時11分45秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)

2013/08/01@本多劇場
【作:演出】渡辺えり
【出演】中川晃教/高岡早紀/馬渕英俚可/稲荷卓央/土屋良太/田根楽子/若松武史/緑魔子/渡辺えり
石田恭子・瑚海みどり・佐藤友紀・原田菜奈・石山知佳・川口龍・奥山隆・小出奈央・大鶴美仁音・十倉彩子・藤本沙紀・宮島朋宏・金宮良枝・小倉卓・佐川守正・kiyoka・泉佑里奈・片桐レイメイ・栗山絵美・林田航平


はいはい、耳鳴りがするのはエイジング、つまり老化のせいですって??
そうねそうね、私も最近はそーいうことにしてんのよ。
それで手を打とうじゃないの!
どうせストレス説を取っても回復の見込みはないだろうし、別の理由だとしても病院に通うのも、もういい加減に面倒臭くってね~!
…な~んて思っている今日この頃。

「あかい壁の家」、初日を観に行ってきた!

で、時間が遅いので、さらっと箇条書き。

下北沢の本多劇場って、いまだ昭和の香りが残っていて、独特の空気があるよね?

そういや、二年前の夏、ケラの舞台を観ている時に具合が悪くて退場したよなぁ…
とか、思い出していたら、その時ご出演の古田新太さん発見。おおおっ! その甚平姿は目立ちました。

上演時間は休憩なしの二時間半。
この先、もうちょっと絞れるかな?

「ゲゲゲのげ」を観た人にとっては、この世界の時空の飛び方は比較的わかりやすいと思う。
何しろ、「辻褄合わなくてもいいか~」的な感覚で。

あっきーはチラシのような濃ゆいメークの怪しい人……ではなくて、普通の青年だった。
髪の色や髪型は、思ったよりもナチュラルに仕上がっていて素敵。

とにかく緑魔子さんが凄い! 彼女の台詞にいちいち惹きこまれる。

ミュージカル・シーンの「なんちゃって感」が面白くて笑える~。
が、説明歌詞の歌で、ところどころ聞き取れなくて説明になってない。
というのは、ご本人はわかっているかな? 練習期間が短かったせいか。

「なんちゃって感」といえば、タンゴのシーン、、チープでうらさびしいから下北沢らしくて好き。

いかにも本多劇場にふさわしい劇だと思う。 小劇場の舞台らしくて面白いと思う。
だけどさ~、本多劇場にスタオベって、違和感あると思うのは私だけ?

あっきーの作曲する曲って、最近こういう傾向だよね?
これは上演中に進化したりするのかな?
わくわく。

高岡早紀さん、この前観た映画と全然違うのね。 当たり前だけど。
やっぱ綺麗。
馬渕英俚可もさんも綺麗ね。

ちょっと、この席、怖かったんですけど。
ってか、私は昆虫?

休憩ないから、上演前にはトイレに行っておくべし!

あっきー頑張れ!

あっきー素敵!

でも、階段の上で姉ちゃんとのシーン。あっきーが落ちたらどうしよう、と心配しちゃう。
お願いだから、怪我しないでね。

と、初日は↑こういうノリで観ていた私。

だって、このあと何回も観るんだもん。 

よかったよ、とりあえず、よかった。
でも、今のところ、感動するっちゃ、やっぱり緑魔子さんだ!

その他はこれから、これから、よね?


しかし、ポンペイは予習する必要があったのか?
いや、しないよりは良いよね。
お陰であの簡単なセットでも、風景がちゃんと浮かんだもの。

次は土曜日。
というのは私のスケジュール。金曜の明日もやってます!

いいかげんに、もう、寝よっと!

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