今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

2008年の観劇記

2010年02月23日 22時08分08秒 | いつかどこかで(雑記)
いつもの方も、初めましての方も、私の観劇記をご覧いただきまして
ありがとうございます。

独断と偏見にみちみち溢れました(笑)観劇記ですが
「へぇ~!こんなふうに感じる人もいるんだぁ?」と、
ぜひ暖かい目で気楽にご覧いただけましたら嬉しいです。

感想は人それぞれで、「ひとつの正解」などは
決してないと私は思います。
あなたの感想と、どう違いますか? 
私と同じように思ったりもします?

もしかして、いつかどこかの劇場で、
あなたと私が隣り合わせに座ることもあるかもしれませんね。

ところで、2008年に観た舞台の観劇記も載せました。
日時は観劇記を書いた日で設定しました。

2007年のは近日公開です(笑)

では、今後ともよろしくお願いいたします。


おおるり


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「五月雨式~夜桜は散りたがった~」

2010年02月14日 01時41分58秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
劇団天然ポリエステル 旗揚げちゃった公演
「五月雨式~夜桜は散りたがった~」
脚本・演出/高原フヒト
塩塚玲、岡雄一、竹島由華、田老優雅、小島菜奈子、池田美友紀、菅原賢人、若松宏枝、大久保裕太、他

私の一番若い知人が、お仲間達と作り上げた劇団の旗揚げ公演です。
ここ数年、私は結構な数の舞台を観ていると思う。
だからって上から目線なつもりだったわけじゃないの。
でも、正直言って、いつもみたいに舞台で感動をもらおうとかは、最初あまり思っていませんでした。
「旗揚げのお祝いだから行かなくちゃ!」な、応援的な気持ちだったんです。
でも、ごめんね。私、間違っていました。
感動させていただきました。大きな嬉しい誤算でした。

いつも私が出掛けるのは比較的大きな劇場ばかり。
二階席があって、豪華なセット、豪華な衣装、有名な俳優さん、力のある俳優さん揃いのキャストで、名のある演出家さんが、大きなスポンサーを得て作り上げています。
でも、だからって、いつもいつも感動するとは限らない。
実際、年に数回ほどは観劇中に寝てしまったり、「なんだかなぁ~」と心の中で余計なことを考えたり、また、作品はともかくとして個々の俳優さんの力量のみで楽しませてもらったり…と、まあ、それは好みの問題は多々あるものの、大きな舞台だからって必ず心の琴線に触れるような作品ばかりを観ているとは限りません。
でも、今日の彼らの手作りの舞台を観たら、感動って、もっとこう、ほんとうは簡単なもので、ようは人の「心の琴線に届くかどうか」なんだと思いました。

このホンは好きです。
誰にもお薦めできるのかどうかなんて知りません。
つまり、私は「私好み」ならそれでいいのよ(笑)
だからこの脚本はよく出来ていると思います。

物語は現代から源氏物語へ一気にワープします。
冒頭は「俺はもてたい!」と叫ぶ青年あり(笑)
正直だ! 青年よ、それで良いのだよ。「もてたい」は男の生きるエネルギーだ!
だけどねぇ…なんで、もてたいの? なんて、わからないわけじゃないけど、
それでもてたら、どうだっていうの…? 
な、わけで、いきなりその青年は「源氏物語」の光の君になってしまいます。
女性達と次々と浮名を流した光の君は、それでも彼の寂しさは癒えず、ただひとりの女性…つまり亡き母の面影ばかりを追いかけています。

それでまあ、その光の君を取り巻いて、いろいろな存在が絡むわけなんですけどね、
…と、ストーリーなんか私は最初から書くつもりがないので、いきなり省略しちゃうんですけど(笑)これの下敷きとなる「源氏物語」には登場しない幻のような存在があったり、光の君の部下にあたる惟光がかなり私的ツボな人であったりして面白いです。
そして、人の悲しみ、恨みやつらみ…あらゆる心の痛みを受け止めて、枝をもがれるように傷を負う桜の木がある。
その桜の元にひっそりと咲いていたナズナの精と惟光の関係も興味深かったです。

最後のほうで、桜の木に向かって言う言葉に(うろ覚えなので正確ではありませんが)
もうそのように何もかも人の心を受け止めて傷つかなくても良い、あなたは美しいのだから、そこにいるだけで良い、それだけで美しい。…というような台詞がありました。
私はその場面で涙がこぼれました。
五十人も入れば一杯になるような、小さな芝居小屋で、若い俳優さんたちを間近に涙を流すのは恥ずかしかったのだけど、その涙は止められませんでした。

そう、桜は美しい。
でも、桜はあるがままに咲いているだけで、ほんとうはそれを美しいと思う人の心こそが美しいのでしょう。
それがテーマというわけではないけれど、そんなことを思いました。

呪子、呪代(ノロヨ)たちの「目に見えない存在」も良かったです。
この二人にも泣けました。寂しい魂は寂しい魂に取付くのね。
生きている人間達もそうかもしれないけど。

あんまり褒めてばかりいると嘘くさいので、強いて言わせてもらうなら、
惟光がラストのイイ所を持っていったのがナイス!だったので、
惟光がどうして光の君の孤独に寄り添おうとするのか、その辺りがもっと浮き上がって見えれば、より私好みになったかも。
あくまでも私好みってことで(笑)

とにかく、旗揚げしたばかりで、まだ未熟な部分はあるものの、良い舞台を見せてもらいました。
身内感覚のお世辞じゃなくて。
この演目は好きだから、今後もっと練ってもらって、いつかまた、できたら桜の季節に合わせて観させてもらえたら嬉しいです。
その時は、もうちょっとだけ衣装がそれらしくなるといいわね?(笑)

若者たちよ、期待してるよ! がんばれ~!!

というわけで、無名の彼らだけど、演出・キャストの名を最初に書いといたからね、
将来有名になっても、ちゃんと私を呼んでね(笑)
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「蜘蛛女のキス」

2010年02月13日 18時46分22秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
出演 石井一孝/ 金 志賢 / 浦井健治 / 初風 諄 / 今井朋彦 / 朝澄けい 他

「蜘蛛女のキス」

今年は私、某氏の出演する以外の舞台はリピートしない、って決めてるの。
なぜなら元々貧乏なのに、近年はそれに拍車がかかってる
あんまり自分を甘やかすのも大概にしろよ!と内なる声が聞こえる~

だけど…
この舞台はヤバイ!
一回観たら次も観たくなります。で、二回観たらきっと三回目も観たくなり、
三回観たら毎日観たくなりそう
そんなわけで、チケットはやっぱり一枚限りと決めといて良かったです。
蜘蛛の糸ならぬ、アリ地獄にハマってしまうものね。
睡眠不足のボケ頭を集中させて、ぐぐっ!と力込めて観るぞ!!…なぁ~んて、意気込まなくても、グイグイと自然に惹き込まれました。

この舞台の冒頭で、次の言葉が現れます。
「ちがうわ、ヴァレンティン。
 心配しないで。
 この夢は短いけれど、幸せの物語なのだから」

それをすっかり忘れて観ているうちに、一幕の終りあたりで
「これは随分と幸せな状態だなぁ」と思い、その言葉を思い出しました。

これは牢獄の中の物語。
主人公のモリーナは未成年に対する性犯罪で囚われた、映画好きのゲイです。
その牢獄の一室に、ボロボロに怪我をして意識を失った若き政治犯のヴァレンティンが入ってきます。

モリーナは刑務所内で辱められ、蔑まれながらも、ゲイであるゆえに
体を提供し、またスパイの役目を負わされることで、囚人としては多少の贅沢も許されています。

ああ、私はべつにストーリーを並べ立てて書く気はないので、
詳しい内容についてこれ以上は語りませんけどね(笑)
まあ、そんな、地獄の中のような物語なんですけど。

映画好きのモリーナは、その心の中で好きな映画を再現してみたり、
愛する母親のことを思い出してみたりして、つまり心を飛ばすことで
その夢の中に自分を置くことで自分自身を癒しているような人です。
だから、
この人は、私ととてもよく似ているような気がします(笑)
私は別に絶望的な状況ってわけでもないけど 
始終心を別世界に飛ばして遊ぶ…そんな観劇だとか読書を趣味にしているものね。

牢獄の中で、うっとりと映画の世界に浸るモリーナを、
幸せとみれば、このうえなく幸せ、
不幸とみれば、絶望的に不幸かもしれない。
でも、絶望の中だけでしか見ることのできない夢……基本的に幸福な人間には決して見ることはできないだろうという、特別な幸せの夢があるのではないか。
そんなことを思った舞台です。

ヴァレンティンは結局、モリーナを利用しようとし、そのために
偽りの心を混ぜて彼を抱いたのかもしれませんが、
それがなんだっていうのでしょう。
モリーナもスパイでした。
けれども、あの時、確かに二人の間には、つかの間の友情も愛情も芽生えていました。
モリーナが出所してしまうと「寂しい」と言った、ヴァレンティンのあの言葉、そして、「自分を貶めるな」とモリーナへ贈った、あの別れの言葉に嘘はありませんでした。
それが、すべてだと私は思います。

彼も好きだと言った映画の作品に二人で盛り上がった、あの時。
牢獄の中は、モリーナの夢の世界で輝いていました。
そして、毒を盛られて苦しむヴァレンティンを看病するモリーナの献身的な姿を見ていると、
たとえ蜜月の新婚さんですらも、このような濃密な二人きりの愛の時間を持つこともあまりないのではないかと、なんだか羨ましくさえも思いました。

ところで、私は蜘蛛が大っ嫌い!!
小さい頃から異常に嫌いで、
蜘蛛にくらべたらヘビなんかずっとマシよ!!
大きくなった頃には、蜘蛛よりももっとムカデやゲジゲジのほうがずっと気持ち悪し嫌いと気がついたけど、ようするに、足の多いものって嫌なのよね。
そんなわげで、子どもの頃には
「もし前世というものがあるとしたら、私は蜘蛛の糸にひっかかって死んじゃった羽虫か何かに違いない」とか思っていたくらいです。

その真相はともかくとして、
この舞台を観たら、蜘蛛の糸に絡められたような苦しい状態は、
どことなく甘やかなものが秘められているのではないか、
そんなふうにチラリと思わずにはいられませんでした。
絶望の中でじわじわと向かうのは、死。
まさしく「蜘蛛女のキス」です。
生きるのがあまりに苦しいと、死は甘やかな開放となるかもしれません。
愛する人のために死ねたモリーナは、ある意味、幸せだったのでしょう。
その幸せとは、「誰かのために」という自己満足によるものではなく、
その死に至ることに「悔やむ」ものがなかったという点で、私はそれを幸せだと感じます。

「悔やむな」
突然、どこからか、誰かの声が
私の胸の中で聞こえたような気がしました。

舞台が終り、カーテンコールで素に戻った役者さんたちの顔を見てさえも、
まだ心を引きずって涙が溢れて止まらないような、そんな舞台に出会うのは年に一度か二度くらいしかありません。
この舞台はそういう舞台でした。

石井一孝さんは素晴らしかったし、
浦井くんは、この前に観た役とは全く違った魅力があり、とても素敵でした。
オーロラ役の金志賢さんの歌も迫力があったし、
辻本知彦さんのダンスも見応えがあり、とても満足しました。

なにせ、平日平均睡眠時間4時間を切ってしまった私が、一睡もしなかったことが
この舞台へのハマリ度をあらわしていたと思います(笑)
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「東京月光魔曲」

2010年02月13日 18時46分02秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
「東京月光魔曲」

作・演出 ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出 演 瑛太、松雪泰子/橋本さとし/大倉孝二/犬山イヌコ/伊藤 蘭/山崎 一/ユースケ・サンタマリア 他

ケラは凄い!
いちばん凄惨な殺人現場に、シュールな笑を散りばめて
それが悪趣味の一歩手前でギリギリに踏みとどまっていたのは、
決して死者を冒涜していなかったからだと思います。
ふざけているわけではなく大真面目なのに、生きた人間のもつ客観的な現実、その視点に上手に笑いが加わって、もう私はツボに入って笑った、笑った

昭和のごく初めの物語。
細面で色白美人の姉と美青年の弟の秘められた生活、
着物の袂から白いシャツの袖を除かせ小さな卓台に原稿用紙を広げっぱなしの売れない小説家、
借金だらけの探偵と献身的な助手、
東京に憧れ風呂敷かついで上京してきた田舎者の兄弟、
娼婦の足を撫でるマゾで変態の復員兵、
ミルクホールと呼ばれたカフェーの女給、
美しい人妻と息子の妖しい関係、
浅草の劇場、
町なかの動物園から洩れてくる獣の遠吠えと、
気味の悪い爬虫類館から漂う静けさや生臭さ、
阿片の白い袋、
正体不明の怪人と謎多き連続殺人…

……裏通りには何かがいるよ……見えないところに誰かがいるよ……
大きな赤い月に照らされて、今夜も誰かが殺したよ……

竹久夢二や江戸川乱歩ー、谷崎潤一郎…そんな世界なのだけど……
私は「魔都」を思い出さずにはいられませんでした。
もしかして、ケラは栗本薫さんへのオマージュとしてこれを作ったのかと思ったほどです。
なんたって、ミルクホールの名前が「ペンギン」だって。
まあ真相はともかくとして、私は「魔都」や「天狼星」を重ねながら見て一層に面白かったです。

それにしてもケラはやっぱ好きです!
ケラだからこその笑いが、この世界独特の暗さや重さを払拭してくれるので、私はけっこう笑いながら観ました。

なにせ、シーンごとに役を変えて出てくる大倉孝二さんが面白いです!
ゆるゆる~に笑えます。
ほかの役者さん達も、みなさん良い味が出ていました。

チケットを買ってよかったな~! という舞台が、私の今年一番目で良かったです。
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