今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

「МA」凱旋公演

2007年04月15日 23時40分47秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
舞台「マリーアントワネット」は去年の11月と12月に観たのでこれが三回目。
本当は観るのどうしようかと思っていましたが、進化の様子を確かめたかったし、半額デーだったので行ってきました。

その結果……
感動しました!泣きました!
ああ、こんな日が来るとは思わなかった!…と言ったら、元々ファンだった方に怒られるかもしれないけど、去年の冷めた私は何だったのかと思うほどにこの舞台が気に入りました。
初期には見られなかったスタンディングオベーションも、一階席では八割ほど見られ、私もこの舞台で始めて立ち上がりました。

記憶力が悪いので、細かくどこがどんな風にとは説明できませんが、歌や台詞、演出が変わって分りやすくなったし、テーマが伝わったと思います。
一幕からうるうるでしたが、二幕の「ダン、ダダダーン」で涙がこぼれ、その後も……。
とどめにはラストのシーンで暗くなった後、役者さんがお辞儀をしに出てくるのですが、その時の石川禅さん、いや「ルイ16世」にダダ泣き(^_^;) 
アレって前もああしてましたっけ?
してたかもしれないけど、だったら前はともかく今日はそれが心に響くような舞台だったということですね。
また、ほとんど救いのない場面が多いのに、修道女アニエスと売春宿の女主人ラバン夫人の二人のソロに「希望」という言葉が入るのが印象的で、これもまた「前もこうだったっけ?」といちいち驚くのは、それだけ前の舞台に気持ちが入り込めてなかったせいかもしれません。

でもこの舞台、進化するほどに原作と離れていくだろうし、それしかないと思います。
小説の、あまり感情的ではない淡々とした描写やわりと客観的に語る人物像だとか品のよさとか、じわ~っとした感動だとかは小説ならではのもので、舞台にしてそれが感動できるかどうかは別物だし、まず作り手の伝えたいテーマが違う気がします。
原作ではなくて、原案でいいと思う。

特に前回なんと言っても不満だった「自由」を大声で歌い上げるラスト。
「なんでここで自由なのよ!」と、納得できなくて後味が悪かったのに、これが演出の違いで最後の言葉はやっぱり「自由」だけど、「恨みと憎しみを糧にして、流血を必要とした革命の後に、真の自由が訪れるのだろうか」と投げかけられているように感じました。
自由と平等、幸福を得るために、人は何度も流血を繰り返す……その愚かしさも。

マルグリットもアニエスも、原作とは全く違いますが、今回はさらに彼女達のキャラが色濃くなって、それがこの舞台で何を訴えたいのかを明確にしてくれます。
さらに、ここにきてフェルセンが今拓哉さんに変わりアントワネットに似合いの愛人となったことで、唯一原作に近かった井上フェルセンとは違い、敬愛や献身ではなく、アントワネットを一人の女性として愛しているように見え、多少生々しいとはいえ(^_^;) アントワネットをより生身の人間として感じさせてくれます。
彼女が恋人に見せる拗ねた仕草や焼きもちの場面は、相手が今フェルセンだからこそ自然で、これはやっぱり原作のような清らかな関係だとは誰も思わないでしょう(笑)
今フェルセンは良いと思います。

ただし、私の心が浮き立つことはないけど(^_^;)
もう、あのラベンダーの貴族服を着た麗しい立ち姿に心躍ることはないんだわ(;_;)シクシク

まあ、そのかわり…にはならないけど、鈴木オルレアン公が凄かったです。
彼が入ったことで格段に私好みの舞台になった気がします。
前回残念に思ったアンサンブルの使い方も良くなって、民衆の高ぶりも感じられたし、何度も見たせいかもしれないけど山口カリオストロも舞台の軸として違和感が無くなったと思うし……だけど、もうそんな細かいことどうでもいいじゃん!と思えるくらいに楽しみました。
コメント
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