今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

「ジョアンナ」

2010年10月27日 23時53分07秒 | 観劇(ストレートプレイ/人形劇)
脚本・演出:わかぎゑふ
出演:安寿ミラ/葛山信吾/宮本大誠/野田晋市/千田訓子/美津乃あわ/斉藤レイ/原川浩明/有馬自由


鉄は熱いうちに…と思っていたのに、やっぱり日にちが経ってしまったわ。

「ジョアンナ」は女性のサクセスストーリーと言えるのかもしれないけれど、
けれども、この主人公のジョアンナって女性は、その聡明さ故に運命に導かれるままに…といえば聞こえが良いけど、言わば成り行きまかせで女教皇にまで上り詰めてしまった感が否めない人よね。
宗教によって民衆を導きたいとか癒したいとか熱意を持っていたのでもなければ、野心があったのでもないわけ。
だから数々の辛苦を乗越えてやっとここまで来たぞ~! という達成感や爽快感はちょっと乏しかったです。
夢も目的もなかった先に転がり込んだ頂点って、昇り詰めたとしてもほとんど有り難味がないものなのね。

「一時的な」教皇の座を勝ち取るための弁論大会で、得意の弁舌で民衆から支持され勝ってしまったジョアンナは、それでちょっとした復讐も遂げて溜飲を下げただけで、その後は結局その座を捨ててしまい「普通の女性として、結婚して子どもを産み育てる人生を送りたい」と言って教会を去ってしまいます。
だけど、「人の本当の幸せとは、そのような凡庸な生活の中にこそあるのだ」…なぁ~んて、もっともらしい理由をわざわざ語ることもなく!(笑)、そこに行き着くジョアンナの心の動きはあっさりしすぎ。
「あっさり」といえば、ほのかな恋心に別れを告げるのも実にあっさり。
神に仕える人に恋焦がれてしまい…なんて、韓国ドラマのような切ない苦悩もありません(笑)
物語の冒頭からして、もっと哲学的な深い話になるのかと思ったけれどそれもなし。
復讐されたほうの側も、それになりに悔しかったかもしれないけれど、だからそれで?というような展開もなく、起承転結の「結」への持っていき方が物足りないくらいに、観ているほうも深く考えないで済むような、じつにあっさりとした娯楽感でした。

でもまあ、それでも女性の、しかも聡明な女の子のサクセスストーリーって、やっぱり私は基本的に面白いと思うし好きだわ。
いわゆる「良作」でラストは清らかだったし、大当たりはないもののハズレのない、いわゆる良家の子女向けの作品という感じがしました。

…う~ん、どうも感想がしまらない(笑)
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【2010年観劇・その他】 リスト※11/28更新

2010年10月20日 22時36分06秒 | 【観劇・ライブ・その他】リスト

【2010年観劇・その他】

1月 6日「東京月光魔曲」
1月16日「イングリッシュ・サムライ」
1月20日原田真二&中川晃教 名古屋ブルーノート
1月23日講談
1月30日「蜘蛛女のキス」

2月 7日「Tea4 Every1」中川晃教
2月13日「五月雨式~夜桜は散りたがった~」
2月21日「中川晃教&塩田明弘」
2月25日ポピュラーウィーク 中川晃教
2月27日「ガランチード 生きた証」

3月11日「それぞれのコンサート」
3月13日「中川晃教MEETS青山学院コンサート」
3月14日「変身」
3月20日「コウケンテツ×中川晃教 生きるレシピ」
3月21日「ヘンリー六世」

4月 4日「サ・ビタ」
4月 8日原田真二「Spring Live Tour “Goodbye Tears”」
4月10日「薔薇とサムライ」
4月11日「ラスト・ファイブ・イヤーズ」

5月 1日「2人の夫とわたしの事情」
5月 9日ソウルメイツハーモニー
5月15日中川晃教CONCERT2010「音楽が消えることのないDANCE FLOOR」
5月29日京劇「孫悟空vs孫悟空」
5月30日朗読劇「私の頭の中の消しゴム」中川晃教/内山理名
     朗読劇「私の頭の中の消しゴム」崎本大海/鈴木亜美
5月31日朗読劇「私の頭の中の消しゴム」中川晃教/内山理名

6月13日「キャンディード」
6月18日「あらはん」
6月26日「白鳥の湖」
6月29日「恋する剥製」

7月 1日スガシカオ「FUNKASTiC」
7月 3日「ザ・キャラクター」
7月 8日「演戯王~King of player~」
7月12日「東京坊ちゃん」
7月16日「Xday」
7月18日「Xday」
7月31日「Xday」

8月 6日「キャンディード」(指揮・佐渡裕)
8月 7日「Xday」
8月14日「タンビエットの唄」
8月17日「W ダブル」
8月18日「モーツァルト!」製作発表
8月18日「宝塚Boys」
8月19日講談・神田紅
8月21日「Xday」
8月22日「Xday」
8月27日「オセロ」

9月 4日「木蘭~ムーラン」
9月 5日「エリザベート」
9月11日「私の頭の中の消しゴム」別所哲也/紫吹淳
9月17日「井上芳雄10周年記念コンサート」ゲスト/島田歌穂
9月19日「ハーバーリーガン」
9月25日「聖地」

10月 2日「オーマイゴッドウィルス」
10月 5日安全地帯コンサート
10月 9日「エリザベート」
10月11日中川晃教「音楽が消えることのないDANCE FLOOR」
10月16日「RENТ」
10月17日「牡丹亭」
10月20日「ジョアンナ」
10月31日「源氏物語×大黒摩季songs~ボクは、十二単に恋をする」

11月 3日「ワンダフルタウン」
11月 6日春風亭小朝独演会
11月「ファントム」
11月「タンゴ」
11月「SAMURAI 7」
11月 スガシカオ ライブ
11月「SAMURAI 7」
11月「モーツァルト!」

12月「トップガールズ」
12月「SAMURAI 7」
12月「SAMURAI 7」
12月「SAMURAI 7」

12月「SAMURAI 7」
12月「LOVE LETTERS」
12月「ゴッドスペル」
12月「黴菌」
12月「モーツァルト!」
12月中川晃教9周年イベント
12月中川晃教コンサート
12月「Thank you MICHAEL JACKSON We all love you Thank you 」 

(11月28日現在)※随時更新 ☆予約予定

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いつかどこかで(7)安全地帯/十三人の刺客/エリザベート/中川晃教/RENТ/牡丹亭

2010年10月20日 00時03分32秒 | いつかどこかで(雑記)
こんばんは、おおるりです。

いつもの方も、初めましての方も、私の観劇記をご覧いただきましてありがとうございます。

ところで…
最近観た舞台やライブの感想が…か、書けないっ!!
なぜなら、どれもこれも濃ゆいんだもん! 
いちど書き出したら、とんでもなく長くなりそうなんだもん!
それでダラダラ~っと先延ばしにしていたら、およよ!って今さらどうにもなんないくらいに溜め込んでしまいました。

そんなわけで、ここ二週間ほどに観た舞台やライブ、映画については、長くなりそうな感想を、あえて「なるべく短い文で、端的に」を目標に「ちょこっと感想記」にしちゃいます。
この際だからどれだけ短く書けるか挑戦です(笑)


~「安全地帯コンサート」~
最初の一曲「じれったい」から凄かった! この曲のアレンジはパワフルで華やかで、ケレンミすら感じさせられ、照明ともピッタリ合ってました。
アコースティックな中盤は数々のヒット曲も楽しくて、興奮の幕開けから感動の最後までたっぷり楽しめました。
МCはぐっと少なめ(笑) そのぶん歌がたくさんで聞き応えあり。
安全地帯は何せ楽曲が良いですよね~! 懐かしい曲も今の想いで聴けました。

~「十三人の刺客」~
う~ん、この監督はさぁ~、ずっと前にみた映画もそうだったけど、画面が暗くてとにかくグロいのよねぇ…。
俳優さんたちの素晴らしい演技や殺陣には魅せられたし、思うところもたくさんあった映画だけど、終って何日か経つと、あの惨たらしい映像が目に焼きついて離れません。
それにしても、「こんな場面で役者に笑顔を作らせるのか」という場面が少なくとも三度ありました。
それはどれも、あまりに意外な場面でありながらも納得。
人は憤りや怒りが極まったとき、また虚無の中ですら…いや、それだからこそあのような表情をするものなのか…。
本当に思うところ数々ありの映画でした。

~「エリザベート」~
城田トートは評判通り良いです!
そして、なんたって浦井くんよ!
ルドルフの場面をこんなに一生懸命見ちゃったのって初めてかも(笑)

~「中川晃教~音楽が消えることのないDANCE FLOOR~」 ~
濃厚!激烈!発汗!陶酔!
実にヤバいライブでした!
名古屋・大阪に行けなくてイジイジしちゃいそうなくらいに、さみしいです(泣)
じっと手をみて、思わず宝くじを買いました。…って、何の関係があるんだか。

~「RENТ」~
去年、来日版の「最高のRENТ」を観た後では、あれ以上の舞台なんてどこにもないのは当たり前だから、ここに至っては何の文句もハードルもありません。
RENТというだけで感動は既に脳内深くに刷り込み済み。
この日はソニンちゃんミミのかぶりつき最前列でとっても良かったです!!
とにかくソニンちゃんが好きだぁ~っ!! 
後半はソニンちゃんの顔を見るだけで泣ける、泣ける(笑)

~「牡丹亭」~
玉三郎さんのお姿や佇まい、踊りの美しさは期待通りでしたが、お声までもが美しい。
芸の極み。素晴らしかったです。


以上、舞台3本、ライブ2本、映画1本でした。
おおお、短く書こう思えばできるじゃん、私。
でも、何がなんだかわからない(笑)
やっぱ、鉄は熱いうちに打たなきゃだめなのね。
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男女逆転「大奥」

2010年10月03日 22時54分06秒 | 映画

「大奥」
原作:よしながふみえ
監督:金子文紀
出演:二宮和也/柴咲コウ/佐々木蔵之介/玉木宏/阿部サダヲ 他

いつになく次々と感想をUPしておりますが(笑)

実はね~、「上村松園展」と「オーマイゴッドウィルス」そしてこの「大奥」は、昨日の土曜日に一気連続で見たものなのよ(笑)
美術館→劇場→映画館…って、なんでこんな馬鹿げたスケジュールで遊びまくったかというと…先週もやたら仕事が忙しくてね~、
それが他人のミスに自分のミスを上塗りして自分で首しめながら後手後手の仕事をやっていたせいかやたら疲れちゃって、金曜日ともなると、朝から久しぶりに栄養ドリンク飲んで、「ああ~、もう疲れた。土日は家でひたすら寝ていたい」なんて、さすがの私もメゲていたんですけど……
ところがその金曜日の夕方あたりから突然元気が出てきて(笑) 一週間が終ってようやく遊べると思うと嬉しくって仕方ないのよね。
それで、一週間のストレスを徹底的に解消してやろうと思って、この「大奥」は近所の映画館のレイトショーで観ました。

この映画は、他の人にはどうだか解らないけど、少なくとも私にはストレス解消になりました!
まず設定が面白くて、とてもわかりやすいです。
でもって、思ったよりもずっと二宮くんがタップリ!
二宮くん祭りだぁ~!!(笑)
童顔で華奢な感じのする二宮くんだけど、そのやさしげな雰囲気はそのままに、でもこれがかなりの剣客で、骨のある男でした。カッコよかったです~!

でもって、玉木宏さんも妖しく素敵だし、佐々木蔵之介さんとの絡みも面白い。
阿部サダヲさんは相変わらず良い仕事するなぁ~!
サダヲさんが「あはははっ!」と笑う場面、私も「うふふふふっ!」と笑いました。

そしてまた、柴咲コウさんがカッコイイのなんの!
男女逆転といっても衣装は男装しているわけじゃないから彼女は打掛を着ているんだけど、打掛姿であんなふうにドシドシと早や歩きする女優さんを初めて見ました(笑)
もちろん、それが役ですから。
実に男らしい将軍でした!
彼女は徳川吉宗ですが、ハマってました!

映画の展開としてはそう驚くものではないけれど、あっちこっちと面白かったです!
頭使わないで気楽に楽しめます。
実は「悪人」にしようかどうかと迷ったんだけど、ストレス解消するにはこの映画にして正解でした。

  

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上村松園展(東京国立近代美術館)

2010年10月03日 14時17分21秒 | 美術館/博物館/展覧会
上村松園展(東京国立近代美術館)

上村松園は明治8年京都で生まれ、12歳で京都府画学校に入学し、並行して鈴木松年塾にも通い15歳にして第3回内国勧業博覧会に「四季美人図」を出品、25歳には日本美術院連合絵画共進会の銀牌を受けるなど、ごく若い頃から頭角を現した女流画家です。
次々と気品あふれる人物画を生み出したのちは、73歳で女性として初めて文化勲章受章を受賞したそうです。

…という、詳細は↓この展覧会HPでご覧になって下さい(笑)
http://shoen.exhn.jp/index.html

この展覧会のHPは記事がわかりやすく、その文には作品への深い理解と愛情が感じられてとても良いですからご興味のある方はぜひ覗いてみてください。

そして会場では「音声ガイド」を借りることをお勧めします!
この美術館や博物館でよく貸し出している「音声ガイド」ですが、私は基本的には借りないことにしいてます。
何を見るにしても予備知識がなくていちいち初心者の私には「音声ガイド」があると詳細な説明が得られて良いことは良いんですが、時々どうにもその話し声が煩くて作品を感じることに集中できないような気がします。
どうせ専門的な話なんて右の耳から左の耳へ抜けるし(笑)
心を表現したような作品であれば、背景を何も知らなくとも何かしら心に訴えるのではないか……と、思ったりもします。
それで最近は展覧会の会場内の説明文だけで(これはもちろん読みますが) あとは作品を見るとこに集中するために「音声ガイド」は借りないことにしていますが、この上村松園展の音声ガイドは女優の原田美枝子さんが録音しているというので珍しく借りることにしました。
ちなみに料金は500円です。

原田さんのガイドはとても静かな語り口で声も美しく、小うるさい説明などで興醒めさせられるどころか、むしろイマジネーションを豊かに膨らましてくれるような、素敵なガイドでした。
この展覧会は、美術館らしくシンプルで淡々とした作品の展示の仕方とか、パンフレットや公式ホームページ、そしてこの音声ガイドといい、上村松園さんの作品に相応しく全体的に洗練されていたように感じられました。

上村松園さんの作品に現れる人物はどれも女性ばかりです。
松園さんは、美しいばかりの女性を描こうと思ったことは一度もないと言ったそうですが、彼女の作品はみな女性の内面を深く掘り下げたものばかりでした。
体の曲線やポーズ、衣装や小物、そして何よりも主人公たちの僅かとも言える微妙な表情により、作品の背景やその中で生きる彼女たちの心の揺れまでもが感じられます。
写生の段階では生々しく写し取られたそれらの人物も、実際に作品として描くときは表現としてその生々しさを抑えているとのことでしたが、だからこそかもしれませんが私にはどの作品にも生々しい命を感じました。

彼女の代表作といえば「序の舞」と言えそうですが、松園さんの理想の女性像とは、その作品の中の女性のように、ただ美しいだけではなく意地や張りのある女性、そして「意志を感じさせる女性」であったそうです。
あ、だから私は好ましいと思うのか(笑)
粋な艶かしい美人画を見るのも良いですが、生きた女性をそこに見るならば「意志を感じさせる女性」というのは私も好きだと思うので、だから上村松園の作品に魅力を感じるのかもしれません。

展示された作品はどれも素晴らしいものばかりですが、私が特に魅せられた一枚を挙げるとしたら写真にUPした「花がたみ」。
これは原田美枝子さんの音声ガイドを借りて良かったと思いましたが、それを聞きながらじっくり見ていたらウルウルくるものがありました(笑)
この「花がたみ」の女性は狂女です。
恋に狂っている様子はその表情と衣類の乱れでひと目でわかりますが、ガイドによると世阿弥元静の謡曲“花筐”という物語から取り出されたものだそうで、その物語の概要が聞けてとても良かったです。

この女性、照日前は愛する大迹皇子が帝になるために彼女をおいて京の都へ上ってしまったために、恋しさのあまり狂ってしまいます。
絵になったシーンは、恋狂いの照日前が紅葉狩りをする帝たちの一行の前へ立ちはだかるというシーンです。
紅葉がはらはらと舞う中で、照日前が手にしているものはかつて皇子から送られた花かごと手紙です。その表情は、私にはどこかうっとりと幸せそうにも見えます。

松園さんはこの作品を描くために精神病院を訪れ、患者たちと接してスケッチをしたそうです。
その時、心を患った人の顔とはどこか能面と似ていると思ったそうで、能面のスケッチも数多くしたといいます。
ですから照日前の表情は能面と通じるものがあり、うっとりと幸せそうであっても寂しげで、どこか悲しみが潜んでいるようにも思えます。
能面のような照日前の顔は決して美人には描かれていませんが、とても美しい作品でした。


話が思いのほか長くなってしまいましたが(笑)音声ガイドの最後のエピソードが気に入ったので忘れないように書いておきたいと思います。

当時の日本画では「東の鏑木清方、西の上村松園」といわれ美人画の双璧をなした清方氏に、晩年の松園が「私の一生は姉さま遊び(お人形遊び)をして過ごしたようなものです」と言った時、それに応えて清方氏はこう言ったそうです。

「お遊びにしても、随分と偉大な遊びをなすったものですなぁ…」


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「オーマイ ゴッド ウイルス」

2010年10月03日 02時01分10秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
作:大沢直行/演出:三宅裕司/上演台本:野坂実
出演:三宅裕司/小倉久寛/劇団スーパー・エキセントリック・シアター

スーパー・エキセントリック・シアターは初めて観ました。
どんなのかと思ったら「ミュージカル・アクション・コメディー」ですって。
あははは~! そうでしたね~! 
アクションといえば、小倉さんの側転三連続にはちょっと驚きました(笑)
なんたって、三宅さんや小倉さんが最初に登場しただけで何故か笑えます!
それって何でしょうね?
この人なら絶対に面白いぞ!という期待感があって、出てきた姿だけで笑えて劇場内が沸きます。
この二人の掛け合いは良い意味での慣れが感じられて、お互いに様子を見ながらの突っ込みに、本当にテレビを見ているような気楽さでユルユル~っと笑えました。
面白かったですよ、まじで。

それにしても、この舞台を観る前にネットで見たら、公式サイトで
『テーマは「強い人間を作るための悪」。悪事を勧めようというのではない。人間の心の中にある悪のパワーを使ってもっと強い人間を作ろうと言っているのだ。』
な~んて書いてあるからどんなのかと思ったら、もうなんか凄くハチャメチャで、いちいち先の展開が全然つかめないの(笑)
小倉さん演じるデビル…ならぬチビルは、地底から来た悪魔なんだけど、このキャラが面白いのは想定内として、それに敵対する天使たちも妙な白いカボチャパンツはいて「白鳥の湖」みたいなダンスを踊っちゃうし、それも可笑しかったけど、その天使たちの「あははははっ、うふふふふっ、あははは~っ」というアホみたいな無邪気な笑い声に私は妙にウケて、一緒になってヘラヘラと笑ってしまいました(笑)

ところで、「悪とは何か。そしてまた善とは何か。」という問題ですが。
それって、真剣に考え始めると、とても深いですよね。
その線引きは人それぞれだろうし。

でもこれがまたね~、この舞台では深刻に難しいことを考えなくて済むように出来ていて、すご~くお気楽に見ていられるのが良かったんだけど、「悪とは犯罪ではない。それは究極の非常識だ」というチビルの台詞に私は納得。
けれども、このお芝居の天使たちの「善」というのだって究極的に非常識です。
「嘘や隠し事をしない」と聞くと、まるでとても良いことみたいだけど、思ったことをそのまま口に出すような人間は、実際にはかなり失礼だったり傍迷惑でもあります。
それに善は悩みなく善であるから、それだけに容赦がないしね。
そしてチビルは、善だけに染まる世の中は恐ろしい」と言い、やりすぎの天使たちを取り締まる役目の悪魔なんだけど……なんだ、チビルのほうが世の中のことを考えてるじゃん!って感じ(笑)
チビルは「最近の人間は(心が)薄っぺらくって、闇も浅い」とかも言ってましたが、闇の浅い人は光も薄いのかもしれません。
でもまあ、だからといって、別に深い闇を抱えていたほうが良いとまでは私は思いませんけどね、要するにバランスの問題かな~? 

…ってなわけで、
本当に最初から最後までバカバカしくて、私はずっと気楽に「あはははっ~!」っと笑っていましたが、、ラストはなかなか落しどころが良くて、ストレス解消と共に最後にはほのかに心が軽く暖かくなったような舞台でした。

それにしても、三宅さん、千秋楽まで腰をお大事にしてほしいです!(笑)
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