今宵も劇場でお会いしましょう!

おおるりが赤裸々に綴る脱線転覆の感想記!(舞台やライブの感想です)

「タン・ビエットの唄」

2008年02月17日 22時42分46秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
東京芸術劇場・中ホールで「タン・ビエットの唄」を観に行ってきました。

いきなり千秋楽です!
予備知識としては、安寿ミラさんと土居裕子さん、駒田一さんと吉野圭吾さんが出演する舞台で、どうやら泣けるらしい…という程度でしたが、実力のあるベテラン達の熱演に感動しました。

昨日観た恋物語とはうって変って、ベトナム戦争真っ只中と戦後の傷跡深いベトナムを舞台にした重いテーマの作品です。
それだけに作り手と出演者たちの真心が感じられ、中身の濃い物語に涙なくして観られませんでした。
話の展開は「そんなーーっ!」と驚くほどに悲惨なのに、後味が決して暗くなかったのは、この脚本が良くて結末に光が見えたのと、歌もダンスも素晴らしかったから。

特に土居さんのお姉さんが妹を必死に励ます姿に泣けたわ。
お姉ちゃんは大変だな、自分もまだ子供なのにね。
その歌声も感動的でしたが、最後のシーンでその子が母たちの歌を知っていたのは、吉野さん演じた育てのお兄さんが教えたからなのよね?
また会えるという夢を決して絶やさなかったというのも救いでした。

昨日の「ナオトの部屋」のナオトさんの歌にあったメッセージで、『この今の日本では生まれながらにして自由があり、何でもできるはずなのに何もしない』というのがありましたが、恵まれた状況を無駄にしたりせずに、しっかりと、希望を持って生きていきたいなと思いましたよ。難しいけれど。

千秋楽だったので最後の舞台挨拶があり、最初は笑いながら、あとのほうではまた涙がでてしまったわ。
観てないかたは、再演したらぜひどうぞご覧になってね!

「ファントム」

2008年02月10日 22時44分54秒 | 観劇(ミュージカル/音楽劇)
きゃあ~~~っ!たかおぉ~~っ!すてきぃ~~!
うたわなくていいのにぃ~~っ!
すてきだからいいけどぉ~~!

もひとつ。

きゃあ~~~っ!ルカスぅ~~っ!かっこいぃ~~!
しゃべらなくていいのにぃ~~っ!
かっこいーからいいけどぉ~~!

まあ、私としてはそんな感じね(笑)
ウタエルヒトウタワナイ、ウタエナイヒトウタウ、ワタシ、ヨクワカリマセェーン。
…って、ルカスさんがカッコ良いだけに、喋るとヘンなガイジンみたいでズッコケルわ。
そういやルカスさん、去年帝劇で握手してくれた時、夜なのに「コンニチハ」って言ってたよなぁ…とか思い出しちゃった。
でもって、大沢さんの演技も良くて魅力的なファントムだけに、歌うとズッコケル。
ミュージカルに歌が入る意味を、改めて考えさせられた舞台でしたよ。

このホンは好きよ。
ラストで、先週見たDVDのラストの台詞を思い出しちゃったわ。、
「お母さん!もう一度僕を妊娠してください!!」っていうの。
いや、全然違う話ですが。

ある意味、ハッピーエンドと言えるよね? ファントムにとっては。

DVD「今昔桃太郎」

2008年02月03日 21時59分44秒 | 芸能/エンターテイメント

友人から借りたDVD「今昔桃太郎」(いまはむかしももたろう)を観ました。
これは、現在十八代目中村勘三郎が勘九郎の名称で務めた最後の舞台です。
歌舞伎には馴染みのない私ですが、渡辺えり子さん作ですから、解り易くて本当に面白い舞台でした。

お話は、鬼が島で見事鬼を退治したかつての桃太郎が45年の月日を経てすっかり怠惰な中年男に成り下がってしまったところから始まります。
せっかく手にした財宝も、飲む打つ買うの生活で失ってしまい、身体もでっぷり太っています。かつてのヒーローはどこへやら。
いつの間にか日本全国鬼だらけ。弱きをいじめ、強きを救う世の中になっています。。
それはまさしく今の日本ですね。
毎日ニュースを見る度に人殺しやいじめや汚職の話ばかり。

我に返った桃太郎が「大丈夫かとか、ありがとうとか、そんな簡単なこと忘れるようじゃおいらあ人間じゃねえ」という言葉には重みがありました。
ほんとうに人間に必要なのは簡単なことなのに、この世の中、なんでこんなにおかしくなってしまったのだろう。

その太った桃太郎が鬼から騙された「躍りが止まらない薬」を飲んで、次々と踊るのですが、これは勘九郎さんがこれまでの舞台で踊ってきた名場面をコミカルな動きも加えて再現したもので、これが素晴らしい!
ここだけでも充分見ごたえがあります。
それですっかり痩せてしまうのですから、「痩せ薬」と騙されたといっても、まんざら騙されたわけではないのね(^^;) 
動きがシャープでハードなことといったら‥‥やっぱり並みの中年とはわけが違いますねぇ‥‥。
そしてなにより積み重ねた芸の見事さに感動します。

この舞台は中年桃太郎がすっかり改心して再び鬼退治にいざゆかん!という場面で終わるのですが、最後の
「良き人々と巡り会うて、わしゃ果報者だなぁ」と深々と頭をさげるところでは、この人の心からの感謝の気持ちと万感の思いが伝わり、その深さに涙がこぼれました。
勘九郎さん、いや勘三郎さんが今までどんな心持ちでどのように生き、芸に向かってきたのか‥‥。
これまでの舞台を観ていなかった私でさえ、この一言で察することができるような感動の場面でした。