アーサー・ミラーと言えば、戯曲「セールスマンの死」とマリリン・モンローの何番目かの旦那さんと言うことくらいしか知らない。私が学生の頃、「セールスマンの死」やテネシー・ウイリアムの「ガラスの動物園」がトレンディだった(たぶん)。
が、実際に演劇を観たのは、ずっと後で、演劇鑑賞会(当時は労演)で、滝沢修や仲代達矢を観ているはず(あまり覚えていないのだが)。
↓は、今回の文学座公演でウィリー・ローマンを演ずるたかお鷹さん(「殿様と私」で芸術祭大賞を受賞)。このポスターは絶望して死を選ぶ直前のシーン。だが、彼は鍬で土を起こし野菜の種を蒔くのだ。
《あらすじ》 舞台は、世界大恐慌後1930年代の不況のニューヨークです。かつては地方回りの有能なセールスマン(ストッキングを売っている)だったウィリーは既に63歳になり、時代の変化から取り残され、顧客をほとんど失い、稼ぎが全くない惨めな状態になっていました。が、ピカピカの車に乗っていたいい時代、長男がフットボールの選手として華々しく活躍していた時代、息子たちが父を敬い賞賛の言葉をかけてくれた過去…から抜け出せない。
しかし現実社会は彼を使い捨てのごみのように道端に放り出してどんどん先に行ってしまい、彼の精神は冷酷な現実に打ちのめされ、さまざまな妄想の中をさまよいます。妻のリンダは献身的に夫を支えますが…。
2幕構成で、1幕目が主人公の帰宅した月曜日の夜、2幕目が主人公が自殺した火曜日の夜と葬儀からなるが、回想シーンで家族の歴史が語られる。父と子のかみ合わない会話(お互いが相手のことを思っているのに、それとも自分のことしか考えないからか)、兄と弟の葛藤、競争社会、家庭の崩壊など、まさに現在の日本社会の問題ばかり…。いとおしいウィリー、そして一家の悲しい結末。
そんなことを感じながら、その夜の「交流会」に参加した。ウィーリー役のたかお鷹さん、奥さん役の富沢亜古さん、長男役の鍛治直人さん、次男役の林田一高さん、制作の白田聡さんの5人が出席され、それぞれ、古城公園や大仏さんまで散歩した話や、えんじゅ通りの少女像「ひととき」(朝倉響子作)が富沢亜古さんの叔母さんの作品なので、見に行ったなどと話された (富沢さんは朝倉摂さんの娘さん)。たかお鷹さんは、あの重い役を出ずっぱりで、全身全霊で演じられたからだろう、お疲れのようだった。でも、一人一人の感想に耳を傾け、質問にも丁寧に答えてくださった。
「このお芝居は、人によっていろいろな受け止め方があるだろうが、それでいいのですよ」と仰った。一緒に見た義妹の家族が年齢も構成もまったく同じなので、いつかゆっくり感想を聞いてみたい。↓ 演劇事務所での交流会。
↓ 2グループに分かれて記念撮影。
↓ たかお鷹さんは趣味で絵を描かれるそうで、文学座の名前入りのはがきを全員にプレゼントしてくださった。(鳥の名前は後で追加します)
お世話係、ご苦労様でした。私は前日の夜みました。ハムレットに匹敵する戯曲の名作ということで興味深く、ハヤカワ演劇文庫の原作も読みました。
白田さんの講演で、今回は女性の訳者さんゆえ、妻役が強調されるとおききしていたので注目していました。なんと、高岡にゆかりのあるかたなのですね。
台詞にパンチがあり、すばらしい女優さんでした。さいごの「どうしても泣けないの」がなお、悲しかったですね。
たかおさんは、すごく自然体で演じておられました。
感情表現、回想シーンの連続で熱演でした。
様々なシーンになはさんと同感しながら鑑賞できたのもとても幸せでした。
さいごに出演者全員が小さな花束を頂いたことがほほえましかったです。全員が主役まさしくそれでした。
交流会も楽しそうでしたね。
素敵なコメント、ありがとうございます。
倉橋さんの翻訳本を買われたと、なはさんからお聞きしました。私にもいつか貸してくださいね。
原作も読みやすいかもしれませんよ。
交流会でも感想や質問が出ましたが、今日のまとめの会でもいろいろな感想が語られ盛り上がりました。息子や甥が入会したと言う方もおられましたよ。
あなたの言葉通り、ウイリーとリンダがごく普通の夫婦像として演じられたので、反響がおおきかったのでしょうね。
全員に花束と言うのは高岡が初めてだったそうです。他会場では、2名とか4名とか…。
事務所でのこじんまりとした交流会だったので、和やかで話しやすかったです。
家族って、夫婦って、親子ってそんなもんだよね、を皆が実感するようなお芝居でした。
みき子さんが本を買ってくださったり白田聡さんを囲む会に出たりしたので興味深く見ることが出来ました。
演劇を見ながら、「家族ってこうなんだ、よくあることで古い話とは思えない」などと,でもはらはらしながら見ました。妻のリンダは健気に夫を支えることが素敵でしたね。
人生はいろんな坂があるし人はみな不出来なんだとか思いました。
貴女が言われていたので主人公ばかりでなくどの人も一生懸命に見ることが出来ました。
最後は涙を禁じえませんでした。名作をみき子さんとみることが出来てよかったです。
どのお芝居でもそうだけど、やはり1幕目がわかりにくかったようで、怒鳴りあっているだけでよくわからなかった、ナレーションが入ればいい、と言う意見もありました。
テレビでは、ナレーターがいたり、登場人物を文字で示したり、とても分かりやすくなっているので、それに慣れてしまうのでしょうね。
リンダさんは昔の日本の妻、と言うイメージでしたね。でも、アメリカのホームドラマでも奥さんは夫を、家庭を支える大切な人です。いろいろ考えてみると、ますます悲しくて面白いお芝居だったと思います。