京都への一泊旅行の往復の電車内で、「運命の人」第4巻をほぼ読み終えた。第4巻は「沖縄編」になっている。
毎朝新聞政治部記者の弓成(ゆみなり)は、最高裁の逆転判決で有罪を言い渡され、北九州市の実家に帰り青果業を継いだが、上告が棄却され有罪が確定すると、本土を逃れるように沖縄へ渡る。心身ともに瀕死の状態のところを、船の中で読谷村の人に助けられ、その後15年以上沖縄で暮らすことになる。
そこで知ったのは、土地闘争(1954年)のこと、戦闘機が小学校に墜落した事件(1959年)、少女事件(1995年)…、驚きながら関係者を訪ね、ノートをとることになる。本土でも報道されたが、実際にはもっともっと悲惨な状況だった。
私が、4巻で驚いたのは、琉球大学の教授がアメリカ赴任中に、短い時間を割いてワシントンDCの「米国立公文書館」に毎日通い、とうとうシュナイダー米公使と吉田アメリカ局長の間に交わされた密約文書を見つける場面だ。彼の執念がなかったら、密約文書はまだ分からずじまいだったかもしれない。
さて、山崎豊子氏の原作を離れ、目下TBS系で放映中のドラマについて。ある新聞に紹介された、このドラマのプロデューサーについて書きたい。
小説が完結した2年前、映像化を申し込んだ8社の中から選ばれたのが、瀬戸口克陽(かつあき)さん。38歳の若さだ。「冒頭のシーンは沖縄から入りたい」との提案が選ばれた理由だそうだ。小説を雑誌連載中からずっと見守って来た瀬戸口さん。第4巻の沖縄編に注目する。沖縄戦の深い傷、基地問題に集約されるように、過去から現在に至るまで日米関係に翻弄され続け、本土の犠牲になってきた沖縄の痛み…。「ドラマの手法をとることで、普段は興味を持っていない人も、興味を持ってくれるんじゃないかと思いました」と語る。
瀬戸口さんは、鹿児島生まれ。知覧の特攻基地も沖縄も身近な存在だった。小学校2年で「はだしのゲン」を読んだ時の衝撃は、今も忘れられないそうだ。
ドラマは、3回まで放映済みだ。原作は、1巻から4巻まで、私の手元にあります。なはさんの本です。もし、読みたい方がいらっしゃったらどうぞお知らせください。なはさんにお願いしますから。