7/26(日)、夫の月命日である。いつもお寺さんは8時すぎにお参りに来られる。それより早く、金沢のKAさんから電話が入った。「明日夜、県立音楽堂でチャイコフスキーの3大交響楽のコンサートがあるのだけど、聴きに来ませんか?」とのお誘いだった。聞けば、4番、5番、6番を一気に演奏するのだと言う。オーケストラは、ロシア国立交響楽団。指揮はポリャンスキー。そんな、シンフォニーを3つも演奏するなんて、そんなコンサートって今までにないのでは?とまず思った。
金沢ウインドアンサンブルの事務局長の知り合いの誰かからチケットをもらったと言う。A席、7500円の券だそうだ。ウ~ム、金沢へ夜のコンサート? 7500円、チャイコフスキーね~。何時に終わるだろう? あいの風に乗っていく? それとも新幹線? などと考えて・・・「ちょっと待って、今お寺さん来られたし」といったん電話を切った。が、結局聴きに行くことに決めた。その日の午後、高岡文化ホールに「葛の会」の絵画展を見に行ったら、↓のチラシが棚に置いてあった(↓は、横浜と東京の会場だが)。
娘にメールで知らせると、「お母さん、お能を3つ続けて観るようなものだよ」と言う。わかってます。演奏者も聴衆も、体力勝負でしょう。
チラシにいわく、「日本ではなし得ないプログラムである。と言うのも、まず楽団の労働組合が認めない、またよほど自信がない限り、どんな指揮者であってもこの3曲を通して演奏しようなど、まったく考えようもない。」
27日(月)夕方、あいの風鉄道で金沢へ。県立音楽堂は、1週間前にマンドリンアンサンブルを聴きに来たばかり。↓ ホール前のカフェ。会場を待つ人たち。ここで、KAさん夫妻と待ち合わせだ。
↓ 前回同様のコンサートホール。7,80名(もしかして100近く)の椅子が並んでいる。フルオーケストラだ。A席と言うものの1階のかなり後方。回りはKAさん夫妻のお友達でいっぱい。昔の合唱仲間もおられるらしく、すぐ後の男性は、オペラ「滝の白糸」のおじいちゃん役だったそうです。
楽団の希望で、会場の温度設定を低くしてあるのでご了承を、とのアナウンスが入る。膝掛けは一人1枚。
指揮者も、演奏者も、皆さん大柄。女性もしかり。さぞ、ダイナミックな演奏なのだろうな~と想像される。
まず、第4交響曲。私には、ちょっと聴いたことのあるメロディかな?と言うことくらいしかわからない。弦楽器は前に座っているのでわかるが、トランペットやトロンボーンはわかっても、木管楽器の音はフルートしかわからず、きれいだな、これ何の楽器?という程度の人なので、重厚な音色に浸っているだけ。メリハリの効いたうねるような迫力のある演奏だ。第4楽章が終わった途端に「ブラボー」の声と共にすごい拍手。これで、演奏会はオシマイ、と言わんばかりの熱狂的な拍手だった。途中の楽章ごとの短い休憩も、指揮者の手が降りるまでは余韻に浸り、手が降りて初めて咳や吐息が聞こえるほど。音楽と一体になっている金沢の聴衆はさすが大したもんだ。
20分の休憩の後、次に、第五交響曲。これは聞きなれたメロディだった。クラリネット、オーボエ、ファゴットの音色も少しはわかるようになった。ティンパニーやシンバルも、音も動作も大きい。ロシアの寒い風景、暗い空などを勝手に想像しながら楽しんで聴いていた。
次も20分休憩、いよいよ最後の「悲愴」第六交響曲だ。静かな重苦しい始り。そしてよく知られる「悲愴」のテーマが何度もくり返される。ティンパニーが女性に変わっていた。管楽器も曲ごとに奏者が変わっているようだ。
3楽章と4楽章の間の休憩がほとんどなく、私などまだ3楽章では?と思っているうちにおわった。嵐の後の静けさと言うような最後で、指揮者の手が垂れ下がっても拍手はない。指揮者は客席を向かずに退場し、再登場。ここで初めて拍手が起きた。「悲愴」の最後は拍手のタイミングが難しいのだそうだ。
時計は、9時40分過ぎ。最初、KAさんに、「家に誰か待っているわけはないから11時の電車にすれば?」と言われ、「そうやね、12時までに帰らないと、と言うわけでもないし」と言っていたのだが、今なら10時の電車に間に合う、と思い直し、スタンディングオベーションで拍手喝さいをしてから皆さんと別れを告げた。舞台はまだまだ熱狂中だった。
↓は、金沢駅前。鼓門。
↓は、高岡駅 万葉ロードの行燈。市内の保育園児の作品です。
駅を出ると外は雨。源栄パーキング(日帰りは400円)が近くて助かった。思いきって出かけ、素晴らしい演奏会を聴いた。