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Ruby の会

シニアライフ~能楽・ボランティア・旅行・食べ歩き・演劇などを綴っています

前進座「東海道四谷怪談」

2021-08-09 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 8/5(木)、前進座公演「東海道四谷怪談」を観た。 8月に怪談!とは、なんとタイミングの良いことか。 さて、皆さんはどのくらい「四谷怪談」をご存知でしょうか。 「恐ろしい顔をしたお岩さんが化けて出る…」くらいしか知らないのでは? 「なんで化けて?」 「旦那を恨んで…」、せいぜいこのくらいしか知らずに、知っているような気でいた。 
 特に、
串田和美演出のシアターコクーンの「シネマ歌舞伎・東海道四谷怪談」を2,3年前に見たので、私はてっきりわかっているもりでいた。

 ところが歌舞伎と前進座は少し違う。 鶴屋南北の原作は二日がかりで上演されたとか。 と言うのは、当時は「仮名手本忠臣蔵」と交代で上演されたらしい。 枝葉の話が満載で、3時間でさえ短いと言う。 あちこちの場面を端折るので尚更わかりにくくなるのだろう。

 幕が開くと、いきなり歌舞伎調のセリフだ。 そして次々と殺しの場面。 誰が誰を殺し、誰の身代わりになったのか、席が遠く顔がよく見えず、耳も遠くなったかセリフが良く聞こえない。 お岩と妹のお袖が登場して、ようやく話が飲み込めてくる…。

 👇は、河原崎國太郎さん演ずる「お岩さん」。國太郎さんはなんと4役の早変わりを演じられます。 
 歌舞伎独特の「ケレン」、「しかけ」、早変わり」の有名な場面がふんだんに盛り込まれています。 結局見終わってから、資料を見ながら復習です。 あの鬼火は? 手がゆらゆら出て来たのは? 戸板返しがよく見えなかったネ、などと話はつきない。

 前進座が大好きなSAさんも、久しぶりの観劇だったSIさんもとても楽しかった、と満足気でよかったです。

👇は、前進座さんのブログから。 高岡七夕の最中で、その様子がアップされていた。

            


映画「竜とそばかすの姫」

2021-08-05 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 8/2(月)、アニメ映画「竜とそばかすの姫」を見に行くことにした。 前回見に行ったのはいつ頃だったか? 久しぶりである。 いくつかの候補の中から私が選んだ。 富山県出身のアニメ作家、細田守監督の作品、いくつかの賞を受賞している。

 公開を記念し、テレビで「サマーウォーズ」が放送されたので録画して見た。 が、途中でギブアップ。 全くついて行けなかった。 「竜~」はどうだろう?
 相変わらず暑い日、明け方早く目が覚め2度寝したせいもあったか、ランチのすぐ後だったからか、見る前から眠かった。 眼を開けようとしても自然に下がって来る。 全体の2/3は寝ていたのではないかと思う。 覚えているのは最初の美しいファンタスティックな色彩の映像。 透き通るような歌声。 インターネット上の仮想世界で歌姫となった女子高校生の物語。 そこがわかっていれば、田舎の内気な女の子、現実の世界の「すず」と、美しい歌声で世界を魅了する仮想世界・U(ユー)の世界の歌姫「ベル」が同一人物で行ったり来た
りするのが理解できた。

 肝心なところで目を覚ましていたのだろう。 途中から眼がぱっちりと開いたのは、高校生たちの生活が生き生きと描かれる現実の世界や、複雑な内面を抱えた謎多き嫌われ者「竜」の登場あたりからか?

 
 見終わってから、姫さんにわからなかった個所を聞き納得した。 家族や友情や生き方や誰もが抱える悩み、苦悩、喜びなど現実世界の様々な断片を、仮想世界に置き替えて描く細田監督は、音楽も美術も手掛けて作品を作る監督らしい。 初めて見たのでそれが驚きだった。 久しぶりのアニメ作品、十分に楽しんだ。 ほとんど眠っていて理解できたのも作品が優れているからこそだろう。 面白い映画に誘ってもらい、姫さんに感謝です。


トム・プロジェクト プロデュース ”Sing a Song”

2021-06-18 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 6/17(木)、高岡文化ホールにて、トム・プロジェクトプロデュースの ”Sing a Song” 公演が行われた。 この作品は、劇団チョコレートケーキの古川健と日澤雄介が作、演出を手がけ、2018年に初演された。 昨年5月に上演が予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で中止となっていた。 初演時に、ヒロインを演じた戸田恵子は第43回菊田一夫演劇賞に輝いた。 劇中では、戦時下の東京で歌を愛し、歌に愛された三上あい子(淡谷のり子がモデル)の生きざまが描かれる。

  淡谷のり子さんは、1907年青森市生まれ、東洋音楽学校へ進み、将来を嘱望されたオペラ歌手だった。 が、日本は日中戦争に突き進み、クラシック以外の曲でデビューを果たす。 戦時中は皇軍慰問で満州、インドネシア、マラッカと言う地名もセリフにあったように聞こえたが、そうであればマレーシアでも、現地で戦う日本兵のために歌を歌う。 絶対に軍歌は歌わない。 「歌は生きている人のためにある、ドレスは私の戦闘服」と、化粧をして、華やかなドレスに身を包み…、憲兵本部に呼び出されても、「お金はびた一文いただきません」と、主張を曲げない。

 そんなエピソードは聞いてはいたが(あの淡谷のり子さんなら…と思ったが)、それを戸田恵子さんが小気味よく、威勢よく演じ、歌も聞かせてくださり期待通りの舞台だった。 👇はポスター。

 👇 登場人物はわずか6名。 マネージャーを大和田獏さん、他にアコーディオンの伴奏者、憲兵隊幹部、憲兵軍曹、現地指揮官。 このメンバーで東南アジア現地、知覧特攻隊基地の様子まで描き出すのだ。 素晴らしい脚本、演出である。 獏さんが、奥さんを亡くされいっそう奥のある暖かい演技を見せてくださったように感じられた。

 そして何と言っても戸田恵子さん。 「アンパンマン」の声は印象にないが、テレビドラマの「僕らは奇跡でできている」の山田さん役、ショートヘアでお料理上手でちょっとお節介な家政婦さん(実は主人公の一樹の実の母親)がとても好きだった。 歌もこんなにお上手とは! 最後の「リリー・マルレーン」が忘れられない。


こんにゃく座「オペラ・遠野物語」

2021-06-06 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 6/4(金)、高岡文化ホールで”オペラシアターこんにゃく座”の公演「遠野物語」を見た。  「遠野物語」は、岩手の119もある民話を民俗学者の柳田国男がまとめて書き上げたものと聞いている。 そしてその一つ一つを岩手弁で語って聞かせたのが作家を希望していた佐々木喜善、喜善を紹介したのが水野葉舟。 その3人を軸に15の物語が舞台の上で展開する。 全体をリードするのがフルート、ピアノ、チェロ、打楽器の4人の楽士だ。

 物語の中には、餅を喰う坊主、座敷童、河童の子、オクナイサマなど聞いたことのある民話、ユーモラスな場面もあって子どもにも楽しめる内容になっている。 「こんにゃく座」はもともと学校巡りや親子劇場で公演しており、オペラにしたのも子どもたちが退屈しないようにとの思いからだったそうだ。 作曲家、脚本家、劇団員の皆さんの手作り感がほのぼのと伝わる舞台だった。 

 ただ、私の体調がかなり悪く、座って寝ているわ、の気持ちで出かけていたので、すんなりと舞台に溶け込めなかったのがとても残念。 滑稽な可愛らしい登場人物がいっぱいなのだから、もう少し明るいトーンならよかったかな、と思った。 


映画「HOKUSAI・北斎」

2021-06-04 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 観たいな~とは思っていたが、前夜のようこ姫さんからの急な電話で決定、すぐに時間を調べ、6/1(火)、12時半に高岡イオン映画館前に集合の約束をした。 短時間だが2日間庭の除草をした後で、座っての映画鑑賞は好都合だと思っていた。

 👇は、4年前に上野・西洋美術館で開催された「北斎とジャポニズム展」を訪ねた時の私のブログです。 ゴッホやモネに影響を与えたと言う絵画を対比して展示し、わかり易く興味深い展覧会だった。  息子が北斎が好きなので、時間があれば観てくれば?と勧めたのを覚えている。 

みたび 東京へ~「北斎とジャポニズム」 - Ruby の会 (goo.ne.jp)

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 映画では、若き日の北斎を柳楽優弥、老年期を田中泯が演じている。 90歳まで絵を描き続けた北斎、60歳を過ぎて脳卒中で倒れながら自力で治癒させ、「富岳三十六景」を描いたのは70歳を過ぎてからだと言う。 
 江戸末期、時は天保の改革の最中、表現者たちの自由が奪われて行く時代に、自分の道を貫きひたすら絵を描き続けた絵師、北斎が富士と出会い、ベロ藍(ベルリンから来た藍色の合成顔料)を愛した過程や、同時代に活躍した絵師、版元、戯作者との関わり、彫り師や摺り師の工房までが物語の中に描かれる。 息もつかせぬ2時間だった。

 またまた息子に知らせた。 「見に行きたいなぁ」と言っている。 今度は少しは時間があるかな。 子どもの頃からとても好きだったのだ。


映画「ヒノマルソウル~舞台裏の英雄たち」

2021-05-03 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 「ヒノマルソウル」は、5月7日に公開だそうです。 きっともっと早い公開予定だったのでしょう。 長野オリンピックは1998年2月。 20数年前とは言え、リアルタイムでテレビ画面を見つめた人たちは数多いはず。 舞台裏にこのような英雄たちがいたとは!

 数年前に城端小中学校の「卯辰会」で野沢温泉へ行った。 その時、山の向こうを指して「あの辺りにジャンプ台があって…」と説明してもらった。 ラージヒルのジャンプ台は白馬村。 競技前にそこへ集まった25名のテストジャンパー達の実話に基づく物語だ。

 テストジャンパー…。 競技前にジャンプ台の状態を確かめる、選手が安全に飛べるようになるまで繰り返し飛ぶ裏方。 そのメンバーの中に、野沢温泉村出身の西方仁也(田中圭)がいた。 彼は4年前のリレハンメル五輪でのラージヒル団体の銀メダリスト。 原田雅彦の失速がなければ金メダルは確実、と地元野沢温泉村では「金メダルおめでとう!」の垂れ幕が作られていた、と言う。

 4年後の雪辱を誓い練習するも、怪我、治療、リハビリ…との努力も空しく、西方は代表選手選考から漏れてしまう。 そしてテストジャンパーを依頼されるのだ。

 様々な人生を背負い、それぞれ異なる目標を持ち集まった25名には、大会当日思いがけない天候に見舞われた結果、大きな試練が待っていた。 そして大逆転劇が起こるのだ。 誰も知らない25人のテストジャンパーたちが起こした奇跡…。「この隠された真実にあなたはきっと涙する~」とあるが、涙が出ました。 強制でも命令でもなく、一人一人が考えて決めた吹雪の中でのテストジャンプ。 そして25名全員が無事に飛んで競技が再開された瞬間。 原田が船木に駆け寄って喜ぶシーン。

 映画の公式HPに、原田雅彦、西方仁也、田中圭の鼎談が載っており、選手たちが4年ごとの大会に臨む計り知れない思いと苦労を知りました。


演劇「ドレッサー」

2021-04-06 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 4/2(金)、高岡演劇鑑賞会4月例会「ドレッサー」を観た。 加藤健一事務所の公演である。 カトケンは久しぶりで楽しみにしていた。 作:ロナルドハーウッド、訳:松岡和子、演出:鵜山仁、芝居好きにはたまらない顔触れである。 主役は加藤健一の座長だが、タイトルロールのドレッサー(付き人)、ノーマン役の加納幸和が素晴らしかった。  

 今ちょうどNHK朝ドラは、太平洋戦争の最中に天海一平(実際には渋谷天外)一座が興行を中止せざるを得なくなった場面を描いている。 一平は座長であり、本も書けば役も演ずる。 芝居小屋探しもしなければならない。
 演劇「ドレッサー」はイギリスの劇場が舞台、シェイクスピア劇を演じ続けるこの劇団も、第二次世界大戦下連日の空爆に怯えながら巡業を続けている。 座長はサーの称号まで与えられた名優であるが、心身ともに疲弊して街中で奇行に及び病院送りになってしまう。 長年座長に仕えて来たドレッサーのノーマンは、なんとか舞台の幕を開けようと孤軍奮闘を繰り広げる。 その夜の演目は「リア王」、楽屋でセリフを忘れた、とノーマンを困らせる座長。 違うセリフを聞いて、「それは”リチャード3世”」、「それは”ロメオとジュリエット”」などと、すかさず教えるノーマン。 コーデリア役の座長夫人も舞台監督もその日の上演を諦めるのに、ノーマンだけは座長を信じ支えます。

 「リア王」の最後、狂気となった王がケント伯や道化と共に嵐の中を彷徨い歩き、コーデリアの亡骸を抱いて泣き叫び憤死する…。 最後まで演じきった後、座長の命はつきる…。 と言う結末。 「リア王」も悲劇の中の悲劇だが、「ドレッサー」も悲劇かもしれない。
 戦後、新制中学校に入った私たちの学年は、学校祭で「リア王」を演じた。 私はナレーターだったが仲良しの友人たちが、ゴネリル、リーガン、コーデリアを演じた。 リーガンを演じたMAちゃん、リア王を演じたNO君はすでに鬼籍の人だ。 練習風景が思い出され懐かしい。

 さて、観劇後「トワイス」で、夕食前の軽食を食べながらお喋りするのも楽しいひと時である。 SAさんはドリアを、姫さんはコーヒーだけ、私はサンドイッチ。

 


映画「すばらしき世界」

2021-03-16 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 演劇「マクベス」をブログにアップした後、先日見た映画「すばらしき世界」を思い出した。 なぜか書きにくくてそのままになっていたのだ。 3/1(月)に姫さんに誘われて高岡イオンへ見に行った映画です。

 西川美和監督×役所広司×仲野太賀出演。  直木賞作家・佐木隆三氏の小説「身分帳」を原案にした実話だそうだ。 
 👇 仲野太賀の役が、作家佐木隆三なのかもしれない。

原案:「身分帳」佐木隆三

 👆のポスターのキャッチコピーに ”この世界は 生きづらく あたたかい”とある。 13年ぶりに娑婆に出て仕事を得ようと奔走する元ヤクザの三上(役所広司)にとって、”温かいが結局生きづらい世界だった”と言うのが私の感想だ。 

 下町の片隅で暮らす三上(役所広司)は、見た目は強面でカッと頭に血がのぼりやすいが、まっすぐで優しく、困っている人を放っておけない男。しかし彼は、人生の大半を刑務所で過ごしてきた元殺人犯だった。社会のレールから外れながらも、何とかまっとうに生きようと悪戦苦闘する三上に若手テレビマンが番組のネタにしようとすり寄ってくる。

  運転免許をとり、刑務所で習得した工業用ミシンを使い仕事をする…社会復帰しようと必死の三上の周りには援助する人々もいるにはいるのだが、やはり難しい。人間として正しく生きることと、社会で生き抜く処世術を身に着けることは、彼にとって矛盾することだった。 結局最後は…。 これを「すばらしき世界」と言うのか、「悲しき世界」と言うのか? 実話だと言うのがなおさら切ない。 私には、悲劇であってもシェイクスピアのようなフィクションの世界の方が楽しめる。 


劇団東演「マクベス」

2021-03-13 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 
イギリスで見た「マクベス」の思い出

 カフェ「祇園」でランチをした時、なはさんから東演の「マクベス」の囲む会に誘われた。そう言えば、「演劇鑑賞会」から電話があったな~と思い出す。「マクベス」ならだいたいわかるし…など......
 

 👆は、昨年の私のブログです。 「劇団東演の制作・横川さんを囲む会」のこと、10年前にイギリス、ストラッドフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの生誕地)のロイヤルシェイクスピア劇場で見た「マクベス」のことを書いています。
 息子と私がマークに会うためにイギリスを訪ねたのは、ちょうど10年前の4月、東日本大震災のおよそ1か月後でした。津波や原発事故のことを聞かれたのを覚えています。「マクベス」は一人で観ました。

 さて、昨年上演予定だった「マクベス」はなんと1年延期して、3月10・11日に上演となり、私は10日の夜に観劇しました。ストーリーは知っているし、ワレリー・ベリャコーヴィッチの最後の演出作品と言うことも聞いていたので1年間待ちわびていたのです。が、体調が最悪の日だったので1幕目は眠くて仕方がなかった…。
 舞台上に4つの大きな扉があり、その回転によって時間や場面の転換が行われる。登場人物は皆同じ衣装を着て装飾物の違いにより身分が表される。彼らが集団でスピーディに動き回る姿は群舞のようだ。が、私にはそれが煩わしかった。マクベスとダンカン王はわかるとして、どれがバンクオーか、マグダフか、その息子たちか…がわかりにくい。セリフがはっきり聞こえるのでよく聞いていればわかる…と言う感じ、イギリスで英語で観た時の方がわかり易かった~と思うほどだった。

      

 が、2幕目はぐんぐん引き込まれた。マクベスは親友バンクオーの亡霊に悩まされ気が狂って、魔女に予言を請いに行く。 夫人は手にこびりついた血がとれないといつまでも指を洗い…。 四大悲劇の中で一番短いそうだが、名セリフをたくさん残し、暗殺や殺人や人間の醜い欲望が渦巻くわかり易い(逆に理解しにくい)お芝居かもしれない。

 終演後、一緒に行ったSAさんの第一声が、「素晴らしい芝居だったね。セリフがはっきり聞き取れた」だった。次に「予言通り国王になったのに、まだ何を望んだのだろう?」と。鋭い疑問だ。次の国王になると予言された親友の息子を暗殺しようと企て、破滅していくのだから。魔女の最初の預言で留まれば、マクベスはコーダーの良い領主になっただろうに。 いずれにしろ、シェイクスピアはあくまでもフィクションだと思うから面白い。先日見た映画「すばらしき世界」のように、実話を元にしていると言うとリアルすぎて切ないのだが。


映画「ファーストラヴ」

2021-02-28 | 映画・テレビ・演劇・芸能

  直木賞を受賞した島本理生の同名サスペンス小説を映画化したもの。 ちょうど一年前にTVドラマで見た。父親を殺害した容疑で逮捕された女子大生の心の動き、変化、親子関係、「動機はそちらで見つけてください」という挑発的な言葉、「ファーストラヴ」と言うタイトルの意味…がよく理解できないまま、強く印象に残るドラマだった。

 さて映画は、北川景子主演、堤幸彦監督がメガホンをとる。 父親を殺害した容疑で女子大生・聖山環菜(芳根京子)が逮捕された。事件を取材する公認心理師・真壁由紀(北川景子)は、夫・我聞(窪塚洋介)の弟で弁護士の庵野迦葉(中村倫也)とともに環菜の本当の動機を探るため、面会を重ねるが、二転三転する彼女の供述に翻弄される。 由紀はどこか過去の自分と似た何かを感じ始める。

 環菜は父親とは血のつながらない父娘、「お前は俺に恩返しをしなければならない」と教え込まれて育つ。「言うことを聞かなければ戸籍を抜く」と脅され、強迫観念を持つようになる。画家である父親の絵画教室で、男性ヌードの横に小学生の環菜が座り男子画学生達のデッサンのモデルをさせられる。 母親も理解してくれず自傷行為を繰り返すようになる。

 就活の最中、父親の反対を押し切り女子アナの採用試験を受けるが、2次試験の集団面接で男たちにジロジロ見つめられるのがデッサン会とそっくりだった。耐えられず飛び出し、包丁で手首を切り自分を罰し、父親に確認してもらわないと、と父の美術学校へ行って、もみ合いとなり結果的に父を刺してしまった…。

 法廷で「殺してはいない」と証言した環菜。「大勢の大人たちが、私の言葉をちゃんと受け止めてくれた。そのことで私は救われました。苦しみ悲しみも拒絶も自分の意思も、ずっと口にしてはいけないものだったから。」と由紀に手紙を書く環菜の姿に涙が止まらなかった。親にも、周囲の人たちにも、誰にも信じてもらえず、うそつきだと言われ、自分でもおかしいと気づいてもどうすればいいかわからない…と思い続けた娘。 多くの性虐待を受けた娘と見て見ぬふりをする母親の事例は多いそうだ。

 公認心理師の由紀と弁護士の迦葉にも幼い頃に似たような過去があり、その物語はここでは省いたが映画(小説でも)では重要な要素になっている。


青年劇場「キネマの神様」

2021-02-16 | 映画・テレビ・演劇・芸能

 2/11()、青年劇場の「キネマの神様」を観た。 原田マハ原作、山田洋次監督で映画化される。お芝居の方は、高橋正圀の脚本、藤井ごうの演出である。
 東京、市ヶ谷界隈にある古ぼけた名画座「テアトル銀幕」を舞台に、映画を愛する人々の想いや暮らしぶりを描く。

 
 
「テアトル銀幕」は、近くに建つシネコンなど周辺の再開発の波に揺れながらも、馴染みの客たちに支えられ経営を続けている。 支配人の寺林新太郎(テラシン)は、何十年来の常連で趣味は映画とギャンブルと言う円山郷直(ゴウちゃん)が急病で倒れ、しかも多額の借金が発覚したことを知り、心を痛めている。 しかもゴウちゃんの娘が失職してしまった…。

 しかし、一通のメールから奇跡の物語が始まる…。80歳近いゴウちゃんが、ネットカフェでパソコンを習いながらブログを書き、大好きな映画について論じるのだ。 相手は、”ローズ・バッド”(Rose Bud・薔薇の蕾)と言う有名なブロガー。「ニュー・シネマ・パラダイス」や「フィールド・オブ・ドリームス」、「七人の侍」など、名画の名前が次々と出て来て論じられる。

 その当たりのセリフが早くて聞こえにくく(かなり後ろの席だったからもある)、ちょっと消化不良気味だった。最近はテレビも録画で見ることが多く、聞き取れないセリフを聴き直す習慣がついたらしい。
 
が、パソコンでポツポツと入力しながら意見を書き、英語の返事を翻訳してもらい、好きな映画について心置きなく語るゴウちゃんと、側面から助ける娘や若者たちとのつながりが温かく描かれていた。 スクリーンや回り舞台を活用し、文字で文章で意見を交換する場面や、大勢の観客が押し寄せる場面の演出が面白かった。

 原作を図書館で借りたところです。じっくりと読んでみます。


可愛い富山弁

2021-01-25 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 明日1/26(火)は、我が家の「家祈祷」の日の予定。が、ずっと除雪をしないので玄関前は相変わらずの積雪。ちょっと散らしてやれば早く融けるのだが、なかなか力が出ないのでそのままになっている。以前はお寺さんの車が入るように除雪したものだが…。(👇は数年前の写真、天神様の軸があるから25日前らしい。)

 結局、無理をせずにと思い、今年はお断りをした。ホッとしていると、千葉のasaちゃん(今は東京の娘さん宅に)から電話があった。映画「大コメ騒動」を観て来たよ、との報告である。娘さんとお姉さんと3人で観に行ったそうだ。新宿では上映しておらず、日比谷まで行ったとのこと。全国公開と聞いていたけど、やはり限られているらしい。トリ年の叔母さんと、私と同級生の母親を連れて、娘さんは高齢者大旅行の引率者だったのだろう。ましてコロナ感染を避けながら…(電車の中も食事中も沈黙だそうな)。
 富山県出身の俳優や富山弁の話を事前にしていたので、その話題で盛り上がった。お姉さんが「そう言えば、あんたいつも母親から 『ちゃべちゃべとそんなことせんでもいい』と言われとったね~」と子どもの頃の思い出話になったそうだ。

 今やっている朝ドラ「おちょやん」のルームメイトが富山県出身(の設定・実際は東京)で、ネイティブも驚くほど富山弁が上手。指導者が高岡出身だそうで実際には高岡弁らしい。asaちゃんは朝ドラはあまり見ないそうなので、是非に、と勧めました。
 👇 「そんなに いくそることも ないちゃ」などと事もなげに言う吉川愛ちゃんです。



楽しみな冬ドラマ~2本

2021-01-23 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 不要不急の外出自粛+北陸の大雪で、何日間も家に閉じ込められていた。ちょうどその頃スタートした冬のTVドラマ。初回が終わったばかりの2本を紹介します。
 一つは「天国と地獄~サイコな二人~」、もう一つは「俺の家の話」。 「天国と地獄」と言えば、誘拐事件を扱った黒澤明の映画が有名だ。モノクロ映画なのに、最後に赤い煙が上がる場面が衝撃的だった。
 一方TVドラマの方は、刑事と殺人鬼容疑者が入れ替わると言うもの。初回から入れ替わってしまい、この後ずっと入れ替わったまま話が進むらしい。まったくのオリジナル脚本(森下佳子)で先が見えず、今後の展開と役者の演技が楽しみだ。
 
 「俺の家の話」は人間国宝のシテ方能楽師が舞台で倒れ、家族や弟子たちが介護をする話らしい。こちらも、宮藤官九郎のオリジナル脚本。
 👇 観山流宗家(西田敏行)が車いすで能舞台に登場する。

 👇 能「羽衣」の序の舞を舞っていて突然倒れたのだ。

 宗家には、長男(プロレスラー・長瀬智也)、次男(弁護士・永山絢斗)、長女(塾講師・江口のりこ)の3人の子ども達と、芸養子(桐谷健太)がいて、幼い頃から父である宗家にお稽古をつけてもらっていた。

 ♪ それは天人の羽衣とて。たやすく人間に與ふべき物にあらず。もと乃如くに置き給へ ♪

 プロレスラーを引退して父の介護をしようと決心する長男と弟妹や弟子たちと介護ヘルパーの若い女性…。初回はそこまで。「羽衣」以外の能や謡、囃子が見られると嬉しいな、と思っている。

劇団青年座「横濱短篇ホテル」

2020-12-15 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 一晩で両肩が凝ってしまった。夜中ずっと無意識に縮こまっていたのだろう。昨夜はそれほど寒かったらしい。昨日朝方みぞれが降ったらしいが、夜のニュースで富山市の雪景色を見て驚いた。案の定今朝は我が家の周りも雪景色。初雪は例年より遅いとか…。

 さて、12/3,4日(木、金)に、劇団青年座の「横濱短篇ホテル」の公演があった。コロナ感染禍中での3回目の公演である。私たちは4日の昼公演を観た。劇作家マキノノゾミさんと演出家宮田慶子さんの久々のコンビ復活の書き下ろし作品だそうでまったくのオリジナルだ。
 劇団代表の森さんの紹介文を読むと、「18歳の女子高校生ハルコとフミコの年代記で5年ごとに芝居が進みます。構成は7つの短編としてオムニバス形式になっています。女優となるハルコは杉村春子さん、脚本家となるフミコは橋田壽賀子さんをイメージしています」と書いてある。
 
 ともかく初めての本のページをめくる気持ちで観はじめた。👇は、ポスター。

 舞台は、横浜の老舗ホテル。客室、喫茶室、ロビーラウンジで物語は進む。しかも5年ごとに…。
 まず、第一話「やくざに追われて」…1970年初冬。ハルコとフミコは同じ高校の演劇部員だ。二人は憧れの映画監督に会いにホテルの客室にやって来る。「やくざに追われて」と嘘をついて…。ハルコは映画監督に演技を見てもらうことに成功する。

 👇のボードのタイトルが各短篇のタイトルを表す。5年経つと(5年の間のポーズに寸劇が入り)、第二話「人間観察」…1975年夏、ホテルのラウンジ。フミコは映画監督に時間をとってもらい、シナリオを読んでもらう。


 このようにして、第三話「脅迫」、第四話「初恋の人」、第五話「離婚記念日」、第六話「プロポーズ」、第七話「ネックレス」…現在まで二人の30年間の人生を周りの人との繋がりを交えて描いて行く。
 え? この人あの太った高校の先生? 息子、こんなに大きく成長して…、旦那と離婚したのじゃなかったの? と言うように、変化するものもあれば変わらないものもあり…、それぞれが自分の人生を送って来たな~としみじみ感じる。テンポが良くて説明たらしくなくて快いリズムで楽しめるお芝居でした。

試写会「大(だい)コメ騒動」

2020-12-06 | 映画・テレビ・演劇・芸能
 102年前の魚津の「米騒動」に基づく大痛快エンターテインメント!との触れ込みで作られた、本木克英監督の最新作映画である。「釣りバカ日誌」や「超高速!参勤交代」のような喜劇なのか、それとも歴史ものなのか? ともかく本木監督も富山市出身だし、その他大勢の富山県出身俳優が出演するので顔ぶれを見るだけでも楽しみだと思っていた。1月1日先行上映と聞き、お正月映画にちょうど良いと思っていたら、ノリちゃんから電話で、試写会に申し込んだら当選したと誘われた。 12/3(木)、平米のお稽古の後イオンの映画館へ、姫さんと待ち合わせる。

 1918(大正7)年、富山県の貧しい漁師町で起こった「米騒動」。魚津の名前は出てこない。あくまでフィクションになっている。これが発端となり全国に広がった米騒動は、当時の寺内内閣を退陣させるまでに大きな力を生み出していく。
 
 3人の子を持つ”おかか”であり、米俵を浜へと担ぎ運ぶ女仲仕として働く松浦いと(井上真央)は、17歳で漁師の利夫(三浦貴大)のもとへ嫁いで来た。小さな漁師町で暮らすおかか達は、仲仕の仕事をしながら夫のために毎日一升の米を詰めた弁当を作り漁へと送り出していた。
 ある日、高騰する米の価格に頭を悩ませたおかか達は、米の積み出し阻止を試みる。失敗に終わるがその騒動は新聞に大きく報じられ、全国へ広がっていくのだ。

 富山県出身の俳優は、室井滋、立川志の輔、左時枝、柴田理恵、西村まさ彦などが出演し、他の俳優さん達も実に上手い富山弁を聞かせてくれ嬉しくなった。「だら~」やら「ちゃべちゃべと」などと…。

 4,5年ほど前に、歴史散策の旅で魚津市を訪ねた。元魚津城の本町小学校、松倉城跡なども回った。その時を思い出しながらネットの写真を紹介します。
 👇は、旧十二銀行米倉。

 👇 現存する米倉庫。中を見学させてもらったものだ。映画でも模した建物が使われていた。ここから浜辺の小舟まで米俵を担いで運ぶ重労働が仲仕の仕事だ。




 おかか達は、町海岸の十二銀行の米倉庫前に集まり、「米の値段が高くなるのは、北海道や樺太へ米を持っていくから魚津に米が無くなるのだ! 米を旅に出すな~。もう我慢できん!」と、米の積み出しを止めるように要求した。
 日本の近代史を語る上で、大きな事件である米騒動に関する遺跡は全国的に少ないそうだ。魚津では、この地を米騒動発祥の地として顕彰している。
 
 👇 海岸に建つモニュメントや案内板。   



 映画は、県民のひいき目かもしれないがとてもわかり易く面白かった。真央ちゃん、室井さんなど女優陣が熱演だった。