Ruby の会

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映画「ファーストラヴ」

2021-02-28 | 映画・テレビ・演劇・芸能

  直木賞を受賞した島本理生の同名サスペンス小説を映画化したもの。 ちょうど一年前にTVドラマで見た。父親を殺害した容疑で逮捕された女子大生の心の動き、変化、親子関係、「動機はそちらで見つけてください」という挑発的な言葉、「ファーストラヴ」と言うタイトルの意味…がよく理解できないまま、強く印象に残るドラマだった。

 さて映画は、北川景子主演、堤幸彦監督がメガホンをとる。 父親を殺害した容疑で女子大生・聖山環菜(芳根京子)が逮捕された。事件を取材する公認心理師・真壁由紀(北川景子)は、夫・我聞(窪塚洋介)の弟で弁護士の庵野迦葉(中村倫也)とともに環菜の本当の動機を探るため、面会を重ねるが、二転三転する彼女の供述に翻弄される。 由紀はどこか過去の自分と似た何かを感じ始める。

 環菜は父親とは血のつながらない父娘、「お前は俺に恩返しをしなければならない」と教え込まれて育つ。「言うことを聞かなければ戸籍を抜く」と脅され、強迫観念を持つようになる。画家である父親の絵画教室で、男性ヌードの横に小学生の環菜が座り男子画学生達のデッサンのモデルをさせられる。 母親も理解してくれず自傷行為を繰り返すようになる。

 就活の最中、父親の反対を押し切り女子アナの採用試験を受けるが、2次試験の集団面接で男たちにジロジロ見つめられるのがデッサン会とそっくりだった。耐えられず飛び出し、包丁で手首を切り自分を罰し、父親に確認してもらわないと、と父の美術学校へ行って、もみ合いとなり結果的に父を刺してしまった…。

 法廷で「殺してはいない」と証言した環菜。「大勢の大人たちが、私の言葉をちゃんと受け止めてくれた。そのことで私は救われました。苦しみ悲しみも拒絶も自分の意思も、ずっと口にしてはいけないものだったから。」と由紀に手紙を書く環菜の姿に涙が止まらなかった。親にも、周囲の人たちにも、誰にも信じてもらえず、うそつきだと言われ、自分でもおかしいと気づいてもどうすればいいかわからない…と思い続けた娘。 多くの性虐待を受けた娘と見て見ぬふりをする母親の事例は多いそうだ。

 公認心理師の由紀と弁護士の迦葉にも幼い頃に似たような過去があり、その物語はここでは省いたが映画(小説でも)では重要な要素になっている。


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