子どもの頃に、「ああ 無情」を読んだ。ジャン・ヴァルジャンの話だ。フランスの文豪、ヴィクトル・ユーゴーの原作。”銀の燭台”として独立した読み物もあった。そして”コゼット”。預けられた宿屋で下女として働いており、森へ水汲みに行かされた帰りに、迎えに来たジャン・ヴァルジャンと会い、養女になる。彼はマドレーヌと名を変え市長になっている。街中で重い荷馬車の下敷きになっている老人を、荷馬車を肩で持ち上げ助け出す。これを見たジャベール警部は…。この辺までの話は知っていた。そう、マリウスという青年が現れることも…。
が、十数年前、帝劇でミュージカル「レ・ミゼラブル」を見て、こんな話だったのかと、スケールの大きさに驚いた。今はキャストさえ覚えていないが、舞台中央にバリケードが築かれ、その前で若者たちが歌う革命の場面に圧倒されたものだ。
いつの頃からか、ミュージカルが好きになり、帝劇では、「エリザベート」、「モーツアルト」、「レベッカ」、「マリー・アントワネット」、日生で「コーラスライン」、五反田で「キャッツ」、京都で「オペラ座の怪人」…、数えだすとずいぶん多く見ているな、と今更ながら思う。
「ケイル」での新年会の後、YAさんに「レ・ミゼラブル」見に行かない?と誘ったら、すぐさまOK。小2のお孫さんが、見ている間泣き通しだったそうだ。次男さん家族4人で見に行かれた時のことだ。YAさん曰く、「字幕だし、どれほどわかったのかね~。」 でも、小さな子供にも、心は伝わるのですね。
1/11(金)、10:20上映。2時間50分。休憩なし。↓は、高岡イオン映画館前。19日より上映予定の「東京家族」のポスターが貼ってある。 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/14/e7/e0f13b53895dc24919174fee4f80dcc9.jpg)
見ている間中、涙がじわじわと…、私もYAさんのお孫さんと同じだった。やはりこれは音楽の力だろう。普通のミュージカル映画と違い、この映画では俳優が演じながら歌ったそうだ。普通は歌は事前に吹き込み、演技の時は口パクだそうだ。したがって俳優はその場に身を置き、役を演じながら歌うから自然な感情が表現できる。
また、舞台でのミュージカルは、ソロは聞かせどころ。あまり動きはなく、歌を聴かせる。終わると当然拍手が沸くし、ブラボーの声も上がる。映画ではそれはない。ソロはたくさんあるが、物語の中で歌う。会話もあれば、独白もある。心の声もある。実際、セリフはほとんどなかった。すべて歌だった。しかも、メロディが美しい歌と言うよりは心に響くナンバーばかり。
まず、ツーロン監獄での「囚人の歌」で始まる。過酷な労働、ジャベール警部の監視の中。”Look down .目を合わせるな” 力強い合唱だ。
司教に、銀の燭台もお持ちなさい、と言われた後のジャン・ヴァルジャンの心の叫び「独白」。コゼットの母、ファンティーヌがコゼットに仕送りするため売春婦に落ちぶれ、悲しみの中で歌う「夢破れて・I Dreamed a Dream 」。水を汲みに行くコゼットが歌う「雲の上のお城・Castle on a Cloud」も可愛らしい。↓は、宿屋のテナルディ夫婦からコゼットを引き取るジャン・ヴァルジャン。 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/da/80df8f8fbaa08db0b8f819d300e89fc8.jpg)
歌詞はすべて英語、(フランス革命をFrench Revolutionと言うのが滑稽なほど)ゆっくり歌うし、字幕が出るからわかりやすい。時代はフランス革命の後、王政復古があり、市民革命が起こる1800年代。学生達が中心となり市民も交え、バリケードを築いて蜂起する。「7月革命」だ。その中に青年マリウスがいる。コゼットが預けられていた宿屋のテナルディ一家もいて、娘のエポニーヌはマリウスに心を寄せている。だが、マリウスはコゼットを一目見て恋してしまう。(↓は、バリケード) ![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/0f/4589f1d97019e0e5525208b5fbbadbc1.jpg)
ここで歌われる歌が、「民衆の歌・Do You Hear the People Sing?」、「カフェソング赤と黒・Red and Black」、「ワン デイ モア・One Day More」。
エポニーヌが、マリウスの手紙をジャン・ヴァルジャンに届けた後、切々と歌う、「オン マイ オウン・On My Own」。この歌が素晴らしかった。銃に撃たれたエポニーヌがマリウスの腕の中で歌う、「恵みの雨・Little Fall of Rain」。なはさんがこの歌の歌詞についてブログに書いておられたので、耳を澄ませて聴いた。
♪・・・And rain will make the flower grow. そして雨は花を育てるの…♪と歌い、息をひきとる。
他にも、ジャン・ヴァルジャンの心の葛藤を歌う、”Who Am I ?”など、印象に残る歌がたくさんあった。市民革命は失敗し、学生たちは全滅する。傷ついたマリウスを担ぎ、地下水道を逃げるじゃん・ヴァルジャン。ずっと自分の過去を隠し、コゼットを生きがいに生きて来たジャンは、彼女をマリウスに託し姿を消す…。
さて、このバリケードの傍にいた白い象が気になった。YAさんも、アレ、今はないよね。調べたら、「バスチーユの象」と言うそうだ。ナポレオンが作った。彼は青銅で作りたかったが石膏になったそうだ。ちょうどその時代に建っていてユーゴーの原作にも出て来る。
映画の後は、シネマでグルメ。5%引きの「カプリチョーザ」で、レディスランチを食べた。ガーデンサラダ、YAさんはピッツア、私は茄子とほうれんそうのスパゲッティ、デザートとコーヒー。 ![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5f/27/7ef41a9e27caf544a564c0abd08be166.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/68/14/1be29158f86496450e4957a8d3fea393.jpg)
音楽が好きな人にはお薦めです。合唱、ソロ、デュエット、重唱、かけ合い…歌の面白さを楽しめます。ダンスはありません。
キャスト:ジャン・ヴァルジャン:ヒュー・ジャックマン、ジャベール:ラッセル・クロウ
ファンティーヌ:アン・ハサウエイ、コゼット:アマンダ・サイフリッド
マリウス・ポンメルシー:エディ・レッドメイン
エポニーヌ:サマンサ・バークス
監督:トム・フーパー
イギリス映画