日本国内には、中国製品が溢れ、サムスンやヒュンダイの台頭によって、家電、自動車などで猛追をうけ、日本国内の工場が海外に移転したことで、空洞化が進み、
多くの最先端エレクトロニクス製品で、日本メーカーのシェアが急低下しているといった、暗い話ばかりが、目についた時期がありました。
しかし、それなら、どうしてアジアのライバル国にたいして、日本がここまで、貿易黒字を確保していられるのだろうか?
実のところ、日本の最終完成品生産のうち、量産のものは、ほとんどアジアに生産シフトしている。
一方、日本国内では、ハイテク素材、ハイテク部品、ハイテク機械に『特化』して製造され、それらが輸出されていること、
さらに、こうしたハイテク素材などは、アジアメーカーに容易に追いつかれないため、「価格主導権。」が、日本国内メーカー側にあることなどが、貿易黒字の背景にある。
つまり、価格競争にさらされるものは、その大半が韓国企業などに、シェアを奪われているが、品質優位、技術優位で製造されている、高付加価値製品の分野では、まだまだ、日本企業の優位性が、際立っているのである。
しかも、この手の高付加価値製品は、今のところ、価格競争に巻き込まれていないため、ユニット・レーバー・コストの削減に、取り組む必要もない。
このように、日本企業にとっては、非常に良い『条件』が、揃いつつあるだけに、日本経済は、高い成長率を実現する可能性が、高く、先行きは、明るくなる可能性が高い。
“失われた20年”といわれた、日本経済だが、2013年は、いよいよ、これまでの努力が、報われる年であった。
まず、何といっても、日本企業が大幅な「スリム化。」を果たしていることが、大きい。
何しろ、日本企業の「ユニット・レーバー・コスト。」(生産1単位当たりの賃金)は、過去、類を見ないほど、「低水準。」になっている。
この効果が、見えにくかったのは、同時に円高も進んでいたからだ。
しかし、非常に注目される数字だが、日本の対主要国貿易収支の推移をみると、対中国・香港、対韓国、対台湾において、日本は圧倒的に貿易黒字を、稼いでいるという事実がある。
アベノミクスは、「何もしない。」(マジック)うちに、1ドル=105円までの円安(30%)、日経ダウ16000円の回復を実現(イリュージョン)しました。
そして、「経済再生」「成長政策」「雇用の創出」「社会保障の健全化」「安全保障の見直し」などについては、矢継ぎ早に、具体的な政策として打ちだされましたす。
平成・冬の陣に勝利した、安倍総理の「戦略目標。」(ターゲット)は、明らかに文字通りの夏の陣・7月の「参院選挙。」に照準が設定されており、見事に実現しました。
これは、マスコミ・コメンテーターの報ずる「規制緩和、地方分権…。」などの世論(=おおむね、世論の『真逆』が正しいのであるが…)の風(マスゴミの作り出す『空気』)を意識している動きでも分かります。
そして、「インフレターゲット。」論者のシーラカンス・浜田宏一エール大名誉教授を内閣官房参与に、「規制緩和。」の三葉虫・伊藤元重、浦島・竹中平蔵などを、諮問委員会メンバーにしていることから、安倍総理は、「『確信』犯。」的に、『世論』に対応しての「アベノマジック。」を継続していたのだと思われます。
安倍総理の本心は、各党が、衆院選で掲げた「規制緩和、地方分権、参院廃止、首相公選、TPP参加…。」(世論か?)とは、『真逆』であると思っていたのですが…!??
『利益』=『金利』という概念であるとすれば、Iさんの「新・経営理論。」が、どのように構築されてくるのかを、楽しみに待望したいものであります。
さて、「戦わない経営。」については、ドラッがーが「事業とは、顧客の『創造』。」と言うように、スターバックス、前川製作所のように、他社との競合のない(世に役に立つ)分野(オリジナル・ワン商品・サービスの開発)に、事業を展開するということになりましょうか…?
そのような分野(知恵の創造・戦わずして勝つ―孫子)は、「大規模に存在(発見)しない、のではないか?」ということで、既存する分野に価格競争で、突入しているわけでありましょう。
しかし、この「過当競争。」・価格低下競争は、「デフレ化。」を呼び、これこそが企業をして、「創意工夫の技術革新。」を生み出す『源』になることは、別ノート「風・桶シナリオ。」であります。
・企業は「利益」を上げなければならない宿命をもっており、「我欲」にならないように、(『まわりの幸せを実現する=真理』からはずれないように)コントロールする仕組みが必要です。
その一つの方法として、会社が「経営理念」を定めて、経営の行く道・選択の方向を指し示すことも、大事だと考えます。
(2)、安倍政権は、「デフレ脱却」、「インフレターゲット2%」などと言わないで、「経済再生」「成長政策」「雇用の創出」「社会保障の健全化」「安全保障の見直し」などを宣言するやり方で、船出をする方法もあったのでしょうか?
の2点のご意見について、私見を述べてみます。
(1) 小林(宏)先生は、「人は、生きているかぎり、働かねばならないのだ。」としていられました。
「人が、生きている。」、「働くとは?」、「仕事とは何か? その真理(意味・本質)は?」など、考えるとそれぞれ深いもの、と言えます。(他ノート)
私は、会社とは、「世に役立つもの・サービスを、提供するもの。」ということ(理念?)で良いと思っています。
また、Iさん言われるように、「利益は、売上から、仕入れ先、従業員、地域社会などに、お金を払い、残ったもの(うんこ)。」であると考えています。
企業の経営戦略は、「潰れないこと。」でよい、と思っており、『利益』はそのための必要条件ではありますが、企業目的(十分条件?)ではないと考えます。 (メガネ21とか)
さらに、利益=株主資本調達コスト(第2の金利)であり、これが、高金利(ROE8%要求とか)であることは、大変に強力な「金融引き締め。」が行われていることになります。
そこで、『利益』追求が、「デフレの真犯人だ。」というのです。
ROE=株主資本利益率(Return On Equity)であり、ROEの改善=株主の取り分(利益)を増やせということは、会社にとって、利益(株主資本調達コスト=費用)は、『金利』ということになります。
そこで、世界標準のROE=8%とすれば、「8%という高金利による、金融引き締め。」が、継続していることが、「デフレ。」の「真犯人。」なのであります。
大企業の資金調達の内訳をみると、『負債』は406兆円、「株主資本。」は305兆円で、これで、711兆円の資産を支えている。
株主資本は、総資産の43%です。
企業の支払金利は、1991年度の38兆円が、2006年には10兆円にまで減っていた。
もちろん、金利が低下してきたからであります。
しかし、純利益は、バブル経済のピーク時1989年度の18兆円を上回り、2006年度は28兆円にまで増えていました。
株主にとっては喜ばしいことだが、これは企業にとっては、『金利』(資本調達コスト)が上昇していたということであります。
企業は、『利益』追及のために、リストラ、経費節減、海外移転などを行うため、【 会社とは、「世に役立つもの・サービスを、提供するもの。」ということ(理念?)】に反して、「売上高=国民のウェルフェア。」の減少となりましょう。
日銀に「追加緩和。」を要求し、企業には「ROE。」(金融引き締めと同義)という組み合わせは、おかしくはないかというのです。
この需要不足の時代、失業者が目立つ時代に相応しいのは、「脱ROE経営。」であり、売上高(世に役立つものの総和)の「極大化。」を目指すことであろうと考えます。