今日、「世界は基本に向けて大きく変わるであろう。」と表されており、このことは、これまでの底の浅いプラグマティズムの弊害が様々な面で顕在化することでありましょう。
つまり、これまでプラグマティズムでうまくやってきた国々が次々と没落しはじめるということだ。
ところで、プラグマティズムとは、実用主義、道具主義、実際主義などと訳される考え方であります。
経験不可能な事柄の真理を考えることはできないというイギリス「経験論。」を引き継ぎ、物事の真理を実際の経験により判断し、効果のあるものは真理であるとするもので、哲学上の諸問題を「非哲学的。」な手法で探求する思想と言える。
つまり、底の浅いプラグマティズムとは、近代においては、イギリスからはじまりました。
ヨーロッパにおいて、スペイン、ポルトガル、ドイツ、フランスなど大陸の諸国が次々と没落していったのに対して、イギリスの勢力がどんどん拡大していくいちばん大きなきっかけになったのは、大陸の人たちの「理屈っぽさ。」に比べて、いろいろと応用して、その場しのぎ、「出たとこ勝負。」で、現実に即してやるのがうまかったのである。
そのイギリス的な場当たり主義をさらに発展させてきたのが、もともとはイギリスの植民地だったアメリカである。
そして、イギリスのプラグマティズムをさらに徹底的したのが、アメリカであった。
中国もまたアメリカと同様にプラグマティズムの国である。
イギリスが勢力を拡大してきたのは、たかだか400~500年前からの話であるが、中国は、1千年以上も延々と、一見合理的にも見えるが、実は弊害の多いプラグマティズムを貫いてきた国である。
1990年代初めに消滅したソ連・東欧圏というのは、イデオロギー主導の国家群だった。
そういう意味で、1980年代までの東西対立は、東のソ連・東欧圏がイデオロギー主導型、西のアメリカを始めとする市場経済諸国がプラグマティズム型という、分かりやすい対立だった。
現在は、西も東もプラグマティズム全盛となっている。
だが外敵は見当たらなくなってしまった思想潮流は、ほぼ必然的に内部から崩落していく。
その最大の前兆は、今や東西両陣営を導いているアメリカと中国がそれぞれのスタイルで、押しも押されもしない金健国家の東西両横綱になっているという事実だ。
ここ数年のうちには、このアメリカ、中国がもはやどうしようもない行き詰まりの局面に直面するでありましょう…。