<構造変化への対応>
景気の転換点が、正確にできるマクロモデルは、あまりありませんが、構造変化ついては、既存の理論やモデルは、殆ど手も足も出ません。
・二つの構造変化
一つは、グロウバリゼイション。
日本の場合は、東アジアとの経済統合が、進んでいます。
各国の実物経済面でのリンクは、輸出と輸入、金融面でのリンクは、資本の流出入です。
東アジアの経済統合は、グロウバル化した企業の収益を押し上げ、景気拡大のエンジンになりますが、乗り遅れた企業や個人の収益や賃金は、下がる可能性があります。
いわゆる、二極化現象です。
・東アジアの生産ネットワ~ク
80年代中頃から、中国を中心に、東アジアの生産ネットワ~クが形成され、東アジアの輸出構成も、大きく変わりました。
かっては、鉱物資源等の輸出がかなり大きかったのですが、自動車や機械部品などのシェアが、圧倒的に増え、東アジアは、ハイテクの輸出国へ変貌しています
この生産ネットワ~クの形成は、日本の素材産業や部品製造業の輸出を、急速に活発化させ、その結果、鉄鋼や自動車部品などの産業が、日本の景気拡大のエンジンになったのであります…。
・日本経済の強みとは
生産ネットワ~クの形成によるメリットは、構造的なものですから、東アジア諸国のコストが、インフレで急上昇しない限り、今後も続くはずです。
企業も一つの共同体だと考える、日本型経営は、其れなりの良さも持っています。
日本経済のもう一つの強みは、エネルギ~効率が、アメリカや中国などに比して、圧倒的にいいことです。
さらに、個別企業が持っている環境関連の技術力の高さも、日本の強みです。
次に、1990年代半ばから顕著になった、いわゆるデフレは、東アジア、特に中国との経済統合が、急速にすすんだことによって起こった構造的なもので、国内の需要の低迷によってもたらされたものではありません。
アベグレンは、この十年は、日本企業・日本経済全体にとっても、「再設計の十年だ。」と述べています。
「経済統合。」によって、コストの削減が可能になり、物価の安定、いわゆるデフレが実現しました。
また、それをテコに、日本の東アジアに対する輸出は、急速に拡大し、この輸出 がエンジンになって2000年代の長い「景気拡大。」がもたらされました。
景気拡大とデフレが、同時に進行したのです
日本企業とし、対処すべきことは、明らかである。
(1)「原油生産能力拡大に向けた、上流部門の効率的な投資の拡大」
(2)「代替エネルギ~の開発」
(3)「省エネ社会や環境に、優しい社会に向けた研究開発、設備投資及び製品・サ~ビス投資の促進」