<柳井ユニクロ『失速』の真相(その3)。「早く世界へ。」という焦り>
「2020年8月期の売上高目標は、5兆円。 米国で1兆円、欧州で1兆円、中国とそれ以外のアジアで2兆円など、海外で計4兆円。」。 柳井社長の掲げる海外展開の構想は、10年来、ステップアップし続けています。 (ところが先日、売り上げ目標を3兆円と大幅ダウンさせた! どうしたんだ!??)
当初、米欧で1兆円だった目標を、各1兆円に2倍にまで拡大したのは、その典型であります。
日本市場での不振から、「早く世界へ。」という焦りが見てとれます。
グローバル展開で、最も重要な人材については、今後、毎年の新規採用の半分以上を海外で行うということであります。
海外駐在と外国人の採用増に対応して、社内公用語を英語に変えることを実施しています。(これが、墓穴を掘ることになります!)
十分な素地や準備もない国内人材を海外拠点に放り込み、十全な店舗経営や組織運営ができるほど、海外事業が甘くないことは戦後、多くの企業が海外で苦戦し、損失を出したことが証明しています。
海外売上比率が70%以上、本社役員の過半が外国人といったコマツなどグローバル化した日本企業は、半世紀近い時間を費やして、人材を育て、組織として経験を蓄積し、企業体質を変えてきたうえで今日があります。
今のユニクロは、トレーニングも積んでいない中年男子が、いきなりフルマラソンで2時間台の記録を出そうといった無謀さを感じざるを『得な』いのであります。
ロンドン中心部で、世界の多彩ブランドが並ぶリージェント街に、ユニクロの店舗があります。
そこに掲げられた著名な日本のデザイナーが描いた、片仮名の、『ユニクロ』のロゴには、旅行で訪れた日本人すら、違和感と醜悪さを感じざるを得ないのであります。
通りの店は、リージェント街の雰囲気を壊さないために、アラビア語やキリル文字、漢字など異質なものを掲げていないからであります。
スターバックス、マクドナルドも色調を落ち着いたものに変え、配慮しているのです。
ユニクロだけが、我が物顔で、カタカナを前面に出し、リージェント街の空気を乱しているのです。
今のユニクロのグローバル感覚とは、この程度のものにすぎないのでありましょう。
ユニクロは、グローバル展開の前に、衣料品のSPAとしての基本的な力量を高めるべきであります。
ベーシックに戻るべきは、ユニクロという組織、『そのもの』でありましょう。