蒼穹のぺうげおっと

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ガンダムSEED DESTINY 第31話 「明けない夜」 感想

2005-05-22 03:08:31 | ガンダムSEED DESTINY
今回はこれから動き出す展開を前にそれぞれの立ち位置を再確認させるような台詞が散りばめられた凄く重要な回だったように思えた第31話「明けない夜」。
また因果応報を意識しているSEEDシリーズにあって、その因果の帳尻に照準が合って来てしまっているシンとステラたん。
これはマズイよぅ・゜・(ノД`)・゜・。

■シン

司令部にも、オレの事分かってくれる人はいるみたいです
アナタの言う正しさが、全てじゃないって事ですよ


アスランの「それじゃあ何の解決にもならない」という問いに対して答えを持たないまま、シン自身は上層部がシンを認めたという事実に、(アスランという過去のエースよりも)今は自分がエースであり、自分が正しい、自分は正しいことをしたんだ、と本質を捉えきれぬまま増長してしまうシン。

これはマズイです。
SEEDの時から今までずっとこの作品は一貫して因果応報はある程度きちんと描いている(というかむしろテーマを描くためにそこはきちんとしてきている)ので、完全に因果の照準にロックオンされています。

シン的正しさとは?
上層部の決定はステラたんを逃がしたことに対して証明されたということではないわけで、シンが自分で言っているように軍人なんだから(それを覚悟して)敵を撃つ、そちらの正しさが証明されてしまう、つまりそれがシン的正しさの帰結する道になってしまっているというのが皮肉です。

これまでシンの戦闘描写がキラ・アスランと徹底して比較して描かれてきただけに、敵ならば討つ、として描いてきただけに、次週のステラたんとの再会はシン本人が知っていようがいまいが、その因果応報の一点に収束していく、これを描くために30話を費やしたと言っても過言ではない状況に突入しそうな気配濃厚です。

ここからは余談に近いですが、シンを無罪放免にした議長ですが、やはりこれはシンを対キラ用の駒として温存したい、そういう思惑が見えますよね。
いずれ邪魔になってくるであろうキラへの対抗の駒、それが議長から見たシンの位置付けなんでしょうね、今のところ。
デストロイとの悲劇対決はフリーダムも噛んで三つ巴になりそうな気配ですが、ストライクフリーダムへの改修がタイミングがあるとするならば、そしてデスティニーへの乗り換えのタイミングがあるとするならば、この三つ巴の結果によりそうですね。
シンがキラに逆恨みして、ストライクフリーダムとデスティニーの対決(それを煽るように議長がシンにデスティニーを渡す)という展開は何となく考えられるところ。

■レイ
ただ祈って明日を待つだけだ、俺たちは

シンとアスランの感情と理論の答えの出ない口論に釘を刺したレイの一言。
これはクルーゼの諦念に通じる台詞なんですが、これは後々の対比表現になってくるんじゃないかと。

特に今回はカガリの台詞とキラとマリューさんの会話から「諦めない」という言葉が出ているだけに、レイという存在を通じて作中何らかの対比が行われてくると思われますね。

第29話で「FATES」というタイトルで総集編をやった意味を考えると、運命に抗う、運命を切り拓いていく、というのがポジティブメッセージとするなら、今回のレイは運命に流される、そのまま受入れるというネガティブメッセージとして対比される可能性がありますね。

ただクルーゼ自身も自分の生に何らかの意義を見出そうと足掻いていた姿と、諦念を見せつつもステラたんを逃がすシンに手を貸すあたりに、やはり似たものを感じますね。
おそらく「諾々と受入れているだけ、流されているだけ」でいいのか?というような問い掛けがくるんじゃないかと思うのですが、これはラストあたりで再度レイに議長絡みでスポットが当たってくる大きな伏線じゃないかと思ったり。

■カガリ

まだ間に合うというのなら
お父様のように常に諦めぬ良き為政者となることによって


今回初めてカガリの口から「為政者」というキーワードが出てきました。
第2話感想の時から僕は個人的に今作ではカガリの「為政者」として成長を見てみたいとずっと言ってきたので、今回これほど嬉しいことはない、そんな気持ちでした。
やっぱり「オーブの獅子を越えて行け」なわけですよ。
#先週のシャワーシーン、タリアさんだと言う意見が大勢を占める中で僕はあれはカガリだったと思いたい。
#(それは胸がでかくなったカガリが良いという意味ではなく(笑))あれはカガリが「為政者」として起つことを決めた決意の表情だったと理解したいので。

また、嬉しいことに「時が来たら」という表現にもあるように、(オーブ軍の人が言った)セイランを討つとか、連合を討つでは解決しないということをちゃんと理解していて、まだ自分の中にもその答えが出ていないことを自覚しているんですよね。
#今力を借りても、今回の二の舞だみたない。

つまりカガリのシンデレラカーブの上昇はここから始まるわけで、第4クールあたりはかなり盛り上がること間違いなし。
レイの「祈るしかない」に対して、「常に諦めぬ」という対比表現、ここもポイントになってくると思われます。

個人的にこういうのをやって欲しいと言っていた中で、
・個人レベルのカテゴリ脱却から国レベルでのカテゴリ脱却が見たい
 この部分は第5話の感想あたりからずっと言ってて、第30話でやってくれたので、これは鳥肌立つくらい嬉しかった。

・カガリの為政者としての成長が見たい
 これもシンデレラカーブは上昇局面に入ってきたので期待大。

そして是非やって欲しいとずっと思っているのが、

・国と国をつなぐ、そして立ち上がる、そういう展開がみたい
#今回スカンジナビア王国が出てきたのもポイントで、これも最初からの布石にはなっていると思うんです。

SEEDの時は3隻しか集まらなかった。
なら、DESTINYをやるならば、「想いを同じくした人」を集めて、それが国レベルで描かれるとするならば、これほど熱い展開はないと思うんですよね。
第11話あたりからずっと思ってるんですが、やってくれないかなぁ、これ。

今作では「想いを同じくする人を集めて」というキーワードが議長やトダカさんからも聞かれているので、前作では個人レベルで脱却してきたカテゴリを、今作ではもっと大きい単位で実現して欲しい、そう思ってます。
#それが成ったときはたぶん泣くと思います。

■キラとマリューさん

僕達が間違ってるんですか?

キラが悩んでいる姿は好印象。
やはりキラにはこういう悩みながらの描写が必要だと思っていたので、今回は特にセイバーを討ったことを気にしていたわけですね。

そこを支える大人としてのマリューさんが素敵。

でも大切な誰かを守ろうとする事は
決してバカげた事でも、間違った事でもないと思うわ

でもね、大切な人がいるから世界も愛せるんじゃないかって、私は思うの
きっと、みんなそうなのよ
だから頑張るの
戦うんでしょ
ただちょっとやり方が、というか思う事が違っちゃう事もあるわ
その誰かがいてこその、世界なのにね

アスラン君もきっと守りたいと思った気持ちは一緒のはずよ
だから余計難しいんだと思うけど
いつかきっとまた手を取り合う時が来ると思うわ
あなた達は
だから諦めないで
あなたはあなたで頑張って


DESTINYにおけるマリューさんはポジションが確立していることもあって、非常に良いですね。
迷っているときにこういう大人からの言葉は重要ですからね。

そしてここでも「諦めないで」という言葉が出てきましたね。
これこそ「FATES」に抗って、「DESTINY」へ変えていく、そういうキーワードなんですよね。
それを作中大人ポジションとしてマリューさんに語らせるというのが熱いです。
#「あの時は本当慌てたわよ」は絶対ラクスを返したシーンのことですよね。ふふ。

■ステラたんとデストロイ

やっつけなきゃ
怖いものは
全部


因果の帳尻が合ってきてしまう、あそこまでやって許されるわけがない、シンの因果との照準が今ピタリと重なってしまうよ・゜・(ノД`)・゜・。
というのが今回の偽らざる感想。

シンのところでも書きましたが、けっこう因果応報はきちんと描くSEEDシリーズ。
今回やばいです。あそこまでやったんですか。やばいです・゜・(ノД`)・゜・。
#つか、ボナパルトでロシアの組み合わせがそもそも何かを暗示しているとしてか思えない。
#でもボナパルトって言ったら士郎正宗のドミニオンだよね、と思ったのは内緒です。

それにしてもデストロイ凄いな・・・。
ビグザムとジオングと巨神兵を足して3倍したような破壊力ですね。
ほんとに7日間くらいあったら世界を火の海にしそうです(作品違)。
つか、OSの文字からして強烈。

■最後にネオ

ステラの方が効率が良いと・・・
データ上でな


ここ、BGMも切ないんですが、語尾から察するにネオ自体はそろそろ自分の行動に不信感というか、納得できない感じが募ってきてますね。
ひょっとすると強化人間を一番人間として扱っているのはネオなのかもしれないですね。
強化人間は戦場でしか(設備も投薬も無しでは)生きられないから、ならせめて生き残らせようとするのかも。
これはまたシンとは違うアプローチですよね。
これを大人ととるか?それともそんな大人というカテゴリは納得できないと離反してくるか?
ここにもまたひとつドラマありそうです。
#マリューさんの台詞の中に「大切な人」のところにムゥの回想が入るのは泣けます。
#やはりこれはそういう伏線なんだろうなぁ。

つか、第1話の感想書いた時からフォウのようだと言っていたのが現実になりそうでかなり欝です・゜・(ノД`)・゜・。