どうせ総集編をやるならいつもこれくらいのテーマ暗示を入れるくらいやって欲しい、総集編とは言え結構な意味を持たせてきた第29話「FATES」。
作品タイトルである「DESTINY」と今回の「FATES」、同じ「運命」を意味する言葉だけれども、その微妙なニュアンスの違いや、「FATE」ではなく「FATES」と複数形にになっている点、また総集編の中で敢えて「このシーン」を選んできた制作者サイドの意図を考えると総集編とは言え、結構興味深いです。
■「DESTINY」と「FATES」
同じ「運命」を意味する言葉なんですが、二つのニュアンスは微妙に異なっていますよね。
まず今回のタイトルである「FATES」ですが、これは「人間の力でいかんともしがたい不可避な運命」を指していて、「不運な宿命」を意味する、どちらかと言うとネガティブな要素があるんですよね。
その意味で「不運な宿命」の意味を集約した台詞が、
願いは叶わぬものと知った時、我等はどうすればいい?
それが運命と知った時に
だったのかなと。
また「不幸な宿命」に追い討ちをかけるかのようなクルーゼのこの台詞
救いとは何だ?
望むモノが全て、願ったモノが全て叶う事か?
こんな筈ではなかったと、だから時よ戻れと祈りが届く事か?
ならば次は間違えぬと、確かに言えるのか・・・君は?
誰が決めたというのだ・・・何を?
徹底した虚無論者のクルーゼなんですが、そのクルーゼ自体も結果的に自分の存在の意味を問うために仕掛けていたというのは皮肉が利いていて、彼もまた「ヒト」なんだなと思えた瞬間で、彼もまた「FATE」に抗うものだったのかなと。
そして議長もまた「FATE」に抗うものの一人だった(つまりFATES)というのが何気に熱い
ならば私が変える、全てを
戻れぬというのなら、初めから正しい道を
アデニン、グアニン、シトシン、チミン・・・
己の出来る事、己のすべき事
それは、自身が一番よく知っているのだから・・・
遺伝子工学の第一人者である議長の口からAGCTを例に出して語る、それは既に決定している塩基配列のように変えられない、だから最初から設計するとでもいうのか、それとも塩基配列にも抗う、つまり決められた運命だとしてもそれに抗うという決意なのか、その微妙なニュアンスまでは掴めなかったのですが、彼もまた「FATES」に抗うヒトだというのが熱いですね。
また、その議長の出発点にいるのがタリアさんで、そのときの想いが彼のその後の方向性を決定付けたというのが切ないですね。
議長白・黒論争様々ありますが、やはり僕はまだまだ保留させて頂きたいと思います。
彼には最後まで問題提起を、そして「DESTINY」という意味を背負ってくるであろうラクスとの対峙、そこまで引っ張って頂きたい。
ひょっとしたら議長はこの「FATES」が「DESTINY」に変わることを祈って新型ガンダムに「デスティニー」とつけたのかもしれない、そんな風にも思えます。
■では「DESTINY」とは
作品のタイトルにもなっているこの「DESTINY」とは?
「定められた避けられない運命」を指していて「偉大な結末を暗示する」とあります。
今時点でいくとこの「DESTINY」の意味と、対峙の構造はカガリと議長という為政者のポジションで語られるんじゃないかと思っているんです。
議長が「戻れぬというのなら、初めから正しい道を」と今回言っているのに対し、カガリは第23話で「間違えてしまった道を今からでも戻らねば」と言っていて、アプローチの方法が異なっているんですよね。
じゃあ、これ以降はどうなってくるのか?
やはりそれは今回の総集編でラクスとキラの「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」から「何もできないって言って何もしなかったらもっと何もできない」までのプロセスを敢えてやったということは、このプロセスをもっと大きな範囲でやってくるのかな、とも思えます。
「竹田青滋氏のコメントからDESTINYの楽しみ方を考えてみると・・・。」という記事を先日書きましたが、ここでのポイントは「興味を持たないとなし崩し的に物事進んじゃうけど、本当にそれでいいの?」という点を訴えたいんじゃないか?みたいに書いたのですが、前作はそれをキラやアスランたち個人の視点で描いたんですが、それをもっと大きな範囲でやったとしたら面白いと思うんですよね。
そのきっかけはオーブ軍、特にトダカさんの散り際に軍のカテゴリーから脱却して、何が大事なのか考えろ!というメッセージにあったのかな、なんて。
何となく「受入れて」そして「切り開く」みたいな、議長とのそういうプロセスの違いがポイントになってくるのかなと。
「終戦のローレライ」で言えば議長は浅倉のような一から作り直すというプロセスで、キラやラクス、カガリは折笠征人たちのように壊して創造ではなく、諦めずに何度も手を入れて組み直して、やり直していく、そういうプロセスの違いかな・・・。
キラとラクス、この「出会い」から「気付き」までを敢えて総集編で持ってきたというのは、そういう対比を第3クール後半からラストへかけてやっていく、そういう暗示なのかなと。
議長のチェス盤に乗らない存在、それがキラであり、ラクスでありAAなのかもしれない。
そういう意味でやはり議長という存在に対して、為政者的側面でラクス、そしてカガリのタッグで対決とか燃えるものがありますね。
もしくは、コーディネーターサイドはラクス、そしてナチュラルサイドはカガリにそういうポジションが託されても面白いかも。
■ここからはシンステについて少し
総集編で敢えてキラがラクスを脱出させた描写まで入れる(その前のシーンの「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」は重要ですが)のは、シンがステラたんを脱出させる、そんな風にもとれますね。
予告からの根拠なし推測ですが、SEEDでやったキラのポジション(脱出役)をシンが、アスランのポジション(受取役)をネオがやると面白いかな。
またアウルが散った時にも、彼の死に意味を持たせるならば、ステラたんがデストロイに乗ってシンと戦う必然性を作るためか?なんて書きましたが、次週予告でワンカットだけ映ったスティングはそういう意味で危ないよなぁ(ワンカットというのが意味深だ)。
でもカオスは宇宙でこそ真価を発揮するはずなんだけど・・・。
#そこはネオが乗ったりして。
いずれにせよ、多くの犠牲の上に成り立ちそうなシンステですが、シン単体のときはあまり応援する気もありませんが(笑)、シンステというペアのときは妙に応援したくなる管理人ですので、この二人にはそれこそ運命を「切り開いて」行って欲しいものです。
途中経過のカタルシスはあるにせよ、作品の締めとしては是非ともこの「DESTINY=偉大なる結末」を暗示させて欲しいと心から願っております。
作品タイトルである「DESTINY」と今回の「FATES」、同じ「運命」を意味する言葉だけれども、その微妙なニュアンスの違いや、「FATE」ではなく「FATES」と複数形にになっている点、また総集編の中で敢えて「このシーン」を選んできた制作者サイドの意図を考えると総集編とは言え、結構興味深いです。
■「DESTINY」と「FATES」
同じ「運命」を意味する言葉なんですが、二つのニュアンスは微妙に異なっていますよね。
まず今回のタイトルである「FATES」ですが、これは「人間の力でいかんともしがたい不可避な運命」を指していて、「不運な宿命」を意味する、どちらかと言うとネガティブな要素があるんですよね。
その意味で「不運な宿命」の意味を集約した台詞が、
願いは叶わぬものと知った時、我等はどうすればいい?
それが運命と知った時に
だったのかなと。
また「不幸な宿命」に追い討ちをかけるかのようなクルーゼのこの台詞
救いとは何だ?
望むモノが全て、願ったモノが全て叶う事か?
こんな筈ではなかったと、だから時よ戻れと祈りが届く事か?
ならば次は間違えぬと、確かに言えるのか・・・君は?
誰が決めたというのだ・・・何を?
徹底した虚無論者のクルーゼなんですが、そのクルーゼ自体も結果的に自分の存在の意味を問うために仕掛けていたというのは皮肉が利いていて、彼もまた「ヒト」なんだなと思えた瞬間で、彼もまた「FATE」に抗うものだったのかなと。
そして議長もまた「FATE」に抗うものの一人だった(つまりFATES)というのが何気に熱い
ならば私が変える、全てを
戻れぬというのなら、初めから正しい道を
アデニン、グアニン、シトシン、チミン・・・
己の出来る事、己のすべき事
それは、自身が一番よく知っているのだから・・・
遺伝子工学の第一人者である議長の口からAGCTを例に出して語る、それは既に決定している塩基配列のように変えられない、だから最初から設計するとでもいうのか、それとも塩基配列にも抗う、つまり決められた運命だとしてもそれに抗うという決意なのか、その微妙なニュアンスまでは掴めなかったのですが、彼もまた「FATES」に抗うヒトだというのが熱いですね。
また、その議長の出発点にいるのがタリアさんで、そのときの想いが彼のその後の方向性を決定付けたというのが切ないですね。
議長白・黒論争様々ありますが、やはり僕はまだまだ保留させて頂きたいと思います。
彼には最後まで問題提起を、そして「DESTINY」という意味を背負ってくるであろうラクスとの対峙、そこまで引っ張って頂きたい。
ひょっとしたら議長はこの「FATES」が「DESTINY」に変わることを祈って新型ガンダムに「デスティニー」とつけたのかもしれない、そんな風にも思えます。
■では「DESTINY」とは
作品のタイトルにもなっているこの「DESTINY」とは?
「定められた避けられない運命」を指していて「偉大な結末を暗示する」とあります。
今時点でいくとこの「DESTINY」の意味と、対峙の構造はカガリと議長という為政者のポジションで語られるんじゃないかと思っているんです。
議長が「戻れぬというのなら、初めから正しい道を」と今回言っているのに対し、カガリは第23話で「間違えてしまった道を今からでも戻らねば」と言っていて、アプローチの方法が異なっているんですよね。
じゃあ、これ以降はどうなってくるのか?
やはりそれは今回の総集編でラクスとキラの「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」から「何もできないって言って何もしなかったらもっと何もできない」までのプロセスを敢えてやったということは、このプロセスをもっと大きな範囲でやってくるのかな、とも思えます。
「竹田青滋氏のコメントからDESTINYの楽しみ方を考えてみると・・・。」という記事を先日書きましたが、ここでのポイントは「興味を持たないとなし崩し的に物事進んじゃうけど、本当にそれでいいの?」という点を訴えたいんじゃないか?みたいに書いたのですが、前作はそれをキラやアスランたち個人の視点で描いたんですが、それをもっと大きな範囲でやったとしたら面白いと思うんですよね。
そのきっかけはオーブ軍、特にトダカさんの散り際に軍のカテゴリーから脱却して、何が大事なのか考えろ!というメッセージにあったのかな、なんて。
何となく「受入れて」そして「切り開く」みたいな、議長とのそういうプロセスの違いがポイントになってくるのかなと。
「終戦のローレライ」で言えば議長は浅倉のような一から作り直すというプロセスで、キラやラクス、カガリは折笠征人たちのように壊して創造ではなく、諦めずに何度も手を入れて組み直して、やり直していく、そういうプロセスの違いかな・・・。
キラとラクス、この「出会い」から「気付き」までを敢えて総集編で持ってきたというのは、そういう対比を第3クール後半からラストへかけてやっていく、そういう暗示なのかなと。
議長のチェス盤に乗らない存在、それがキラであり、ラクスでありAAなのかもしれない。
そういう意味でやはり議長という存在に対して、為政者的側面でラクス、そしてカガリのタッグで対決とか燃えるものがありますね。
もしくは、コーディネーターサイドはラクス、そしてナチュラルサイドはカガリにそういうポジションが託されても面白いかも。
■ここからはシンステについて少し
総集編で敢えてキラがラクスを脱出させた描写まで入れる(その前のシーンの「あなたが優しいのはあなただからでしょう?」は重要ですが)のは、シンがステラたんを脱出させる、そんな風にもとれますね。
予告からの根拠なし推測ですが、SEEDでやったキラのポジション(脱出役)をシンが、アスランのポジション(受取役)をネオがやると面白いかな。
またアウルが散った時にも、彼の死に意味を持たせるならば、ステラたんがデストロイに乗ってシンと戦う必然性を作るためか?なんて書きましたが、次週予告でワンカットだけ映ったスティングはそういう意味で危ないよなぁ(ワンカットというのが意味深だ)。
でもカオスは宇宙でこそ真価を発揮するはずなんだけど・・・。
#そこはネオが乗ったりして。
いずれにせよ、多くの犠牲の上に成り立ちそうなシンステですが、シン単体のときはあまり応援する気もありませんが(笑)、シンステというペアのときは妙に応援したくなる管理人ですので、この二人にはそれこそ運命を「切り開いて」行って欲しいものです。
途中経過のカタルシスはあるにせよ、作品の締めとしては是非ともこの「DESTINY=偉大なる結末」を暗示させて欲しいと心から願っております。