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交響詩篇エウレカセブン 第6話「チャイルドフッド」 感想

2005-05-23 18:00:00 | エウレカセブン
いやー、ほんとエウレカセブン面白いですね。大きく貼られた伏線の中で、今週は「ここ」を魅せてやるぞ、みたいな意気込みが制作サイドからひしひしと感じられて、少年の成長を描きつつも良質のエンタメ作品に仕上がってますよね。

また子供の成長だけでなく、それを支える周りの大人たち、その大人たちがちゃんと自分たちが大人じゃなくちゃ子供に示しがつかないだろ、という姿勢を見せるのはカッコイイし、親の視点としてぐっときますね。
分かりやすいのに深いっていうテーマやコンセプトは作品をつくる上でとても重要なファクターなんだなと改めて納得。

■バッドサイクルからグッドサイクルへ

そうなんですよ
俺はエウレカが好き
だから子供達と仲良くなりたい
で、怒らない
舐められる
イタズラが続く
エウレカと二人きりになれない
悪循環


論理思考の研修課題とかにでてきそうな見事なバッドサイクルなんですが、いわゆる論理思考(クリティカル・シンキング)系の課題では本質的な問題を見つけて、最も効果の出そうなところ(レバレッジポイント=てこの原理の作用点)に対策を打つ、というのが定石ですね。

そんな中でイタズラに対して、より大きなイタズラで子供達の分までかぶってやるってのはいかにもレントンぽくって良かったです。
結果として、グッドサイクルを回すことになっているので、やはり問題点をチャンスと捉えて解決する、これはオードドックスですが、仕事でも基本ですもんね。
レントン、やっぱり愛すべきキャラです。

■今回のポイントは
イタズラされて頭にきてる、そんなレントンを走らせたのが、子供達への寂しさの共感だったというのがまた良くて、

・母親を失いたくない子供たちの本音
・それを見て自分を省みるレントン
・そのレントンを見て大人たろうとするホランドたち

今回のお話のポイントはこの3つだったと思っていて、凄く分かりやすくしっかり描かれてましたよね。
深いテーマを分かりやすく、そして今回の見せ場はここだ!みたいな描き方、ほんと爽快です。

今回の脚本はネギま!のシリーズ構成やキングゲイナーの大河内一楼さんだったんですが、さすがに上手かったなぁと感心してしまいました。
#ネギま!は、やはりオリジナル要素含めて非常に構成が上手いなと思っていたので今回納得。

シリーズ構成の佐藤大さんにしても前回の野村さんにしても、今回の大河内さんにしても若い脚本家さんだと思うのですが、すごいレベルですな。こういう若い才能がエウレカセブンを作ってるのかと思うと楽しみで今後も仕方ないですね。

■母親への思慕、そして思慕の共感
前回の感想で、こんな風に書いたのですが、

>この3人としては自分たち以外にホランドを除いては笑顔を見せないママ(エウレカ)が、冴えない子供であるレントンを気にかけているのが気に入らないなんですね。
>まるでママを取られちゃうんじゃないか、という感じで。
>だから何かとレントンを遠ざけようとするんですね。

>小さい子にとってはママという存在って絶対的なものだから、自分の娘を見てもそうだし、妙に納得な部分はありますね。


ここは素直にモーリス、メーテル、リンクからこの言葉が出てきて、僕個人としては非常に満足というか泣けてしまいました。

約束したじゃないか
レントンにも誰にもママはあげないんだ
僕らのママなんだ


ごめんリンク
約束したよね
レントン船から追い出そうって
ママを守ろうって


このパート、僕は完全に1児の親として見ていて、子供にとって母親の存在というのは絶対なものだと身近で感じるだけに、子供たちの切なさや、切実さが心に沁みて泣きそうになってしまいました。

だからそこに自分を当てはめて、イタズラをされた屈辱なんか置いておいて、子供達のケツを拭いてやろうと行動しちゃうレントンがまた良くて、お姉ちゃんに対する想いがまた切なくて、またしてもレントンが好きになってしまいました。

ここからのピンチ展開からエウレカが飛び込んで来るまでの描写はさ・す・が・という爽快感で、きっちり見せ場を作ってくれましたよね。
もう毎回楽しませて頂いております。
#ニルバーシュの複座が後ろで繋がってるってのがポイント(笑)。

■なら大人はどうなんだ?

ニルバーシュの無断使用
単独出撃
子供達を乗せたこと
どれもガキのイタズラじゃぁすまねぇ問題だ

あいつには大人がいなかったんだ
きちんとしかってくれる大人が
だから
俺たちがやらなきゃいけない
俺たちが大人としてレントンに罰を与えなきゃいけないんだ


またここがぐっと来る台詞、親として大きく頷くところであり、泣けるところでもあります。
第1話からずっと思っているのですが、各話の終わりに来るホランドの言葉は物語の持つメッセージとして語られているんですよね。
少年の成長物語とは言っても、放っといてただ成長していくというわけでなく、大人が大人の役目を放棄するんじゃなくて、きちんと果たさないといけないだ、それじゃないと子供に示しがつかないだろ、というメッセージ、しっかり伝わりました。

そしてここのホランドの台詞はダブルミーニングだと思います。
もう一つの意味、それは贖罪ではないかと思っているんです。

あいつには大人がいなかったんだ

何故?
ホランドの師匠はレントンの父親であるアドロックなわけですよね。
恐らくホランドの叛乱はアドロックの死(つかほんとに死んでるのか?行方不明なだけ?)に関係していると思うし、そもそもアドロックは軍関係やニルバーシュに関係することでサーストン家から出て行ってしまったはずなので、ホランドは個人的に責任を感じているとも取れます。

またアドロックだけでなく、今回ダイアンに思いを馳せるレントンが描写されましたが、やはりダイアンが親代わりになっていたわけで、ホランドとダイアンに過去何らかの関係があるとするならば、それについてもホランドはレントンからダイアンを奪ってしまった呵責を感じることがあるのかもしれない。
#そもそもダイアンが家を出たのは父親であるアドロックを探しに出たわけで、ルーツとしても繋がるし。

さて、どうでしょう?

■レントン・サーストン・・・だからかな

どうして言わなかったの?
あの子達がシステムを壊したこと
大人だから?
男だから?


レントン・サーストン・・・だからかな

よく分からない

俺も

でもレントンの気持ちは子供達には伝わったね、レントン。
だから子供はかわいいんですよ。
またエウレカ自身も子供をしかれなかったことについて反省して一緒に入るあたり普段無表情なだけに効果アリって感じです。

寒いね、ここ

そうでもないよ

最終カット、エウレカたちと並んで座るカット、良かったなぁ。
ほんとこれは良作です。

■気になる点は
ホランドも金枝篇読んでる!?
公式を見るとホランドも元は軍に所属していたわけだし、デューイ中佐はホランドの叛乱の責任を取って幽閉されたとある。
しかもアドロックはホランドの師匠だと言ってるし、そのアドロックの意思をついでアゲハ計画を遂行したとあるわけです。
やはり金枝篇とアゲハ計画は関連がありそうですよね。
#やっと金枝篇読みはじめました。

また、どうしてエウレカは母親をやろうとしているんでしょうか?
誰に教えてもらったんでしょうか?
この辺、まだまだ謎ですね。

(同じ営倉入りでもこうも描き方が違うのかと思ったりしましたが(笑))、エウレカセブン、次週も楽しみです。


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