5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

良寛さんと淡雪

2016-02-20 21:56:14 |  文化・芸術

  降りつもる雪、雪、雪、また雪よ 
  津軽には七つの雪が降るとか
  こな雪、つぶ雪、わた雪、ざらめ雪、
  みず雪、かた雪、春待つ氷雪

今日は南岸を通過する低気圧が雨と風をもたらした。明日は東北から北海道に達するということだが、北国は雪になるのかもしれない。

暖冬の今年、雪と云われてもあまりピンとこないのだが、「淡雪」という春の季語があるのだとは「季語集」の坪内稔典先生。

降ってはすぐ消える牡丹雪の類で、沫雪とも書くことがある古いことば。江戸時代は冬の季語だったのだそうだ。江戸後期の有名な僧侶で歌人だった良寛はこんな歌を残していると坪内先生はそれを引用する。

「あは雪の中にたちたる三千大千世界またその中に沫雪ぞ降る」

三千大千世界は「みちおおち」と読む。仏教の宇宙観では、須弥山を中心にした小宇宙が千個集まって小千世界、それが千個で中千世界、中千世界が千集まって大千世界と云い、それら全部をまとめて三千大千世界と呼ぶのだそうだ。

小宇宙が10億集まって大千世界になるというわけか。名古屋大学の「宇宙100の謎」の頁を読むと、銀河は1000億個あると書いてあるから、ほとけさまの世界も大分拡がってきているわけだ。

良寛さんは越後の出雲崎に生まれ生涯の半分を越後の土地で暮らしたのだから、雪に対する思いは人一倍強かったはずだ。淡雪にさえ仏の大宇宙を感知できているというのだ。

話は変わるが、最近、ツイッターが公表したデータによると、世界的には利用者数で大きく水を開けられたフェイスブックとの順位が逆転するのが日本だという。一月当たりの実利用者数はツイッターが3500万、一方フェイスブックは2500万なのだそうだ。

何故だろうかと考えていて、日本人にはツイッターの140文字制限というのが、却って居心地を良くしているのではないかと思えたのだ。その大きな理由は、和歌や俳句のような、短い定型詩に小さいころから慣れているからだと思うのだ。

作歌をよくする人でなくとも自分の周辺には必ず短い言葉によるメッセージが溢れているではないか。

良寛さんの実践のごとく、大宇宙を感じる和歌から子供の遊びを歌う俳句まで、短型詩が日本の生活のすべてをすっきり言い表せるのは日本人自身がよく知っていること。和歌や俳句とは縁のなさそうな最先端のロックやポップ歌手でも七五調だとしっくりする心情を持っているのではないのか。

短型詩こそSNSには乘りやすいはずだ。良寛さんが若し現代に再び生まれたなら、ツイッターで句作をしていたかもしれないな。





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