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ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

三国の「焼き鰈」、燕の「落雁」

2014-01-25 21:47:39 |  文化・芸術
昨日は食パンの砂糖まぶしのことを書いたが、甘い菓子の記憶には落雁もある。米粉に砂糖を混ぜて型押しをして乾燥させた干菓子だ。昔は婚礼などの慶事になると必ず出されたものだから子供時代の味の思い出のひとつとなっている。

これを今日のテーマにしたのは、NHK福井局が「天神講に焼いた鰈のお供え」というローカルニュースを流したからだ。

「天神講」とは2月25日が命日と云われる菅原道真を祀る天神様の行事で、地方によっては1月25日だったり、月命日だったりするようだ。三河には岩津天神があって毎年この時期は合格祈願の受験生たちで賑わうが、岩津では2月25日を「天神祭」と呼んでいるようだから、「天神講」という言い方や慣わしはこの地方のものではないようだ。

一方、福井では新年初の月命日に学問の神様へお供えするのが、生前の道真が好んだといわれる「焼き鰈」。地元の三国では水揚げされた体長40センチ程の「アカガレイ」を炭火でじっくり焼いて仕上げる。結構に大きいサイズの鰈だが上手に焼けば香ばしくて美味いだろう。それぞれの自宅では天神様の掛け軸を掛け魚屋に焼いてもらった鰈を供えて子供たちの学力向上を祈るのだそうだ。

「天神講」に焼き鰈というのは福井の風習であって、ほかの地方ではまた違ったお供えが出てくるわけで、それが最初に書いた「落雁」なのである。

ところは新潟。ここの「天神講」は燕市周辺が盛んらしく、粉菓子と呼ばれる落雁が多用されるのだとWEBには書かれている。型抜き・彩色が落雁の特徴だからその形態は様々だ。天神様の形をしたものはやはりちょっと大振りに出来ていて、お供えの中心に置かれる。縁起物の鯛や海老、松竹梅、四海波、生鮮のお供えを模した野菜や果物の型などバリエーションも豊富で見た目もきれいだという。

米粉の「モッチリパラリ」の変った食感と砂糖の甘さが口いっぱいに広がる落雁。公式行事の記念品や結婚式の引出物として極めて一般的だったのだが、洋風の食習慣に駆逐されたか、今では(この地域では)ほとんど見ることがなくなった。そんななつかしい田舎風の和菓子現在も「天神講」の風習として伝えている燕はなかなかの文化都市だといえる。

三国の「焼き鰈」にせよ、燕の「落雁」にせよ、「天神講」と共に21世紀も大切に伝えたい日本の和食文化である。





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