5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

保見団地のブラジル人

2008-11-07 23:00:41 | 社会

11月2日のニューヨークタイムズに、An Enclave of Brazilians is Testing Insular Japan (島国日本を試し始めたブラジル人飛地)というタイトルで豊田にある保見団地が大きく紹介された。

8800人ある団地人口の内、ほぼ半数4200名が外国人だというのだから、日系ブラジル人のたくさんいるマルチエスニックな環境の保見団地として有名なのも判ろうというもの。

日本在住の日系ブラジル人32万人のうち、永住権を取ったものは30%の9万5千人だけ、残る22万人以上が滞留期間を定めることをしていないのだという。同じ日系といっても、永住権が欲しくても取れない者、短期滞在でOKとする者、さらに違法滞在の者などさまざま。来日理由も滞在理由も多様なブラジル人と、日本人居住者が複雑にミックスした典型が、1970年中ごろに造成されたこの保見団地と云うわけだ。

時の流れとともに、隣に外国人が住まうことをどうしても我慢できない日本人住民の退去が始まり、残った日本人住民の現状認識によって、ブラジル人住民とは文化の違いや価値観の違いでトラブルも少なくないが、お互いに「共生」の方法を見つけ出しつつあるという。 

黒人が入り込んでくる住環境を嫌った白人が逃げるというアメリカの都市問題にちょっと似たところもありそうだ。

記事では在日ブラジル人の幼児教育に触れ、日本では外国人子弟の就学義務が無いことで、5歳から14歳の年齢層にある3万3千人のうち、日本の学校に入学しているのは約1万人、残りはポルトガル語学校に通うか、まったく学校に行っていないこと、必然的に日本語の教育がおろそかになっている問題を指摘する。

折から、11月5日の中部経済新聞「中経手帖」には、浜松3万3千人、豊橋2万人、豊田1万6千人など、各都市の外国人登録者数が挙げられ、南米日系人が貴重なマンパワーを提供しているが、言葉、教育、医療などで問題も多いと、NYT同様の指摘をしている。

移住後、長い年月が経過し家や家族を持てても、日本語が不十分な大人が多いという指摘は、日本人のコンタクト対象として、子供の教育よりもむしろ優先されるべき社会問題になって来ているのではないかと思う。

人口減少社会に向けて、経団連は「日本型移民政策」を提言したというが、こうした外国人への対策は、もはや自治体や民間だけでは立ち行かなくなっているのだから、政府は早めの対策をすべきだと中経は結んでいる。

定着しつつある外国人との「共生」に希望と可能性を抱かせる二つのニュースから1週間も経っていない今日、外国人労働者の存在理由を問う問題を提起しそうなショッキングなニュースが発表された。

大雇用主であるトヨタ自動車は、2009年3月期の収益予想を対前年比、73%減益と発表したという。次年度通期で1兆円の下方修正のわけは、リセッションによる欧米での販売減少、急激な円高、原材料高騰だというが、状況対応の為の設備投資縮小に始まって、雇用への影響も不可避だ。

すでに日本人臨時工の契約中止が増えているという。短期の外国人雇用は延長されないだろうし、正規雇用の者も工場稼動の減は収入減に直接繋がることになる。 

世界経済不況が、ここでも弱者へトバッチリだ。保見団地のブラジル人住民の行方が気になる。下手をすると「共生」も「日本型移民」も、単なるお題目で終わりそうだ。





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1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
九龍城 (保見団地)
2008-12-11 08:38:32
 保見団地では海賊版DVDが\200です。

最近AltenativaとかFolha e なるポルトガル語
フリーペーパーに売春婦募集の広告が
掲載されてます。 日本の警察はポルトガル語が
読めないの?
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