5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

浮世絵東海道

2007-03-13 21:34:17 |  文化・芸術

名都美術館(ここも長久手町)で開催中の「広重と北斎の東海道五十三次と浮世絵名品展」を観る。広重の「東海道五十三次・保永堂版(1834年)」と蔦屋版(1855年)それに北斎の「五十三次名所図会(1804年)」の3種類を宿毎に纏めて比較しながら観覧できる展示だ。



保永堂版は広重の五十三次といえば誰もがわかる絵柄の連作で横レイアウト、景色も人物も近景から遠景までバランスよく描かれている。広重はもともと旅好きだったらしいが、ちょうど幕末のこのごろ起きた旅行ブームに乗る形で描かれ大ヒットした。20年後の蔦屋版は老境にあった広重の仕上げ業のような作品群で縦レイアウト、鳥瞰で描かれるので遠望と樹木の描き方に特徴が見られ、保永堂版のような技巧は表立っていない。



広重に比べ小振りな北斎の名所図会は名物図会といってもよいほど、地場の産品(たとえば興津は魚貝図)が描かれている。宿場のPRの役割もあったのだろうか。これは広重の作品に一部にも云えて、鳴海の絵は三つともに「鳴海しぼり」の絵柄である。しぼり業者にとっては、浮世絵が有効な広告メディアにもなったわけだ。



解説によれば保永堂版にはたくさんの謎があるらしく、この謎解きも浮世絵を楽しむ方法だという。たとえば、有名な蒲原の図だが、この地には大雪の降ることはなく、どうやらこれは広重の想像上の雪景色らしい。初版のお江戸日本橋には一般版よりも倍くらいの人々が描かれ、池鯉鮒の初版には鯨様の黒山が描かれているなどである。



観客は自分を入れて5人しかいない。やや暗いライティングの下、ゆったりと浮世絵プロムナードを楽しんだ。



帰りは近くからリニモに初乗車。藤が丘まで5分間の空中散歩としゃれる。快適な乗り心地だが、三割ほどの乗車率では愛知県の心配もなくならない。名古屋駅ゆきのバスに乗ろうと藤が丘から歩き出したのはよかったが、道を一本間違えてバス道に出るまでかなり歩くことになった。はからずも知り合いのK内科の前を通り抜けた。主はもう長い間の闘病生活、門はひっそりと閉まっていた。




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