5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

三度目の正直

2019-06-15 21:03:01 |  文化・芸術

お仲間のMTさんは自分より年上だが至極壮健である。最近、彼は南西諸島の石垣島と西表島に行ってきたといってフォトツイートを上げた。海岸の浅瀬を渡る水牛車の列が映っている。現地は梅雨なのだろうが雨模様ではなく島の緑と海の青が美しい。「台湾の文化圏ですね」と戻した。地図で見る限り、台湾は南西諸島のすぐ西に位置し、船で簡単に渡れそうだ。

今日の中日夕刊には「台湾から沖縄、移住の謎に挑む」という見出しの記事が出ている。これは有史以前の人類の大移動を実証しようという人類学者たちの試みらしい。

サマリーにはこうある。「約3万年前、ユーラシア大陸から台湾を経由して南西諸島に進出した人々は、どうやって海を渡り、遠い島に移り住んだのか。当時の航海を再現するため、丸木舟で台湾東部からこぎ出し、風や星を針路の頼りに沖縄県の与那国島を目指す実験を、国立科学博物館の海部陽介人類史研究グループ長らのチームが行う」

20万年前にアフリカで生まれた人類は、5~6万年前に移動を始め、日本列島には朝鮮半島から3万8千年前に到達したとされる。大陸と陸続きだった台湾からのルートはそれより後になるが、与那国までの海上旅は黒潮に阻まれて大きな困難だったはず。

海部チームは2016年にこの南方ルートの航海を再現する試みを始め、台湾の山に上れば与那国の島影が望まれることを確認、最初は草舟、次に竹筏で挑んだがいずれも失敗。スギの丸木舟を使った今回は三度目の正直。

くりぬき舟は5人乗りで長さ7.5米、幅0.7米、時速4kmは出るから速い黒潮にも負けない。イージーな地図やコンパスやGPSは使わず、手掛かりは風と星のみ。伴走船の助けはなく、漕ぎ手を交代しながら昼も夜も進み続ける。

最後の挑戦は6月25日以降の穏やかな日をえらび、200kmある行程を2日で航行するのだという。

人類学者たちの夢とロマンを載せて能登杉の丸木舟は進むのだ。ボンボヤージュ。



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