藤前干潟に渡り鳥が飛来して来ているというTVニュースを見て、行ってみようと思い立った。
観光案内所でみつけたイベントパンフに「11月18日は藤前干潟の日、ふれあいデー2007開催」とあったが、当日はどうぜ混むのがわかっているから、思い立ったが吉日と、金山発の午後の市バスに乗る。乗り換えなし200円で40分の市内旅行。築地よりも南に行くのは国際見本市にサービス出店した会社のヘルプに刈り出されて以来、久しぶりのことだ。
終点の野跡駅で降りたのは自分ひとり。市営住宅の中を通り抜けて海側の稲永公園に入るとすぐに、ビジターセンターがあったので立ち寄ってみる。ここにも客の姿はなく、係員が手持ち無沙汰でコンピュータの画面を眺めていた。
センターの前は新川、庄内川、日光川の合流点、藤前干潟のまん前だ。南には赤い2本柱の名港トリトンが架かりその上を湾岸高速のトラック群が遠目にはゆっくりと進んでいる。橋の下あたりには(一度企業見学をしたことのある)三菱重工の航空宇宙システム製作所があるはずだ。右に目を移すと対岸には環境事業局のゴミ処理場がデンと坐っていささか目障りなほど。さらに右手は名四国道に架かる庄内新川橋が望める。この大きな空間、320HAの水面が「藤前干潟」として2002年にラムサール条約に登録されている。都市域の中にこんなに広い鳥のサンクチュアリーが広がっているのは珍しいのではなかろうか。
ラムサール条約というが、よく判らないのでWEBに頼る。1971年にイランのラムサールで開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」で採択された「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」を云うとのこと。指定された湿地に生息する動植物の保全を促進することを目的とし、2006年現在で締約国150ヵ国、条約湿地数は1589ヵ所、面積の合計は 134百万ヘクタールになるという。日本は、釧路湿原から屋久島まで33箇所が登録地で、ここ藤前干潟は12番目にあたる。
潮時ではないので湿原は水の下、鳥たちは波のまにまにぷかぷかと浮かんでいた。センターで入手した「愛知の野鳥」というパンフに「2006年の11月に探鳥会で見られた鳥」として、多くあげられているのがマガモ、カルガモ、コガモ、オカヨシガモ等の鴨たち。今日、波に浮いているのもほとんどが鴨のようだ。持参のオペラグラスでは倍率が低くて三川の中州辺りに休むたくさんの鳥の種類は見分けようもない。
風に吹かれながら、跳ねる魚とそれを狙う鴨の動きをしばらく眺めた。赤い夕日がゆっくりと川の向こうへ降りてゆく。トリトンを掠めて白い飛行船がゆっくりと西に飛んでいった。煩わしい人出も少なく、始めての藤前干潟見学は1時間ほどで終了。
帰りは築地近くまで万歩にする。途中、稲永から荒子川までの小川に沿った緑道を伝う。地名が十一屋だからひょっとするとと思って橋脚の表示を読むと十一屋川とあった。子どものころに父親が釣りに連れて来てくれた場所だ。何処らあたりで何を釣ったのかはすっかり忘れたが、こんなに狭い川だったのかと、50年前を懐かしく想った。
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