5522の眼

ゆうぜんの電子日記、2021年版です。

フルーティな元祖コカコーラ

2011-02-16 23:45:41 | たべもの
久しぶりにコカコーラを買ってきた。飲みながらこのブログを書き始めている。テーマは、企業秘密とされている「コカコーラ・フォーミュラ」が見つかったというニュースについてだからである。

今日の産経WEBニュースでは、アメリカのラジオ番組がコカコーラの「クラシック・レシピ」を本物として公開し、全米の評判になっていると伝えている。

最近は、新規開店のラーメン屋でも「秘伝」を売り物にする日本だが、120年以上の歴史をもつコカコーラの「秘密のレシピ」なら「秘伝」といってよかろう。早速、この番組「ジス・アメリカン・ライフ」のPODCASTでニュースの内容を聴いてみた。

「マーチャンダイズ7X」と呼ばれるフレーバーミックスは、1892年の創業以来のスーパー・シークレットで、『神と国家とコカコーラ』(1992年)の著者マーク・ペンダーグラストへの番組インタビューによると、この「フォーミュラ」を知っているのはコカコーラ社内でも2人だけ。本物のはアトランタのサントラスト銀行の大金庫の奥に仕舞われ門外不出だというのだが、番組が探し出したのは、1979年2月28日付、アトランタ・ジャーナル&コンスティチューション紙に掲載されたちいさな記事、『コカコーラのオリジナルレシピが載ったエヴァレット・ビール所有のレシピ本』というもの。

この革表紙のレシピ本、もともとは、19世紀末のアトランタにあった民間薬を調合して販売するファーマシーの一人、R.エバンスが書いたもので、エバンスとコカコーラ創業者のペンバートンとは同業仲間。コカイン咳止めを造って売ったペンバートンの「7Xミックス・フォーミュラ」もエバンスによって転記され記録された。エバンスの死後、レシピ本の持ち主は変わって100年が過ぎ、ジャーナル&コンスティチューションが紹介した時には、エヴァレット・ビール所有に為っていたという訳だ。

「ジス・アメリカン・ライフ」の指摘は、この本に書かれている「フォーミュラ」と、コカコーラ・アーカイブにあるペンバートンの「フォーミュラ」とが使用する量の違いだけで材料はまるで同じだという点。コカコーラ会社はもちろんこれを認めてはいないが、ペンダーグラストによれば、複数あるオリジナル・レシピのひとつではないかという。

エヴァレット・ビールのレシピ本に載っている「フォーミュラ」はこうなる。

【シロップ】
コカの液体エキス 3ドラムUSP
クエン酸 3オンス
カフェイン 1オンス
砂糖 30ポンド
水 2.5ガロン
ライムジュース 2パイント
バニラ 1オンス
カラメル 色付けに1.5オンス以上適料

【7Xミックス】
アルコール 8オンス
オレンジ・オイル 20滴
レモン・オイル 20滴
ナツメグ・オイル 10滴
コリアンダー・オイル 5滴
ネロリ・オイル 10滴
シナモン・オイル 10滴

*シロップ5ガロンに対して7Xミックス2オンスの割で混ぜる。


コカコーラのシロップには、30ポンドの砂糖と液体のコカエキスを入れるとあるが、「フレンチッワイン・コカ」というワインにコカインとカフェインを加えた薬用酒を売っていたペンバートンが、当時の禁酒運動に対処しようとワインを水に入れ替え、コカインやカフェインの苦味を消すために大量の砂糖を使って作ったのが「コカコーラ」であり、全米でコカイン販売が禁止された1903年以後は、NJの工場で輸入コカリーフの脱コカ処理を行なっているという事情から来ているということが判る。

「ジス・アメリカン・ライフ」は、ここで実証実験に移る。「オリジナルフォーミュラ」を使ってコーラを造ってみようというのである。

シアトルのジョーンズ・ソーダ会社に製造を依頼し試飲した結果は、「美味しい」「薬っぽい」「フルーティ」「幼児用アスピリンのオレンジフレーバー」などさまざまの感想。

120年前よりもエッセンシャルオイルが高質になっている為に「フルーティ」な感じがあるのだろうという。さらに、「7Xフォーミュラ」の成分のうち、他社のコーラには「ネロリやコリアンダー」が多く使われているが、このレシピの場合は「オレンジ、レモン、ナツメグ、シナモン」が主な働きをしているのだと思われるというコメントだ。

クエン酸はリン酸に、ライムジュースはライムシロップに、砂糖は高フルクトースコーンシロップに代わったということも、現在のコカコーラとオリジナルのコカコーラの味の違いを生んでいるのだろうが、番組が行なった一般消費者へのブラインドテストでも、このオリジナル・レシピの味を好む者が多いという面白い結果になったようだ。

LAタイムズの記事は、やはり、「コカコーラ・フォーミュラは当社の最重要企業秘密であり、今後もそれを公開する予定は無い」という、コカコーラ広報の当然の回答を載せている。だが、マスコミや消費者からの問い合わせが続き、反応の大きさに驚き喜んだのは、どうやら、コカコーラ会社自体だったようだ。

なにせ、今年は創業125年の記念年。思いがけない無料のパブリシティが出来たというわけだし、自分を含めて世界中でニュースを読んだ人々がコカコーラを買いに出かけているのだろうから。





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