シリアの内戦、ウクライナの内乱、ロシアとNATOのにらみ合い、日本と中国との領有権争い、日本と韓国の慰安婦を巡る問題、中国とベトナム、フィリピンの領海紛争、韓国と北朝鮮 世界は今、緊張が走っている。
さきに行われた東京都知事選には退役の元航空幕僚長が出馬し、落選したが、若者からの得票が多かったことに驚いた。かつて、阿川弘之が書いた「井上成美」を読んだことがある。旧日本海軍 海軍大将の井上成美である。日本の敗戦を機に表舞台から身を引き、「軍人が政治に口を挟むとろくなことはない。」と常々言っていたと言う。
集団的自衛権の解釈を巡り、今国会で論議されているが、自民党と連携を組んでいる公明党の出方に注目が集まっている。憲法とは国民を保護する観点から作られた法律であり、国家の権力(暴走)を抑える法律だと聞いたことがある。
憲法がその時の内閣の解釈により変化することが可能であれば、そもそも憲法を制定する意味もなくなってしまう。
確かに世界情勢は刻々と変化し、世界の警察官と言われたアメリカの力は弱まり、一方で中国の台頭は目覚ましいものがある。しかし、短期間に経済成長を果たした
過程の中で様々な問題も抱え、ここにきてそのほころびも随所に露見している。
日本国憲法第9条を読んでみよう
第9条(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)
1 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、 永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
この条文を見る限り、軍隊は保持できず、あらゆる紛争に軍隊を派遣できないことになっている。
しかし現実には自衛隊という陸海空軍を有しており、世界でも有数の軍事力を保持している。自衛のための軍備は憲法以前に国家として常に認められた権利というの
がその根拠である。
また、海外への派兵も過去にイラクや、中東に自衛隊を派遣し、現在もPKOや原油ルートの安全確保のため自衛隊を派遣している。
全て現在の憲法(第9条)の元で行っているのである。
その延長線上で集団的自衛権も可能だというのが安倍さんの考えのようだ。
私は憲法第9条が現実に合致しないという思いは国民誰もが感じていることと思うが、9条の改正や存続は国民的な議論が必要で、まさにこれからの日本の進路を決
定づける大きな転機となる。
憲法9条のおかげで60年以上どの国とも戦争をすることがなかったというのも事実であろう。
憲法改正には憲法で定められたルールがある。その決まりに従って改正すべきであり、拡大解釈による歪曲は国の運命を危うくする。一内閣で国の運命を左右する重
大案件を決めてはならないと思う。