里山日記

NPO法人「里山を守る会」における活動の内容。
その日にあった様々な出会いと、感じたことをつづりたい。

里山にも春が来ています。

2015-03-28 19:55:05 | Weblog

昨日、五郎助山に行くと、森の幼稚園の皆さんが子供と一緒に、暖かな日差しの中で遊んでいた。

甲高い子供の声が森に響き、何組もの母と子が、待ちかねた春を、たのしんでいた。なんとも言えない幸福に満ちた風景があちこちに見えた。

私まで幸福になった。

自由に来て、自由に遊ぶ。  森で出会った者同士、気楽に声かけ、話し込む。そんな憩いの場所になっている。

私たちが理想とする風景が当たり前になると良い。 それにはたゆまぬ整備と安全管理、そして地権者と大勢の方の支持が欠かせない。

この場所を、この風景をずっと守って行きたい。

 


「他人の命を奪う」 ということ

2015-03-22 05:12:18 | Weblog

過日、テレビ、新聞、週刊誌と連日マスコミで取り上げていた川崎市中学1年生の殺害事件も今は下火となり、マスコミに取り上げられる頻度も少なくなった。

長崎で起きた女子高1年生の同級生殺害事件、名古屋で起きた女子大生による老女殺害事件。いずれも被害者に対し、恨みもなく、「殺す体験がして見たかった」というのが動機である。

平成9年、神戸市で起きた少年(中1)による連続殺傷事件(酒鬼薔薇聖斗事件)を彷彿とさせるが、実はこの事件が「里山を守る会」設立のきっかけともなった。 あれから18年が経過し、同じような事件が連続して起きる現実になんとも言えない苦く、重い気持ちになった。

他人の命をいわば興味本位で奪う、その心はどういう世界(環境)から芽生えるのか? 深く真剣に検証する必要がある。

なぜ自分が殺められたのかわからないまま亡くなった被害者、そして、そのご家族の思いはいかばかりであろう。・・。

一方、加害者の家族も、なぜ、我が子がこのような事件を起こしてしまったのか、右往左往し、途方に暮れ、この事件を境に、世間から殺人者の家族として地獄のような毎日を送ることになってしまう。住み慣れた場所から離れなければならない事態に陥るかもしれない。

被害者の家族も加害者の家族も共に不幸だ。

人の命を奪うということが、どんなことなのか、生きているものが動かなくなり、「死ぬ」ということがどんなことなのか、本当にわかっていないのではないだろうか。

今、竹や木を削り、ナイフで自分の指を切った経験を持つ子が何人いるのだろう? 食事の用意をしながら包丁で指を切った子が何人いるだろう? 火を燃やし、やけどをした子が何人いるだろう? 喧嘩をし、殴られた子が何人いるだろう?、木に登り、落ちた子が何人いるだろう。

自分自身が体験として、痛い思いを知っている子は、体験から来る抑止力が働き、人を刺したり、傷つけたりすることを躊躇するはずである。

「そんな体験をしなくても人は殺さないよ。」というかもしれないが、指を切り、ズキン、ズキンと痛んだ思いは一生忘れない。

人間以外の動物は、親の行動を見て、真似て、体験のみで、生きるすべを学ぶ。それ以外にできない。

人間は、言葉を使い、文字を読み、豊富な知識を持っているが、実体験に乏しくなっている。

これからもこうした事件は繰り返されるかもしれない。 「特殊な事件で自分の子は大丈夫。・・・」とほとんどの親は思う。しかし、このような事件を起こしてしまった子の親御さんは、自分の子を特殊だと思っていたのだろうか?

命を育む教育は、学校だけではできない。

私は幼年期、少年、少女期、の外遊び。しかも複数の友達との遊びの体験にそのヒントが詰まっていると思えてならない。里山で遊ぶ子供たちは、生きるすべを訓練しているように見える。

 

 

 


ツリークライミングin自然博物館

2015-03-17 21:09:13 | Weblog

3月15日(日)ツリークライミング・ジャパンの後藤さんのお誘いで、坂東市にある県立自然博物館に行った。

「博物館・友の会」ご家族のツリークライミング体験のお手伝いである。私の他に、昨年、五郎助山で後藤さんの指導を受けた木村さん、倉持さん。そしてツリークライミング・ジャパンの一員でもある土浦の櫻井さんも参加した。

午前8時に博物館に着いたが、すでに皆さんは到着されていた。茨城組4名と後藤さんチーム7名の合計11名が簡単な自己紹介のあと、ツリークライミング会場に移動した。

広い芝生の中にポツンと雑木林が残るエリアがその会場である。博物館を建設するにあたり、かなり広い場所が芝生になったが、この場所は当時のまま残されたと、小幡先生から伺った。クヌギ、コナラの大木、各1本が今日のツリーに選ばれ、10本以上のロープがすでに下がっていた。午前10時開始である。

隣接する芝生の待機所にはすでに20組以上の親子が集合し、その開始を待っていた。博物館友の会・家族会員は現在1000組を超えるという。 友の会ボランティア会長さんのご挨拶の後、早速開始前の安全装置の装着、準備運動に入った。

ツリークライミングの準備運動は自分を木に見立て、春夏秋冬の木の動き、風で揺れる木の動きを運動に変え、子供も大人も楽しんで体をほぐせる。

 後藤さんのお話を聞く参加者

また、雑木林のエリア内に入るときに「お邪魔します。」と森に声をかけ、登らせてもらう木に「お願いします。」と木を撫でながら声をかける。

自然に対する畏敬の念を子供たちにさりげなく伝えることを忘れない。

1クルー約1時間の体験であるが、アメリカから伝わったスポーツなのでロープ結びの、各呼称を英語で覚えることから始まる。安全とはいえ、樹高、約20メートル以上もある木にロープで昇るのだから、昇る前の注意事項にはたっぷりと時間をかける。

私は、まだ新米なので直接指導はできないが、ベテランクライマーの言葉は一つ一つ心に沁みた。

子供たちは真剣に指導者の言葉を聞き、心の準備が出来たようである。そしてスタート。いよいよ自分でロープを引き、体が宙に浮いた。

フットループに足をかけ、尺取り虫のように昇って行く。コツをつかんだ子はいつの間にか見上げるような高さまで昇った。「競争じゃないからね。自分で気持ちのいい高さでいいんだよ。」とスタッフから声がかかった。

                    

その通りで、それぞれ自分に合った高さがあるだ。とにかく「楽しむ」ことが重要である。普段の目の高さとは違う風景を楽しみ、風を感じ、新しい自然を発見することが重要なのだ。

あっという間に1時間が過ぎ、降りる準備に入った。「おりまーす。」という声がかかった子からスタッフは慎重に下ろして行く。地面につくと、どの顔もにこにこしている。

スタッフから、「それじゃ、昇らせてもらった木にお礼を言いましょう。」 「ありがとうございました。」 爽やかな声が森に響いた。

五郎助山でも定期的にツリークライミングができるよう、コツコツと準備をしたい。

 


下館ローターアクトクラブ例会・卓話

2015-03-08 06:44:07 | Weblog

去る、2月26日(木)午後7:00から下館ローターアクトクラブの例会にお招きを受け、30分間、当会のお話をさせて頂いた。

下館ローターアクトクラブさんは18歳から30歳までの若者(男・女)で構成する、ロータリークラブの下部組織である。現在10名の会員で活動されている。

昨年9月に、柳会長さん、大河原事務局長、杉山さん(会計)のお三方が五郎助山に奉仕作業にお出でになり、里山整備に爽やかな汗を流された。

今回、当会の活動の内容を詳しく聞きたいとのご要望があり、例会の席に出席させて頂いた。出席者は9月にお手伝い頂いた 3名のみであったが、その分、フレンドリーで時間も少々オーバーしたが、熱心に耳を傾けて頂いた。

 会長の柳さん(右・女性) 事務局長の大河原さん(左)

少子化が進み、テレビゲーム・スマホでの一人 室内遊びが増えており、それが子供にとって好ましい環境とは思えない。このような時代だからこそ、近隣の子供たちが安心して集まり、遊べる自然の豊富な場所の確保と、良質な遊びを教えてくれる人材の確保・育成がとても重要だとお話した。

子ども同士、群れて遊ぶことが少なくなり、外での遊び方も知らない子供が増えている。群れて遊ぶことで、集団に溶け込む術や自然に対する興味、冒険する勇気、自分の長所、短所も学校とは違う視点で垣間見えてくる。

五郎助山をホームグランドとしている関城西小学校の児童は1年生から6年生まで授業の一環として学年に応じた自然体験をしているが、回を重ねる毎に、子供の持つ本能が次第に覚醒してくる様子がよくわかる。

幼年期、少年期における 遊びを通じた友達との自然体験は将来の人間形成の過程で、特に重要であるということが、理屈だけでなく、感覚として、子供たちから伝わって来る。

「皆さんのような若い方に、私たちの活動に是非参加して頂きたい。」とお話した。

 卓話終了後、記念写真 (杉山さん・左端)

貴会の益々のご発展を祈念いたします。


今年度最後の里山授業

2015-03-03 04:52:18 | Weblog

去る、2月25日(水)西小5,6年生(125名)が今年度最後の自然体験授業に五郎助山に来た。

午前9:20分、見慣れた青のジャージと黄色の帽子が林の間から見えてきた。5,6年生になると到着時間が1,2年生より10分ほど早くなる。それだけ体も成長し、歩幅も大きくなったのだろう。

子供たちを迎えるため、会員は冒険広場に集まった。「お早うございます。!」と元気な挨拶と共に、通いなれた広場に続々と到着し、瞬く間に大きな一団となった。(いつの間にか、ほんとに大きくなった。)学年主任の松本先生の指揮のもと、手慣れた様子でリュックサックをシートに並べ、クラスごとに再整列した。

6年生にとっては最後の自然体験となるこの日、私たちも特別な思いで出席した。簡単な挨拶を済ませ、今日の体験内容が山崎さんから発表された。6年生は ①薪割り体験(・斧での薪割り体験、・動力薪割り機による体験)②チッパー(枝を砕く機械)の操作とチップの散布体験 ③伐倒体験(樹齢40年~45年のクヌギを伐採する)4種類の体験をそれぞれ班毎に行い、順次、入れ替えを行う。

5年生は、まだ残っている落ち葉と枯れ枝拾いである。担当の会員が紹介され、各班に分かれ、いよいよスタート。

私はチッパーの担当になった。間伐した木材を有効利用するため、玉切りをし、薪にする。あるいは窯で焼いて炭にし、自然のリサイクルを実現している旨のお話をした。残された枝はチップにし、遊歩道に散布し、土を保護する効果があることを話した。 体験は学習である。 なぜこのような作業をするのか理解して体験することで、その意味は深まる。

約1時間の作業を終了し、20分の自由時間と休憩が先生より告げられた。当たり前のように、慣れ親しんだハンモック、ターザンロープに群がり、最後の里山体験を惜しんでいるかのように見えた。

11:00いよいよ伐採の見学だ。5,6年生、共に現場に移動する。樹齢40年から50年、樹高25メートルを超すクヌギが選ばれた。会員の手によりチェーンソ―のエンジンがかかった。子供たちが息を殺して見守る中、甲高いエンジン音と共にチェーンソ―の刃が深く入って行く。ゆっくりと木が動き始め、ワイヤーを引く方向へスローモーションのように倒れていった。「バリバリ、バリ、ズシーン」地響きのような衝撃があたりを襲う。ちょっと間があり、子供たちからどよめきと歓声が上がった。  

会員の合図で倒れた木に子供たちが群がって来た。いつもながらの風景だ。人生、最初で最後の伐採体験かもしれない。切り株からこぼれ出たおがくずを嗅ぐ子供たち「う~ん いい匂い。」

この匂いと一緒に五郎助山で過ごした時間を思い出してほしい。

集合場所に戻り、感謝の集いが開かれた。会員も全員、子供たちの前に集合。 整然と並んだ5年生、6年生。進行も6年生が担当。代表が6年間の感謝の気持ちを感想文に書いて朗読してくれた。

その後、5.6年生全員で童謡「ふるさと」を1番から3番まで合唱。静かに目をつぶり聞き入っていたが、こんなにこの詩が胸にしみたのは何年振りだろう。こどもたちからも6年間の思い出を重ね合わせ、心から歌っている波動が伝わって来た。

歌が終わり、6年生から「挨拶を・・・」と促されたが、しばし言葉が出なかった。

「皆さんの里山での6年間の思い出は、私たちの思い出でもあります。」「楽しい思い出を有難う。」「皆さんの笑顔を見たくて今日まで頑張れた気がします。中学生になっても遊びに来てください。」

そんなことを言ったと思う。6年生全員の感想文を手渡された。

6年間の里山授業、大人になった時、どんな形で心に残っているのか、一人一人に聞いてみたい。

  全員集合  

  チッパー  

 遊歩道に撒く 

          伐採現場に移動  

   伐採   

 

   最後のツリーハウス、ターザンロープ