テレビや新聞で「令和の米騒動」というタイトルで連日報道されているが、米(愛がも米)を出荷している現場の一員としてこの現象について述べてみたい。
実際、私が卸している道の駅「グランテラス」でも、つくばイーアスの売り場にもおコメの在庫がほとんどない状態で、特にグランテラスでは8名から9名の生産者が出荷していましたが、現在私を含め3名の方のお米しか売り場にない状況で、私も毎回、精米・玄米合わせて約30キロを出荷していますが、最近では2日で店頭から無くなり、その都度、駅長から出荷要請ががかかっています。
うれしい悲鳴とも言えますが、私自身、家族、契約米の関係もあり、応じられていません。
昨日、常総市の294号沿いを通過すると、ついに稲刈りも始まり、9月中旬にはかなりの新米も出回り、ほどなく「令和の米騒動」も落ち着くと感じています。
今回騒動の大きな原因は昨年の異常な高温がもたらしたコメの等級下落、それによる精米の歩留まりが低下したこと、インバウンドによる需要の増加などが指摘されています。
しかし、各JAの倉庫には平年並みの在庫があるとの報道もあり、正確な原因が今一つ分かりません。卸業者が出荷を絞り、価格操作をしているとのうわさもあり、平成5年に起きた東北の冷害による米騒動を思い起こしました。
現在、米麦を主体とした普通作農家は規模の拡大を進めています。関本地区の広大な水田は約6,7軒の担い手農家(農業法人)が栽培を委託されており、1軒で30ヘクタールを超える受託面積を有している方も居り、管理能力が限界に近付いている気がします。
10年前、田植えの時期は各農家の軽自動車が農道を埋め尽くし、なかなか通れない状況でしたが、現在では大規模農家の車と田植え機くらしか見当たらず、まさに隔世の感という思いです。
その大規模農家においても後継者不在、高額な設備投資、労働力不足がささやかれ、決して順風満帆とは言えません。何よりも主食である米価が安く、将来に不安を抱える経営者が少なくないと感じています。
私はいわば趣味でコメ作りをしていると思われている変人ですが、担い手農家といわれている方々が、米作りに失望したとき、耕作をあきらめたとき、日本の農業はどうなるのでしょうか?
輸入をすればいいという簡単な問題ではありません。
まず、米価の最低保証をすることだと思います。 米作りに限りませんが、野菜においても、今後、温暖化、異常気象が恒常的に起きることを想定し、食料を生産する農家・企業に対し、再生産可能な価格保証が重要になると確信しています。
軍事力による安全保障とともに、食料安全保障が、70%輸入に頼る日本において、喫緊の課題だと感じています。
そんな中、ゆきじいのブログで、生産者の立場でのご意見に触れ、なるほど、なるほどと何度も読み返した次第です。
マスクや、お薬など、いろいろ足りなくなる世の中。
今度はお米。
事態が落ち着くまで、残ったお米を大切に食べていきます。
順風満帆の農家は一握りです。
気象のリスク、価格のリスク、健康のリスク、三重のリスクの上で頑張ってきましたが、そろそろ限界に近付いてきたと感じています。
私も体力的に、リタイアを考えています。
農学校の同級生も農業を継いだのは約2割です。
皆、73歳を迎え、現役で頑張っています。
しかし、本音は引退し、余生を楽しく送りたいのです。ですが、それができない現実があるのです。