西都モノクローム

西都大好きな市議会議員が、徒然なるままに街のこと、写真のこと、空手のこと語ります。

妻北小学校稲刈り、あるエッセイを読んで(パリオリンピック、阿部詩さんについて)。

2024-10-04 06:27:38 | 日記

妻北地域づくり協議会では、妻北小学校と協力して古代米を栽培しています。

春の田植えから、雑草取り等を経て、先日稲刈りを行いました。

台風があったけど、豊かに実りました。

参加するのは5年生です。

西都でも、稲を作る経験をする子供はあまりいないので、皆興味津々でした。

それぞれ班に分かれて、稲刈りするメンバー、それを集めるメンバーと分担して作業をします。

作業は時間ごと交代します。

すっかり、きれいに刈られました。

一緒にもち米を植えているので、後日5年生は餅つき体験もします。

これがまた楽しみです。

 

さて、8月だったと思います。

あるテレビを見ていたら、元宮崎県知事のHさんが唐突にある話題についてコメントしました。

それはパリオリンピックの際、敗退した柔道の阿部詩さんが、感情をあらわにさらけ出し大泣きした件です。

Hさんは「大泣き」を否定的な論調で、コメントしました。

 

私は空手をやらせてもらっているので、武道特に勝負のついた際の態度については、武道に携わっていない方より厳しい視線で見ています。

勝った時、負けた時の態度によってその選手に好感を得たり、また逆であったりするのです。

 

例えば東京オリンピックの際、オランダのヘーシンクさんが金メダルを取った時の事です。

柔道発祥の日本から無差別級(だったと思います)で、一本勝ちで金メダルを取った瞬間、オランダのコーチ陣(だと思います)は喜び勇んで試合場になだれ込もうとしたとき、へ―シングさんはそれをしっかりと制止しました。

そして表情を崩さず、礼をされ、畳から降りていきました。

私はその姿を見て、武道に携わる人間の姿だと、至極感動した覚えがあります。

そんな考え方を持つ私ではあるのですが・・・

 

詩さんの件です、皆さん知っての通り、畳を降りて、泣き崩れました。

その姿に対しHさんは、否定的なコメントを出したのです。

 

武道を愛する私なら、Hさんと同じ感情をもちそうですが、私はHさんのコメントに反発を覚えたのです。

詩さんの大泣きに、私は否定的な感情が何故か湧き起らなかったのです。

それからずっと、否定的な感情が湧き起こらなかった感情の訳が、自分でも説明できませんでした。

 

さて今朝の事です、昔買った沢木耕太郎さんの「チェーン・スモーク」というエッセイ集を読んでいたら、ある章の所で、傍と膝を打ったのです。

「消えた言葉」という、エッセイの所です。

そこに、坂口安吾さんの「散る日本」の事が書かれてあります。

「散る日本」には「十年不敗の名人」木村義雄が、戦後初めて催された名人戦において、塚田正夫8段に打ち負かされる様が、描かれています。

 

坂口安吾は「勝負師」という続編を書かれました。

そこには新名人の塚田8段に対し、挑戦する木村元名人の戦いの様子が書かれています。

その勝負は2勝3敗で塚田は負けました。

 

負けた塚田は控室にいる安吾に対し「僕の負けかたは見苦しくなかったでしょう。僕は見苦しくなかったと思っているんだけど」と言います。

それを聞き、塚田に古い日本を打倒する希望の芽のようなものを見出していた安吾は、徒労感のようなものを覚えつつ「取り乱して泣くがいいじゃないか変な所へ気を遣わずに、あげて勝負に没頭するがいいじゃないか」と思ったと書いているようです。

 

この取り乱していいじゃないか、という一文に。詩さんがオリンピックまでに抱えた世の期待、練習量、そして勝ちたいという思いを思い起こしたのです。

その表面には出ない詩さんの部分を感じ取ったから、私は大号泣に対しなんら嫌悪を感じなかったし、Hさんの訳知ったかのような上から発言に反発を覚えたのだと、今朝読んだエッセイを見て、私自身気づいた次第でした。(すっきりしました)

 

南空会の子供たち、稽古は一所懸命

休憩時間は楽しく

 

最後の写真は、西都のある店にあるバンクシーの絵画の模写です

 


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