緊張の欧州

2007-08-01 16:11:30 | 軍事ネタ

世界情勢。


最近、欧州においての緊張が高まっている。
欧州の緊張といえば、90年代から2000年まで続いたユーゴ紛争があったが、
冷戦終結以降はEUなども発足され、大国同士は概ね安定が保たれてきた。
東欧のほうではウクライナやチェチェンで混乱や緊張、紛争が絶えなかったが、
旧ソ連構成国同士でのいざこざの話である。
今回は対外的に、ロシア連邦がNATO加盟国と緊張感を高めている。

そもそもNATOとは西欧を中心に発足された対ソ多国間軍事同盟であり、
冷戦終結とソ連解体によりその存在意義が怪しまれてきた。
それが、再びロシアが欧米との対立を深めてきたことにより、
再びNATOの存在感が出てきたのは世界平和を望んでる人たちからみれば
決して良いことではないだろう。


いまNATO(米国が中心)-ロシア間でもっともHOTな争点は、東欧のMD配備計画だ。
アメリカは、イランが保有するミサイルの脅威に対抗するため、
東欧の数ヶ国にミサイル防衛(MD)システムを配備しようと計画している。
まずはポーランドにミサイル発射基地を、チェコにミサイル追跡用レーダー施設を建設し、
その後ルーマニアやブルガリアやトルコやギリシャなどにもMD配備を検討中。

この動きにロシアは、「ロシアの戦略核を封じる動きだ」として反発。
イランのミサイル脅威などは建前で、東欧へのMD配備はロシアへの包囲網であると主張。
今年の4月26日には、もしもロシアの安保を脅かしてまで基地の建設を強行すれば、
ポーランドとチェコをミサイルの攻撃目標にするという強い警告を出した。
これに対し米国は、
「イランが米国本土及び欧州地域へミサイルを発射する場合、
ポーランドとチェコのMD施設はこれを事前にとらえ破壊できる最適の位置だ。」
と言及した。

ロシアのプーチン大統領は5月23日の記者会見で、
「欧州の現状は、中欧を兵器で満たさなければならないほど好ましくないのだろうか。
新たな軍拡競争に発展するだけで、完全に逆効果だ。」
と述べた。
また、
「欧州を火薬庫に変える。」と軍拡競争の誘発を警告。


5月29日にはNATOによるMD配備に対抗する為に、ロシア軍が新型大陸間弾道ミサイル(RS-24)の発射実験を行った。
RS-24は多弾頭型のICBMであり、MDシステムの防衛網を破る能力を持つとされている。
米国側が
「東欧に建設するMD施設は対イラン用。ロシア軍ならその気になれば容易に破壊できるものであり、
ロシアにとって脅威とはなりえない。」
と言及すると、ロシア側は
「それを実際に証明してみたいと考える人はいないだろう?」
と切り返した。


7月14日には、東欧のMD配備において安全保障が影響されたとして、ロシアはCFE条約の履行停止を表明した。
CFEは欧州での通常戦力を制限する条約で、欧州の安定要因とされていた。
これにより欧州での軍拡競争が懸念されている。
また、ルーマニアは国内での米軍基地建設と米軍駐留に賛成。
2008年までに米軍がルーマニアへの駐留を開始する予定。


と、NATO加盟国とロシアの間での対立が深まっています。
国家間で「核戦争の可能性」や「報復処置」などの言葉が飛び交っており、
ここまでの緊張状態は冷戦以後では初めてのこと。
この様子を「第二の冷戦」とする識者もいる。

また、英国とロシアは別の問題を抱えていて関係が悪化する要因となっている。
事の発端は去年の11月である。


アレクサンドル・リトビネンコ氏は元KGBであり、現在のロシアの情報機関FSBにも所属していた。
リトビネンコ氏はFSBが行っている暗殺や工作活動のことについて告発。
ロシア内で脅迫を受けるようになったので英国へ亡命し告発本などを著した。
ロシア国内で起こったテロ事件のいくつかはFSBが仕組んだものであり、
世論を操作するための自作自演のものだったとも証言。

しかし2006年11月1日、英国内で何者かによって食事に放射性物質を混入され体調悪化。
毒殺未遂だと報道されるが、とうとう11月23日には死亡した。
英国はロシア政府の指示によって行われたFSBによる暗殺だとするが、ロシア側は関与を否定した。
英国は2007年1月には容疑者を特定し、ロシア政府に対して実行犯の身柄引渡しを要求したが、
ロシア側は憲法上の理由でできないとし拒否した。
これに抗議した英国は2007年7月16日、ロシアの外交官4人を追放した。

ロシア側は「ロシアが英国に対し報復せずにいることはない。
より多く苦しむのは英国であり、ロシアではない。」
と警告し、
7月19日に英国の外交官4人を追放するという、報復合戦となった。
また、7月20日には北海上空をロシア空軍の戦略爆撃機が飛行し、
これに対しイギリス空軍とノルウェー空軍の戦闘機がスクランブル発進した。
両国間の関係は悪化の一途を辿っている。


といった感じ。
スクランブル発進は冷戦期なら珍しくもなく定期便みたいなものだったけど、
現在の緊張状態を象徴するかのような出来事。
ただロシアのこの態度はもう、はいはい俺らが殺らせましたよって吐露してるような感じが。

MD配備の件には中国もロシアに同調する動きを見せているし、
NATOも日本と連携をとろうと歩み寄ってきてるので、
欧州は遠くても我が国も到底無関係では済まないだろう。
アジアはアジアで台湾海峡の緊張があるわけだし。


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31 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (Unknown)
2007-08-01 16:38:17
ごめんさすがに3行で見るのやめた
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Unknown (Unknown)
2007-08-01 16:44:13
最近の北朝鮮はどうみればいいか教えてくれ!
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Unknown (Unknown)
2007-08-01 17:49:47
リトビネンコ はすべて知ってたから殺されました
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Unknown (Unknown)
2007-08-01 19:39:32
ゆっきぃさんかっこいいです
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Unknown (COBAIN)
2007-08-01 22:15:53
ポンド高い

困った

MD=Mini Disc
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Unknown (Unknown)
2007-08-01 22:25:24
ありがとう。勉強になったよ

結構こういうの好きな自分に気付いたわ
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Unknown (Unknown)
2007-08-01 23:00:36
自分も勉強になりました。
こんなヤバイ状況になっていたとは・・・。
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Unknown (Unknown)
2007-08-02 00:14:40
もちろんゆっきぃがラプタンに乗って日本を守ってくれるよね
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Unknown (Unknown)
2007-08-02 01:21:19
そういや東京急行も近頃は活発らしいね

生ツポレフ拝んでみたいわ
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Unknown (Unknown)
2007-08-02 01:48:58
う~む恐るべし大国ロシア・・・
ってかゆっきぃ君、書きながらワクワクしてないか?
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