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( 「加賀の井」 )
■2017/6/22(木) 曇
夏至だった昨日、くもり空ながら7時を過ぎてもなんとなく明るい空。 美味しい酒を飲み比べしようといつもより多めの家呑みをしたせいか、普段は日付が変わらないと寝ることなんてないのに相当早い午後10時すぎに就寝したからだろう、午前3時すぎに早々に目を覚ました。
枕もとのラジオのスイッチを入れると NHKラジオ深夜便「はしだのりひこ」特集で、 人は誰もただ一人旅に出~て~ 人は誰も故郷を振りか~え~る♬ となつかしいメロディ「風」が流れてきた。
はしだのりひこ特集を聴きながら うとうとしながら午前4時が過ぎた。次のコーナー「明日へのことば」 なんとあの新潟で一番歴史ある酒蔵で、昨年末、糸魚川で大火災に遭って丁度半年にあたる今日 インタビューは、「加賀の井酒造」の第18代当主 小林大祐氏(35歳)と聞いて一瞬に目が冴えた。 なんという幸運!
「糸魚川大規模火災から半年 酒蔵復興にかける 加賀の井酒造第18代蔵元 小林大祐 弟 小林久洋」
あれは昨年12月22日冬至 私の誕生日翌日のことだった。わずか一軒の中華店の出火が大火となり糸魚川の中心部全体を呑み込んだ。 加賀の井酒造が確か近くにあるはずだが、大丈夫なのだろうか? 悪い予感は、不思議と当たるもので、不運にも新潟一古い歴史を持つ酒蔵は、残すものなくすべて瓦礫と化してしまった。
新潟には何度か行ってはいるが糸魚川で降車したことはなかった。 でも その沿線風景を知っているだけに 加賀の井はじめ糸魚川の中心部の焼失の姿に 「ウー この年末になんて辛いんだ」と言葉が出た。 大祐氏の説明によれば年末、酒造りの追い込みにかかり、この火災のわずか1週間前に会社勤めをしていた弟を蔵に呼び寄せたばかりのタイミングだったそうだ。 これから兄弟力合わせての酒造りで、350年を超える伝統を守り続けようと決意したタイミングで、あまりにも過酷な不運が襲ったことになる。
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(焼失前の「加賀の井酒造」) (糸魚川大火で焼失)
ただその気持ちを切らさずに今は、お隣り富山の銀盤酒造を借りて酒造りを続けているのだそうだ。 そして全くの更地となってしまった糸魚川の元の地に 年内をめどに新しい酒蔵を復活させたいと抱負を語っていた。地元はじめ全国各地からの応援が力になると言われていた。 私も遠く離れた奈良だけれども 蔵まで行って直に「頑張って長く続いている歴史のタスキを是非未来につないでください」と言葉を贈りたいと思った。頑張れ! 加賀の井
来年、是非とも訪れたい酒蔵がまたひとつできた。
※ちなみに 新潟なのに なぜ酒の名に「加賀」が入っているのか? といえば、加賀百万石・前田家が参勤交代の際、この加賀の井の屋敷に本陣が敷かれ、酒を提供した際 殿さま(前田家三代目)がたいそう気に入られ、加賀の名を使うことを特別に許す となったことに起因しているそうだ。 由緒ある酒名、火事なんかで消してはいけない。
日本酒にはストーリーがある。だから日本酒はおもしろい。そして美味しいんだ。
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(寅)
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