おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

錦秋文楽公演 第3部

2020-11-08 17:21:35 | 観たもの
 国立文楽劇場で「錦秋文楽公演第3部」を見てまいりました。文楽はお正月公演以来、約10か月ぶりです。

 演目は「本朝廿四考」です。通常は「十種香」と「奥庭狐火」の段だけですが、今回はその前の「道行似合の女夫丸」「景勝上使」「鉄砲渡し」の段がつきました。15年ぶりだそうです。

 しかしながら、仕事終わりに行ってはいけませんね。10か月ぶりの義太夫、すっごく気持ちよくなって、せっかくの15年ぶりの「道行」「景勝上使」「鉄砲渡し」はほとんど意識を失っておりました。頭では「珍しい段なんだから、ちゃんと見ないとっ!!」と自分を叱咤激励しているのですが、身体は「義太夫=子守歌」と認識してたようです。

 「十種香」からはちゃんと見ました。八重垣姫は勘十郎さんです。すっかり持ち役となっています。でも、やっぱり簑助さんの八重垣姫を見たいよなと思ってた失礼な客はワタシです。御簾越しに浮かび上がる後ろ姿、本当に絶品でした。ほとんど動かないのに、勝頼の絵姿に向かっている背中が全てを語ってくれるんです。姫の一途な気持ちがこちらにひしひしと伝わってきます。その八重垣姫の姿がインプットされてしまうと、なかなか他の方の八重垣姫がこれを上書きすることは難しいです。

 その後の「奥庭狐火」は勘十郎さんオンステージ!、とても楽しく面白く拝見しました。何といっても「狐」でございます。ダイナッミクにアクロバティックに動きます。勘十郎さん、大の「狐好き」、それを知って見るせいもあるかもしれませんが、狐を遣われる時ってきっとウキウキされてるんだろうなと、何となくこちらまでニコニコしてしまいます。決して嬉しさを前面に出していらっしゃるわけではなく、無表情なんですけどね。この段を他の方で見たことがないので比較のしようがないのですが、狐の動きがとにかく細かい、そこまで細部にこだわりますか?と言いたくなるくらいです(←ほめてます)。

 八重垣姫もお姫様とは思えない動きで、非常に活動的です。かなり体力のいるお役だと思います。最後は狐がいっぱい出てきて、舞台狭しとあちらから、こちらから動き回ります。義太夫も三味線もとても情熱的で、ワクワクしてきます。結構、この段、好きです。歌舞伎はいつも「十種香」だけなんですが、やっぱりこの動きは人間では無理なんでしょうかね?この段がついたら、たぶん、ちゃんと意識を失うことなく見られると思うのですが。若手の女形さん、ぜひ一度お願いします。

 結局、第2部はまだ取ってません。第2部は人間国宝が4人もお出ましでなかなかの充実ぶりなんだそうですが。何とか日にちを作りたいと思います。

 《オマケ》
 文楽劇場さんのTwitterに狐の写真があります。ほっこりします。
コメント (4)
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