おとらのブログ

観たもの、見たもの、読んだもの、食べたものについて、ウダウダ、ツラツラ、ヘラヘラ書き綴っています。

真夏の夜の夢

2020-11-21 23:03:49 | 観たもの
 兵庫県立芸術文化センターで「真夏の夜の夢」を見てきました。劇場って100%入れてもOKになっていて、ここはそうなっていました(さすがに1列目と2列目は空席でした)。歌舞伎と文楽は今のところ前後左右空けた座席になっているので、少々ビビりましたが、仕方ありません。それでも、兵庫県立芸術文化センターはまだ余裕のある座席配置なので幾分ましですが。

 「今月のお芝居」にも書きましたが、この「真夏の夜の夢」、高校時代の演劇部で上演しました。これをプロのお芝居で見るのは初めてです。すごく楽しみにしていました。チラシには「原作:ウィリアム・シェイクスピア 小田島雄志訳「夏の夜の夢」より 潤色:野田秀樹 演出:シルヴィウ・プルカレーテ」とありました。「とりあえず野田さんがかかわっているのね」ということは理解しておりましたが、「潤色」っていうのがよーわかってませんでした。かなり大胆に書き替えられてました。1992年に上演されたそうですが、ご本人も「手を入れ切り刻んだ」とおっしゃってるくらいです。入り口でもらったパンフレットを始まる前に読んだとき、そのお話があまりに違っていて一瞬めまいを起こしそうになりました。「違う!私はシェイクピアの『真夏の夜の夢』を見たいの!小田島雄志さんや松岡和子さんの訳された『真夏の夜の夢』を見たいの!」と心で叫んでおりました。

 と、ちょっともやっとしながら、幕が開きました。
 今回の「真夏の夜の夢」のStoryです。
 
創業130年の割烹料理屋「ハナキン」。
 その娘・ときたまご(ハーミア)【北乃きい】には許婚がいた。
 板前のデミ(デミトリアス)【加治将樹】である。
 デミはときたまごを愛していたが、彼女は板前のライ(ライサンダー)【矢崎広】に恋心を寄せていた。
 ときたまごとライは〈富士の麓〉の「知られざる森」(アーデンの森)へ駆け落ちする。
 それを追いかけるのはデミと、彼に恋をしている娘・そぼろ(ヘレナ)【鈴木杏】。
 森では妖精のオーベロンとタイテーニアが可愛い拾い子をめぐって喧嘩をしている。
 オーベロンは媚薬を使ってタイテーニアに悪戯をしようと企み、妖精のパックに命令する。
 ついでにそぼろに冷たくするデミにも媚薬を使おうと思いつく。
 しかし悪魔メフィストフェレスが現れ、パックの役目を盗みとる。
 そこに「ハナキン」に出入りしている業者の面々が結婚式の余興の稽古にやって来て、事態はてんやわんやに……。

 一応、大筋は「真夏の夜の夢」なんですが、ゲーテの「ファウスト」とルイス・キャロルの「不思議の国のアリス」が絡んできます。野田さんらしいっちゃ野田さんらしい、ハチャメチャだけど決して破綻しない、面白いお芝居でした。意識を失うことなくずっと見たので(って、評価はそこかい!←ワタシにとっては重要なポイントです)。衣装がビニールで動くたびにシャカシャカと音がして、効果音みたいになってました。イマドキの映像も駆使され、休憩なしの2時間でしたが、飽きることなく一気に最後まで行きました。

 時節柄、くっついたり、顔のすぐ前で台詞を言ったり、フィナーレで全員が手をつないだりするのを見ると、ちょっとヒヤッとしました。それと、幕が下りて、お客さんが全員一斉に外に出るのも気になりました。歌舞伎座も文楽劇場も「この列から」みたいなプラカードを持って、順番に密にならないようにお客さんを外に出しているので。そのくせ「前の人とは1メートル開けてください」ってアナウンスしてるんですけどね。満席で全員が一斉に出たら、それは無理です。
 
 久しぶりに古典芸能ではないお芝居、楽しく面白く見ましたが、やっぱり最後まで「ワタシはシェイクスピアの『真夏の夜の夢』を見たいんや!」を心の中で連呼しておりました。死ぬまでに一度は見たい、と思いました。
コメント
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