ブルーノ・タウトの「ニッポン」を読みました。
日光に行く直前に(って、もう2ヶ月も前のお話ですが)、「そういえば、ブルーノ・タウトって、日光東照宮の悪口をいっぱい書いていたっけ・・・。行く前に、何か読んで予習しておかなきゃ!」ということで、買った本です。以前、タウトの本は1冊読んだんですが、内容はすっかり忘れ、かと言って同じ本を読むのは嫌なので、タウトの本の中でも一番薄かった本を選びました。しかし、結局、行く前に読むことはできず、帰ってから読んだんですが・・・。
この本はタウトの最初の日本印象記だそうです。『序』で岸田日出刀氏は「本書はタウト氏の日本観である。外国人の日本観というものに、あまりに私共は慣れすぎている。しかし、本書に示されているタウト氏の日本観は、決して世の常の外国人のものする表面印象的な日本観と同列のものではないことを信ずる。寡言で立つ学者らしいタウト氏が、じいっと日本というものを見つめてできたのが本書である。」と絶賛されているんですが、残念ながら、私の読み方が浅いんでしょうけど、私は外国人が書く日本観そのものと思ってしまいました。ただ、同時に思ったのは、タウトが来日したのは昭和8年で、そのときに書いている日本の印象って、そんなに古臭く感じなくて、「現代の日本を見て書かれた本です」と言われても十分通用する部分が多く、そういう意味ではタウトは日本をよく見ていたんでしょうね。
東照宮と思って買った本でしたが、東照宮についてはほとんど触れておらず、ほんの2,3ページの記述でした。やっぱり、ボロクソに書いています。
「日光のような絢爛たる建物は、環境がどんなに美しくとも、それだけにますます不快な感じを与える」
「・・・、前者(陽明門のこと)には粗暴な野蛮以外の何物もないのである」
「眼は絶間なく現れる絢爛華麗に眩惑して、ついには見る気もしなくなってしまう」
「ここでは思索は頭から追い出され、代わりに深い倦怠が襲って来る」
ここまで嫌わなくても・・・とちょっと思ってしまうくらいです。実際に見て、まあ、確かに色彩豊かな、賑々しいものだと思いましたが、「不快」とまでは思いませんでした。ウチの母などは「きれいかったやろ?」と言ってたくらいで、これが大部分の日本人の感想なんでしょうね。
それに引き換え、桂離宮は相変わらずの大絶賛です。「これでもかっ!」ってくらい賛美の言葉が続きます。私も、既に、桂離宮には三度訪れ(来週四度目の参観です)、書いていることはよく理解できるし、納得するし、「そうか、こういう風に表現すればいいのね」と次回のブログの参考にさせていただこうと思いました。ありがとう、タウトさん
文庫の表紙の写真は桂離宮の「楽器の間」だそうです。
日光に行く直前に(って、もう2ヶ月も前のお話ですが)、「そういえば、ブルーノ・タウトって、日光東照宮の悪口をいっぱい書いていたっけ・・・。行く前に、何か読んで予習しておかなきゃ!」ということで、買った本です。以前、タウトの本は1冊読んだんですが、内容はすっかり忘れ、かと言って同じ本を読むのは嫌なので、タウトの本の中でも一番薄かった本を選びました。しかし、結局、行く前に読むことはできず、帰ってから読んだんですが・・・。
この本はタウトの最初の日本印象記だそうです。『序』で岸田日出刀氏は「本書はタウト氏の日本観である。外国人の日本観というものに、あまりに私共は慣れすぎている。しかし、本書に示されているタウト氏の日本観は、決して世の常の外国人のものする表面印象的な日本観と同列のものではないことを信ずる。寡言で立つ学者らしいタウト氏が、じいっと日本というものを見つめてできたのが本書である。」と絶賛されているんですが、残念ながら、私の読み方が浅いんでしょうけど、私は外国人が書く日本観そのものと思ってしまいました。ただ、同時に思ったのは、タウトが来日したのは昭和8年で、そのときに書いている日本の印象って、そんなに古臭く感じなくて、「現代の日本を見て書かれた本です」と言われても十分通用する部分が多く、そういう意味ではタウトは日本をよく見ていたんでしょうね。
東照宮と思って買った本でしたが、東照宮についてはほとんど触れておらず、ほんの2,3ページの記述でした。やっぱり、ボロクソに書いています。
「日光のような絢爛たる建物は、環境がどんなに美しくとも、それだけにますます不快な感じを与える」
「・・・、前者(陽明門のこと)には粗暴な野蛮以外の何物もないのである」
「眼は絶間なく現れる絢爛華麗に眩惑して、ついには見る気もしなくなってしまう」
「ここでは思索は頭から追い出され、代わりに深い倦怠が襲って来る」
ここまで嫌わなくても・・・とちょっと思ってしまうくらいです。実際に見て、まあ、確かに色彩豊かな、賑々しいものだと思いましたが、「不快」とまでは思いませんでした。ウチの母などは「きれいかったやろ?」と言ってたくらいで、これが大部分の日本人の感想なんでしょうね。
それに引き換え、桂離宮は相変わらずの大絶賛です。「これでもかっ!」ってくらい賛美の言葉が続きます。私も、既に、桂離宮には三度訪れ(来週四度目の参観です)、書いていることはよく理解できるし、納得するし、「そうか、こういう風に表現すればいいのね」と次回のブログの参考にさせていただこうと思いました。ありがとう、タウトさん
文庫の表紙の写真は桂離宮の「楽器の間」だそうです。