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2006埼玉木の家設計コンペ・学生の部最優秀賞は木の座敷→木の土間→→庭→田園と空間が連続

2017年07月18日 | studywork

 2006「埼玉の木の家・設計コンペ」  埼玉県産木材利用推進

埼玉の木の家・設計コンペの狙い
 日本が木の国であったことには誰も異論がなかろう。つい最近まで、東京を始めとした都会でも木造住宅が一般であったし、いまでも地方には豊かな自然環境を背景とした木造の民家が地域性を形づくっている。
 あまりにも自然環境が豊かすぎると、樹木を始めとした自然環境は「自然」に維持されているように勘違いしてしまう。しかし、人が住めない原生林のように自然がそのまま維持されているところと違い、人里に近い山々は人が手を入れることで二次林としての自然環境が維持されてきた。
 日本書紀巻第一にも、素戔嗚尊が日本に優れた木がないことを残念がり、髭を投げて杉、胸毛を投げて桧、隠れ毛を投げて槙、眉毛を投げて楠とし、子ども 3 人に植林させた、とあり、日本の山が人手によって植林されてきたことをうかがわせる。
 埼玉にあっては、本多静六博士の造園、植林を忘れることができない。大宮の氷川公園、東京の日比谷公園を始め、各地で人々の憩いの場として親しまれている数多くの公園は氏の力によるものである。人が緑とかかわることで豊かな自然環境がつくりだされてきた、といっても過言ではない。
 しかし、いつの間にか、木のことが忘れられてきた。木の見えない生活があたりまえになってきた。一方で、木は「自然」に育つものといった誤解も人と木のかかわりを弱めている。埼玉から木が失われるといったい何が起きるか。まず土砂崩れが起きよう。降った雨は地表面を流れ落ちてしまい、豊かな清流を涵養することもできない。直接は目に見えないが、光合成でつくられる清涼な空気も消失し、二酸化炭素の急増で地球温暖化に拍車がかかる。木から発散される薬効成分も、木から得られるいやし効果も得られなくなる。身近にあったぬくもりのある木製品が消えてしまう。なにより、豊かな自然環境を背景にした住まいの原風景を失うことになる。
 言い換えれば、山々に木を植え、その木を積極的に活用することが、土砂災害を防ぎ、水源を涵養し、清涼な空気を供給し、地球温暖化を抑え、人々の心身をいやし、生活にぬくもりを与え、そして豊かな自然環境に囲まれた原風景を心に刻むことができるのである。
 埼玉県農林部では ・・略・・ 今年度は「JR 八高線沿線地域の里山など美しい田園景観に配慮し、県産木材を使った魅力ある田園住宅」へと継続された。
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埼玉の木の家・設計コンペ審査経過
 今年度は広報、ホームページに加えて、建築系の雑誌にコンペ募集を紹介したこともあり、計 81 点の応募が全国から寄せられた。内訳は、学生の部 53 点、一般の部 28 点、都道府県別では、埼玉県 37 点、東京都 16 点、大阪府 6 点、石川県 5 点、千葉県 4 点、京都府 3 点、群馬県 2 点、神奈川・栃木・福島・岡山・広島・高知・佐賀・北海道各 1 点である。
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学生の部:最優秀賞「命を吹き込む木の住まい」
 表現が絵画的であり、やや誇張しすぎだが、図面を通して感じる木の家に対する思い入れの強さが審査委員の心をとらえ、最優秀賞となった。イメージとしては八高線沿線の林が展開する田園の一角に、元もと育っていた木々と折り合うように部屋をはめ込んだ住まいといえる。これは課題の田園景観を見事にとらえている。おそらく、応募者の心象風景にこうした田園景観が息づいているのではないか。この田園景観のとらえ方は、プランの「木の座敷から→ 木の土間へ→ そして素足遊歩の間→さらに郷山の庭→田園の風景」へと空間が連続的に展開する気持ちよさに見事に結実している。プランの気持ちよさは、同時に、コンセプトでも指摘している②風をとらえるや③光をとらえるにもつながり、自然と折り合って暮らす田園地域のライフスタイルの提案となっている。木材利用のアイデアも、新しい工夫ではないが、純朴であるだけに説得力がある。こうした思い入れを持ち続けるとともに、プランをもっと注意深く練りあげ、空間を洗練させるよう研鑽されることを期待したい。(選評:I)

一般の部:最優秀賞「お気に入りのハナレをもつ田園住宅」
 この作品のパースや連続立面、断面図に描かれている背景の山並みや庭の立木が田園の風景にたたずむ住宅の心地よさを視覚的に表していて、審査委員の高い評価を得た。とくに、連続立面に表された景観は、低い母家と高見のハナレのさまざまなバリュエーションで構成され、田園地域の家並みモデルを分かりやすく示している。母家は、1.2 m間隔の木造構造部材で間取りが計画されていて、住宅規模、ライフスタイルに合わせて空間を可変させることができ、これが家並みのバリュエーションを裏付けている。また、リビングやデッキを東西方向に吹き放すことで、庭~室内~生垣~田園のように風景にとけ込んだ住まい方を提案している。この考え方は、母家からの景観を損なわないようにハナレを高くしたことに通じる。一方、高見のハナレからは普段と異なった景観が楽しめ、趣味など、非日常の生活に没頭できる仕掛けになっている。人生のゆとりを楽しむライフスタイルの提案である。しかし、30 代後半の夫婦二人の暮らしとしては現実味に欠ける。家族像の提案に踏み込んで欲しかった。(選評:I)
学生の部:優秀賞「日のあたる場所から」
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学生の部:優秀賞「オオキナ木ノユカ」
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一般の部:優秀賞「ちょっとだけ自然に恩返しできる家」
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コメント
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