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【夕刊フジ】「残業代ゼロ」構想のブラック度 日本企業では労働強化の恐れも

 夕刊フジの木曜日号(水曜発売)に「経済快説」という短いコラムを載せています。これは、WEBでもお読み頂けます。
 今週は、「「残業代ゼロ」構想のブラック度 日本企業では労働強化の恐れも 」と題する記事を書きました。
(※リンクをクリックすると、新しいページが立ち上がります。)

 個人的には、勤務時間ではなく成果に対する評価や期待で報酬を払うのが、フェアだし、当然だろうという感覚を持っています。
 しかし、こうした年俸制のような制度がフェアに機能するためには、

1.会社側が個々の社員の「成果」や「能力」を個別に評価することが可能であり、且つ、その評価を納得的に社員に説明することが出来るということ

2.社員側で、条件が不満な場合には転職の選択肢が現実的にあるということ

の、2つの条件が必要です。

 今回、政府の成長戦略の一環として、「残業代ゼロ」の賃金制度の導入が検討されています。
 しかし、「給与テーブル」のようなもので社員の給料を決める大雑把で横着な経営者・管理者と、転職の機会も経験も乏しい社員が多数集う日本企業で、フェアに機能するとは思えません。
 賃金を増やさない労働強化に偏って影響が表れる「ブラック効果」の方が大きいでしょう。

 私自身は、残業代ゼロよりも、労働者には一見より厳しいといわれるかもしれませんが、

1.「手厚い金銭補償を伴う正社員解雇ルール」の確立

2.年金・退職金などの制度に含まれる転職者の不利を除去して、人材の流動化のための条件整備

を先に行うべきだと考えています。

 中小・零細企業の社員は、事実上勝手に無補償で解雇されることが多いことから、金銭補償の明確化は、決して労働者側の不利ばかりではありませんし、まず人材市場が流動化しないと、会社を辞めた場合に行き場がなく、社員は会社に対して十分な交渉力を持てないと考えるからです。
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