原発問題はエネルギー問題だけはありません―国の在り方と核兵器について考える―
今回の総選挙の争点の一つに,原発維持か脱(卒)原発か,という問題があります。
しかし,マスコミは,国民の関心が最も高いのは景気対策であることを強調しています。
たしかに,景気・経済問題は日々の暮らしに直結する重大な問題です。
このため,ブログで二回にわたって,民主党と自民党の経済政策を扱いました。
その一方で,多くのマスコミは,脱(卒)原発を最大の政策課題として立ち上げられた「日本未来の党」については,その重要性を
あまり取り上げていません。
むしろ,小沢一郎氏の影がちらつく,などのネガティブ・キャンペーンだけが目に付きます。
原発の問題は,一見,エネルギー問題だけのような印象を与えます。
脱原発を政党の主なテーマとするのは,国政というさまざまな問題に対処するには狭すぎる,という批判的な見方もあります。
しかし,たとえばドイツの「緑の党」のように環境を旗印にした政党が,現在ではドイツの国政全体に大きな影響力をもっているの
です。
というのも,脱(卒)原発というのは,たんにエネルギーをどう賄うかという狭い範囲にとどまる問題ではないからです。
現代の日本はエネルギー多消費社会といえます。
もし,原発を止めてしまうと,電力が足りなくなり,電気料金は2倍に上がる,と宣伝されています。
しかし,この宣伝が本当かどうかはという問題は別の機会に囲うと思います・
ここでは,このまま原発を稼働させることが可能かどうかを考えてみましょう。
現在でもすでに使用済み核燃料の処分が不可能な状態にあるのに,これからも稼働させると,日々,行き場のない使用済み核燃料
が増え続けます。
原発維持派の人たちは,この問題にどのように対処するかについては全く触れません。
それより,今,産業界や市民生活で必要としている電力を賄うためには,原発を稼働させるしかない,という主張だけを繰り返し
ています。
しかし,今の必要を満たすために原発を稼働させれば,将来,その燃料を処理するために,巨額の費用がかかります。
これを考えれば,原発は長期的には決して安上がりのエネルギー源ではありません。
原発の問題は,長期的なコストの面,安全性の面のほかに,二つの重要な問題に関係しています。
一つは,日本という社会のあり方を,根本的に見直す,という問題です。
これまでの日本社会は,エネルギー多消費型の産業構造と生活様式(ライフスタイル)にどっぷりとつかってきました。
以前にも触れたことがありますが,例えば遠くから鉄鉱石を船で運び,膨大な量の電気や石炭でそれを溶かして鉄をとりだし,
加工します。
確かに,鉄は自動車や造船などの産業分野にとって不可欠の素材です。
しかし,もし,原発のエネルギーを使わなければそれらの産業が維持できないとしたら,
もう日本ではそれらの産業を存続させるのは困難であることを意味します。
一方,私たちの生活においても,あらゆる種類の家電製品があふれています。
また,東電などの電力会社は,オール電化の家を推進してきました。
加えて,各家庭での車の使用もエネルギーを多量に消費します。
車の使用に関して言えば,一部の国ですでに導入されているように,できるだけ近所の住民や仲間での相乗りを普及させること
も必要です。
大げさに言えば,原発問題はたんにエネルギーをどう確保するか,という問題にとどまりません。
産業構造と生活のあり方,全体日本という国の在り方を根本から見直すことを迫っているのです。
これは,国家予算の使い方も含めて国の運営全般の見直しをも必要としています。
二つ目は,原発と核兵器の問題です。
最近の石原,日本維新の会の代表や一部の自民党の政治家は,核兵器を作る潜在能力を保持する意味でも,原発は維持すべき
であるとの考えを示唆しています。
よく知られているように,原発を稼動すると,核兵器の原料となるプルトニウムが副産物として生産されるからです。
実を言うと,これは今,突然出てきたわけではなく,原発が日本で稼動し始めた当初から一部の政治家の頭にはあった考えです。
世界で唯一の被爆国として,日本は核兵器を持つべきではありません。
かつて小泉首相は「郵政民営化 イエスかノーか」だけで衆議院の総選挙をしました。
しかし,現在,その民営化は実質的に当初の中身は変質してしまっています。
郵政民営化というテーマに比べれば,原発問題は,はるかに重要で,これだけで総選挙によって民意を問うに値します。
以上の点から,私は今回の選挙では原発問題は中心的な課題として投票の判断材料になると考えます。
今回の総選挙の争点の一つに,原発維持か脱(卒)原発か,という問題があります。
しかし,マスコミは,国民の関心が最も高いのは景気対策であることを強調しています。
たしかに,景気・経済問題は日々の暮らしに直結する重大な問題です。
このため,ブログで二回にわたって,民主党と自民党の経済政策を扱いました。
その一方で,多くのマスコミは,脱(卒)原発を最大の政策課題として立ち上げられた「日本未来の党」については,その重要性を
あまり取り上げていません。
むしろ,小沢一郎氏の影がちらつく,などのネガティブ・キャンペーンだけが目に付きます。
原発の問題は,一見,エネルギー問題だけのような印象を与えます。
脱原発を政党の主なテーマとするのは,国政というさまざまな問題に対処するには狭すぎる,という批判的な見方もあります。
しかし,たとえばドイツの「緑の党」のように環境を旗印にした政党が,現在ではドイツの国政全体に大きな影響力をもっているの
です。
というのも,脱(卒)原発というのは,たんにエネルギーをどう賄うかという狭い範囲にとどまる問題ではないからです。
現代の日本はエネルギー多消費社会といえます。
もし,原発を止めてしまうと,電力が足りなくなり,電気料金は2倍に上がる,と宣伝されています。
しかし,この宣伝が本当かどうかはという問題は別の機会に囲うと思います・
ここでは,このまま原発を稼働させることが可能かどうかを考えてみましょう。
現在でもすでに使用済み核燃料の処分が不可能な状態にあるのに,これからも稼働させると,日々,行き場のない使用済み核燃料
が増え続けます。
原発維持派の人たちは,この問題にどのように対処するかについては全く触れません。
それより,今,産業界や市民生活で必要としている電力を賄うためには,原発を稼働させるしかない,という主張だけを繰り返し
ています。
しかし,今の必要を満たすために原発を稼働させれば,将来,その燃料を処理するために,巨額の費用がかかります。
これを考えれば,原発は長期的には決して安上がりのエネルギー源ではありません。
原発の問題は,長期的なコストの面,安全性の面のほかに,二つの重要な問題に関係しています。
一つは,日本という社会のあり方を,根本的に見直す,という問題です。
これまでの日本社会は,エネルギー多消費型の産業構造と生活様式(ライフスタイル)にどっぷりとつかってきました。
以前にも触れたことがありますが,例えば遠くから鉄鉱石を船で運び,膨大な量の電気や石炭でそれを溶かして鉄をとりだし,
加工します。
確かに,鉄は自動車や造船などの産業分野にとって不可欠の素材です。
しかし,もし,原発のエネルギーを使わなければそれらの産業が維持できないとしたら,
もう日本ではそれらの産業を存続させるのは困難であることを意味します。
一方,私たちの生活においても,あらゆる種類の家電製品があふれています。
また,東電などの電力会社は,オール電化の家を推進してきました。
加えて,各家庭での車の使用もエネルギーを多量に消費します。
車の使用に関して言えば,一部の国ですでに導入されているように,できるだけ近所の住民や仲間での相乗りを普及させること
も必要です。
大げさに言えば,原発問題はたんにエネルギーをどう確保するか,という問題にとどまりません。
産業構造と生活のあり方,全体日本という国の在り方を根本から見直すことを迫っているのです。
これは,国家予算の使い方も含めて国の運営全般の見直しをも必要としています。
二つ目は,原発と核兵器の問題です。
最近の石原,日本維新の会の代表や一部の自民党の政治家は,核兵器を作る潜在能力を保持する意味でも,原発は維持すべき
であるとの考えを示唆しています。
よく知られているように,原発を稼動すると,核兵器の原料となるプルトニウムが副産物として生産されるからです。
実を言うと,これは今,突然出てきたわけではなく,原発が日本で稼動し始めた当初から一部の政治家の頭にはあった考えです。
世界で唯一の被爆国として,日本は核兵器を持つべきではありません。
かつて小泉首相は「郵政民営化 イエスかノーか」だけで衆議院の総選挙をしました。
しかし,現在,その民営化は実質的に当初の中身は変質してしまっています。
郵政民営化というテーマに比べれば,原発問題は,はるかに重要で,これだけで総選挙によって民意を問うに値します。
以上の点から,私は今回の選挙では原発問題は中心的な課題として投票の判断材料になると考えます。