天才少年棋士現わる―藤井聡太四段(14才)の衝撃―
最近の日本における、さまざまな分野で、若い、それも10代の若者の活躍が目立ちます。
卓球界では、伊藤美誠(16才)、張本智和(13才)、陸上界では短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(18才)、
多田修平(20才)、女子レスリングでは須崎優衣(17才)などが、日本を代表する選手とし手活躍しています。
スポーツ選手に関していえば、25才ともなると、なんとなく、年齢を感じさせてしまいます。
スポーツの世界で若い世代が活躍するのは、ある程度理解できます。というのも、小さい時から英才教育をすることが一般的
になってきたこと、将来性のある若者が、専門スタッフによる科学的分析や研究に基づく、徹底したトレイ―ニングなどによ
って、かなり成績は伸びる可能性があるからです。
もちろん、飛び抜けて優秀な成績を残せるアスリートには、生まれもっての才能があることは大前提です。
そんな中で、スポーツ界ではなく、将棋界では、藤井聡太君(14才 四段)が昨年12月にデビュー戦で、将棋界最年長、
レジェンドと呼ばれる加藤一二三九段を破り、世間をあっと言わせました。
将棋の世界では、四段になって始めてプロになり、報酬をもらえるようになります。従って、藤井君は、史上最年少でプロに
なったばかりの少年棋士です。
私は、囲碁は趣味で、短期間ですが「日本棋院」に通っていましたし、テレビの「囲碁将棋チャンネル」を契約し、もっぱら
囲碁の番組だけを選んで見ています。
将棋は子どもころに遊んだことがあるので、基本的なルールや戦法は知っていますが、大人になってからは全く関心がなくな
ってしまいました。
ところが、今回の藤井君の躍進には、趣味の範囲外ではありますが、強い衝撃を受けました。。
プロ最初のデビュー戦で勝利して以降、あれよあれよという間に、勝利を重ね、6月21日には、神谷広志八段がもつ、歴代
最多の28連勝に並んでしまいました。
神谷八段の場合、プロになって何年も経った、いわば勢いのある年齢での記録ですが、藤井君の場合は、14才のデビュー戦
からの連勝ですから、ちょっと次元が違う気がします。
勝負ごとには勝ち負けはつきものですが、1回も負けず連勝を続けるのは至難の業です。
その姿をテレビなどで見た人も多いと思いますが、なんといっても彼はまだ中学生です。
その落ち着き払ったたたずまいといい、勝っても淡々として、“勝てたのは僥倖でした”、とか“幸運でした”という言葉に現れ
ているように、彼はとても謙虚で、思いあがったところがありません。
藤井君は5才から将棋を始め、小学校在学中から数々の優勝経験をもっていますが、特に英才教育を受けてきたわけではあり
ません。
ただ、幼いころから将棋に敗けると悔しくて号泣する、という負けず嫌いではあったようです。
藤井君の強さの秘密は、もちろん簡単に言えば、読みの深さと正確さです。
しかし、読みの深さと正確さにおいては、経験を積んだ棋士たちも決して劣ってはいないはずですが、藤井君の場合、それら
が並外れている天才である、としか言いようがありません。
対戦した棋士たち、あるいは将棋界のベテランが藤井君の将棋を評して一様に言うことは、とにかくミスが少ない、という点
です。
将棋は人と人とが勝負するゲームですから、精神的な動揺、見落とし、読み違いは常に起こり得ます。
しかし、ミスがほとんどない、ということは、あくまでも冷静に、客観的な精神状態を保っているということです。
もう一つ、特に悪い手を打った記憶はないが、気が付いてみると、もうどうにもならない状況に追い込まれている、というコ
メントをした人もいます。
私も、28連勝目の対戦、中盤から終局までテレビのLIVEで観戦しましたが、藤井君が特別に意表を突くすごい手を打っ
たような記憶はありません。
おそらく対戦相手の澤田真悟六段も、特に悪手を打った気はないようでした。
私が、藤井君のすごさを感じたのは、何気なく打っているうちに、気が付いてみると相手は負けを逃れられないところに追い
込まれている、という打ち回しです。
これこそが、天才的な能力の証です。
次に、藤井君といえども、彼の主観ではミスと思われる手を打つことがあります。テレビでは、(恐らくミスに気が付いて)
思わずヒザをたたいたことがありました。
しかし、通常なら、ミスに気が付くと、焦りや気持ちの動揺が起きるところですが、彼は、そこから冷静に最善手を考え、つ
いに勝ってしまいます。
これも、とうてい、並の中学生の少年にできることではありません。
28連勝がかかった棋戦の終盤で、将棋ファンのグループが、人工知能(AI)コンピュータの将棋ソフトで、藤井君の次の
手を予測させていました。
すると、コンピュータと藤井君が実際に打った手とが見事に一致していたのです。
おそらく藤井君は、コンピュータと同じように、感情に左右されず、あくまでも客観的に最善手を見出そうとする、冷静で強
い意志と、透徹した読みの力を持ち合わせている稀有な存在だと思います。
全国の将棋教室の入会者が激増したり、藤井君の筆になる「大志」の文字が書かれた扇子があっという間ン売り切れたり、その
他藤井君関連のグッズがたちまし売り切れたり、その経済効果も大変な金額にのぼるようです。
果ては、藤井君が幼いときによく遊んだという、キュボロという遊具は、注文が殺到し、現在は半年待ち、という状況です。
一人の中学生が巻き起こした、驚き、感動の旋風はどこまで続くのでしょうか?
26日はいよいよ、自らが史上最多の記録を打ち立てることができるかどうかの勝負の日です。この棋戦には目が離せません。
それにしても、やはり、これだけの成績を残すことができたのは、努力のほかに、天性の能力の部分の大きいのではないか、
と思わざるを得ません。
私は個人的に、この怪物のような天才にこれからも注目してゆきたいと思います。
最近の日本における、さまざまな分野で、若い、それも10代の若者の活躍が目立ちます。
卓球界では、伊藤美誠(16才)、張本智和(13才)、陸上界では短距離のサニブラウン・アブデル・ハキーム(18才)、
多田修平(20才)、女子レスリングでは須崎優衣(17才)などが、日本を代表する選手とし手活躍しています。
スポーツ選手に関していえば、25才ともなると、なんとなく、年齢を感じさせてしまいます。
スポーツの世界で若い世代が活躍するのは、ある程度理解できます。というのも、小さい時から英才教育をすることが一般的
になってきたこと、将来性のある若者が、専門スタッフによる科学的分析や研究に基づく、徹底したトレイ―ニングなどによ
って、かなり成績は伸びる可能性があるからです。
もちろん、飛び抜けて優秀な成績を残せるアスリートには、生まれもっての才能があることは大前提です。
そんな中で、スポーツ界ではなく、将棋界では、藤井聡太君(14才 四段)が昨年12月にデビュー戦で、将棋界最年長、
レジェンドと呼ばれる加藤一二三九段を破り、世間をあっと言わせました。
将棋の世界では、四段になって始めてプロになり、報酬をもらえるようになります。従って、藤井君は、史上最年少でプロに
なったばかりの少年棋士です。
私は、囲碁は趣味で、短期間ですが「日本棋院」に通っていましたし、テレビの「囲碁将棋チャンネル」を契約し、もっぱら
囲碁の番組だけを選んで見ています。
将棋は子どもころに遊んだことがあるので、基本的なルールや戦法は知っていますが、大人になってからは全く関心がなくな
ってしまいました。
ところが、今回の藤井君の躍進には、趣味の範囲外ではありますが、強い衝撃を受けました。。
プロ最初のデビュー戦で勝利して以降、あれよあれよという間に、勝利を重ね、6月21日には、神谷広志八段がもつ、歴代
最多の28連勝に並んでしまいました。
神谷八段の場合、プロになって何年も経った、いわば勢いのある年齢での記録ですが、藤井君の場合は、14才のデビュー戦
からの連勝ですから、ちょっと次元が違う気がします。
勝負ごとには勝ち負けはつきものですが、1回も負けず連勝を続けるのは至難の業です。
その姿をテレビなどで見た人も多いと思いますが、なんといっても彼はまだ中学生です。
その落ち着き払ったたたずまいといい、勝っても淡々として、“勝てたのは僥倖でした”、とか“幸運でした”という言葉に現れ
ているように、彼はとても謙虚で、思いあがったところがありません。
藤井君は5才から将棋を始め、小学校在学中から数々の優勝経験をもっていますが、特に英才教育を受けてきたわけではあり
ません。
ただ、幼いころから将棋に敗けると悔しくて号泣する、という負けず嫌いではあったようです。
藤井君の強さの秘密は、もちろん簡単に言えば、読みの深さと正確さです。
しかし、読みの深さと正確さにおいては、経験を積んだ棋士たちも決して劣ってはいないはずですが、藤井君の場合、それら
が並外れている天才である、としか言いようがありません。
対戦した棋士たち、あるいは将棋界のベテランが藤井君の将棋を評して一様に言うことは、とにかくミスが少ない、という点
です。
将棋は人と人とが勝負するゲームですから、精神的な動揺、見落とし、読み違いは常に起こり得ます。
しかし、ミスがほとんどない、ということは、あくまでも冷静に、客観的な精神状態を保っているということです。
もう一つ、特に悪い手を打った記憶はないが、気が付いてみると、もうどうにもならない状況に追い込まれている、というコ
メントをした人もいます。
私も、28連勝目の対戦、中盤から終局までテレビのLIVEで観戦しましたが、藤井君が特別に意表を突くすごい手を打っ
たような記憶はありません。
おそらく対戦相手の澤田真悟六段も、特に悪手を打った気はないようでした。
私が、藤井君のすごさを感じたのは、何気なく打っているうちに、気が付いてみると相手は負けを逃れられないところに追い
込まれている、という打ち回しです。
これこそが、天才的な能力の証です。
次に、藤井君といえども、彼の主観ではミスと思われる手を打つことがあります。テレビでは、(恐らくミスに気が付いて)
思わずヒザをたたいたことがありました。
しかし、通常なら、ミスに気が付くと、焦りや気持ちの動揺が起きるところですが、彼は、そこから冷静に最善手を考え、つ
いに勝ってしまいます。
これも、とうてい、並の中学生の少年にできることではありません。
28連勝がかかった棋戦の終盤で、将棋ファンのグループが、人工知能(AI)コンピュータの将棋ソフトで、藤井君の次の
手を予測させていました。
すると、コンピュータと藤井君が実際に打った手とが見事に一致していたのです。
おそらく藤井君は、コンピュータと同じように、感情に左右されず、あくまでも客観的に最善手を見出そうとする、冷静で強
い意志と、透徹した読みの力を持ち合わせている稀有な存在だと思います。
全国の将棋教室の入会者が激増したり、藤井君の筆になる「大志」の文字が書かれた扇子があっという間ン売り切れたり、その
他藤井君関連のグッズがたちまし売り切れたり、その経済効果も大変な金額にのぼるようです。
果ては、藤井君が幼いときによく遊んだという、キュボロという遊具は、注文が殺到し、現在は半年待ち、という状況です。
一人の中学生が巻き起こした、驚き、感動の旋風はどこまで続くのでしょうか?
26日はいよいよ、自らが史上最多の記録を打ち立てることができるかどうかの勝負の日です。この棋戦には目が離せません。
それにしても、やはり、これだけの成績を残すことができたのは、努力のほかに、天性の能力の部分の大きいのではないか、
と思わざるを得ません。
私は個人的に、この怪物のような天才にこれからも注目してゆきたいと思います。