2025年参議院選(2)―日本人が抱える深き心の傷は癒されるか―
2025年の参議院選の結果の主要な点は、①自公の惨敗、過半数割れ ②「日本人ファースト」
「行き過ぎた外国人受け入れに反対」などを掲げた参政党の大躍進、③「働く現役世代を助ける政
策」に焦点を当てて躍進した国民民主党、④立憲民主党の停滞、と整理することができます。
選挙結果の具体的な獲得議席をみると以下のとおりです。
自民党 39(選挙区 27+ 比例12)
公明党 8(4+4)
立憲 22(15+7)
国民民主 17(10+7)
参政党 14(7+7)
国民民主党の躍進はある程度予想されていましたが、参政党は前回の1人から14人への、文字通り
大躍進です。
参政党大躍進の理由について、これまでいくつも指摘されてきました。たとえば、地方での地道な活
動の積み重ね、代表の神谷宗幣氏の支持者への上から目線ではなく「みんなで作ろうよ」という「兄
貴」的スタンス、分かり易い言葉で語りかけるコミュニケーション能力、などなどです。
しかし、参政党を支持した一般の有権者に最も「刺さった」のは「日本人ファースト」というメッセ
ージだったことは間違いありません。
そして、国民民主党を支持した人たちには「手取りを増やす」というメッセージが若者から就職氷河
期世代に強く訴えたことが投票結果からわかります。
同党への支持はむしろ、「自国は衰退している」「既存の政党や政治家は、私のような人間を気にかけ
ていない」「忘れられている」「見捨てられている」、という怨念にも似た感情の爆発とも言えます。
このため、今回の選挙において参政党の支持者には、初めて政治に関心を持った人たちが多かったこ
とも指摘されています。
雨宮処凛さんは今回の選挙の過程と結果をみて、「日本人のプライドはこんなにも傷ついていたのか」
と述べています。私も全く同じ感想をもっています。雨宮さんは、次のように書いています。
物価上昇で生活は苦しくなり、スーパーマーケットの棚から主食の米が消えたりもして、人
々は不安の渦中にありました。
一方、コロナ禍で閉じていた国境が開いてからは外国人観光客が増え、日本人には手が出な
いような高価なものを「安い、安い」と大喜びで買っていく。ホテル代はうなぎ登り。人々
は、経済大国だったはずの日本が実は急激に貧しく弱くなっている事実を、日々突きつけら
れています。
日本の「埋没」は、隠しようもなくはっきりしています。特に、2010年に、GDPで中国に抜かれて
アメリカに次いで世界第二位であった日本は3位に転落。さらに昨年はドイツにも抜かれ、現在は4位。
日本経済のピークは1994年で、この年、世界のGDP総額の18%を占めていたのに、2022年に
は4%へ一気に転落してしまいました(直近ではおそらく3%台)。
それだけでなく、一人当たり生産性でもGDPでも、1時間当たりの賃金でも、今や韓国を下回ってい
ます。
こうした事情を反映して、日本の通貨「円」の価値は下がり続け、2011年のピークには1ドル75円だっ
たものが、現在は145円から150円という驚くべき円安です。
貨幣の価値は国力の真の実力を表していますから、この間に日本の国力が急降下したことが分かります。
このため、アジア諸国も含めて、海外からの旅行者は、日本は「安い 安い」と押し寄せている無です。
まら、高額のマンションや土地が外国人に買い取られている、などのニュースに接するたびに、日本
人としてもプライドがひどく傷ついてきたのではないでしょうか。
雨宮さんは、続いて
私はこの約1カ月半で、社会の空気が急激に変わったと感じました。参政党が「日本人ファー
スト」を掲げ、「外国人」にターゲットを定めた途端、人々は反射的にそれに飛びついたよう
に見えました。まるで「ああ、やっと俺らのホンモノの敵が見つかった!」とばかりに。ず
っと抱えてきた不安やモヤモヤの理由を言い当ててもらえた喜びや高揚感すらも、私は参政
党支持者に感じました。(注2)
とも述べています。
SNSには、外国人観光客のマナーの悪さを問題視するような、真偽不明の動画が常に拡散され、私た
ちの目に入らない日はありません。
6月には、東京都板橋区のマンションの賃料が中国系オーナー企業によって突然2・5倍に引き上げられ、
住民が立ち退きを迫られた件がテレビや新聞などで広く報道されました。
しかも世界に目を向けると、中国の脅威、台湾有事、そしてウクライナにガザでの殺戮など、不安が募
る中、米国からは、高関税を押し付けられ日本経済が窮地に追い込まれています。
る移民取り締まりに抗議するデモに州兵が派遣されたニュースが。交流サイト(SNS)に流れる、「燃
やされる車」や「暴徒化したデモ隊」の動画は、「外国人を野放図に入れたらこんなに大変なことにな
るぞ!」と人々をたきつけました。
慶應義塾大学の烏谷昌幸教授は、参政党の「日本人ファースト」というメッセージが多くの人の共感を
得た背景の一つに、「自尊心を傷つけられた日本人」という点を指摘しています。
いま、日本という国家は未来について論じても厳しいことばかりです。国の借金は過去最大の
1300兆円を超え、人口は数十年後には8000万人台にまで減少する……。
日本に限らず、先進諸国は国力を維持できずに衰退しています。国力が低下していくという現
象が、その国に生きる国民の精神にどのような影響を及ぼすものであるかは軽視できない問題
です。
とりわけ隣国の中国は経済的にも政治的にも揺るぎない大国としての存在感を示すようになり
ました。なかには、このような現実を受け入れられない人もいると思います。日本人としての
自尊心を傷つけられたように感じる人もいると思います。
しかし、こうした状況にもかかわらず、既存の政治家や政党は、国民を元気づけるような国家
論や、未来の社会像を提示できなかった(注3)。
これまでの政治が、自分たちを元気づける国家論や希望がもてる未来像を提示して来なかったことは確
かです。
そんな状況で長い間ずっと心の底に淀んでいた、何とも言えない不安や不満、そして「傷ついた自尊心」
を癒してくれるメッセージを待ち望んでいたと思われます。
そんな中で、「日本人ファースト」というキャッチフレーズはストレートに心に“刺さった”のでしょう。
6月17日、東京都練馬区の練馬駅前。街頭演説に参加していた会社員の男性(65)は、新型コロナウイ
ルス禍でワクチン接種に疑問を抱く中で参政党に関心を持ったという。
コロナ禍では外国人が街からいなくなったが、今や観光地は外国人であふれ、都内でも ホテル代が信じ
られないくらい値上がりしている。日本人の給料は30年間上がらず、旅行にもなかなか行けないのに…。
この男性は現状への不満を示しつつ、「外国人差別をしようっていうんじゃない。日本の政治家なら日本
人のための政治をやってほしい」と付け加えた。
また同じころ大田区で街頭演説を聞いていた会社員女性(33)は「国会の左傾化」が気になっていたとい
う。約1年前に新宿で参政党の街頭演説を聞いて「外国人優遇ばかりだ、という自分の考えと同じことを話
している」と共感した。
訪日外国人の増加によるオーバーツーリズム(観光公害)や在日外国人の近隣トラブルなどの報道に接し、
もやもやした気持ちを抱えていたという。(注4)
外国人観光客のマナーの悪さを問題視するような、真偽不明の動画が常にSNSで拡散され、私たちの目
に入らない日はありません。
6月には東京都板橋区のマンションの賃料が中国系オーナー企業によって突然2・5倍に引き上げられ、住民
が立ち退きを迫られた件がテレビや新聞などで広く報道されました。
ここで、外国人ばかりが優遇されていることの具体的な証拠はありませんし、この手の発言のほとんどはフ
ァクトチェックでは、根拠のない事柄ばかりです。
しかし、問題は、そのようなファクトチェックをいくらしても、一旦、外国人のために自分たちの生活が脅
かされている、と思い込んでいる人たちにとって、事実の確認は意味を持ちません。
いったい日本はどうなるんだろう。人々がそんな不安の渦中にあった時、「日本人ファースト」という言葉が
目に飛び込んできたのです。「その通りだ!」と共感する人が多かったのは、そういったいくつもの条件やタ
イミングが奇跡的に重なったからではないかと考えられます。
一橋大特任教授・楠木建氏は、参政党をポプユリズム政党だとみなしたうえで、同党が議席数を伸ばしたのは、
ポピュリズム選挙の戦略が、うまくはまったからだと思うと述べています。
ポピュリズムには二つのパターンがあります。「パン」と「サーカス」です。他の政党は有権者の支持
を得るために消費減税や給付金の支給といった目先の利益(パン)を提供しようとした。一方で、参政
はサーカスを提供した。それが今の政治状況では目新しかったということです。
つまり参政党は、サーカスのような楽しみ、興奮を与えるエンタメを提供して成功した。「サーカス型ポピュリ
ズムとは何か。要するに、憂さ晴らしです」。
排外主義を利用したポピュリズムは古典的な手法で別に新しくないですが、「日本人ファースト」というソフト
な演目にすることで、憂さ晴らしのエンタメ性を高めた、と結論しています。
ただし楠木氏は、「ただ参政が躍進したからといって、このムーブメントが続くとは思えません。選挙のサーカ
スは、1日限りのイベントですから」と、将来どうなるかは分からない、とも述べています。
既成政党は支持基盤や支援組織のしがらみがある。一方で失うものがない新興の参政は、一発の選挙に全てを懸
けることができて、今回はうまくいった(注5)。
(注1)『毎日新聞』電子版(2025/7/22 05:00、最終更新 7/22 09:47)7.22閲覧
https://mainichi.jp/articles/20250718/k00/00m/010/277000c?utm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailhiru&utm_content=20250722
(注2)毎日新聞2025/7/22 05:00(最終更新 7/22 09:47)
https://mainichi.jp/articles/20250718/k00/00m/010/277000c?utm_source=article&utm _medium=email&utm_campaign=mailhiru&utm_content=20250722
(注3)PRESIDENT Online 2025/07/18 17:00 7.19 閲覧
https://president.jp/articles/-/98559?cx_referrertype=mail&utm_source=presidentnews&utm_medium=email&utm_campaign=dailymail
(注4)毎日新聞2025/7/3 05:00(最終更新 7/3 12:00) 7.5閲覧
https://mainichi.jp/articles/20250702/k00/00m/010/119000c
(注5)『毎日新聞』電子版 2025.7.22 7.2閲覧
https://mainichi.jp/articles/20250723/k00/00m/010/037000c?utm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailyu&utm_content=20250723
2025年の参議院選の結果の主要な点は、①自公の惨敗、過半数割れ ②「日本人ファースト」
「行き過ぎた外国人受け入れに反対」などを掲げた参政党の大躍進、③「働く現役世代を助ける政
策」に焦点を当てて躍進した国民民主党、④立憲民主党の停滞、と整理することができます。
選挙結果の具体的な獲得議席をみると以下のとおりです。
自民党 39(選挙区 27+ 比例12)
公明党 8(4+4)
立憲 22(15+7)
国民民主 17(10+7)
参政党 14(7+7)
国民民主党の躍進はある程度予想されていましたが、参政党は前回の1人から14人への、文字通り
大躍進です。
参政党大躍進の理由について、これまでいくつも指摘されてきました。たとえば、地方での地道な活
動の積み重ね、代表の神谷宗幣氏の支持者への上から目線ではなく「みんなで作ろうよ」という「兄
貴」的スタンス、分かり易い言葉で語りかけるコミュニケーション能力、などなどです。
しかし、参政党を支持した一般の有権者に最も「刺さった」のは「日本人ファースト」というメッセ
ージだったことは間違いありません。
そして、国民民主党を支持した人たちには「手取りを増やす」というメッセージが若者から就職氷河
期世代に強く訴えたことが投票結果からわかります。
同党への支持はむしろ、「自国は衰退している」「既存の政党や政治家は、私のような人間を気にかけ
ていない」「忘れられている」「見捨てられている」、という怨念にも似た感情の爆発とも言えます。
このため、今回の選挙において参政党の支持者には、初めて政治に関心を持った人たちが多かったこ
とも指摘されています。
雨宮処凛さんは今回の選挙の過程と結果をみて、「日本人のプライドはこんなにも傷ついていたのか」
と述べています。私も全く同じ感想をもっています。雨宮さんは、次のように書いています。
物価上昇で生活は苦しくなり、スーパーマーケットの棚から主食の米が消えたりもして、人
々は不安の渦中にありました。
一方、コロナ禍で閉じていた国境が開いてからは外国人観光客が増え、日本人には手が出な
いような高価なものを「安い、安い」と大喜びで買っていく。ホテル代はうなぎ登り。人々
は、経済大国だったはずの日本が実は急激に貧しく弱くなっている事実を、日々突きつけら
れています。
日本の「埋没」は、隠しようもなくはっきりしています。特に、2010年に、GDPで中国に抜かれて
アメリカに次いで世界第二位であった日本は3位に転落。さらに昨年はドイツにも抜かれ、現在は4位。
日本経済のピークは1994年で、この年、世界のGDP総額の18%を占めていたのに、2022年に
は4%へ一気に転落してしまいました(直近ではおそらく3%台)。
それだけでなく、一人当たり生産性でもGDPでも、1時間当たりの賃金でも、今や韓国を下回ってい
ます。
こうした事情を反映して、日本の通貨「円」の価値は下がり続け、2011年のピークには1ドル75円だっ
たものが、現在は145円から150円という驚くべき円安です。
貨幣の価値は国力の真の実力を表していますから、この間に日本の国力が急降下したことが分かります。
このため、アジア諸国も含めて、海外からの旅行者は、日本は「安い 安い」と押し寄せている無です。
まら、高額のマンションや土地が外国人に買い取られている、などのニュースに接するたびに、日本
人としてもプライドがひどく傷ついてきたのではないでしょうか。
雨宮さんは、続いて
私はこの約1カ月半で、社会の空気が急激に変わったと感じました。参政党が「日本人ファー
スト」を掲げ、「外国人」にターゲットを定めた途端、人々は反射的にそれに飛びついたよう
に見えました。まるで「ああ、やっと俺らのホンモノの敵が見つかった!」とばかりに。ず
っと抱えてきた不安やモヤモヤの理由を言い当ててもらえた喜びや高揚感すらも、私は参政
党支持者に感じました。(注2)
とも述べています。
SNSには、外国人観光客のマナーの悪さを問題視するような、真偽不明の動画が常に拡散され、私た
ちの目に入らない日はありません。
6月には、東京都板橋区のマンションの賃料が中国系オーナー企業によって突然2・5倍に引き上げられ、
住民が立ち退きを迫られた件がテレビや新聞などで広く報道されました。
しかも世界に目を向けると、中国の脅威、台湾有事、そしてウクライナにガザでの殺戮など、不安が募
る中、米国からは、高関税を押し付けられ日本経済が窮地に追い込まれています。
る移民取り締まりに抗議するデモに州兵が派遣されたニュースが。交流サイト(SNS)に流れる、「燃
やされる車」や「暴徒化したデモ隊」の動画は、「外国人を野放図に入れたらこんなに大変なことにな
るぞ!」と人々をたきつけました。
慶應義塾大学の烏谷昌幸教授は、参政党の「日本人ファースト」というメッセージが多くの人の共感を
得た背景の一つに、「自尊心を傷つけられた日本人」という点を指摘しています。
いま、日本という国家は未来について論じても厳しいことばかりです。国の借金は過去最大の
1300兆円を超え、人口は数十年後には8000万人台にまで減少する……。
日本に限らず、先進諸国は国力を維持できずに衰退しています。国力が低下していくという現
象が、その国に生きる国民の精神にどのような影響を及ぼすものであるかは軽視できない問題
です。
とりわけ隣国の中国は経済的にも政治的にも揺るぎない大国としての存在感を示すようになり
ました。なかには、このような現実を受け入れられない人もいると思います。日本人としての
自尊心を傷つけられたように感じる人もいると思います。
しかし、こうした状況にもかかわらず、既存の政治家や政党は、国民を元気づけるような国家
論や、未来の社会像を提示できなかった(注3)。
これまでの政治が、自分たちを元気づける国家論や希望がもてる未来像を提示して来なかったことは確
かです。
そんな状況で長い間ずっと心の底に淀んでいた、何とも言えない不安や不満、そして「傷ついた自尊心」
を癒してくれるメッセージを待ち望んでいたと思われます。
そんな中で、「日本人ファースト」というキャッチフレーズはストレートに心に“刺さった”のでしょう。
6月17日、東京都練馬区の練馬駅前。街頭演説に参加していた会社員の男性(65)は、新型コロナウイ
ルス禍でワクチン接種に疑問を抱く中で参政党に関心を持ったという。
コロナ禍では外国人が街からいなくなったが、今や観光地は外国人であふれ、都内でも ホテル代が信じ
られないくらい値上がりしている。日本人の給料は30年間上がらず、旅行にもなかなか行けないのに…。
この男性は現状への不満を示しつつ、「外国人差別をしようっていうんじゃない。日本の政治家なら日本
人のための政治をやってほしい」と付け加えた。
また同じころ大田区で街頭演説を聞いていた会社員女性(33)は「国会の左傾化」が気になっていたとい
う。約1年前に新宿で参政党の街頭演説を聞いて「外国人優遇ばかりだ、という自分の考えと同じことを話
している」と共感した。
訪日外国人の増加によるオーバーツーリズム(観光公害)や在日外国人の近隣トラブルなどの報道に接し、
もやもやした気持ちを抱えていたという。(注4)
外国人観光客のマナーの悪さを問題視するような、真偽不明の動画が常にSNSで拡散され、私たちの目
に入らない日はありません。
6月には東京都板橋区のマンションの賃料が中国系オーナー企業によって突然2・5倍に引き上げられ、住民
が立ち退きを迫られた件がテレビや新聞などで広く報道されました。
ここで、外国人ばかりが優遇されていることの具体的な証拠はありませんし、この手の発言のほとんどはフ
ァクトチェックでは、根拠のない事柄ばかりです。
しかし、問題は、そのようなファクトチェックをいくらしても、一旦、外国人のために自分たちの生活が脅
かされている、と思い込んでいる人たちにとって、事実の確認は意味を持ちません。
いったい日本はどうなるんだろう。人々がそんな不安の渦中にあった時、「日本人ファースト」という言葉が
目に飛び込んできたのです。「その通りだ!」と共感する人が多かったのは、そういったいくつもの条件やタ
イミングが奇跡的に重なったからではないかと考えられます。
一橋大特任教授・楠木建氏は、参政党をポプユリズム政党だとみなしたうえで、同党が議席数を伸ばしたのは、
ポピュリズム選挙の戦略が、うまくはまったからだと思うと述べています。
ポピュリズムには二つのパターンがあります。「パン」と「サーカス」です。他の政党は有権者の支持
を得るために消費減税や給付金の支給といった目先の利益(パン)を提供しようとした。一方で、参政
はサーカスを提供した。それが今の政治状況では目新しかったということです。
つまり参政党は、サーカスのような楽しみ、興奮を与えるエンタメを提供して成功した。「サーカス型ポピュリ
ズムとは何か。要するに、憂さ晴らしです」。
排外主義を利用したポピュリズムは古典的な手法で別に新しくないですが、「日本人ファースト」というソフト
な演目にすることで、憂さ晴らしのエンタメ性を高めた、と結論しています。
ただし楠木氏は、「ただ参政が躍進したからといって、このムーブメントが続くとは思えません。選挙のサーカ
スは、1日限りのイベントですから」と、将来どうなるかは分からない、とも述べています。
既成政党は支持基盤や支援組織のしがらみがある。一方で失うものがない新興の参政は、一発の選挙に全てを懸
けることができて、今回はうまくいった(注5)。
(注1)『毎日新聞』電子版(2025/7/22 05:00、最終更新 7/22 09:47)7.22閲覧
https://mainichi.jp/articles/20250718/k00/00m/010/277000c?utm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailhiru&utm_content=20250722
(注2)毎日新聞2025/7/22 05:00(最終更新 7/22 09:47)
https://mainichi.jp/articles/20250718/k00/00m/010/277000c?utm_source=article&utm _medium=email&utm_campaign=mailhiru&utm_content=20250722
(注3)PRESIDENT Online 2025/07/18 17:00 7.19 閲覧
https://president.jp/articles/-/98559?cx_referrertype=mail&utm_source=presidentnews&utm_medium=email&utm_campaign=dailymail
(注4)毎日新聞2025/7/3 05:00(最終更新 7/3 12:00) 7.5閲覧
https://mainichi.jp/articles/20250702/k00/00m/010/119000c
(注5)『毎日新聞』電子版 2025.7.22 7.2閲覧
https://mainichi.jp/articles/20250723/k00/00m/010/037000c?utm_source=article&utm_medium=email&utm_campaign=mailyu&utm_content=20250723