戸部良一ほか著『失敗の本質―日本軍の組織論的研究―』から学ぶ(1)
新型ウイルスの拡散が東京を筆頭に全国に勢いを増して広がりを見せている中で、戸部良一ほか著
『失敗の本質―日本軍の組織論的研究―』(注1)が注目を集めています。
この本は初版の出版(ダイヤモンド社版 1984年)から35年も経っているのに、手元の中公文庫
版は2008年35刷になっていることからも分かるようにロングセラーの名著です。いかに多くの
人に読み継がれてきた名著であるかを示しています。
私自身ずっと気になっていて、読もう読もうと思いつつ、なかなか読む機会がありませんでした。
ところが、今年の春に、新型コロナウイルスが国内でもまん延し始め、政府の対応のまずさが問
題視されるようになると、再び「失敗の本質」に注目が集まるようになりました。
コロナの第一波が猛威を振るった4月には 、エッセンシャル・マネジメント・スクール代表の西
條剛央氏が「コロナ危機の日本に見る『前例主義』の病理 旧日本軍の失敗を繰り返すか」とい
う文書を発表しました(注2)
さらに、第三波がこれまで以上に大きな波となった12月4日には、岩田健太郎神戸大学教授が
「GoToは異常。旧日本軍のインパール作戦なみ」という記事(注3)を書いています。
直近では、『毎日新聞』デジタル版(2020年12月18日)が社内記者の論考として「まるで旧
日本軍?『GoTo』撤退に失敗した政権の『病理』」というタイトルの記事を書いています(注4)。
これら3つの論考はいずれも、今回のコロナ禍のまん延は政府の対応が失敗した背景に、かつて
の日本軍が抱えていた問題が繰り返されていることを指摘しており、その際、ここで取り上げる
戸部氏らの著作を引用しています。
また、書評という形で、初版の出版後36年経つのにいまだに版を重ねており、その理由として、
政府のコロナ対策での混乱は旧日本軍の過ちの反復であることを指摘していいます(注5)
これらの内容については次回以降に回すとして、今回は、本書の紹介として、この本がどんな問
題意識で、どのような視点から旧日本軍が抱えていた問題を見出したのか、という点に焦点を当
てたいと思います。
まず、本書の構成を示しておきます。
はしがき
序章 日本軍の失敗から何を学ぶか
一章 失敗の事例研究 (1 ノモンハン事件「失敗の序章」、2 ミッドウェー作戦「海戦の
ターニング・ポイント」、3 ガダルカナル作戦「陸戦のターニング・ポイント」、4
インパール作戦「賭けの失敗」、5 レイテ海戦「自己認識の失敗」、6 沖縄戦「終局
段階での失敗」
二章 失敗の本質―戦略・組織における日本軍の失敗の分析
三章 失敗の教訓―日本軍の失敗の本質と今日的課題
本書は、それぞれ専門も関心も異なる6人の研究者の共同作業の成果として出版されたものです。
6人の研究者が旧日本軍の研究を行う動機と、その際の方法論については「はしがき」で次のよ
うに述べています。
われわれがこの研究会をはじめたそもそもの動機は、戦史への社会科学的分析の導入も
あったのではないか。それならばもう一度原点に立ち戻って、もっと身近な戦史をみな
おすべきではないか。たとえば日本の大東亜戦争史を社会科学的に見直してその敗北の
実態を明らかにすれば、それは敗戦という悲惨な経験の上に築かれた平和と繁栄を享受
してきたわれわれの世代にとって、きわめて大きな意味をもつのではないか。
こうした共通認識のもとで、敗戦の原因を日本軍の組織的特性に焦点を当てるというアプローチ
を採用することにしています(12ページ)。
しかも、研究書としての質的水準を確保すると同時に、できるだけ多くの人々に読んでもらうた
めに平易さも心がけたという。それは
大東亜戦争の経験はあまりにも多くの教訓に満ちている。戦争遂行の過程に露呈された
日本軍の失敗を問い直すことは、その教訓のかなり重要な一部を構成するであろう。
日本軍の失敗の実態を明らかにしてその教訓を十分かつ的確に学びとることこそ・・・
将来も平和と繁栄を保持していくための糧ともなるであろう(14ページ)
以上の問題意識は、本の構成にもはっきり示されています。本書が扱っている6つの作戦・戦闘
は、いずれも日本軍が大敗した事例です。一章でその本質を具体的事例に即して洗い出し、それ
らを二章で分析し、三章で、そこから導き出された失敗の本質を究明し、それが今日的にどのよ
うな意味をもっているかを検討しています。この意味で、本書はたんに歴史を過去のものとして
描き直すのではなく、今日的意義を提示するところまで踏み込んでいます。
内外におびただしい数の死者と破壊をもたらした戦争(日清戦争から第二次大戦前まで)の一つ
一つについて、関係者や研究者による徹底的な検証は行われてきませんでした。
しかし著者たちの心には、一方で「日本はなぜ負けたのか」という潜在的関心と、他方で、大東
亜戦争の貴重な戦史上の遺産を国民全体の共有財産にしよう、という強い意志があったという。
本書は、直接的には日本軍の組織的特性から敗戦の要因を探ることを目的としていますが、それ
が組織論というある意味で理論的(原理的)に検討することで、現代の日本の政治や経済の領域
においても適用可能なのではないか、むしろ過去の反省から現在と将来の日本にとって大切な研
究になるのではないか、という問題意識に基づいています。
日本の政府をはじめ組織は、物事の進行途中での中間評価・検討、そして終わってからの最終的
な評価・検討を行うことがほとんどありません。
今回のコロナ禍についても政府は、これが全て終了した後で検証を行う、としていますが、これ
までの第一波、二波の波が一段落した時に徹底的な検証を行うべきだったのです。
それをしなかったのは、結局、どこに問題があり、誰に責任があるかを明らかにしたくない、と
いう「逃げ」の姿勢が強いからなのでしょう。
戦争の検討に関して、ベトナム戦争が終結した後で、アメリカ側とベトナム側の当事者(軍人)
が膝を突き合わせて、長い時間をかけて作戦について詳細で具体的、かつ客観的に検証作業を行
いました。
過去の経験を客観的に再検討し、失敗の本質を探るこのような作業は決して無駄ではありません。
そこには学ぶべき多くの教訓があるからです。だからこそ、上にみたように、現在のコロナ禍に
たいする政府の混乱ぶりにたいして『失敗の本質』を引用しての批判が少なからず発表されてい
ることは、本書の現在的な意味をあらわしています。
本書があつかっている6つの作戦・戦闘はいずれも日本が敗北した事例です。それら一つ一つは
非常に興味深い内容を含んでいますが、ここで一つ一つの事例を紹介する余裕はありませんので、
個々の作戦・戦闘について関心がある人は本書を読んでいただくとして、ここでは著者たちが整
理した6つの作戦・戦闘に共通する「失敗の本質」、失敗の要因分析を挙げておくにとどめます。
本書では、日本軍の「失敗の本質」を大きく二つの側面に分けて検証しています。
一、 戦略的失敗要因
これには、①あいまいな戦略目的(軍隊という大規模組織の方向性を欠いたまま指揮し行動させ
たこと)、②短期決戦の戦略的志向(長期的展望がないので、たとえ短期的に勝利しても、長期
的展望がなく負けた場合にどのように戦うかが分からない)、③主観的な戦略感(情緒や「空気」、
必勝の信念 が支配的で科学的思考が欠如)、④狭くて進化のない戦略的オプション(奇襲戦法
だけが突出)、⑤アンバランスな戦闘技術体系(一方で巨大戦艦や戦闘機においては世界でも有
数の近代兵器をもちながら、他方で「風船爆弾」を開発したり、太平洋戦争では極めて重要なレ
ーダーやその他の通信機器、暗号解読技術などは非常に遅れていた)
二 組織上の失敗要因
ここには①人的ネットワーク偏重の組織構造(特に防衛大エリートの人的ネットワーク、情緒的
配慮が混在)、②属人的な組織結合(近代的な軍隊組織は、陸・海・空を統合し一貫性と整合性
を重視。しかし日本軍は、統合的研究はなく、それぞれの軍のトップの個人的考えが突出)、③
学習を軽視した組織(失敗の経験を蓄積し伝播を組織的に行うリーダーシップやシステムがなか
った)、④プロセスや動機を重視した評価(作戦の成功や失敗よりも、その動機(意図と「やる
気」)が指揮官の評価に。積極論者の失敗は大目に見るが、消極論者の失敗は厳罰に処された。
以上の他にも、個々の作戦や戦争における興味深い「失敗の要因」はたくさんありますが、それ
らについては別の機会にゆずりたいと思います。
注
(注1)著者は戸部良一、鎌田伸一、村井友秀、寺本義也、杉之尾孝生、野中都次郎の6人。うち、
寺本氏を除き、5人は防衛大の教員。(初版ダイヤモンド版 1984年、中央公論社版 第35刷
1991年)、413ぺージ
(注2) 『DIAMOND online』2020.4.22 4:45
https://diamond.jp/articles/-/235369?page=4
(注3)『AERA dot.』(2020年12月4日 08:02)
https://dot.asahi.com/wa/2020120300010.html?page=1
(注4)『毎日新聞 デジタル』(2020年12月18日 12時05分(最終更新 12月18日
https://mainichi.jp/articles/20201217/k00/00m/010/255000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20201218
(注5) Sankei Biz 2020年9月18日
https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/200919/ecf2009190855001-n1.htm
新型ウイルスの拡散が東京を筆頭に全国に勢いを増して広がりを見せている中で、戸部良一ほか著
『失敗の本質―日本軍の組織論的研究―』(注1)が注目を集めています。
この本は初版の出版(ダイヤモンド社版 1984年)から35年も経っているのに、手元の中公文庫
版は2008年35刷になっていることからも分かるようにロングセラーの名著です。いかに多くの
人に読み継がれてきた名著であるかを示しています。
私自身ずっと気になっていて、読もう読もうと思いつつ、なかなか読む機会がありませんでした。
ところが、今年の春に、新型コロナウイルスが国内でもまん延し始め、政府の対応のまずさが問
題視されるようになると、再び「失敗の本質」に注目が集まるようになりました。
コロナの第一波が猛威を振るった4月には 、エッセンシャル・マネジメント・スクール代表の西
條剛央氏が「コロナ危機の日本に見る『前例主義』の病理 旧日本軍の失敗を繰り返すか」とい
う文書を発表しました(注2)
さらに、第三波がこれまで以上に大きな波となった12月4日には、岩田健太郎神戸大学教授が
「GoToは異常。旧日本軍のインパール作戦なみ」という記事(注3)を書いています。
直近では、『毎日新聞』デジタル版(2020年12月18日)が社内記者の論考として「まるで旧
日本軍?『GoTo』撤退に失敗した政権の『病理』」というタイトルの記事を書いています(注4)。
これら3つの論考はいずれも、今回のコロナ禍のまん延は政府の対応が失敗した背景に、かつて
の日本軍が抱えていた問題が繰り返されていることを指摘しており、その際、ここで取り上げる
戸部氏らの著作を引用しています。
また、書評という形で、初版の出版後36年経つのにいまだに版を重ねており、その理由として、
政府のコロナ対策での混乱は旧日本軍の過ちの反復であることを指摘していいます(注5)
これらの内容については次回以降に回すとして、今回は、本書の紹介として、この本がどんな問
題意識で、どのような視点から旧日本軍が抱えていた問題を見出したのか、という点に焦点を当
てたいと思います。
まず、本書の構成を示しておきます。
はしがき
序章 日本軍の失敗から何を学ぶか
一章 失敗の事例研究 (1 ノモンハン事件「失敗の序章」、2 ミッドウェー作戦「海戦の
ターニング・ポイント」、3 ガダルカナル作戦「陸戦のターニング・ポイント」、4
インパール作戦「賭けの失敗」、5 レイテ海戦「自己認識の失敗」、6 沖縄戦「終局
段階での失敗」
二章 失敗の本質―戦略・組織における日本軍の失敗の分析
三章 失敗の教訓―日本軍の失敗の本質と今日的課題
本書は、それぞれ専門も関心も異なる6人の研究者の共同作業の成果として出版されたものです。
6人の研究者が旧日本軍の研究を行う動機と、その際の方法論については「はしがき」で次のよ
うに述べています。
われわれがこの研究会をはじめたそもそもの動機は、戦史への社会科学的分析の導入も
あったのではないか。それならばもう一度原点に立ち戻って、もっと身近な戦史をみな
おすべきではないか。たとえば日本の大東亜戦争史を社会科学的に見直してその敗北の
実態を明らかにすれば、それは敗戦という悲惨な経験の上に築かれた平和と繁栄を享受
してきたわれわれの世代にとって、きわめて大きな意味をもつのではないか。
こうした共通認識のもとで、敗戦の原因を日本軍の組織的特性に焦点を当てるというアプローチ
を採用することにしています(12ページ)。
しかも、研究書としての質的水準を確保すると同時に、できるだけ多くの人々に読んでもらうた
めに平易さも心がけたという。それは
大東亜戦争の経験はあまりにも多くの教訓に満ちている。戦争遂行の過程に露呈された
日本軍の失敗を問い直すことは、その教訓のかなり重要な一部を構成するであろう。
日本軍の失敗の実態を明らかにしてその教訓を十分かつ的確に学びとることこそ・・・
将来も平和と繁栄を保持していくための糧ともなるであろう(14ページ)
以上の問題意識は、本の構成にもはっきり示されています。本書が扱っている6つの作戦・戦闘
は、いずれも日本軍が大敗した事例です。一章でその本質を具体的事例に即して洗い出し、それ
らを二章で分析し、三章で、そこから導き出された失敗の本質を究明し、それが今日的にどのよ
うな意味をもっているかを検討しています。この意味で、本書はたんに歴史を過去のものとして
描き直すのではなく、今日的意義を提示するところまで踏み込んでいます。
内外におびただしい数の死者と破壊をもたらした戦争(日清戦争から第二次大戦前まで)の一つ
一つについて、関係者や研究者による徹底的な検証は行われてきませんでした。
しかし著者たちの心には、一方で「日本はなぜ負けたのか」という潜在的関心と、他方で、大東
亜戦争の貴重な戦史上の遺産を国民全体の共有財産にしよう、という強い意志があったという。
本書は、直接的には日本軍の組織的特性から敗戦の要因を探ることを目的としていますが、それ
が組織論というある意味で理論的(原理的)に検討することで、現代の日本の政治や経済の領域
においても適用可能なのではないか、むしろ過去の反省から現在と将来の日本にとって大切な研
究になるのではないか、という問題意識に基づいています。
日本の政府をはじめ組織は、物事の進行途中での中間評価・検討、そして終わってからの最終的
な評価・検討を行うことがほとんどありません。
今回のコロナ禍についても政府は、これが全て終了した後で検証を行う、としていますが、これ
までの第一波、二波の波が一段落した時に徹底的な検証を行うべきだったのです。
それをしなかったのは、結局、どこに問題があり、誰に責任があるかを明らかにしたくない、と
いう「逃げ」の姿勢が強いからなのでしょう。
戦争の検討に関して、ベトナム戦争が終結した後で、アメリカ側とベトナム側の当事者(軍人)
が膝を突き合わせて、長い時間をかけて作戦について詳細で具体的、かつ客観的に検証作業を行
いました。
過去の経験を客観的に再検討し、失敗の本質を探るこのような作業は決して無駄ではありません。
そこには学ぶべき多くの教訓があるからです。だからこそ、上にみたように、現在のコロナ禍に
たいする政府の混乱ぶりにたいして『失敗の本質』を引用しての批判が少なからず発表されてい
ることは、本書の現在的な意味をあらわしています。
本書があつかっている6つの作戦・戦闘はいずれも日本が敗北した事例です。それら一つ一つは
非常に興味深い内容を含んでいますが、ここで一つ一つの事例を紹介する余裕はありませんので、
個々の作戦・戦闘について関心がある人は本書を読んでいただくとして、ここでは著者たちが整
理した6つの作戦・戦闘に共通する「失敗の本質」、失敗の要因分析を挙げておくにとどめます。
本書では、日本軍の「失敗の本質」を大きく二つの側面に分けて検証しています。
一、 戦略的失敗要因
これには、①あいまいな戦略目的(軍隊という大規模組織の方向性を欠いたまま指揮し行動させ
たこと)、②短期決戦の戦略的志向(長期的展望がないので、たとえ短期的に勝利しても、長期
的展望がなく負けた場合にどのように戦うかが分からない)、③主観的な戦略感(情緒や「空気」、
必勝の信念 が支配的で科学的思考が欠如)、④狭くて進化のない戦略的オプション(奇襲戦法
だけが突出)、⑤アンバランスな戦闘技術体系(一方で巨大戦艦や戦闘機においては世界でも有
数の近代兵器をもちながら、他方で「風船爆弾」を開発したり、太平洋戦争では極めて重要なレ
ーダーやその他の通信機器、暗号解読技術などは非常に遅れていた)
二 組織上の失敗要因
ここには①人的ネットワーク偏重の組織構造(特に防衛大エリートの人的ネットワーク、情緒的
配慮が混在)、②属人的な組織結合(近代的な軍隊組織は、陸・海・空を統合し一貫性と整合性
を重視。しかし日本軍は、統合的研究はなく、それぞれの軍のトップの個人的考えが突出)、③
学習を軽視した組織(失敗の経験を蓄積し伝播を組織的に行うリーダーシップやシステムがなか
った)、④プロセスや動機を重視した評価(作戦の成功や失敗よりも、その動機(意図と「やる
気」)が指揮官の評価に。積極論者の失敗は大目に見るが、消極論者の失敗は厳罰に処された。
以上の他にも、個々の作戦や戦争における興味深い「失敗の要因」はたくさんありますが、それ
らについては別の機会にゆずりたいと思います。
注
(注1)著者は戸部良一、鎌田伸一、村井友秀、寺本義也、杉之尾孝生、野中都次郎の6人。うち、
寺本氏を除き、5人は防衛大の教員。(初版ダイヤモンド版 1984年、中央公論社版 第35刷
1991年)、413ぺージ
(注2) 『DIAMOND online』2020.4.22 4:45
https://diamond.jp/articles/-/235369?page=4
(注3)『AERA dot.』(2020年12月4日 08:02)
https://dot.asahi.com/wa/2020120300010.html?page=1
(注4)『毎日新聞 デジタル』(2020年12月18日 12時05分(最終更新 12月18日
https://mainichi.jp/articles/20201217/k00/00m/010/255000c?cx_fm=mailyu&cx_ml=article&cx_mdate=20201218
(注5) Sankei Biz 2020年9月18日
https://www.sankeibiz.jp/workstyle/news/200919/ecf2009190855001-n1.htm