前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

前参議院議員大久保勉の主張や活動を伝えるBLOGです。

日本版エリサ法(従業員退職所得保障法)法制化の必要性

2012年02月26日 | Weblog
 本日の日経新聞1面の記事によるとAIJ問題を受けて政府は、投資一任の投資顧問だけではなく、年金資金を管理すべき信託銀行やその委託者である企業の厚生年金基金も調査するとのことです。もし事実であるとすると金融庁や厚生労働省はやっと重い腰を上げたという印象です。昨年の九州石油業厚生年金基金のダビンチ不動産ファンド・エクイティ投資の損失に関連したりそな銀行に対する263億円の損害賠償訴訟を受けて、従業員退職者年金の保護の在り方を厚生労働省と金融庁に再三、再四にわたり問題提議をしてきました。また法制化の前提として、年金運用や管理の実態把握を金融庁に、また総合型厚生年金基金の財務内容悪化に対する是正策を厚生労働省に依頼してきました。しかし残念ながら両者ともあまり熱心に取り組んでおらず、その矢先に、AIJ事件が発生したことは誠に遺憾と言えます。今回の事件の今後の展開を慎重に見守りつつも、最終的には従業員の老後の生活を支える企業の厚生年金法制を運用規制緩和と運用商品の多様化の中で時代に合ったものとして、年金受給者の権利を保護し、そのために年金の受託者責任と罰則を明確にすべきだと主張します。
 
 このブログの最後の段落は、昨年4月16日の私のブログです。東日本大震災への対応、社会保障と税一体改革の対応などで忙殺されていたことも事実ですが、そのままこの問題を放置した私にも大きな責任があると自戒の意味をこめて掲載します。

 AIJ問題を総合型厚生年金基金の弱り目に付け込んで、「高利回り・安定運用」をうたい強引に資金を勧誘した詐欺事件と見ることもできるでしょう。程度の差こそあれAIJ投資顧問と同様な手法で、年金基金を食い物にしている業者もまだ存在していることでしょう。
 まともな運用報告書も提示されず、また資金を管理すべき信託銀行は、投資顧問会社の運用成績を鵜呑みにしてまともに定性的、定量的な審査を行わず、ましてや現地調査など皆無であったと推測します。金融等監視委員会では、規制緩和で登録制になった投資顧問会社を証券会社や銀行ほどにはまともに検査せず放置していた点が批判されるべきです。 年金基金は、プロの投資家であるので自己責任であると突き放した意見もでてくるとは思いますが、株式・債券市場や金融工学に精通した本当の意味で「資産運用のプロ」が理事会には一人もいない総合型年金基金がほとんどです。その意味で、理事会に資産運用のプロを最低一人入れること法制化することを日本版エリサ法(Employee Retirement Income Security Act、従業員退職所得保障法)に盛り込むことも必要かと考えます。


2011年4月16日のブログ
「 地元で福岡県タクシー協会と年金基金に関して意見交換をしました。年金基金問題の背景や政府に対する要望をヒアリングすることができ、非常に有益な会合となりました。
 現在608の年金基金が存在しますが、タクシー、トラック、石油販売、建設、繊維産業など業界毎に作られている総合年金基金が制度疲労を起こしています。年金基金制度がスタートした当初の高度成長下の高利回りの資産運用と少数の退職者を多くの現役が支えるという年金構造が前提になっております。そのため90年台以降の日本経済の低成長と低金利、株価低迷という運用環境の変化や少子高齢化や上記の産業の中小企業の厳しい経営環境という外的要因や内的要因の変化に多くの年金基金は適応できないでいます。
 今年1月以降年金基金問題を調べておりますが、来週財政金融委員会で質問の機会があればこの問題を取り上げる予定です。自民党時代に厚生労働省は、この問題を先延ばし、責任逃れをしていた結果かなり深刻な問題になってきているという実感です。おそらく兆円単位の穴が開いており、業界の自己責任だけを主張すれば多くの中小企業の経営圧迫要因になります。この問題は、中小企業政策の観点やタクシー、トラック、石油販売、建設、繊維等の業界の保護と国民生活の利便性の維持という観点から国交省、経産省などの協力を得て厚労省や財務省が本気で解決すべき問題と主張します。」