前参議院議員大久保勉 公式ウェブサイト

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公的不良債権問題と債権放棄

2006年12月22日 | Weblog
 負債総額632億円を抱えて財政再建団体になった夕張市の再建への道筋が困難を極めております。炭鉱閉鎖、人口の急激な減少、雇用創出のための観光事業等の新規事業の失敗、そして銀行等からの借入金と不適切会計処理による赤字の累積化が原因です。
 最近の人口推計では、50年後の日本の人口が25%減り9000万人になるとの事です。中央と地方の格差の拡大により、過疎地が拡大し、一部の地方都市においては夕張市と同じような問題を抱えることになるでしょう。
 夕張市の巨額の負債は、バブル崩壊後のノンバンク、不動産、建設等の企業の破綻に非常に良く似ております。事業環境の急激な悪化と毎年の赤字を糊塗するために粉飾決算と多額の借入金にたより、結果的には多額の不良債権問題が発生し、日本経済に大きな負担を強いたということです。また関係者のモラルハザードがそれを助長しました。
 私は、これらの経験を踏まえて、地方自治体が早急に発生主義と複式簿記による財務諸表を作るべきであると考えます。また問題の先送りやモラルハザードを防ぐような制度を早急に作るべきであると考えます。
 政府は、財政が悪化した地方自治体に対して、隠れた債権放棄をしようとしております。財政融資特別会計により行われようとしている補償金なしの繰上返済がそれです。これは、過去に銀行が系列企業に行った小出しの債権放棄とまったく同じ手法です。その時の経営陣が事を荒立てないために行ったこの手法は、結果的に不良債権問題の解決を遅らせました。今回問題なのは、国民に十分に知らせることなく、かつ借り手も貸し手も責任を取ることなく、特別会計の金、すなわち国民の資産が使われることです。金額的にも数千億が投入されようとしております。
 地方の低迷、地域間格差の拡大は深刻な問題です。今必要なことは、道州制の導入、大幅な税源移譲、そして地域間格差を是正するような地方交付税等の拡大措置であります。このような改革をせずに、無責任に問題を先送りすることは、民間銀行の不良債権問題での失敗を公的部門でも繰り返すことを意味します。