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とりがら時事放談『コラム新喜劇』



えーと、のっけから顰蹙を買いそうなのであるが、
蒼井優のセーラー服姿はなかなか魅力的だ。

なに?オッサン?キショイ?

ほっといてんか!

昨年の「男たちの大和」の中でも蒼井優は我らが大和撫子的なセーラー服姿の少女を演じていたのであった。
「うち、○○の帰ってくるのを広島で待っとるけん」
というセリフは、たとえ主人公の名前は○○と忘失してしまったとしても、
「ああ、広島に行っちゃおえんで、そこにはやがて原爆が......(おえんで=中国地方の方言で「だめです」の意)」
と、見ていた観客(私)が思わずスクリーンに向かって叫びたくなるような可憐さが、蒼井優の演技に感じられたのであった。

一方、蒼井優は上野樹里と共演した映画「亀は意外と早く泳ぐ」の中では、先の戦艦大和で出生していった主人公の幼なじみとはまったく正反対のアバズレキャラクターを演じ、見る者を驚かせた。
蒼井優は高い演技力を持つ若手女優であったわけだ。
つまり彼女は上野樹里や宮崎あおい等と並ぶ、日本映画界の新星ヒロインであることは間違いない。

もちろん、この映画の魅力は主人公を演じる蒼井優だけではない。
物語は常磐ハワイアンセンターという娯楽施設の誕生秘話で、関西人の私にとってはどちらかというと馴染の無い場所の話ではある。
常磐ハワイアンセンターよりも紅葉パラダイスのジャングル温泉や大東洋のほうが親しみがあるくらいなのだ。
しかしながら昭和40年のあの頃(私は38年生まれなので、ちっともそのころのことを記憶していないが)は、きっと日本を取り巻く状況は、こんな感じだったんだろうなと思わせるノスタルジーがこの映画重要なエッセンスであり、魅力的なのだ。

閉山目前の炭鉱の町を舞台にした、どちらかというと暗い話が、とても陽気で明るく描かれているのは、常磐ハワイアンセンターのサクセスストーリーであると共に、先述の蒼井優をはじめとする若手俳優と若手スタッフたちの力のたまものであろう。

ただ、若手映画製作者による同じサクセスストーリーでも、矢口史靖監督の「ウォーターボーイズ」や「スウィングガールズ」と比較して、そのパンチ力にいささか弱さがあるのは否めない。
脚本の捻りが弱い部分が見受けられることと、炭鉱の町の表現が少しばかし乏しすぎるのではないか、という疑問を抱かせるからだ。

とはいえ、見どころたっぷり。
泣いて笑ってワクワクして、結構楽しい映画だったのだ。

~「フラガール」2006年作 製作・配給 シネカノン~

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