滋賀県の県庁所在地は大津市だ。
東京からは新幹線のぞみ号に乗って京都までが約2時間。
ここでJR琵琶湖線(東海道本線)の新快速に乗り換えて約10分で大津駅。
京都と大津の間には山科しか駅がないから各駅停車でも同じ時間。
ちなみに京都から東の地域も大阪・京都・神戸のベッドタウンなので列車本数は10分に1本は走っているからかなり便利だ。
この便利な乗り換えにも関わらず「広い滋賀県下には新幹線の駅(米原)が一つしかない。だから駅をもうひとつ造ろうよ」ということで、前知事と地元市町村がJR東海にお願いして着工したのが「南びわこ駅」。
南びわこ駅は滋賀県の中核都市栗東市内に建設され、完成すれば大企業の工場が多い同地域に何らかの利益をもたらすはずだ。
草津駅までは前述の新快速で京都から20分程度。
名古屋でのぞみ号から一時間に1本か2本しか走っていないこだま号に乗り換えて、ちんたら走って南びわこ駅で下車するのが京都経由より早いとは思えないのが辛いところ。
そこで登場したのが「もったいない」論。
ケニアのワンガリ・マータイ環境副大臣のヒットした著作からタイトルをパクって己の選挙のキャッチスローガンに使ってマグレ当選したのが滋賀県初の「女性知事」嘉田由紀子氏。
その嘉田氏の「もったいない」の対象が新幹線「南びわこ駅」で、就任直後から工事中止をさせようと、あれやこれやと走り回っている。
京都大学を卒業し、京都精華大学で教鞭をとっていた同氏の専門は「琵琶湖の生活環境史的研究」という訳の分らないカテゴリー。
琵琶湖博物館の総括学芸員を務めていたそうだが「琵琶湖博物館」とはいったい何?
聞いたこともなければ、もちろんどこにあるのかも分らない。
そんなどこにあるのかも一般人に知られていない博物館は「もったいなくなく」て、新幹線の駅は「もったない」では理屈が通らない。
ところで、前述したように新駅の近くには多くの工業団地が控えていて、滋賀県下の産業の基幹をなしている。
新駅「南びわこ駅」は県庁所在地大津から見ると、新幹線乗車に要する時間も中途半端で不要に見えるかも知れないが、こと南近江地方からは重要な駅となる。
滋賀県の産業地域を知っていればよくわかるが、南びわこ駅が交錯するJR草津線は旧東海道「国道一号線」に沿っている。
この国道一号線沿いには信楽や水口といった街があり、ここら辺りにも工業団地が集中する。
宇宙に浮ぶ銀河のように点在するこの滋賀県の工業団地群の輸送手段は全国でも珍しい無料高速道路の名阪国道。
この無料高速道路のおかげで滋賀県南近江の物流は低コストで大阪名古屋へ繋がっているというわけだ。
あとは人だけ早く運ぶにはどうすれば良いかと考えると、新幹線をイメージすることは簡単だ。
京都駅や米原駅は南近江からはちと遠い。
しかし南びわこ駅ができれば便利になるは間違いない。
トヨタのための三河安城駅と同じように南近江のための南びわこ駅というわけだ。
田中長野県知事が反対したダムと今回の駅とはその性質がまったく違う。
ダムは金を生むことはないけれど、駅は運営次第で地域に途方もない富をもたらす。
無計画で政治家の勝手で作られた昔の国鉄ローカル線と異なって、南びわこ駅は民間企業のJRが運営する。
国鉄ならば要らなかったかも知れないが民間企業相手に勝手に工事を止めたら違約金を払うのが当然だ。
計画がスタートした今、駅を造ってそれを育てるのが正しいのか、百億円を超えるといわれる違約金を払って駅の計画を中止するのが正しいのか。
嘉田知事の行動と言動を見ていると近ごろの大学教授には、こんな単純なことも分らないほど頭が悪いのがいるのかと思えて残念だ。
東京から来た人が、近江地方を旅して「レオ」のマークを付けて走っているバスや鉄道を見て驚くらしい。
「さすが西武グループ。近江地方の鉄道会社をも傘下に置くとは」
と感嘆の声をあげるが、これは勘違い。
ホントは田舎の近江グループが西武グループの本家本元。
トヨタグループでいえば、一般人が耳にしたこともないトヨタ自動織機にあたるのだ。
このように滋賀県はタフな商売で知られる近江商人のお膝元。
そこへダムと鉄道の駅の区別もつかない博士知事が就任したのだからお気の毒。
嘉田由紀子知事は琵琶湖を眺めるのには精通しているかも知れないが、琵琶湖のまわりの陸地にとってはずぶの素人よりも無知のよう。
いい加減な選挙は高くつきます、滋賀県民さん。
大阪府眠の私が言ってるのだから間違いない。
そ、間違いない。
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