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とりがら時事放談『コラム新喜劇』



とりがらショート書評 その1

「なぜこの店で買ってしまうのか」で有名な著者パゴ・アンダーヒル。
そのアンダーヒル氏がマーケティングリサーチ会社の最高経営責任者としての
経歴と経験を活かして、素人にも分かりやすく「ショッピングモールとはなに
か」ということを解説した、実に面白い読み物が本書である。
普通、マーケティングに関する専門書は意味不明な語句が並び、容易に理解で
きないものが多いが、本書はまったく異なっている。
読者はまず、著者と一緒に自動車に乗って、アメリカのどこか郊外のショッピ
ングモールへ向かうところからストーリーは始まる。
広大な駐車場の欠点や、どのような人が、その駐車場のどこに自分の車を駐車
させるのか、語り始めるあたりから目が放せなくなる。

本書の特徴は、主に筆者が活躍するアメリカを舞台にしつつも、随所に他の国、
例えば南米やスペインなどをちりばめ、日本の例も多く分析しているところだ。
日本では老朽化した施設の例として奈良ファミリーを取り上げている。
我が国のショッピングモールは規模は小さいけれどもアメリカの模倣に近いも
のが多い。とりわけここ十数年はライフスタイルが大きく変動し、場所にもよ
るが、いわゆる駅前のショッピングセンターが壊滅状態になってきている。
家族で買い物に行く時は自家用車に乗って、郊外のショッピングセンターへ行く
ことが主流になっているのだ。
そういうアメリカを模倣した日本の小売業の形態を、冷静に観察する際、とび
きりの参考書に本書はなるだろう。
「先進諸国の中で、最初に高齢化社会を迎える日本に、その模範となるショッ
ピングモールの形が出てくることを期待したい」
と言うような趣旨を著者が最後に述べていることが一番印象に残った。

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先程、いつもは観ることもない朝日放送の報道ステーションを夕食をとりながら何気なく観ていた。
するとちょうどロシアで発生した飛行機事故について現地からの生放送を交えて伝えていたところだった。
プーチンのコメントやモスクワで発生した劇場占拠事件、チェチェンの大統領が先頃暗殺された事件などの映像を流していた。そしてモスクワに近い墜落現場からのレポートが終ると、キャスターの古舘伊知郎が信じられないことを口にしたのだ。
「チェチェンには同情するものがありますね。」
正気か?このキャスター。
事件はチェチェンゲリラが引き起こしたテロが原因で発生したと思われる、と報道されているのだ。
本当かどうかは不明だが、このテロ集団はアルカイダとの繋がりがあると言われている。
にもかかわらず、チェンチェンに同情するとは、この人はどういう了見をしているんだ。
これは911テロで被害者に同情せずWTCタワーへ飛び込んだ二機のボーイングを操縦していたテロリストに同情し、さらに彼らを正当化するようなものだ。
朝日という報道機関は普通の感覚を持った人を番組のホストに据えることができないのか。
それとも、犯罪を、卑怯を嫌悪するという、まともな人類普遍の正義を掲げることができないのか。
できなければ放送免許を返上せよ!

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本当ならば、昨日、スチームボーイの批評を書く前に、この映画を
取り上げねばならなかっただろう。
「華氏911」
マイケル・ムーア監督の話題作だ。
この映画を観に行って、なによりも驚いたのは観客が多かったこと
だ。
いつもならガラガラの動物園シネフェスタは整理券を配らなければ
ならないほどの混雑だった。
この映画に関心を持っている人がいかに多いのかがよくわかった。
全体のテーマはブッシュ批判だ。
ゴアと対決した大統領選挙から始まり、仕事もしないでバケーショ
ン、9月11日のテロ、その後の対応、アフガン攻撃、イラク攻撃と
ブッシュ批判のオンパレードだった。
アメリカの恥部というか弱みをこれだけあからさまに、陽気に描い
たドキュメンタリーもなかっただろう。
アメリカへの対外投資の7%がサウジアラビアからのもので、その多
くにビンラディン一家が関わっているという事実。
チェイニーがCEOに就任していた企業がイラク戦争と共に荒稼ぎし
ているという事実。
どれもこれも面白く、興味深かった。
とりわけ印象に残ったのは、アメリカの正義を語りながら、イラクの
市民を攻撃しているシーンを写しながら、懐かしのテレビシリーズ「
アメリカン・ヒーロー」のテーマが流れていたところだ。
もしかすると、華氏911のサントラを買うと、ウィリアム・カット主
演のアメリカン・ヒーローのテーマ曲が収録されているかも知れない。

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大友克洋が作った映画「スチームボーイ」は正直いって、かなり
悲惨な駄作だった。
今日、フェスティバルゲートにある動物園前シネフェスタで鑑賞
してきた。
QuickTimeの予告編サイトで見た時は、かなり興味を魅かれる映
像だったが、実際の作品を見てみると、凄いのは映像だけで、中
身はまったくの素人映画であった。
まず、脚本がいけない。
脚本のだめな映画は、だいたいつまらないものと相場が決まって
いるが、本作はまさしくその見本みたいなものだった。
映像テクニックばかりに凝ってしまいストーリーが矛盾だらけ。
観客は物語の世界へ没入することができず、最後まで「ああ、マ
ンガだな」という気持ちがぬけないまま終ってしまう。
字幕で年代を出してしまうと、歴史的事実と符合してストーリー
を進めなければならないのに、一切を無視。歴史に残るような大
事件をでっち上げ、観客をバカにしている。
見ているうちに、この作家は一絵コンテ屋でもやっておればいい
のではないかと思ったくらいだった。なぜならアニメの技術は知
っていても映画の語り方を知らなすぎるからだ。
宮崎駿をかなり意識しているきらいもあるが、はっきり言ってレ
ベルはかなり異なる。
ということで、見たい人は是非レンタルで。
そんな映画でした。

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今日、仕事で梅田へ行ってきた。
時間が余ったので大阪駅前第三ビル地下の中古CD屋さんへ寄ってみた。
ずいぶん前から、映画のDVDではなく、「世界の車窓から」のような紀行を扱ったDVDの中古を探していたので、覗いてみたのだ。
こういった紀行やドキュメンタリー関係のDVDは出荷数そのもが少ないのか、それとも特殊なマニアを対象としているので、中古で出回らないのかわからないが、なかなかお目にかかる機会がない。
今日覗いた店も同じだった。
紀行DVDが無いのは残念だが、他になにか面白いものはないものかと物色していたら、なつかしビデオが目に留まった。
「嘉門達夫のよくわかるシリーズ」
ちょうど、「鼻から牛乳」が人気を博し、大阪城ホールでもライブをやった頃のビデオだ。
こんなものがまだ存在したのだ、と思い念のために価格をチェックするとなんと! 一本¥5980。中古のビデオがえらい高額だったのだ。
私は思わず自分の懐を計算してしまったのだった。
なぜなら、私はこのシリーズを全巻まだ家に持っていたからだ。
十年前、一本500円になっていた中古の本作をまとめて買ったのがまだ残っているのだ。
正直、近いうちに処分しようと考えていた。
これはえらいことになった。
全巻、つまり七巻揃っているので少なくとも35000円の価値はある。
おまけに揃っているので、さらなるプレミアも付くはずだ。
さあ、どうしよう。
正直言って、保存するにはビデオの中のネタはかなり古い。

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サンダーバードの魅力というのは、もともと「謎」の国際救助隊が
人災天災に関わらず、人命にかかわる危機的状態に忽然とどこから
かやって来て、誰にもできないような救助活動を「特殊なメカ」を
駆使して完了し、再び忽然と去っていくことにあったのではなかっ
たかのか。
パニック映画そのもののビル火災や水難事故、航空機事故などで観
客がハラハラしているところへ、まずTB1がやって来て状況を調査
、続いてTB2が特殊な機器を運んでくる。
命を賭けて事故に巻き込まれた人々を救い出す隊員の姿に魅了され
たものである。
ところが、04年。初の実写版サンダーバードはとんでもない代物だ
ったのだ。
基地が悪役に乗っ取られ、スコット、バージルの活躍は無し。
間違っているとしか言いようのない善対悪のコンセプト。だいたい
フッドは目がピカッと光るだけの悪玉「ちょい役」であったはず、
テレビでは。
良かった点を無理やり挙げるならレディ・ペネロープとパーカーの
クイーンズ・イングリッシュか。それと美しきペネロープの姿を拝
見し、やっと黒柳徹子の呪縛から解放されたことだろうか。
監督はライカー副長なので期待していたが、演出よりも脚本に問題
あり。
オコチャマ向けの作りはいただけない。
上映終了後、言葉もなくトボトボと帰路についていくTB世代の元
少年が多いこと。私も含めて。
「サンダーバードはこんなんちゃう!」
作り直して欲しいぐらいです。
(某サイトに投稿した私(管理人)の批評に加筆をして転載しました) 

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