「毎週、金曜夜は会社で中国語会話のレッスンがあるんです」
英会話スクールのクラスメートに受講しているレッスンの曜日を水曜日から金曜日に替えてもらおうと思っていることを話したら、彼は寂しそうにこう言った。
最近、中国との取引が増えてきて中小企業でも会社で中国語の教育を実施しているところが少なくない。
日本の中国との貿易額は輸出入合わせて13兆円。この額は米国について二番目の数字だ。
多くの会社が中国に工場やオフィスを構え、多くの人が東シナ海を行き来している。
3年前、めったに葉書など書いて寄越すことのない従兄弟の一人が、突然の挨拶状を送ってきた。
「このたび会社の大阪工場の閉鎖に伴い杭州転勤を申し付けられました。このため家族ともども中国に渡り、生活することになりました。これまで色々お世話になりありがとうございました。皆様もご自愛くださいませ。」
との挨拶文が印刷されていた。
彼の会社は大阪にあった工場をたたんで、今後生産はすべて中国大陸の自社工場で行うことになったのだという。
そのため生産技術を受け持っていた彼は、中国への転勤を余儀なくされ、定年退職までの杭州勤務が始まったということなのだった。
最近はなんでもかんでも中国製。
スーパーで買う野菜や魚介類も中国産。電気屋さんで売ってる家電製品も中国製。百円ショップなんぞはほとんど中国製品の専門店。
中国嫌いの私は、商品を買うとき産地選びが大変だ。
先日、ある得意先の営業マンにつれられて、関西地方のとある漬物産地を訪問した。
「ある漬物会社が事務所の一新を図っているのでオフィス家具やPCシステムのPRに行くんだけれど、一緒に来ない」との誘いをもらい、興味本位で同行したのだ。
この漬物産地は全国的に有名で。地元の役所にはその漬物に特定した課まである。
全国シェアもなかなかで、健康食としても重宝されているから「売り上げが下がった」などということは聞いたことがない。
顧客の工場の前で車を降りると漬物の酸っぱい強烈な臭いが鼻を襲ってきた。
建物も古びてボロボロで、今回やっと立替え拡張の運びになったのだという。
事務所に入ると、ここもボロボロ。今どき見かけないダークグレーの事務机が並んでいる。
上履きのスリッパに履き替えて応接室に通されると、総務課長と社長が入ってきた。
挨拶もそこそこに家具のPRをはじめると、仕様に関する細かな質問が社長さんから繰り出される。漬物屋のくせに工業製品のことをよく知っている。創業者と聞いていただけになかなか勉強家のようである。
やがて「ほんで、これ一式でなんぼなん?」と社長に訊かれて価格を提示。それを見た社長がニヤッと笑ってひとこと言った。
「中国でつくらんかい。」
オフィス用の家具は量販用や通販用の商品を除いて今も国産が一般的。ディノスやニッセンのカタログに掲載されている商品なんかと比べたら、かなり割高だ。
社長は商取引で頻繁に中国を訪問し、現地でさまざまな接待攻撃にあっていて、大の中国好きのよう。中国人は接待上手だから、この社長もまんまと策略に引っかかっているのだろう。
だから「上海の最新オフィスのようなデザイン」で「中国製の家具がいい」と言うのだろう。
しかし、こちらの製品は日本で作って日本製を謳ってる。あんたんところは中国から材料仕入れて、日本でちょっと漬込み「県特産」なんかと宣っている。これって、ちょっと詐欺でないの?
そこで私は社長に言いたい「日本でつくらんかい。」
と。
英会話スクールのクラスメートに受講しているレッスンの曜日を水曜日から金曜日に替えてもらおうと思っていることを話したら、彼は寂しそうにこう言った。
最近、中国との取引が増えてきて中小企業でも会社で中国語の教育を実施しているところが少なくない。
日本の中国との貿易額は輸出入合わせて13兆円。この額は米国について二番目の数字だ。
多くの会社が中国に工場やオフィスを構え、多くの人が東シナ海を行き来している。
3年前、めったに葉書など書いて寄越すことのない従兄弟の一人が、突然の挨拶状を送ってきた。
「このたび会社の大阪工場の閉鎖に伴い杭州転勤を申し付けられました。このため家族ともども中国に渡り、生活することになりました。これまで色々お世話になりありがとうございました。皆様もご自愛くださいませ。」
との挨拶文が印刷されていた。
彼の会社は大阪にあった工場をたたんで、今後生産はすべて中国大陸の自社工場で行うことになったのだという。
そのため生産技術を受け持っていた彼は、中国への転勤を余儀なくされ、定年退職までの杭州勤務が始まったということなのだった。
最近はなんでもかんでも中国製。
スーパーで買う野菜や魚介類も中国産。電気屋さんで売ってる家電製品も中国製。百円ショップなんぞはほとんど中国製品の専門店。
中国嫌いの私は、商品を買うとき産地選びが大変だ。
先日、ある得意先の営業マンにつれられて、関西地方のとある漬物産地を訪問した。
「ある漬物会社が事務所の一新を図っているのでオフィス家具やPCシステムのPRに行くんだけれど、一緒に来ない」との誘いをもらい、興味本位で同行したのだ。
この漬物産地は全国的に有名で。地元の役所にはその漬物に特定した課まである。
全国シェアもなかなかで、健康食としても重宝されているから「売り上げが下がった」などということは聞いたことがない。
顧客の工場の前で車を降りると漬物の酸っぱい強烈な臭いが鼻を襲ってきた。
建物も古びてボロボロで、今回やっと立替え拡張の運びになったのだという。
事務所に入ると、ここもボロボロ。今どき見かけないダークグレーの事務机が並んでいる。
上履きのスリッパに履き替えて応接室に通されると、総務課長と社長が入ってきた。
挨拶もそこそこに家具のPRをはじめると、仕様に関する細かな質問が社長さんから繰り出される。漬物屋のくせに工業製品のことをよく知っている。創業者と聞いていただけになかなか勉強家のようである。
やがて「ほんで、これ一式でなんぼなん?」と社長に訊かれて価格を提示。それを見た社長がニヤッと笑ってひとこと言った。
「中国でつくらんかい。」
オフィス用の家具は量販用や通販用の商品を除いて今も国産が一般的。ディノスやニッセンのカタログに掲載されている商品なんかと比べたら、かなり割高だ。
社長は商取引で頻繁に中国を訪問し、現地でさまざまな接待攻撃にあっていて、大の中国好きのよう。中国人は接待上手だから、この社長もまんまと策略に引っかかっているのだろう。
だから「上海の最新オフィスのようなデザイン」で「中国製の家具がいい」と言うのだろう。
しかし、こちらの製品は日本で作って日本製を謳ってる。あんたんところは中国から材料仕入れて、日本でちょっと漬込み「県特産」なんかと宣っている。これって、ちょっと詐欺でないの?
そこで私は社長に言いたい「日本でつくらんかい。」
と。