成田空港でのインタビュー風景。
「年末年始はどこで過ごされるんですか?」
「サイパンでサーフィンです。」
「ウィーンで音楽会です。」
「タイで遺跡巡りです。」
「ニューヨークで観劇です。」
「香港で食べ包囲です。」
なんてことは在りかも知れないが、
「パキスタンでテロ見物です。」
なんて旅行者はいないだろう。
年の瀬も迫ってきた今週になってパキスタンでテロルが発生。
ブット元首相が暗殺された。
犯人は「アルカイダ」の指令を受けた自爆テロとの見方が出てきたが、ここで感心するのは「アルカイダはなんて悪賢いんだ」ということと、パキスタンの人たちは「なんて素朴なんだ」ということだ。
素朴過ぎてきっと暴力を解決する方法には暴力しか思い浮かばないのだろう。
したがって感情にまかせてテロルとは関係のない人々に襲いかかったり、商店を焼き打ちしたり、略奪したりするのかもわからない。
イスラム文化に影響されている国々には「平和」というその意味からはほど遠い考え方の人々が少なくない。
マレーシアやインドネシアのような穏健なイスラム国もあるにはあるが、最近の世界情勢をテレビで見ていると、こういう大人しいイスラム国はもしかすると例外なのではないかとさえ思えてくる。
大多数の人々はもちろん暴力なんか望んでいるはずもないだろうが、かなりの数の暴徒が発生し、テロに対する復讐と称してあちらこちら無差別に襲いかかっているに違いない。
外務省の海外危険情報を確認してみたら多くの地域に「渡航しないでください」という警告が発せられている。
この外務省が発表する危険情報ほどいいかげんなものはないことは、先日ミャンマーの項でちょっとだけ書いたことがある。
危険でなくても、現地大使館員の「面倒な仕事を増やさないでくれ」という前向きな考え方により邦人の渡航を規制する傾向があると思われる。
だから実際に訪れてみると拍子抜けすることになってしまう。
むしろなんら危険情報の発せられていないアメリカ合衆国なんかを訪れて都市部の治安の悪さに「ドラマとちゃうやん」となってしまうのだ。
ただ今回のパキスタンは危険情報も本当に違いない。
パキスタンは地続きでアフガニスタンとイランに隣接しており、騒動で暴れているのがパキスタン人ではなく例えばアフガニスタンから流れてきたタリバンのメンバーなのかもわからず、さらにイランから流れてきたイスラム原理主義者かもわからないからだ。
このようなパキスタンの本当の危険性は、暴動ではなく「核の管理」。
簡単に元首相を自爆攻撃で殺害し、
簡単にそれを理由に暴動に走り、
簡単にタリバンや原理主義者が国境を越えて入国できるパキスタン。
日本のテレビや新聞はこの国が核保有国であることを忘れているのか、おめでたいことに、
「1月8日の選挙の開催が危ぶまれています」
などと言っている。
これは麻薬の密輸、国境の島の占領、軍用船の無断越境などは繰り返され誘拐されたり財産を奪われる国民が出ても、
「憲法九条を守りましょう」
などと言っている「おめでたい」人たちに似ている。
あ、そういえば見ていたのはABCニュースかANNニュースだったかもわからない。
そこで日本人ジャーナリストの皆さんに告ぐ。
年末年始はパキスタンへ。
現地の核の管理に関する取材を実施せよ。
世界の安全が脅かされているこの時期に成田や関空で「のほほ~ん旅行」に出発する「ぽよよ~んな人々」を取材しているばやいではない。
なお、「年末年始はパキスタンへ」のタイトルを読んで、
「おお~、○○さん。この年末年始はカラチにでも行きはるんか......変わった人やの~」
と思った常連読者の方々。
いくら私でも、今のパキスタンに物見遊山にはいきません。
はい。
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